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三話 皆のステータスについて

二連続投稿ッ



さて、誰のステータスから見に行けば良いのやら。

とりあえず、俺が一番話しやすい奴からにするか。

と言うわけで、


「おゝい!本多!」

「ん?どうした、お茶みたいな呼び方して」

「いやさ、俺のステータスが高いのかどうかがいまいちわかんないからさ、お前のも見せてもらって基準?みたいなものが知りたいんだけど……」

「なんだ、そんなことか、ほらよっ」

「おっと、サンキュ」


……どれどれ


ーーーーーー


名前 タイト ホンダ

種族 人

ジョブ 侍Lv.1


HP 900/900

MP 300/300

筋力 100

敏捷 50

耐久 95

器用 74

魔力 36


スキル 『剣術』Lv.1

『抜刀術』Lv.5

『居合術』Lv.4

異世界言語読解Lv.ーー


魔法属性 火


ーーーーーー


や、やべぇ。

完全に俺のステータスの方が優っている。

しかも戦闘職に……。

戦闘職。

この世界にはジョブには二種類ある。

それが戦闘職と生産職、である。

生産職についてはまた今度話として、とりあえず戦闘職についてだが……。

戦闘職とは、戦闘をすることに関して適したスキルと身体能力値を兼ね備えているジョブのことである。

そのため、ステータス値も爆発的に高い。

生産職と比べたら雲泥の差と言っていい。

なのにも関わらず、戦闘職である本多の身体能力値は最高の筋力でも俺の三分の一しかない。

さらに悪いことに、俺は戦闘職ではなくて生産職?である。

ん?詐欺師って生産職、だよな?

とりあえず戦闘職ではないのは理解できる。

そんな戦闘に適していないはずの俺が、戦闘職に三倍もの差をつけていたら周りはどう思うか。

コレナンテバケモノ?

この一言に尽きる。


「なあ、ジンのも見せてくれよ〜」

「はいよっ」


だが、俺は平然と本多にステータスカードを渡す。

何故なら……。


「へぇ〜、ジンも俺と同じ剣を使うジョブなのか」

「ああ、安直だろ?『剣士』って?」

「確かにな、俺のみたいにお前にもなんか捻りがあれば良かったのにな?」

「おいおい勘弁してくれよ。俺は“普通が一番”だっつうの!」

「はは、そうだったな、ジンは普通が好きなんだもんな?」

「ああ、そうだよ」


そう、俺には『偽神』というスキルがあるからだ。

このスキルは自分のステータス値をある程度偽って提示することができるというスキルだ。

まさに、詐欺師にうってつけのスキルだ。

まあ、気付いたのはついさっきだったが……。


「なあ、他の奴がどんな感じか見に行かないか?」

「そうだなぁ、俺たち二人だけじゃ基準値もよくわかんないし、そうするーーーーーー」


と、そこで騎士団長から待ったが入った。


「勇者様方!ステータスは確認できましたかな?確認できた者から、こちらに並んでステータスの提示をお願いします。そのステータスの値次第で今後の訓練が決まります!」


ーーなんか、他人にステータスの値を見せるっていうのはかなり嫌なんだが……。

だが、これからの異世界生活の根源を握っているのはあちら側なのだ。

俺たちは渋々騎士団長の指示に従った。


「うむ!うむ!」


次々に検査が終わり、遂に本多の番になる。


「ほお!これはすごいっ!」

「そう、なんですか?」

「うむうむ!いかに勇者様方といえども、Lv.1なら平均で30〜50あれば良い方だが、貴殿は最低値でも30後半、最高値だと100に達している!これは素晴らしい!」

「はあ……ありがとうございます?」

「うむうむ、貴殿には期待しておるぞ!」

「はあ……」

「うむ、では次!」


そうか、平均値は30〜50だったのか。

だとするとやばいな。

俺の(偽造した)ステータスは普通に平均値を超えてしまっている。

悪目立ちしなければ良いのだが……。

俺の危惧を他所に、また次のステータス提示が行われる。


「うむ、次はシオウ ヒカリバネ殿だな?」

「はい!お願いします!」

「うむ。良い返事だ!

どれ、貴殿のステータスカードを拝見させていただこうか?」

「どうぞ!」

「うむ」


これが彼のステータスカードはこのようになっていた。


ーーーーーー


名前 シオウ ヒカリバネ

種族 人

ジョブ 勇者Lv.1


HP 1500/1500

MP 900/900

筋力 150

敏捷 120

耐久 90

器用 110

魔力 140


スキル 『近接格闘術』Lv.1

『遠距離格闘術』Lv.1

限界突破リミットブレイク』Lv.1

『光剣術』Lv.1

異世界言語読解Lv.ーー


魔法属性 光


ーーーーーー


「おお!貴方様が勇者様でありましたか!?」

「え、えーと、まあ、そうです……」

「おお!!!皆の者、見よ!!!これが今代の勇者様の御姿であらせられるぞ!?」

「「「ワァアアアアッッッッ!!!」」」


訓練場はすごい盛り上がり具合だった。

俺は自分の(偽造した)ステータスを見てホッと、一息いれる。

良かった、俺の疑似ステータスの数値よりは勇者の方が高いようだ。

俺はこれで目立たなくて済むと、安堵した。

まあ、実際は勇者なんか話にならないぐらいのステータス値なのだが、知らぬが仏とも言うし、大丈夫だろう。

こうして、俺は無事に目立つことなくステータス提示をやり過ごし、自室に戻ることに成功した。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



自室に(メイド付きで)戻ると、ベッドに寝転ぶ。

訓練は明日から始めるらしく、今日はそのまま寝ることとなっている。

そのため、クラスの皆はそのまま自室に戻って寝ることになると思う。


「勇者様!」

「ん?何?」

「いえ、ステータスの結果はどうでしたか?」

「ん、ああ、見る?全然面白くもないだろうけど……」

「はい、是非お願いします、勇者様」

「あのさ、その勇者様呼び止めてもらえる?」

「……何故でしょうか?」

「いや、俺、ジョブが勇者でもないのに勇者って呼ばれるの恥ずかしいし……」

「わかりました、ではなんとお呼びすればよろしいでしょうか?」

「ん〜と、ジンで!」

「わかりました、では、ジン様、とお呼びしますね?」

「……ああ、それで良いよ。

後、ステータスカードは渡しとくから、勝手に見といて!

じゃあ、おやすみー」

「……はい、おやすみなさいませ、ジン様」


俺はシェスカにそう伝えると、目を閉じたーーーーーー


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



……


「本当に寝てしまわれたのですね、ジン様?」

「……」


反応は返ってこない。

変わった方だと思う。

良くも悪くもこの年齢の男性は基本的に性欲が旺盛なはずだ。

なのにも関わらず、ジン様は私などには見向きもせずにさっさと寝入ってしまった。

私はエルンスト王国のメイドとして勇者様方をここに留めておく義務がある。

それは生活環境を良くすることはもちろんのこと、一緒に話して楽しませたり、果てには御夜伽といった性欲的なものまで……。

だから、そういうことをされるのだと思って少し身構えていたのだが……結果はどうだ。

少し拍子抜けした気分で私はジン様のステータスカードを見る。


「……ッ!!!」


これは!?

とてつもないステータスだ。

勇者には及ばないまでも、その次席には食い込むレベルの強さだ。

これほどの者とは……。

こうなると私も本腰を入れて魅了する必要がある。

もし、彼が大成して私たち王国に牙を剥いたとしたら……。

私は冗談にもならない想像をして青ざめる。

だけど、それと同じぐらい不思議にも思う。

何故なら、彼には強大な力を手に入れた人間特有の傲慢さが全く感じられないからだ。

何故なのか?

普通なら、この年相応の、所謂『調子に乗る』ようなことがあってもおかしくないのに、彼の自分へのステータスの結果はとても冷めたものだった。


「もしかしたら、ジン様を籠絡するのは困難を極めるかもしれませんね……」


そんな、予感めいたものを口にしながら、私はそっと、この部屋を後にした。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


……


「やっと、出て行ったか……」


俺はのそりとベッドから出ると、準備に取り掛かったーーーーーー







二話で、ジンは勝手に本多や比金が王国の連中を自分と一緒で、警戒している、という節で話していましたが、彼等にはそんなつもりは全くありません。

本多はただの話題提供。

比金はただの嫉妬。

むしろ、エルンスト王国を警戒しているのは学校のメンバーでは、ジンと先生ぐらいなものです。

ちなみに、先生は勇者である光羽の宣言によって空気と化してしまっています。

そのうち、だす予定です。

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