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新人と見習い

わっちは中免小僧見習いになりました。

「そこのロードスター!さっさと止まりなさい!」


 あたし、川崎忍(かわさきしのぶ)はようやく憧れの白バイ隊員になることができました。さっそく白バイ様の停止命令を無視しやがった間抜けな爆走野郎とおっかけっこをしています。


「ロードスター風情が白バイから逃げれると思うなよぉ!!!」


 やっべマイク切るの忘れてた。まぁとっ捕まえれたら問題ないでしょ多分。スポーツカーだろうがなんだろうが、100馬力以上の出力を誇る1156cc油冷4サイクル4気筒エンジンを積んだ愛馬の【山賊(バンディット)】から逃れるわけないのだ。


 シフトダウンして一気に加速をする。さっきまでたっぷりと空いていた車間がグングンと縮まってくる。


「早く止まりなさい!!って何度も言わせんなや!!もう逃げらんねぇぞ!」


 ロードスターのケツに悠々と食らいつく。むこうは慌てて加速しようとするがもう放さない。そんなデカいケツで逃げ切れるなんて浅はかな考えさっさと諦めちまえってんだ!!


「逃げられねぇつってんやろ!!地獄の底までついとったるぞ!!」


 目の前に交差点が見えてきた。信号はちょうど赤から青に変わったところだ。速度をあげそのまま交差点に突っ込もうとした。


 そのとき


「マジかよ…」


 居眠り運転か?にしてはスピード出しすぎだろ…なら飲酒運転か?背中に爆弾背負ってるってのにクレイジーだなぁおい?


 タンクローリーが横からかなりのスピード飛び出してきた。このままでは確実にあのタンクローリーの頬に「幸せなキス」をすることになるだろう。かといってあのスピードではタンクローリーはまず止まれない。そもそもブレーキを踏んでくれるかどうかすら怪しい。さすればこっちが止まるしか無いわけだが


 止まってくれよぉ…!!!


 愛馬のABS《アンチロック・ブレーキ・システム》を信じるしかない。実際にABSに頼るの初めてだがコイツならきっと大丈夫だ。






「たしかこのあたりだったような…」

 私、カレンはようやく憧れの魔法使いになることができました。といっても見習いですけど、でも一応は魔法使いの端くれです。さっそく外に出て魔法の実験に使えるものを探しに来ています。


 ついさっきこのあたりで爆発が起こりました。多分地下に埋もれていたガスかなにかの可燃物がなにかのはずみで引火したんだと思います。爆発の影響で地表がえぐれて魔法石や珍しい鉱物が見つかるかもしれません。


「あ、ここだここだ」


 鬱蒼と植物茂っていた地面にポッカリと大穴が空いてしまっていました。底は数メートルで奥は真っ暗ですが洞窟状に続いてるようです。


「こういうときに松明の魔法とか使えたら便利なんだけどなぁ」


 使い込んでボロボロになったオイルランタンに火を付けて降りてみます。足下は見たことない素材で覆われていました。大昔の舗装路のようです。どうやら大昔の道が土砂に埋もれているみたいです。


 ここなら高い値段で売れる品物が見つかるかもしれません。


「これが遺跡かぁ」


 周りを見渡しながら奥へと進んでいきます。我ながらちょっと、いえ凄くワクワクしてきました。お金になる遺品にもそうですが、それよりもここに昔の人が住んでいたんだ!そう考えるととてもワクワクしてきますし、ちょっとした冒険をしているみたいです。


「うぅぅ…!!」


「きゃ!?」


 うなり声は私のものではありません。驚いて短い悲鳴を上げてしまいました。


 魔物でしょうか?ですがこの辺りには魔物はいていないはずです。実は地下にはまだ潜んでいたんでしょうか?


 そっと様子を伺ってみます。魔物は見えません。動いているものも見えません。変な形をした白い木馬と、白くて丸い兜を被り青い変な服を着てる人が倒れているだけです。


「よかった…魔物じゃなかった…」


 魔物だったらどうしようかとおもった。私ひとりじゃコボルト一匹すらやっつけれないし。


 ってあれ?


「よかったじゃない!!人が倒れてる!!」






「起きてください…!」


 これは夢だろうか?女の子がわざわざ起こしに来てくれるなんて夢だろうなうん。そうとしか考えられない。ならもうしばらくこうして揺すられていたいな。なんせ最近早起きが癖になってたからなぁ。たまにはこういうのも悪くない。


「ねぇ!大丈夫ですか!」


 にしても妙にリアルな夢だな。肩を揺すっている感触だけでとても小さいとかわる手から優しい温もりを感じる。欲を言えばもう少し柔らかくて暖かいベッドだったら最高なんだがなぁ。


「ど、どうしよう!起きてくださいよぉ…!」


 夢とは言え意地悪しすぎたらしい。声が半泣きになってる。


 ポタリ。


 涙が頬に落ちた。鼻水かもしれないが涙だと思っておこう。


 というかさっきの涙の感触といいやっぱりリアルすぎる。


 そもそもなんであたしは寝てるんだ?さっきまで誰かを追っかけて…


「ああああああああ!!!!!!!!!」


「きゃぁぁぁ!!??」


 覚醒した頭にいままでのことが走馬燈のように走る。思い出した。全てを思い出した。辺りを見渡し状況を確認しあたしは叫んだ。




「あのクソロードスター!!!どこ逃げやがった!!!!!!!!」

リッターバイク格好いいよな!

是非とも乗ってみたいよな!!

わっちはドチビだからまともに振り回せないだろうけどな(カナシミ

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