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第1話

只今、自作品の改稿中。息抜き作品。書き直しながら息抜きに書きました。ぼちぼちやってます、早く終わって週一更新になりたい(希望)

誤字をご指摘頂いて書き直ししました。ありがとうございます。読書様の優しさで助けられてます。


僕の母親は変わった人だ。よく似ていると言われている。 僕の本当の父親はこの国の王だ。

しかし、母親は戦争になった時に1番の功績を上げた人の褒美になると、大勢の人の前で宣言して周りを驚かせた。


「この国に勝利をもたらす、勇敢な人の元で暮らしたいわ」


「リリーローズ!本気か!」


にっこり笑って微笑む母親に誰もが驚いた。後で聞くと本当に危なかったらしい。

下手をすれば国が滅んでも可笑しくなかった。


「ええ、本気ですわ」


反対できず、その時の陛下(父親)のショックは相当酷かったらしい。

やっと側妃なって貰ったのに、下賜されたいと宣言されて。


一気に老け込んだ父親の姿に同情する声もあったが、国をコントロールする能力の低さが原因なのでしょうがない。


「くすくす、私負けるのは我慢できないの。私がご褒美では頑張ってもらえないかしら?」


王家に嫁いで3年。僕を生んで退屈していた母は、これ幸いにと条件をいい興味を(あお)った。

それを聞いた、母親を密かに愛していた男達が歓喜の声をあげたと聞いている。


「任せてください!リリーローズ様!この国に勝利を!」


「私こそが!リリーローズ様に勝利を!」


「「「我らがリリーローズ様に勝利を!!」」


先を争うように、母親に詰め寄って自分をアピールしていたそうだ。

兵をあげ、怒涛のごとく攻めて母親の事を好きだった男たちが、我先にと戦いに赴き勝利を手に入れた。

勝利を祝う席で、陛下(父親)だけが落ち込んでいた。 母親との別れが決定的になったからだ。

王が約束(一方的に母親が約束した)を違えれば、これだけの力を持った者たちを抑え切れず国が崩壊する。

別れの時に陛下(父親)だけが、泣いていたらしい。母親の方は晴々とした顔をしていたと、母付きの侍女が話してくれた。

母親と同じく陛下の事はあまり好きではないらしい侍女は、陛下(父親)に似ないでくださいと常々言い聞かせてくれた。

まあ、僕としても似たくはないので頷いておいた。


陛下(父親)は、 本当は王妃にしたかったらしいが、面倒臭いのは嫌だわ〜。と母に断られた逸話が残っている。その時の顔は可笑しくて忘れられないいい気味だ〜!と侍女が面白おかしく話してくれた。

内訳はこうだ。身代わりの令嬢を連れて来て、この子の方が王妃に相応しいわ〜私の一押しよ!と一言(ひとこと)いい父は逃げられなかった。


「私はリリーローズに王妃になって欲しいのだ!」


「え?嫌よ!遠慮するわ」


速攻で断っている。ガクっとと気落ちした父親がいる。

涙が滲んだ目で懇願するが、母親の意見は変わらなかった。


「どうしても駄目なのか?私の側にいてくれ!頼む!」


もの凄く嫌そうな顔をした母親と対称的に、涙を滂沱のごとく流して懇願する哀れな父親に、周りの人達のフォローが入った。


「リリーローズ、王妃になれば好きな様にできるぞ」


リリーローズの父親の公爵が説得しようと試みた。

だが、それを聞いた母親の一言が落胆させた。


「くすくす、お父様、私、今まで好きな事しかしていませんわ」


何不自由無く、彼女を愛する人達が望みを叶えてきたのだ。不満など感じた事がないらしい。

僕に良く言っていた、お母様の願いが叶わなかった事ないのよ。と、周りに優秀な人が多いと楽よねとも。

操られていた人が、沢山居たんだなと言うのが僕の感想だ。


「……リリーローズ、陛下が可哀想だから、せめて側妃になってもらえないかしら?」


皇太后が、可哀想な息子のフォローをした。これが無ければ母親は側妃も断った、と後から言っていた。

母親曰(ははおやいわ)く、皇太后様には良くして頂いたからね〜。だそうだ。


「では、陛下はベルローズ様を王妃にしてね。それなら私が側妃になってもいいわ」


断れば側妃にも成らないわよ?と母に言われて折れた。

今では良く出来た王妃様だ。僕から見ても、人格者で素晴らしい上、どうしようもない陛下(父親)を好きなのだから。


元は母と対立していた派閥の令嬢で王子の寵を争うライバルと言われていたが、母に言わせると違うらしい。

面倒臭い王妃に成りたい、変わった人だと思っていたのだ。

この人を王妃にすれば私に被害が来ないわね〜。

ある意味楽観的母親でもある。


「ベルローズ様が王妃になればいいですわ」


怪訝な顔をされたらしい。ライバル視していた人に言われてもと。


「それは、嫌味なのかしら?陛下が貴女に夢中なのは誰でも知ってるのでは」


そう、父親の母親への愛は深い。暑苦しいとも。

母親にとっては鬱陶しいから、後宮から出れて幸せだと。

元々母の好みではないので未練もないと言ってた。僕からすれば不憫の一言に尽きる。


「貴方の方が王妃に相応しいわ。陛下と皇太后様に話が通っています。使者が行く筈ですわ」


驚く令嬢に良かったわ〜と微笑む母親。混乱する令嬢。


「え?え?何を言って……リリーローズ様!貴女は王妃にならないのですか!!」


滅多に大声何て出さない、令嬢の驚く様子に首を傾げながら、くすくす笑ってる母親。


「私は側妃に決まってるのよ。心配なさらないで、陛下を好きな貴方が王妃になってくださった方が助かるわ」


王妃という面倒くさい役職を、やってもらえると嬉しそうにしている。

楽ができますわ〜、とご機嫌。


「どうして……信じられない」


我儘(わがまま)?かしら」



その答えに、絶句の令嬢に哀れに感じる。

母親は、自分の思い通りに側妃になった。

特に父親を好きだった訳などなく、家の為だと言われ仕方なく側妃ならと思ったが嫌な物は嫌だわ。と王妃にはならないと言ったそうだ。

それを聞いた祖父は落ち込んだと聞いている。育て方を間違ったのだろうかと。


しかし、バランス的にもいいので、ライバル令嬢を自分の替わりにしようと決めた。

意見に賛成し、結局その案が通ってしまった。

そんな母親は社交界でも人気があったが、王様に嫁ぎ他の男達が泣いた。

数人は独身を貫くと宣言したくらいだ。


今の平穏な生活は、母親のもたらしたものだろう。父親(陛下)は、不憫だが自由な生活は楽しいので僕としても問題ない。


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