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一話 この世界について

ポイントをくださった方、ありがとうございます。

この調子で頑張っていきたいので、どうか最後までご視聴いただけると有難いです。

この世界は地球以上に様々な種類の人種が生息している。

例えば、異世界のテンプレよろしく、エルフ、ドワーフ、ドラグーン、獣人、そして魔族みたいな者や、魚人うおびとなどのマイナーなものまで、多種多様な人種がいる。

その昔、この大陸で生きとし生ける人類全ては、魔物と呼ばれる人類共通の敵と戦うため、千年もの間長きにわたって協力しあっていた。

そんな健気な人類達に涙したこの大陸の創造主である女神は、この大陸の人類全員に、恩恵ギフトを与えた。

その恩恵ギフトの効力は凄まじく、瞬く間に人類は生物上のピラミッドの頂点に立つこととなった。

しかし、人類は愚かにも今度は人類の中での頂点を決めるために争い始めることとなる。

その中でも特に魔族等の力は凄まじく、あっという間に勢力が魔族側に傾いてしまった。

そして、それから数百年に渡って魔族が支配する世界が続くこととなった。

もちろん、その状況をよしとしない連中も現れ、反乱が起きるがそれもある一人の魔人の力によってねじ伏せられる。

初代魔王である。

彼の力は絶大で、このままいつまでも魔族の支配が続くものだと誰もが思っていた。

ーーーーーそんな折に、彼は突然と亡くなってしまった。

死因は未だにわかっていない。

他殺か?自殺か?毒殺なのか?刺殺なのか?撲殺なのか?

使われた凶器どころかその死体の死因すら何も分からず、ある日忽然とこの世の生命という名の名簿から姿を消したのだ。

まるで最初からそんな存在はいないとでも言わんばかりに……。

当然、魔族達は焦った。

今までは彼がいたから数多の反乱を押さえることができたのに、それを行うためのキーマンがいなくなってしまったのだから……。

今まで保っていた均衡は、段々と崩れて始めた。

あらゆる人類から反乱が起こり、魔族は衰退の一途を辿ることとなる。

さらに、魔族以外の人類は二度と政権が魔族に渡らないように『魔族対抗協定』を結ぶこととなった。

そう、これにて一件落着ーーーーとはならなかった。

なぜなら、ここから魔族達の猛反撃が始まるからだ。

彼らは初代魔王にできるだけ近い実力を持った者を二代目、三代目の魔王に任命し、その魔王を筆頭に、進撃が繰り広げられる。

魔族は元々、他の人類よりも個々人の能力値が高く、身体能力も人間の数倍はある。

そのため、彼らの反撃に予想以上にダメージを喰らってしまった。

ーーこのままではマズイ!

そう考えた人間は、何か策はないのかと巡らし、遂に思い至る。

それが、今俺たちが巻き込まれている『勇者召喚』である。

長々と解説をしてしまったが、つまりはこういうことである。

力が足りない人間が最後に頼った者が勇者たにんでした、という話だ。

全く他力本願も甚だしい話だと思う。

ーーまあ、俺も人のことは言えないが……。

それでも、俺以外の人間は意見できるので、今ブーイングの嵐が巻き起こっているわけだ。


「おいおい!じゃあ、何か!?俺たちはお前らの力が不甲斐ないばっかりにこうやって呼び出されたってのか!?ああ゛!?」


一見、とても粗暴そうに聞こえる言葉を吐いているこの青年は、うちのクラスに五人しかいないあのリア充組の一人、非音御ひおんじまもるである。

彼は最初はこの粗暴に聞こえる口の利き方に、少し距離を置かれていた時期があった。

だが、皆だんだん彼になれると、この口が乱暴な割に優しいということがわかり、今ではクラスの人気者となっている。

この言葉も自分が怒っているから、というよりも皆のことを想って代弁していると言える。

そんな彼の暴言(仮)に姫様は、と言うと……。


「ひぃっ……」


ーーめっちゃ怯えてた。

まじか、こんなことするぐらいだから胆力もあるもんだと思っていたんだが……。


「貴様っ!?姫様になんて口の利き方をしているっ!?」

「え、うん、ああ、すまない、悪かったな……」


流石の姫様の反応に非音御もばつが悪そうに謝ってしまう。

そうだよな、あんな反応されるとこっちが悪く思えるもんな……。

クラスメイト達も非音御の行動が悪くはないはずなのに、誰も反論できないでいる。


「う゛、うんっ!え、えーと、じゃあ、とりあえずその俺たちの報告しに王様のところに行きましょう」

「……はい、お願いします」


なんだかんだでうちのカースト一位である、光羽獅鷹がこの場を執り成す。

ーー光羽ひかりばね獅鷹しおう

彼は内の、いや学校一とでも言えるほどの絶大的な人気を誇る。

運動能力、学力共に高く、顔形も良く、さらに人格も良いときてる。

まさに三拍子揃った人材と言えるだろう。

そんな彼の優しげな顔に少し、安心した様子を見せた姫様は、俺たちの玉座の間へと案内した。

俺たちを囲む騎士達の鎧の音が騒がしく鳴り響いている中、姫様は俺たちにこの国の説明を懸命にしてくれている。

正直、なんて言っているのか聞き取れない部分もあったが、大体まとめるとこんな感じだ。


・この世界には、人間の国は全部で七カ国。そのうちの一つがここ、エルンスト王国。

・主にここは技術でのし上がった技術大国

・序列は二位

・他種族への差別は行っていない


こんなところだったと思う。

大体はわかると思うので、最後の他種族への差別についてだけ補足する。

これは、最近成り上がった国に多い傾向らしいが、何を思い上がっているのか、人間の方が他種族よりも優っている、という人間至上主義を掲げている国がある、ということだ。

ーーそんな内輪揉めしている場合じゃないだろう、と俺も呆れているが、実際そういう国があるというのだから、人間は本当に愚かだなと思ってしまう。


「皆さん、今から父上様と謁見することになるので、できれば平和的にしていただけると有難いです……」


あまりにも弱腰な姫様に俺は呆れを通り越して尊敬しそうになる。

騎士達が扉を開くと、偉そうに玉座にふんぞり返っている初老のおっさんがいた。

眼光は鋭く、肉体も筋肉質で素人目にも鍛えているのがわかる。


「ようこそ、我が城へ、勇者様方」


彼は前口上が長く、俺のヒットポイントがガリガリ削られてしまう。(意訳、眠い)


「ーーーーーであるからして、そなた達をここに呼ぶこととなったわけだ」


そして、言ってることは思いっきり姫様の説明と被っていた。

ーー無駄すぎにもほどがあるな。

そんなこんなで王様の好感度がただ下りになりながらも、無事説明会は終わりを告げる。


「そのため、わしとしても心苦しい限りではあるが、どうかこの国を、いやこの大陸全土にいる我等人類を、救って欲しい!」

「「「……」」」


クラスメイト達は皆複雑そうな面持ちをしている。

(二回目だが)王の説明によって彼等がそれだけの苦境に立たされていることは理解できた。

だが、それでも自分達のような無関係な人間を巻き込むことに賛成できるわけでもない。

だから、クラスメイト達も無闇矢鱈と声を上げることができないのだが……。


「……わかりました」

「「「え!?」」」

「私、光羽獅鷹は、この国、エルンスト王国を救うために尽力いたします」

「「「!?」」」


突然の忠誠宣言。

それも俺みたいなカーストレベルが低いやつではなく、めちゃくちゃ影響力を持ってしまっているあの光羽の宣言だ。

これは、マズイんじゃないか?

こんなカーストレベルが高い奴が参加するとか言いだしたら……。


「「「わかったよ、じゃあ、俺(私)達も参加するしかないな……」」」


ーーやっぱりな……。

彼に引っ張られるようにして皆、戦いに身を投じることを宣言する。

じゃあって、なんだよじゃあって……。

と、俺は思うが、こうなってしまってはもう遅い。

俺というこの軍勢の一人に過ぎない木っ端の意見など、誰も聞いちゃくれないだろう。

こうして、俺たちは愚かにも生命の重さも知らない学生の癖して、戦争の片棒を担ぐこととなった。








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