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第99話 まだ仲間はいる

前回のあらすじ

べオルフとの戦闘を始めたユーマ達は、べオルフの放った影を操る魔法に苦戦する。

アリアとクルスも特異種だと分かったケルベロスと戦うが、その攻撃力は、アリアにダメージを与える程の威力だった。

影を操る魔法と相手を拘束する魔槍に翻弄され、べオルフの放った影の槍がラティに向かって落とされる。

 ラティは自分に向かって来る影の槍に気付いたが、重力魔法をべオルフに掛けている事に集中した結果、反応が遅れてしまって躱す事が出来なかった。


「危ねえ!!」


 その時、突然現れたクレイルが、ラティを脇に抱えて影の攻撃を躱した。


 だがその際にラティの魔力が途切れた事で、べオルフにかけた重力魔法が消失して、奴が自由になってしまった。


「クレイル!?」


 僕は驚きの声を上げた。

 どうしてここにいない筈のクレイルがいるのか。

 あの通路を戻ってここに来たのだろうが、それでも時間が短すぎる。

 加速魔法を使って時間を短縮しても、あの残り2つの分かれ道で迷わずにこっちの道を着たのかもしれないが、それでもクレイルが来た事に驚きを隠せなかった。


 クレイルはそのまま僕の所に来て、抱えていたラティを降ろした。


「大丈夫か、ラティ?」


「う……うん、ありがとう」


「クレイル、どうしてここに? コレットは?」


「コレットは誘拐された人達の所に残した。俺はあいつをぶん殴る為にここに来たんだ」


 クレイルはそう言いながらべオルフを睨みつけた。

 加えて凄まじい殺気を放っている。


 元々クレイルには直情的な部分があったけど、これは今までに見た事もない程の怒りだ。

 あの別れた先で、何かあったのか?


「ユーマ、あいつがべオルフか?」


「うん。あいつがリーダーのべオルフだよ」


「そうか。悪いが詳しい話は後だ。今はあいつを捕まえるぞ。俺も一緒に戦うぜ! 俺とレクスはその為に来たんだからな!」


 よく分からないけど、クレイルが参戦してくれた。

 アリアとクルスが戦っているケルベロスには、レクスも加わっている。


 ケルベロスも突然現れたフェンリルのレクスに動揺して、クルスに一撃を加えられた。

 だがすぐに態勢を立て直して、3匹から距離を開けて漆黒のブレスで反撃した。


「ふん。たとえ獣人が加わろうが、俺の魔法の前では何も変化はない。その事を教えてやる!」


 一方べオルフは再び僕達に目掛けてカゲヌイを投擲してきた。


 今度は誰が狙いだ!

 僕か、ラティか、クレイルか!


「いや! ここにもまだ、仲間はいるぞ!」


 その声と共に、ゼノンさんが現れて槍に蹴りを入れた。


「無事か、ユーマ殿!」


「ゼノンさん!」


 更にアリア達と戦っていたケルベロスに一撃を入れようと、人型のスニィが踵落としを繰り出した。

 ケルベロスはそれを躱し、べオルフの許へと移動した。


「ご無事ですか、アリア様!」


『ありがとうございます、スニィさん』


 更にゼノンさんに続いてイリスさんも姿を現した。


「あいつが黒牙のべオルフで間違いないのね!」


「はい! 気を付けてください! あいつは僕達の影を魔法で操って攻撃してきます! あの槍は影に刺さると動けなくなる魔槍です!」


「成程。奴は影使いなのね」


「それに、あのケルベロスは特異種です!」


「クルスと同じって事か。だが、この人数ならいけるぜ!」


 確かにこの5人なら、奴を捕縛する事はできるかもしれない。

 だが奴は依然と余裕な表情を保ったままだ。


 あの余裕は何なんだ。

 部下は全滅して、残るのは自分と相棒のケルベロスのみ。


「お前ら、まさか人数が増えただけで俺を倒せると思ってるのか? 生憎だが俺を相手にするなら、あまり大人数はお勧めしないぞ」


 べオルフの魔力が上がり始めた。

 また影の槍で攻撃するのか?


「シャドウマン」


 その時、僕達の影が体から離れ、奴の周囲に集まり、僕達の姿に似た立体的な形になった。

 更にそれが何体にも分裂して、影の軍団が出来上がった。


「何!? 私達の影が!?」


「あれは影を本体から切り離して、自分の操り人形にして戦わせる魔法よ!」


「そう。だがこの影達の強さは、その影の主ではなく俺の魔力の強さに比例するがな。だが、俺の魔力が尽きない限りこの影の戦士は無限に現れる」


 つまり奴の戦力はいくらでも補充できる訳か。


「だけどあの影達はあくまで本物じゃないから、魔法による攻撃は出来ないの。でもスタミナは無尽蔵だから、術者を倒さない限り相手は不利になる厄介な魔法よ」


 イリスさんの説明から、確かにこれは大人数は逆に不利にしている様なものだな。


「皆、少しだけ持ち堪えてくれない? 私ならこの影を、いえ、あいつの力を封じ込める事が出来るわ」


「本当ですか!?」


 何とイリスさんには、あの軍団を纏めて倒す方法がある様だ。


「イリス、あれを使うのだな?」


「ええ。普段は使わないけど、この相手なら惜しむ必要はないわ」


「分かった。皆、30秒程でいい。あの影達の注意をこちらに引き付けるぞ」


 よく分からないけど、ゼノンさんとイリスさんには何か秘策があるみたいだ。


「分かりました。クレイル、ラティ、接近戦で奴らを引き付けるよ!」


「「了解!」」


「アリア、クルス、引き続きケルベロスをお願い!」


『分かりました!』


「グルルルゥ!」


「レクスも頼む!」


「ウォン!」


 僕達はべオルフを守る影達に向かって駆けだした。


 アリア達も駆けだし、それに反応したケルベロスも最後の決着をつけるべくアリア達に向かって駆けだした。

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次回予告

自分達の陰で生み出された人形と戦い、イリスの魔法の準備が整うのを待つユーマ達。

そしてその魔法が放たれ、べオルフは一気に追い詰められる。

そしてそれぞれの思いを乗せた、ユーマとクレイルの一撃が繰り出される。


次回、思いを乗せて


次回は11日に更新します。

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