第11話 国王と暁の大地
前回のあらすじ
国王がアリアと知り合いだったという事を知ったユーマ達。
それに親しい暁の大地からの頼みという事もあり、国王はユーマとラティの後ろ盾になる事を誓う。
同時に過激派の大臣が出て来るが、国王に一蹴される。
今僕達はお城の中庭で、国王陛下と一緒にティータイムを楽しんでいる。
アリア、クルスは国王陛下の従魔、背中に翼が生えた3メートルほどの豹型のAランクの魔物、ウィングパンサーのブリギットと遊んでいる。
ブリギットは最初、自分より上位の存在の2匹に警戒していたが、国王陛下の説明で今は警戒心が解けアリア達の友達となって、再びミニサイズとなった2匹と仲良く遊んでいる。
お城のメイドが紅茶のお代わりを入れてくれた所で、僕は気になっていた事を尋ねた。
「ねえ、お父さん達は如何して陛下とそんなに仲良しなの?」
「ああ。陛下とは7年程前、俺達が冒険者パーティとして旅をしていた時に出会ったんだ」
7年前という事は、お父さん達が結婚した少し前辺りか。
「その頃、私はヴォルスガ王国に政治関係の事で向かう途中、魔物の群れに遭遇してしまったのだ。その魔物はとても強く、護衛の騎士では荷が重く危うく私達は全滅する所だったのだが」
その時、国王陛下達を助けたのが偶々近くを旅していたお父さん達、暁の大地だったそうだ。
命を助けられた国王陛下は4人に感謝して、旅の道中の護衛を依頼して4人はそれに応じた。
その後、4人は暫くヴォルスガ王国に滞在していて、国王陛下から帰りの道中の護衛を依頼されこれを引き受けた。
アルビラ王国に帰国した際、国王陛下に王家専属の騎士にならないかとスカウトされてそれを辞退したが、旅を通じて身分を超えた友人となり、何かあったらいつでも力になると互いに誓ったそうだ。
その後、お父さん達は結婚して国王陛下の計らいで、あの家に住む事になったそうだ。
そしてそれを機にお父さん達は同時に結婚して、僕達が生まれたという訳だ。
「だから、彼等から君達の後ろ盾になるよう頼まれた時、力になれる時が来たと分かりあの誓いをたてたのだよ」
「そうだったのですか。ありがとう、お父さん、お母さん、ダンテさん、エリーさん。ありがとうございます、国王陛下」
「ありがとうございます」
僕の感謝に続いてラティもお礼を言った。
その時、国王陛下の宣言を伝える為にいなくなった、ホマレフ宰相が戻ってきた。
「陛下、先ほど王城の者全員にユウマ殿、ラティ殿、アリア殿、クルス殿の事と陛下の宣言を伝え終わりました。王国全体にも伝えるよう手配しましたので、近日中には国民全てに行き渡るかと」
「ふむ、そうか。御苦労であった、ホマレフよ。すまんな。私の宣言とはいえ、この様な仕事を押し付けてしまって」
「問題ありません。私は国王陛下の力になる為になら、例えどんな汚れ仕事でもやり遂げる所存であります」
「そうか。感謝する。もう下がってよいぞ」
「承知しました」
ホマレフ宰相はその言葉と共に、中庭から城の中へと戻っていった。
「さて、皆さん。今お聞きした通り、近日中には全ての国民に先程の私の宣言が伝わります。もし、王家の過激派や馬鹿な貴族共がその宣言を破り、彼らに手を出そうものなら、その時は容赦なく厳罰を言い渡します」
「「「「ありがとうございます、陛下」」」」
それからの一時の後、僕達は馬車に乗り王城を後にして帰路についた。
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その後、アルビラ王国全体に以下の宣言が言い渡された。
「アベルクス・フォン・アルビラ陛下と懇意にしているSランク冒険者パーティ、暁の大地のゲイル、サラ夫婦の息子、ユーマ・エリュシーレ、ダンテ、エリー夫婦の娘、ラティ・アルグラースが先日、EXランクの竜神と、同じくEXランクとなる特異種のグリフォンと従魔契約を行ったが、国王陛下は彼らとその従魔を軍事利用する事も、ましてや政治利用するつもりは毛頭ないという事。
よって、いかなる者にも彼らに手を出す事を禁止とする。
もし、彼らに手を出す、自分の配下に加える、従魔を奪う等といった行為を行うものならば、それは国王陛下の言葉に背いた反逆罪に等しい物とする。
従って、その様な行いをした者は厳罰に処する」
その宣言によって、僕達の当面の安全は国王陛下によって保証された。
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魔物情報
ウィングパンサー
漆黒の翼をもつ黒豹の魔物。Aランクで深い森に生息する。隠密行動に優れており、気配を殺しながら距離を縮め翼で一気に距離を詰めて急所部に噛みつき、獲物を仕留める。
次回予告
無事国王の後ろ盾を得たユーマ達だったが、完全に事態が収拾した訳ではなかった。
そして、ユーマ達が出した決断とは。
次回、将来
次回は12時に更新します。
次回で1章は終了です。