第9話 暁の大地
前回のあらすじ
アリアとクルスの事が国に知られたら不味い事になりそうなため、ユーマ達は明日王城へ行く事が決まる。
またアリアはユーマの正体に気付き、ユーマは前世の事を話す。
そしてアリアは誰にも話さないと、自身の誇りにかけて誓いを立てる。
従魔のアリアとの最初の夜が明け、瞼を開けるとそこには小さい姿のアリアがジッと僕を見つめていた。
『おはようございます、ユーマ』
アリアは透き通る様な声で挨拶してきた。
「おはよう、アリア。もう起きてたなら、先に行っていてもよかったんだよ」
『いえ、そういう訳にはいきません。私はユーマの従魔。何時如何なる時も、主のお傍にいるのは当然の事です』
どうやらアリアは僕の傍に常にいる事を固く決め、それを譲る気はない様だ。
その姿に、僕は苦笑いを浮かべた。
「そっか。じゃあ、着替えようかな」
僕は寝間着から普段着に着替えて、アリアとリビングに向かった。
「オンっ!」
「クォオン!」
リビングに入ると、バルバドスとフラウロスが朝の挨拶をしてきた。
「おはよう、バルバドス、フラウロス」
『おはようございます。バルバドス殿、フラウロス殿』
アリアは魔物の存在では自分が上位だが、バルバドス達は僕の両親の従魔――つまり自分の先輩の様な存在として、「殿」を付けて丁寧語で話している。
僕らは朝食を食べた後、昨日の話し合い通りに王城へ行く為の準備をした。
僕はお母さんが用意してくれた正装に着替えて、アリアを頭に乗せて外に出た。
「おはよう、ユーマくん!」
外に出ると、僕と同じ様に正装の子供用のドレスに身を包んだラティが抱き着いてきた。
「おはよう、ラティ」
ラティの傍には、特殊能力で小さくなったクルスがちょこんと座っていた。
「おはよう、クルス」
『おはようございます、クルス』
「クルゥ」
2人と2匹で暫く話し合っていると、普段着から正装姿となったお父さん達が出て来た。
王城へは、馬車で行く事になった。
御者はダンテさんが務め、馬の代わりにバルバドス、フラウロス、サーレスを馬車に繋いで引いてもらい、僕達は馬車に乗り込んだ。
尚、アリアとクルスは僕とラティの膝の上だ。
馬車を出して暫くすると、アルビラ王国の王都についた。
アスタリスクの街並みは、地球でいう中世のヨーロッパのイメージが強かった。
馬車の窓から外を見てみると、住んでる人々の傍には従魔らしき魔物があちこちにいた。
「皆、着いたぞ」
御者台のダンテさんの声が聞こえてきた。
着いたという事は、窓から覗いてみると、王城の城壁が見えていた。
門番の近衛兵がダンテさんに素性と目的を尋ねていた。
「我々はSランク冒険者パーティ、暁の大地です。本日は国王陛下に御用があり、参りました」
ダンテさんはそう言い、近衛兵に身分証明書の様な物を見せた。
「失礼いたしました! どうぞ!」
その言葉と共に城門が開き、馬車は中へと入っていった。
暁の大地とは、お父さん達のパーティ名の事だそうだ。
このパーティーはお父さん達が成人仕立ての頃に結成したパーティーで、お父さん達は幼少の頃に凄腕の元冒険者に鍛えられて、その甲斐もあって結成時からメキメキと頭角を現し、遂には竜王をも討伐して暁の大地はそれまでの功績によりお父さん達は当時18歳という最年少でSランクに達したそうだ。
結果、暁の大地はこの大陸内でしか活動してないが、その実力や経歴、個々人の従魔の存在などで世界中に知られる有名なパーティーとなったのだ。
暫く進んで馬車から降りた僕達は、衛兵の案内で国王陛下のいる玉座の間の前まで来た。
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次回予告
アルビラ国王に謁見したユーマとラティ。
国王にアリア達を紹介した際、意外な関係を知る。
次回、国王とアリア
次回は6時に更新します。