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第96話 暁の大地の戦い

前回のあらすじ

入り口の敵をゼノンとイリスに任せたユーマ達は、途中3つの分かれ道に辿り着き、3チームに分かれる。

誘拐された者達の救出チームとなったクレイルとコレットは、その奥で攫われた人々を発見する。

しかし、その者達の従魔が全て殺されていたという事実を聞き、クレイルは怒りを爆発させ、この場をコレットに任せ、レクスと共にユーマ達の後を追う。

 ゲイルside


 分かれ道でユーマ達と別れた後、俺達暁の大地はもう1つの道を歩き、その先の空間へと到着した。


 そこには武装した黒の獣とその従魔の魔物達が待ち構えていた。

 その数はざっと30人程か。

 従魔はどれもそこそこランクが高い魔物ばかりで、その平均ランクはざっとBランクはありそうだった。


「この中に、べオルフという男はいるのか?」


 俺は武器の大剣を握ったまま黒の獣のメンバーに尋ねた。


「残念だが、ここにはお頭はいねえ。だが、お前達はお頭の顔を見る事も出来ずに死ぬんだ。そこの従魔も俺達が素材を剥ぎ取って、有効活用してやるよ! まあ、男どもは皆殺しだが、女は生かしておいてやるよ。尤も、俺達の慰み者として扱うがな!」


 男達は意外にも、Sランクである俺達暁の大地を仕留める宣言及び、バルバドス達を仕留める宣言をした。


「一応聞くけど、あなた達は私達が誰なのか知ってるのかしら?」


 サラが尋ねた。


「勿論さ。かの有名な暁の大地だろ? だが所詮はたった4人。この数の差に勝てる訳ないだろう」


 黒の獣は俺達の事は知っていたが、人数の差から既に勝った気でいた。


「そうか、俺達を仕留めるか。なら、その腕を確かめさせて貰おうか?」


 俺の一言により、ダンテは槍をサラとエリーは杖を構えて、バルバドスとサーレスが前の俺とダンテの横に立ち、ヴィオーラを背に乗せたフラウロスがサラ達の一歩前に出た。

 俺達の十八番のフォーメーションだ。


「一番槍は俺が貰ったぜ!!」


 同時に、黒の獣の長剣を持った男が従魔のハイコボルトと共に斬りかかってきた。


「バルバドス」


 その時、従魔のハイコボルトの上半身が一瞬で消えた。

 その先には、口が血の色で赤くなったバルバドスがいた。

 バルバドスが目に留まらない速さで、ハイコボルトの上半身を噛み千切ったのだ。


 バルバドスの種、スターダストウルフは、クレイルくんのレクスの種、フェンリルには負けるがそれでも閃光の如くの速さで駆ける事ができる。

 そのスピードにより、ハイコボルトは気付く事なく上半身を噛み千切られ絶命したのだ。


「へっ?」


「お前も相棒の後を追うんだな」


 続いて俺の振り下ろした大剣により、男は縦に真っ二つとなった。


「ひっ……か、掛かれぇぇぇ!!! 人数の差で押し切れぇぇぇ!!!」


 男達のリーダーらしき者の掛け声で、周囲の黒の獣は一斉に俺達に襲い掛かった。


「ダンテ!」


「任せろ! 行くぞ、サーレス!」


 ダンテが手の槍を、サーレスが槍の様な角を向けて突進し、ダンテの槍が2人を、サーレスの角が4人の胸を纏めて貫いた。


 ダンテの異名は『一閃』、あいつは的確に急所見抜いてその得物の槍で相手を一瞬にして貫く事から、この異名が付いた。

 そこにランスディアーのサーレスの攻撃が加わる事で、その攻撃力を何倍にも高めている。


「な……何なんだ、こいつら! こうなったら、後ろの女共を狙え! あいつらを狙えば、こいつらの動きが鈍るかもしれねえ!!」


 男達の中で魔法を使う者達が、サラとエリーに向かって無数の魔法を放ってきた。


「魔力の解析終了。魔法の平均ランクはおよそC。これなら大丈夫そうね。エリー、右の魔法は任せるわ」


「分かったわ。撃ち漏らすなんてヘマしないでね」


 サラとエリーは俺達に向かって来る魔法に向けて、杖を構えた。


「スプレッドサンダー!」


「リフレクション!」


 サラの放った放射状に広がった雷が魔法を打ち消し、エリーの方では放たれた魔法が突然跳ね返され、逆に黒の獣へと着弾した。


 サラもエリーも全く無傷で、更にあまり魔力を消耗しなかった。

 これは2人の固有魔法によるものだ。


 サラの固有魔法は解析魔法。

 対象の魔力を視認でき、その強さを測ったり視認する事が出来る魔法だ。

 それほど珍しい魔法ではないが、使い方次第では人の魔力の純度を見る事で今後の成長を予測する事もできるし、今のように相手が放った魔法を解析する事で迎撃する為の魔法の強さを決める事もできる。

 サラはかつてその解析魔法を活かして新人冒険者の魔力を解析して、その魔力をどう生かすかを指導して冒険者の育成に貢献した事から、何時しか『導師』の異名を得た。


 エリーの固有魔法は反射魔法。

 自分に向かって魔力の乗った攻撃を反射させ、そのまま相手に返す魔法だ。

 加えて消費する魔力もさほど高くなく、1度の発動で複数の魔法を同時に跳ね返せる、便利な魔法だ。

 この魔法の効果であらゆる攻撃を跳ね返す事から、エリーは『魔鏡』の異名を得た。


 更にフラウロスとヴィオーラが火球と羽を放ち、従魔達を倒していった。


 黒の獣は自分達の放った魔法を逆に食らい、半分程の数に被害が出た。


「何だよ!? こいつらバケモンじゃねえか!!」


「どうやってこんな奴らを仕留めればいいんだよ!!」


 連中は俺達の強さを見て、仲間割れを起こし始めた様だが、それで手を休めるような事はしない。

 俺達はこの黒の獣の討伐依頼で来たのだから、一切容赦をする事はない。

 例え依頼でなくても、幼い子供を騙して奴隷の首輪を嵌めて誘拐する様な奴らに、情けをかけるような事はしないがな。


「悪いが、お前達には討伐か捕縛命令が出てる。だが、あくまで捕縛するのはリーダーのべオルフだけだ。お前達は生死問わず、つまり()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 俺はそう言って、目の前の男を大剣で切り捨てた。


 更にそこから踏み込んで駆けると同時に次の相手を切り捨てる。

 俺は大剣を始め、片手剣などの剣を用いた戦いを得意とし、剣の達人という事から『剣聖』の異名を得た。

 故にその名に恥じない腕前で、次々と敵を葬っている。


 そして気付いた頃には、俺達の無双状態となった。


 ある奴は俺の剣やバルバドスの牙で、ある奴はダンテの槍とサーレスの角で、またある奴はサラとエリーの魔法で、またはフラウロスとヴィオーラによって、そして10分もしない内に、ここにいる奴らは全て倒した。


 従魔は全て討伐し、生き残っているのは1割程で、後は皆死んでいた。


「ちょっとやりすぎたか? いくら討伐令が下されていたとはいえ、ちょっと生き残っているのが少なくないか?」


「問題ないだろう。俺達が必ず捕らえるは、あくまでべオルフだけだ。そいつさえ捕縛すれば、黒の獣は壊滅する。生き残った奴らも、どの道奴隷堕ちになる。そうなれば多少生き残っていても問題はないだろう」


「それもそうだな」


「なら、早くユーマ達が行った方の道へ行きましょう。ここにべオルフがいなかったという事は、ユーマ達のルートの先にいるわ。私達も早く駆け付けて、2人の加勢に行きましょう」


「そうだな。生き残ってる奴は念の為に拘束して、ユーマ達の所に行こう」


 俺達は意識を失っている奴らをサラに最低限の回復魔法を掛けさせてから、縄と魔封じの枷を二重に着けて拘束した後、この部屋を後にしてユーマ達と別れた道を目指した。

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次回予告

ユーマとラティは遂にボスのべオルフと対峙する。

しかし、同時にべオルフの口から、この誘拐事件の真の黒幕を告げられる。

そしてユーマ達はべオルフを捕縛するべく、戦いを始める。


次回、黒牙のべオルフ


次回は5日に更新します。

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