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私のところのメイドが、レベル9999ステータスALL9,999,999,999,999だった件  作者: 華洛
第3章 王都炎上崩壊(上)/帝都物情騒然
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25 通りすがりの天邪鬼な可憐で可愛い普通のメイド、ナイヤーラトテップ



 瘴気が蔓延し、異界化が始まりつつあるズワナ森林を、シグナイ・ハーグマン上級大将と、精鋭二十四名は森の中心部へ向けて足を進めていた。

 初めの方は問題なかったが、ここに来てモンスターのランクがワンランク上がった。

 その証拠に、初めの方は1人でも斃す事は出来ていたが、ここに来て3人から4人で掛からなければ斃せなくなってきていた。

 初めは六十名居た精鋭達も、今では数を減らし半分以下へとなった。

 モンスター達のランクがワンランク上がった所で、シグナイが本気を出せばどうと言う事はないが、常に本気を出し続ければ、中心部にいる本丸と戦う時に、全力を出せないと考えた末の行動だ。


 中心部に少しずつ近づくにつれて肌にピリピリとした威圧を感じ始める。

 舗装されてない、木や草が覆い茂った中を進んでいく。


(――この俺様が、手汗を掻くとは。この先にどんなバケモノがいるっていうんだ)


 獣道をしばらく進んでいくと、少し拓けた空間があった。

 シグナイは、そこがズワナ森林の中心地だと察する。

 気配を消し木々に身を隠して、中心地に居る三体の魔物を、鑑定ができる水晶を取り出して観察した。


 1体目は上半身裸で、肌が紫色をした人型の魔物。

 背中には禍々しい黒い翼が生えている。

 手には黒い片手剣を持ち、今にでも斬りかかりそうな雰囲気がある。

 水晶で鑑定すると、レベル431、魔人[バーサーク状態]、推定ランクは「A」と出た。


 2体目は赤紫色の鎧を着た2メイルほどの魔物。

 フルアーマーで中にどんなのが入っているかは分からない。

 手には身長を超えるほどの、左右に刃が付いた斧を持っている。

 水晶で鑑定すると、レベルは592、魔人[殺戮者]、推定ランクは「S」と出た


 そして三体目は、女性であった。

 光を吸収しているかのような漆黒の髪は、地面へと付いている。

 もし人間だったら傾国と言って差し支えないほどの美女だ。

 この場に不釣り合いな漆黒のドレスと、他を圧倒する威圧感を放つ。

 水晶で鑑定すると、レベル1220、邪神[モンスター・マザー]、推定ランク「EX」と出た。


 それを見た時に、兵士達から僅かだがざわめきが起きた。

 同時に魔人二体の視線が、シグナイ達の方へと向く。

 シグナイは舌打ちをする。しかし兵士達を責める気にはならない。

 レベル1000越え、ランクはEX、しかも神と来た。

 これで動揺するなと言う方が難しい。


「お前達は撤退しろ。それでデニールに伝えろっ。この状況と、早急に撤退しろ! となっ」


「し、シグナイ上級大将はっ」


「俺は此処でヤツ等を抑える! 本気を出せば周りを気にする余裕は無くなるっ。早く逃」


「ぁぁぁああああ――!!」


 声が上がると同時に血飛沫が待った。

 そこには魔人二体が居て、次々と兵士達を殺していく。

 シグナイは体内に溜めてある氣を一気に放出した。


――闘氣法・型式・三面六臂――


 三メイルほどの高さがある氣で出来た巨体。

 三つの顔と、六つの腕。

 それぞれの腕には、六属性が備わっており、火・風・水・土・闇・光の同時属性攻撃が可能となっている。

 シグナイは氣体の六腕を使い、魔人二体へ向けて攻撃をした。

 一撃が地面に当たる度に地が揺れ、轟音が辺り一面に響く。

 その攻撃が何十発だ。

 辺りの木々が原型が無いほど木っ端微塵となる。


 兵士達はなんとか攻撃を避けながら撤退していった。

 魔人達も、三面六臂の攻撃を避けながら、兵士達を攻撃する余裕は無いのか、今は兵士達への攻撃は控えている。

 だが、それも一瞬の事であった。

 魔人[バーサーク状態]が突如として雄叫びを上げた。

 背中から生えている禍々しい翼が怪しく光る。


(なんだ――。ぅ、ぁ、これは――精神干渉系の術か!)


 シグナイはなんとか正気でいる事が維持できたが、兵士達は違った。

 逃げていた足を止め、腰にある剣を抜くと、突如として奇声を上げて仲間の兵士達へ斬りかかり、仲間同士での殺し合いが始まる。

 しかし2、3人は効かなかったようで、少しだけ振り返るが、そのまま全力で逃げる。

 正気で逃げる兵へ向けて魔人[殺戮者]は、目にも止まらぬ速さで移動すると、手に持つ斧で兵士を惨殺していく。

 最後、1人になった兵士に斬りかかる直前。


――闘氣法・型式・怯防勇戦――


 放出した氣を身体に纏わせる事で防御力を向上する術である。

 それをシグナイは最後となった兵士へと使う。

 斧は兵士の身体を傷付けはしたが、致命傷にはならず、兵士は痛みを堪えながらも、足を止めずに進む。

 魔人[殺戮者]は再び斧を振り上げ、今度こそ息の根を止めようとする。


「これ以上は、させねぇぇぇえ!!」


 三面六臂の腕の攻撃をまともに受けた魔人[殺戮者]は、逃げていく兵士とは真逆に吹き飛ぶ。

 しかし、ダメージは入っていないようで地面に倒れること無く立ち上がる。


(推定ランク、A、S、EXか……。ハハ、どうやら俺の命運とやらもここまでのようだ。……ただ死ぬなら、何体か上級大将の意地にもかけて道連れにしねぇとな)


 この場に限って言えば、もう、護るべき者はいない。

 ただだ全力で闘うのみであった。

 シグナイは構ると、同じように氣体も構えを取る


 まず先に攻撃を仕掛けてきたのは、魔人[バーサーク状態]の方であった。

 雄叫びを上げながら、漆黒の翼を羽ばたかせ向かってくる。


――闘氣法・型式・三面六臂・六天一空――


 これは、六つの打撃を時空間を歪ませ、同時に一撃として叩き込む業である。

 六つの属性による同時攻撃。

 直撃すれば、物質は微塵となり、消滅する。

 向かってくる魔人[バーサーク状態]は、回避はせず、直撃を受けた。

 しかし消滅はせず、勢いよく遠方へと飛ばされただけであった。


(……・ちっ。この業の直撃を受けて、吹き飛んだだけだとっ。くそったれ!!)


 シグナイは意識を切り替えた。

 ここまで帰ってくるには、それなりの時間がかかる。

 その内に、残りの魔人と神を始末することにした。


 魔人[殺戮者]は斧を上へ振り上げて、勢いよく振り下ろす。

 それをシグナイは、斧の柄の部分を握りしめ、振り下ろさせないようにする。

 だが、相手の方がパワーが上回っており、徐々に振り下ろされ、肩の部分に刃が当たり血が滲み出してきた。


――闘氣法・型式・三面六臂――奥義・氣至壊征――


 シグナイが使用できる業の中で最も威力高い業である。

 火・風・水・土・闇・光の六属性を混ぜ合わせ、一気に放出する業だ。

 氣体は手を構えるてしばらくすると、中心に六色の輝く氣弾が現れた。

 それを邪神[モンスター・マザー]へ向けて放つ。

 この一撃は帝国内においては、最高の威力と謳われる業であり、これが効かないようでは、攻撃により邪神[モンスター・マザー]の撃破は、文字通りに不可能ということになる。


 邪神[モンスター・マザー]は、向かってくる氣の塊をつまらなそうに見ると、手に黒い魔力の塊を出現させ、向かってくる氣弾に向けて放った。

 黒い魔力は、氣弾に当たると、氣弾をはじけ飛ばし、氣体に当たると、氣体すらも吹き飛ばした。


「が、――、ぁ、……(氣が、抜ける――)」


 氣体を破壊された事で、氣が漏れ、常時氣でステータスアップしていたのが、これにより大幅にダウン。

 魔人[殺戮者]のパワーに抗えなくなり、肩にめり込んでいた斧は、そのまま肩を切断する。

 次に足を使い、シグナイを蹴り飛ばす。

 衝動は強く、木を三本ほどへし折るほどの勢いがあった。

 先程の蹴りで骨は幾つか折れ、木に勢いよく当たったことで全身が猛烈な痛み、肩を切断されたことに寄る大量出血。

 シグナイはもう立ち上がる事が出来なかった。

 魔人[殺戮者]は、ゆっくりと歩いてくる。

 そしてシグナイの目の前に立つと、斧を振り上げる。


(くそ……っ、たれ。けっ、きょく、オレ、さまは、だれも、なにも、まもれない、のか)


 振り上がった斧は容赦なく振り下ろされた。


(わるい。ていこく、まもる、って、やくそくは、はたせそうに、ねぇや)






「諦めるのが早いなぁ。早すぎるなぁ。早漏は女の人にもてないんだよ? おっと、私? 私は通りすがりの天邪鬼な可憐で可愛い普通のメイド、ナイヤーラトテップ。よろしく☆」






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