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9年使命  作者: べべん
5/10

罪と復讐、そして使命

小学5年になった。先生は3年の時のあの理不尽な教師だった。

当時の自分は「またか...」と思っていた。それはそうだ、学年全体で嫌いな先生だからだ。


いつもの理不尽な命令的な指導、他の生徒からのいじめで私の心はボロボロになりかけていた。それでもまだ前を向いていた。空手を昔から習ってたおかげかそう簡単には折れなかった。

だが自分も人間である。いつかは限界が来るときもある...


そんなある日、ついにやらかしてしまった...


6年になったあるレクリエーションの時間。苦手な遊びにうまくいかず最下位決定戦のようなところに行かされた。「行きたくなかったらちゃんとしろ」とか言われ嫌々行ったが生徒からは中傷的な罵声を浴びられまくった。その様子を先生は確かに見ていた。が、何も言わずに見物していた。

私はもうぶちぎれた。やってられない、学校なんて何が面白いと...


教室に戻る途中にHが声をかけた。だが私は相手にしなかった、いや、相手にできる状態じゃなかった。それでも励まそうとしたくれたのかまた声をかけてくれた。その時私は感情的にHに暴力をふるってしまった。生まれて初めてあいつに手を出してしまった...


当然Hは怒っていた。一緒にいつも下校時には一緒だったが今日は別々で帰った。

家に帰っても私の怒りは収まらなかったが数時間じっとしてようやく私がしたことに気づいた。

私はあいつに手を出してしまった。いくら周りから言われようとも手を出してしまってはそっちが罪なのだ...その自分の行った罪の重さに私は泣いた...だが泣いたからといってあいつは怒らないわけじゃない。もしけがを負っても治るわけじゃない。私はその日から自分がいつも以上に大嫌いになった...


その翌日、私はHに謝りに行った。だが相手にしなかった。わかっていた、当然のことだった。

その後もしばらくそのような状態が続いていった。でも4か月ほどたったころか、ようやく信頼を回復していった。態度は以前よりかは少しだけ荒かったがなんとか許してもらえた。なんとかお互いの信頼を取り戻せて一件落着だった。


ある日、6年生を送る会(送られる側だが)で歌を歌う予定でピアノを任された。何度も聴いている曲だったためすぐに弾けるようになり暗譜も万全だった。

そして本番でうまくやれた。その時学年全体が微笑ましい印象だったように見えた。そしてようやくわかった。自分は人を幸せにすること、笑顔にすることが使命なのだと...

あれ以来私はそれを意識して、病んでる人や困ってる人には積極的に話すようにした。


しかし.....幸せはやはり一瞬だった...


小学校を卒業した頃、福岡に引っ越したSが地元に帰ってきた。それを祝うように前にあったグループメンバーが集まって一緒に迎えた。

そして遊んでいた時、Hが私を追いかけていた時、私を強く押し壁に頭をぶつけた。出血はしなかったが酷い痛みだった。そのときHは「前から色々やられてきたからいいんちゃう?」と言ってきた。

私の頭の中は怒りに溢れていた。だが私にも以前やった罪がある。思っても仕方ないことだと言い聞かせて反論はしなかった。

そして黙ってその場を立ち去って家に帰った。そしてSとはそれ以来二度と会わなかった...


それが地獄の始まりだった...

今はHとはまた親友としてお互いの立場を理解しあえている。中3となった今、それぞれの志望校に向けて勉強しお互いを応援し合っている。

人の信頼とは一度崩れると中々戻すのは難しい。だが、それをきっかけに新しい関係を築くこともできるのではないかと私は思う。人との縁とはわからないものとはこういうことかもしれない....

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