第12話 将来
前回のあらすじ
暁の大地と国王の出会いを聞き、彼らの親交を聞くユーマ達。
そして、国王の後ろ盾の宣言がアルビラ王国全土に広がる。
王城に行き国王陛下に謁見してから数日後、僕とラティ、アリアとクルスは国王の庇護下に入った事で、僕達は比較的安全に街を出歩ける様になった。
国王陛下の宣言の効果で、周囲の貴族や力を持った人達の視線が痛いが、ちょっかいを出す事はなかった。
しかし、幼さ故にその宣言の意味が理解できていない貴族の嫡男が僕やラティを家来にしようと、酷い時はアリアやクルスを奪い取ろうと護衛をけしかけた事があったが、それらは街の中を巡回していた騎士に取り押さえられ、その貴族の嫡男は国王に逆らった反逆の罪で厳罰を言い渡され、廃嫡となった。
でも、流石にこれは不味い。
現時点でこういった事がもう5回に及んでいる。
このままでは、同じ事の無限ループになってしまい、最悪王家の過激派や傲慢貴族によるクーデターが起こってしまう危険がある。
今更ながらに、EXランクの魔物と適合していた自分とラティが如何に規格外なのかを、思い知らされる事になった。
現在、僕達は街の外れにある広場に来ていた。
僕はラティと、これからどうすればいいかを話し合っていた。
「ユーマくんはどうするべきだと思う?」
「正直、難しい問題になってる。これはとても僕達子供だけで解決できる様な事じゃないよ。アリア、君の意見を聞かせてくれない?」
ここは年長の意見を参考にするべく、僕はこの中で一番長生きしているアリアに振る事にした。
『やはり、私やクルスの存在が強過ぎる為、この前の大臣の様な過激派の人間や傲慢な貴族がいつまで大人しくしていれられるかが心配です。余り長い様では最悪、そういった人間達による内乱でこのアルビラ王国が崩壊する可能性もない訳ではないというのも現状の一つです』
アリアの考えも、僕の危惧している予想と大差なかった。
「ちょっと、僕の考えを言ってもいい?」
「どうしたの?」
「今の状況は逆に言い返せば、アリアとクルス、その2匹を従魔にしている僕達がこの国に住んでいるというのが、1番の原因なんだ。つまり、僕達がこの国から旅立てば、狙う対象が無くなり、この状況も落ち着くんじゃないかと思うんだ」
「そっか! あたし達が冒険者になってこの国を出れば、貴族の嫡男も過激派のおじさん達も、あたし達やクルス達にちょっかいを出せなくなるね!」
僕の考えを読んだラティは、まさに僕の思った通りの答えを言った。
冒険者は、この世界の職業の中でも特にメジャーだ。
人々の脅威になりそうな魔物を討伐する事で、街や集落の人達からは感謝される事が多い。
さらに冒険者は自身の個人情報をギルドに登録している為、冒険者は所謂ギルドの庇護下に入っている事になる。
冒険者ギルドは、王家や貴族などから独立した1つの組織としての認識を受けている。
勿論、王家や貴族などの依頼が入れば、それに応じてはいるが基本は独立した機関な為、傲慢な貴族でも迂闊には手を出しづらいんだ。
それに、冒険者はランクが上がっていくと、貴族にも匹敵する発言力や力を得る。
とどのつまり、冒険者ギルドに登録すれば、その組織の人間になれて過激派や貴族も余計なちょっかいを出し難くなる。
さらに僕達はアルビラ国王陛下の庇護下にも入っている為、他の国に行ってもその証明があれば、その国の王族や貴族も手を出し難くなる。
冒険者になるというのが、今の僕達にできる最良の一手なんだ。
「でも、その為には僕達も強くなる必要がある。確かに、アリアとクルスはランクや希少性からとても強い魔物だというのは確実だ。だけど、2匹に頼りっぱなしというのは本当の冒険者とは言えない。だけど幸いに、僕達の親はトップパーティーとしても有名な冒険者だ。お父さんやダンテさんから戦闘を、お母さんやエリーさんから魔法を教われば、僕達はきっと強くなれる」
暁の大地はお父さんとダンテさんが前衛を、お母さんとエリーさんが魔法による後衛を、バルバドスとサーレスが前衛のサポートを、フラウロスが防御能力で後衛の2人の防衛、ヴィオーラが空からの牽制や偵察を担当した万能タイプのパーティーだ。
さらに、それぞれのポジションでの能力が高い為、過去にはSランクの魔物を討伐したという事もあるそうだ。
この人達程、冒険者を目指す際のいい先生役の人は他にはいないだろう。
というよりは知らないという方が適切だが。
「じゃあ、決まりね。あたし達は冒険者に登録して、この国を出る」
「そしていずれは、お父さん達の様な立派な冒険者になる」
「じゃあ、お家に帰って、パパ達にこの事を話しましょう」
僕達は決意するとすぐに家へと向かった。
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家に帰った僕達は、お父さん達に僕達の決意を話した。
お父さん達も、今の街の現状について、色々と考えていたそうだ。
その為、僕達の決意を聞いて、今の自分達にできる事に気付いた。
「成程な、話は分かった。冒険者になる事には、俺達も反対する理由はない。だが、冒険者としてギルドに登録できるのは、15歳になってからだ。よって、お前達が15歳になるまでの10年間は、俺達が訓練を付けてやる」
「戦闘はお父さんやダンテが教えてくれるから、私とエリーが魔法を教えてあげるわね。それから、各国の文化や種族の種類などは私のこれからの授業に入れるから、これからの10年間頑張るのよ」
「「はいっ!」」
こうして、僕達の冒険者を目指しての訓練が始まった。
以上で第1章は終了で、次回から第2章、「冒険者の修業」に突入です。
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次回予告
冒険者になる為の修業が始まったユーマ達。
最初の訓練の担当はゲイルとダンテ。
その内容は。
次回、戦闘訓練
次回は15時に更新します。