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第115話 ベルスティア商会

前回のあらすじ

グレンツェン大統領の招待を受けたユーマ達は宮殿へ赴く。

そこでユーマ達4人は大統領の後ろ盾を意味する証文を与えられる。

その後宴で賑わうが、そこでユーマがドワーフにも匹敵する程の酒豪だと判明する。

 ロマージュ共和国の首都の宮殿で一晩過ごした後、僕達は大統領に用意された馬車で移動している。

 大統領は、僕達を泊っている宿へ送る様、御者に命じたが、僕達がある場所へ連れて行ってくれと頼み、現在はそこに向かっている。


「皆様、到着しました」


 御者に呼ばれ、馬車を降りると、その目の前には大きな建物が建っていた。


「あれが……」


「はい。あれがベルスティア商会でございます」


 そう。僕達がやって来たのは、ガリアンさんやネルスさんの作った武器やマジックアイテムを扱っているベルスティア商会だ。


 僕達は装備を整えるべく、マジックアイテムを求めてここに来る予定があった。

 だから大統領に宿ではなく、ベルスティア商会に送ってくれと僕が頼んだんだ。


「では、私はこれで失礼します」


「はい。ここまで送ってくださって、ありがとうございます」


 僕達は御者にお礼を言って、彼を見送った後、商会へと入った。

 今回アリア達は外にある従魔スペースに預けてお留守番だ。


 中に入ると、まず受付の人がいた。


「ようこそ、ベルスティア商会へ」


 受付の営業スマイルで歓迎され、僕達はギルドカードを見せて身分証明をし、案内の人が僕達を建物の奥へと案内してくれた。


 ベルスティア商会は、全部で4階建ての建物となっている。


 まず1階は商会に勤めている従業員などの事務室や会長の部屋などがある階。

 2階はデミウル工房などのこの商会と契約を結んでいる鍛冶師が創った武器、防具を扱っている階。

 3階は同じく契約を結んでいる錬金術師が創ったマジックアイテムの装飾品を扱っている階。

 そして4階はソファや棚などの家具を始めとする生活用品を扱っている階。


 それにしても、生活品まで扱っているとは、それだけ規模の大きい商会という事か。


 僕達はそこからは、まずは各自バラバラになって、それぞれの装備品を買う事にした。


 僕はまず防具を見る事にした。


 防具と言っても、僕はこの魔竜のローブがあるからメインの防具ではなく、手袋や靴などの部類を見ている。

 だがこれらは装飾品の(たぐい)な為、僕は現在3階にいる。

 と言っても、他の皆も3階にいる様だがね。


 ラティは僕と同じ魔竜のローブを身に着けていて、クレイルは接近戦によるスピードを活かす為に鎧とかは身に着けていなくて、コレットもそれ程防具を必要としていないからだ。


 僕はいくつかマジックアイテムを見て、その中から自分に合った物を選別していた。


――――――――――――――――――――


 やがて僕達は会計の前で落ち合い、それぞれが選んだ物を確認した。


 皆2つから3つのマジックアイテムを選んでいた。


 まずラティは以下の通りだった。


 自分の魔力を任意の量で他人に譲渡できる、譲渡の指輪。

 状態異常無効の効果を持つ、耐性のイヤリング。

 自分の認識を阻害する、阻害の指輪。


 この3つだった。

 この中でも譲渡の指輪はラティにとっては最も相性のいいマジックアイテムだ。

 自分の魔力を仲間に与えて魔力を回復させ、自分はいざとなれば貯蔵魔法で溜まった魔力で回復できる。

 これでラティはヒールなどの体力だけではなく、魔力の回復の支援ができる様になった。


 次にクレイルだが、こんな感じだった。


 自分の腕力を向上させる、剛力の手袋。

 脚力を向上させる、疾風の靴。


 この2つだが、メルクリウスによる近接戦をこなすクレイルにはこれで十分なのかもしれない。

 メイン装備のメルクリウスと自身の加速魔法があれば、大抵の攻撃は当たらないからね。

 それにこれだけでかなり相性のいい装備だ。


 コレットは以下の通りだ。


 ラティと同じ、耐性のイヤリング。

 魔力を流すと風の障壁が張り、攻撃を防御できる、風壁の指輪。

 魔力の攻撃を半減させる、マジックマント。


 風壁の指輪とマジックマントを組み合わせれば、敵の魔法攻撃を大幅に軽減できる、前衛と後衛の中間のコレットには相性のいい装備だった。


 そして僕はこの通りだ。


 魔力を流すと空中に足場を作れる、空歩の靴。

 敵を攻撃すると、魔力を僅かだが吸い取り魔力を回復できる、吸魔の腕輪。

 雷の魔力を増幅させる効果がある、ライトニンググローブ。


 この3つだ。

 空歩の靴は、空中に魔力の足場を作るエアステップが間に合わない時の保険になり、状況に応じてエアステップと空歩の靴を使い分ける事が出来る。

 ライトニンググローブは雷魔法を中心にする僕には、これ以上ない位に相性のいい装備だ。


 ……以上が僕達が個人で選んだマジックアイテムだ。


「皆の選んだ装備は、どれも自身の力を大幅に活かせる装備だ。他の皆も、自分の戦いを活かせる装備を選んでいるから、それに僕達の力を合わせれば、僕達の能力はこれまでの何倍にも強化できる」


「じゃあ、このまま装備を買うのか?」


 クレイルの質問に、僕は首を横に振った。


「いや。その前にもう1つ、買う物がある。それは僕達に1つずつ持たせる、僕達の共通のマジックアイテムだ」


「「「共通のマジックアイテム?」」」


「実は、あの時家を出発する前にお母さんがある物を勧めてくれたんだ」


 以前アルビラ王国を出発する時、お母さんは僕にデミウル工房の場所の地図と、ガリアンさんへの手紙を渡したが、その時にある忠告を貰ったのだ。


『もしロマージュ共和国でマジックアイテムを買うなら、この道具を買っておいた方がいいわ』


 その忠告に従い、僕達はお母さんのお勧めの品を探し、それを見つけた。


「これだ」


 僕の言葉に、皆が僕が見ている物を覗くと、そこにあったのはブレスレット型のマジックアイテムだった。


 その側に名前と効果が書かれた札があった。


――――――――――――――――――――


 通話の腕輪


 この腕輪を2つ以上用意し、それぞれに自分の魔力を通して登録すると、互いの腕輪を通して遠く離れた相手と会話ができる様になる。

 またその会話のやり取りは魔力によるものな為、この世に魔力がある限りどこででも通話が可能。


――――――――――――――――――――


 とまあ、これがそのお母さんのお勧めのマジックアイテムだ。


 初めて名前と効果を聞いた時にも思ったが、


「本当に携帯電話その物だな」


 僕の第一印象は、地球でのケータイやスマホを彷彿させる物だった。


「これがサラさんのお勧めのアイテムね」


「これなら俺も噂で聞いた事があるぜ」


「確かにこれがあれば、離れていても互いに情報を伝え合う事が出来るわね」


 皆には前世の事を話してあるし、偶に地球にある物とかを話しているから、僕の呟きには反応しなかった。


「それで値段は、1つ白金貨5枚か」


 この世界では離れた相手と連絡出来るマジックアイテムは非常に高価で、所持している冒険者も極僅かだ。

 だからこういうマジックアイテムは主に王族や貴族などが所持している。


「でも、確かに持っていた方が何かあった時に役に立つわね。ダンジョンの中でも連絡を取り合う事が出来れば、互いの情報が分かって生き残れる確率も上がるし」


 コレットの言う通り、これは僕達の今後においては必ずと言って良い程必要な物だ。

 そして幸いにも、僕達にはそれらを買えるだけのお金はある。


 なら……


「買っていこう。ここはお母さんの勧めに従っててのもあるけど、やっぱり僕達の安全を高める為にも、買っておいた方がいい」


 皆それに頷き、僕達は店員を呼んでこの通話の腕輪を4つと、僕達がそれぞれ選んだマジックアイテムを購入した。


 会計した結果、一番高かったのはやはり通話の腕輪だった。

 それもそうだよ。

 だって4つで合計白金貨20枚、日本円だと2億円もしたんだから。


 でもこんな額のお金をポンと出せる僕も僕だ。

 これは多分、お金を稼ぎすぎて、僕の中の金銭感覚が麻痺し始めたのかもしれない。

 気を付けておこう。


 会計を終えた僕達は、早速買ったマジックアイテムを装備してみた。

 外見は装備が一部変わった程度だが、その装備した一部のマジックアイテムの効果が早速現れたのか、僕達は力が(みなぎ)って来る感じがした。


 僕の場合はライトニンググローブの効果で、雷の魔力がより安定した感覚がした。


 次に全員左手首に着けた通話の腕輪に魔力を流し、自分の魔力を登録した後、互いの腕輪にもそれぞれ魔力を通し合い、互いの魔力を全て登録した。


「説明によると、これでそれぞれの腕輪と通話ができる様だけど」


「念の為に試した方がいいわよね?」


「そうだな。もし何処かで使った際に何か不具合が起きてからじゃ遅いし、今すぐに試すのがいいに決まってる」


「そうね。それじゃ、それぞれ別の階に移動して、5分後に試してみましょう」


 誰がどの階へ行くかは全員で話し合い、僕はこの3階で、ラティは1階で、クレイルは4階で、コレットが2階で通話テストをする事にした。


 5分経ち、僕は左手首の腕輪に魔力を通し、腕輪を起動させてみた。


「皆、聞こえる? 聞こえたら返事してみて」


 魔力を通したまま腕輪に話しかけると、次に変化があった。


『ユーマくん、聞こえるわよ』


『ユーマ、俺にも聞こえたぜ』


『聞こえるわよ、ユーマ』


 腕輪から順に、ラティ、クレイル、コレットの声が聞こえた。


「僕からも皆の声が聞こえるよ。テストは成功でいいかな?」


『いいんじゃないか? とりあえず、俺達の声は届いた事は分かったから、これが使える事も分かったんだし』


『私はもう少し実験してみた方がいいと思うわ。今度は全員それなりに離れた所で試してみたらいいと思う』


『あたしはどちらでもいいわよ。でも、強いて言うならもうちょっと使ってみたいかな』


 クレイルは実験を終了に1票、コレットはもう少し範囲を広げての実験に1票、ラティはややコレットよりだがどちらにもつかずか。

 ラティはともかく、クレイルとコレットの意見はどちらも一理あるかな。


 通話ができる事は確認できたから大丈夫だろうというのは分かるが、今度はもっと広範囲からできるかを試しておきたいというのも分かる。


 でも今回はどちらかというと、


「わかった。じゃあ、今度はもっと離れた場所から通話してみよう。やっぱりしっかりとテストしてからの方が安全性が増すから」


 僕は後者のコレットの案を呑み、僕の理由にクレイル達は腕輪越しに了承してくれた。


 今度は、2手に分かれて互いに連絡するというテストで行く事にした。

 僕とクレイルが宿へ行き、ラティとコレットはここで待機する。

 僕達は宿へ着き次第、2人へ連絡を取り、テストが終わり次第僕が空間魔法で迎えに行くという算段だ。


 僕とクレイルはアリアとレクスを連れて先に宿へ向かい、暫くして宿へ到着した。


――――――――――――――――――――


 部屋に入り腕輪を起動させた。


「ラティ、コレット、聞こえるかい?」


 僕が声をかけ、少しすると2人の声が聞こえた。


『ユーマくん、聞こえてるよ』


『こっちも問題ないわ。ちゃんと届いたわ』


 どうやら遠距離からの通話も問題ないようだ。


「どうやら大丈夫そうだね。じゃあ、今から僕が迎えに行くから、入り口の前で待ってて」


『『了解』』


 2人の返事を確認し、僕はアリアと一緒に宿の外に出てから空間魔法を発動し、ベルスティア商会の建物の路地裏に転移した。

 最初に此処に来た時、建物の周辺の地形なんかも覚えたから、僕はここに来る事が出来た。


 すぐに路地に出ると、そこには見慣れた女性2人がグリフォンと7色の8枚の翅を持った妖精を連れていた。

 ラティとクルス、コレットとアインだ。


「お待たせ、2人共」


『お姉様、お迎えに上がりました』


 僕とアリアの呼びかけに、彼女達は振り向き、僕は一旦宿の近くに転移した。


 そこから僕達は宿の部屋に戻り、僕達は今後の事を話し合った。


「とりあえず、僕とラティの武器の整備が終わるまでは、この近くのダンジョンに行ってみようと思うんだけど、いいかな?」


「昨日お前が言っていた所か?」


 この首都の付近には、中規模のダンジョンが存在する。

 場所は城壁を出て馬車で1時間もしない所にある洞窟だ。


「前にルゴスの街で買った本によると、そのダンジョンは全部で38階層。一番強い魔物のランクはBランクで、ここのギルドではそのダンジョンで取れる素材や倒せる魔物に関する依頼もあるみたいだ」


「じゃあ、ギルドで依頼を受けつつ、ダンジョンの攻略も出来るという事ね」


「そう。今回は、僕とクレイルはより積極的に前に行こうと思う」


「2人の神器の事ね」


 そう。

 僕がダンジョンに行こうと思った理由は、僕とクレイルの神器の事だ。

 ガリアンさんによると、僕達はまだ完全に神器に受け入れられていないとの事だ。

 だから、今回のダンジョンで戦闘を重ねて、少しでも神器に受け入れられるようにと思い、ダンジョンの挑戦を計画した。


「これは私の勘だけど、2人は神器に認められる手前まで来てると思うわ。でなければ、今の時点まで神器を使えてる筈がないわ」


「どういう事だ、コレット?」


「今までクレイルはメルクリウスが神器だって事を知らずに使い、ユーマは神器の強さに溺れるのを避ける為にミネルヴァの使用を控えていた。でも、2人共神器の事や特性を知っているから、後は神器を従えるつもりで戦えば、神器に認められるかもしれないわ」


 つまり僕達の力をミネルヴァとメルクリウスに合わせるんじゃなく、従えるという事か。

 ミネルヴァは神器というだけあって、剣自体に宿った魔力は膨大だ。

 今まではそれを扱うだけの魔力で使って来たけど、今度からは僕の魔力全てを正面からぶつけて、神器に認められようという訳か。


「話は分かったよ、コレット。つまり、僕とクレイルの魔力を全力でミネルヴァとメルクリウスにぶつけてみればいいんだね?」


「そう。実際に私もそのやり方でユグドラシルとアルテミスに認められたの。最初から上手くはいかなかったけど、何度も私の魔力を全力で流して使う内に、この2つは私を所有者として認めたの」


「じゃあ、俺とユーマも同じやり方で行けばいいんだな? なら話は決まったな。ユーマ、明日はダンジョンに行ってみようぜ!」


 クレイルはダンジョンに行きたいようだ。

 まあ、工房でメルクリウスが神器だと分かり、父親の様になりたいという事から張り切ってるんだろう。


「分かったよ、クレイル。じゃ、ダンジョンは明日にして、後でギルドに行こう。この前ダルモウス山脈で採った素材を売る為にね」


 3人は僕の提案に頷き、少ししてから僕達はギルドへ向かった。


 ギルドへやってきた僕達は、まず受付カウンターへ向かった。


 途中、中にいた冒険者達の視線は、僕達へ集中した。

 僕達はそれを気にせず、カウンターへ歩を進めた。


「すみません」


「はい。本日は、当ギルドをご利用くださり、ありがとうございます。本日は、どの様なご用でしょうか?」


 受付の獣人の女性に問われ、僕達はダルモウス山脈で討伐した魔物の討伐証明部位を出した。


「ここに来る途中、ダルモウス山脈を通過し、その途中でこれらの魔物を狩ったので、報告に来ました」


 僕はカウンターにアックスエルク、ロックラビット、ロックバードの討伐証明部位を置きながら報告した。


「それから、魔石も一緒に換金をお願いします」


 報酬の上乗せも忘れずに、それぞれの魔石を提出した。


「はい、畏まりました。では報酬の用意が出来るまで、少々お待ちください」


 僕達はその用意が出来るまでの間に、これらの素材を売るべく、買取カウンターにも向かった。


「こちらで、先程報告した魔物の素材と、これらの買取をお願いしたいのですが」


 僕はクレイルの出した魔物の素材の他に、山脈でクレイルやコレットが採った薬草や鉱石、僕が採取した竜花蜂の蜂蜜が入った樽を1つ出した。


「これらの素材は分かりますが、こちらの樽は何でしょうか?」


 担当スタッフに聞かれた僕は、その樽の蓋を開き中身を見せた。

 その瞬間、ギルド全体に密閉されていた竜花蜂の蜂蜜の甘い香りが広がった。


「これは!? まさか、蜂蜜ですか!?」


 スタッフも香りで気付いたのか、かなり興奮している。

 それだけ、このアスタリスクでは蜂蜜が高価な物なんだなと痛感したりもした。


「はい。これは竜花蜂の蜂蜜です。ダルモウス山脈内で偶然巣を発見したので、樽に入れて採取し、売却する為にここに持ってきました」


 「竜花蜂の蜂蜜」という単語に、ギルドは驚愕に包まれた。


「竜花蜂だって!?」


「幻の蜂蜜じゃねえか!?」


「それがあの山脈で採れたのか!?」


 僕は周りの冒険者達の驚きを余所に、換金を進めた。


「それで、換金をお願いできますか?」


「はっ……はい。では、鑑定で状態を調べ、それに基づいた金額を計算しますので、少々お待ちください」


 そういってスタッフは素材を持って奥へと向かった。


 因みに鑑定とは、固有魔法の1つである「鑑定魔法」の事だ。

 これは見た物の物名や状態、素材のランクなどを判別する事が出来る魔法だ。

 主に今のギルドの買取スタッフなどが持っている事が多い魔法だ。


 因みに、アルビラ王国のギルドのロランさんの固有魔法も、その鑑定魔法だったりする。


 暫くして、僕達は最初に討伐の報告をしたカウンターへと呼ばれた。


「お待たせしました。査定の結果ですが、素材も一緒に行いましたので、こちらでまとめて結果を報告します。まず魔物ですが、アックスエルク、ロックラビット、ロックバード20羽に魔石込みで合計金貨23枚と大銀貨12枚、素材の方でその魔物の素材、薬草、鉱石、そしてあの蜂蜜ですが、こちらでも鑑定した結果、竜花蜂の蜂蜜という確認も取れたので、合計白金貨30枚、金貨10枚、大銀貨3枚で、全て合わせまして、白金貨30枚、金貨33枚、大銀貨15枚となりました」


 査定の結果は凄まじい物だった。

 この白金貨は確実に蜂蜜の金額だろうけど、アックスエルクやロックバードも結構な額になった。


 そして何より、その合計金額が新装備の買い物での金額よりも上だった為、それを差し引いても十分お釣りが出る計算だった。


 その査定の結果を聞いた周りの冒険者たちは、揃って驚愕の声を上げていた。


「白金貨を30枚って! あいつら何者なんだ!?」


「エルフの女以外は、どいつもまだ成人仕立てに見えるが、そんなに凄腕の冒険者なのか!?」


「本当に何なんだ、あいつら!?」


 そんな驚愕をスルーしていると、受付嬢にギルドカードの提示を指示され、僕達はカードを差し出した。


「はい、確認いたします。パーティー名は……てっ、ええええっ!!? 皆様は、あの銀月の翼なんですか!?」


 受付嬢の叫びに、周りの冒険者達は更に騒ぎ始めた。


「銀月の翼だって!?」


「あの従魔の平均ランクがEXランクのあのパーティーか!?」


「他にも、ヴォルスガ王国の武闘大会を最年少で優勝し、エリアル王国のスタンピードも死者を0にして鎮圧させたというぞ!!」


 僕達の事は噂となり、このギルドにも広まっていた様だ。

 だが、僕達の顔を見て気付かなった辺り、写真がないこのアスタリスクでは仕方のない事かもしれないな。


「そ……それでは、こちらがその換金結果の硬貨でございます……」


 受付嬢の震える手で差し出された布袋を受け取り、僕はその中身を確認した。


「確かに確認しました。ありがとうございます」


「は……はい。またのお越しをお待ちしております……」


 緊張する受付嬢さんを後目に、僕達はギルドを後にし、アリア達を連れて宿へと戻った。


――――――――――――――――――――


 宿に戻った後、僕達は部屋に集まり明日の打ち合わせをしていた。


「明日はダンジョンに行って、俺とユーマの神器を使いこなせる様にするでいいんだよな?」


「そう。勿論一朝一夕で出来る様にはならないと思うけど、少しでもミネルヴァとメルクリウスでの戦闘を重ねて行こうと思う」


 今回の僕達の目的は、僕とクレイルの神器を使いこなす事だ。

 神器に認められるには、その神器を従わせるくらいの勢いで行った方がいいというコレットの案に従おうと思う。


「ユーマくん、あたし達はどうするの?」


「ラティは新しく手に入れた元素の杖に慣れる為に、僕達と一緒に積極的に戦闘してみよう。だから、コレット、アリア、クルス、レクス、アインは後方で控えていて。もし、僕達がヤバそうになったら、任意の判断で支援で」


「分かったわ」


『承知しました』


「クルルゥ」


「オン」


「任しといて」


 僕達は明日、初めて挑戦するダンジョンに胸を躍らせながら、その夜を過ごした。

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お待ちしております。


次回予告

遂にダンジョンに初挑戦する事になったユーマ達。

そこでユーマとクレイルは魔物と交戦する際、神器と向き合って戦おうとする。

その時、神器がある試練を与えた。


次回、ダンジョン攻略開始

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