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第100話 思いを乗せて

前回のあらすじ

べオルフとの戦いに苦戦するユーマ達の下に駆け付けたのは、クレイル、ゼノン、イリスだった。

人数的優位に立ったユーマ達だったが、べオルフは影の戦士を創る魔法を使ってユーマ達の影を操り、影の軍団を作り上げた。

イリスの秘策を信じたユーマ達は、時間を稼ぐべく最後の戦いに出た。

 僕達はべオルフの魔法で実体化した影の軍団と交戦していた。

 目的はイリスさんの秘策の準備ができるまでの時間稼ぎだ。

 だがその分イリスさんの影も相手にしないといけない為、人数的には圧倒的に不利だが、この影達はあくまで影なので魔法が使えないのが救いだ。

 だがこの影に紛れてべオルフも攻撃を仕掛けて来る為、あの魔槍に警戒しつつ僕達は戦闘をしている。


 僕は白百合と黒薔薇の二刀流で、ラティは右手にエンシェントロッドを鈍器にし左手にミスリルの短剣で、クレイルはメルクリウスによる肉弾戦で、ゼノンさんとスニィは竜化させた体や一部人化を解いた尻尾などで次々と影を切り倒したり吹っ飛ばしたりしたが、この影はべオルフの魔力で動いていて、いくら攻撃しても倒れず、腕を切り落としてもすぐ元に戻るから、かなり手強い。


「ほらほら、こっちがおろそかだぜ!」


 そこにべオルフが僕とラティの影から姿を出し、カゲヌイによる突きを繰り出したが、僕は近くにいたクレイルの影を引き寄せて盾にして防ぎ、そのまま後ろに回り込んで黒薔薇で斬りかかったが、素早く槍を引き抜いたべオルフに防がれた。


「まだだ! イリスさんの準備が整うまで、絶対に持ち堪えてみせる!!」


「俺も行くぜ、ユーマ!!」


 僕とクレイルは同時にべオルフの懐に飛び込み、同時に攻撃を仕掛けた。


――――――――――――――――――――


 アリアside


 ユーマ達が自分達の影と戦っている頃、私はクルスやレクス、カミラさんと共に特異種のケルベロスが戦っています。

 アリアとレクスが援護し、カミラが牽制していますが、あのケルベロス、流石は特異種といった所でしょうか。

 力がセーブされているとはいえ、私竜神にレクス、特異種のクルスの3体のEXランクを同時に相手にして戦っていられるのですから。


「グルルルルルゥ!!」


 クルスが飛び掛かり、右前脚を振り被って強烈な一撃を放ちましたが、ケルベロスはそれをいとも簡単に避けて距離を開け、あの漆黒のブレスを放ってきました。


『そうはさせません! ホーリーブレス!!』


 私は光属性の中級ブレスを放ち、相手のブレスを相殺させる事が出来ました。


「ウォン!!」


 そこにレクスが横から飛び掛かり、ケルベロスはレクスの爪による攻撃を避け切れずに、初めて手傷を負いました。


『このまま一気に押し切りますよ!』


 私の掛け声で、クルス達もラストスパートに入りました。


 カミラさんが体を無数の蝙蝠に分離させてケルベロスの周囲を飛び、奴の注意を引き付けてくれました。

 ケルベロスがカミラさんに気を取られている隙にレクスが接近し、右端の首に噛みついてジャンプし、空中で1回転してケルベロスの体を地面に叩きつけました。


『今です! 行きますよ、クルス!!』


「グルルルゥ!!」


 私とクルスはケルベロスに止めの一撃を与えるべく、同時に駆け出しました。

 レクスも接近してくる私達の為に、ケルベロスの首に喰らい付いたままです。


 ケルベロスも別の2つの頭が接近してくる私達に気付き、体を起こしてレクスの足や胴体に噛みつきましたが、レクスはそれでも放しませんでした。

 ケルベロスの牙には瘴気が宿っており、噛まれると危険ですが、レクスの体毛がその瘴気を通さなかったようで平気みたいでした。


 そしてレクスも止めを刺すべく、牙に力を入れて喰らい付いていた首を噛み千切りました。


 ケルベロスも首の1つを失った痛みと事実に動揺し、私の接近に反応できませんでした。


『もう1つの首も頂きます!』


 私の振り下ろした爪によって左端の首も斬り落とされました。


 立て続けに2つの首を失った事で、ケルベロスは瀕死まで追い込まれました。


『今です! 止めはあなたが決めてください、クルス!!』


「グルルルルルルゥ!!」


 そして切り落とした首が再生しない一瞬を狙って接近したクルスがケルベロスに前脚を振り上げ、ケルベロスの最後の首が反応した時には既に遅く、クルスの足が振り下ろされました。


――――――――――――――――――――


 ユーマside


 僕達が影の軍団と戦いを始めて、そろそろ30秒が経つ頃だった。


「準備ができたわ! 皆離れて!」


 イリスさんの合図が来て、僕達は影から距離を開けた。


「行くわよ!」


 イリスさんから巨大な魔力の波が広がり、影やべオルフがそれに包まれた。


「何だ……これは……!? 力が……抜けていく……だと……!?」


 その魔力に包まれたべオルフの様子が変わった。

 同時に影が消滅して、僕達の足元へと戻って来た。


 なんだか、べオルフの魔法が突然無力化したみたいだ。


「これが私の固有魔法、無効魔法よ。私の周囲に波状に魔力を広げ、その範囲内にいる私が敵と認識した者の魔法の発動と効果、魔力などを無効にするの。発動に時間がかかるのが難点だけど、これで奴はもう影を操る事はできないわ」


 魔力と魔法の発動を無効にするって、それじゃ敵と認識された瞬間、どんな魔法もイリスさんの前では使えないって事か。

 なんてチート級な固有魔法なんだ。


「今よ! べオルフを捕らえるなら今しかないわ!!」


 イリスさんに言われて気が付いた僕は、白百合の神速で一気にべオルフの懐へ飛び込んだ。


「何!?」


「その槍は使わせない!」


 べオルフは槍で防御しようとしたが、その前に僕の白百合を振る方が速く、僕はべオルフの両腕を肘から先を切り落とした。


「うああああああ!! 俺の腕がああああ!!」


 そしてその目の前に加速魔法で接近したクレイルが現れた。


「これで終わりだ、べオルフ!! お前に苦しめられた人達の分! 殺された従魔達の分! 俺達の怒りの分! 全部纏めて食らいやがれ!!」


 クレイルは右手のメルクリウスに魔力を流して炎を纏った。


「メテオストライク!!」


 魔力の籠ったメルクリウスの右ストレートを顔面に受け、べオルフは壁まで吹き飛ばされた。


 同時に、ケルベロスの3つの首がアリア、レクス、クルスによって破壊され、従魔も倒された。


「グルルルルゥゥゥ!!」


 クルスは勝利の雄叫びを上げた。


 かくして、僕達は黒の獣のボスのべオルフを倒す事が出来た。

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次回予告

戦いに勝利したユーマ達の下に、暁の大地も駆けつける。

そこでユーマ達は、クレイルから何があったのかを着あされ、べオルフの捕縛を開始する。


次回、報告と捕縛


次回は明日に更新します。

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