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どうせなら異世界で最強目指します  作者: DAX
第四章【七大悪魔王】
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絶刀・天魔と七大悪魔王 後編

二話同時





 またしても先制はゼノだった。影を利用した神器【幻影魔(ファントム)】で俺の背後から現れる。俺は半身になるように振り返った。


「双天剣技・双極星雲!!」


 一瞬、視界を宇宙が覆った。夢でも見てるのかと錯覚したが、ちゃんとゼノの姿も捉えていた。

 ゼノは双剣を振りかぶり、そのまま俺の両肩目掛けて降り下ろしてきた。

 俺は刃を横にして、双剣を受け止めた。


「おいおい!?俺の姿が見えてるのか?」

 双剣を受け止められたゼノが驚いていた。


「? 普通に視えてたけど」

 俺が答えると、視界を覆っていた宇宙みたいな光景が消えていった。


「神眼か……でも、まだだ!」




 気づくとルキが盾の神器を解除して、俺から見て左方向の離れた場所に立っていた。腰を落として神器【竜槍<紅>】だけで構え、膨大な魔力を込めて突撃してきた。

 槍の柄頭からは大量の水が噴射され、ルキの突撃は更に勢いを増した。


水竜覇星(ドラゴンノヴァ)!!」


(やべっ)

 少しだけ焦った。竜の突撃とか怖すぎる。かなり迫力があった。


「そろそろSランクの双剣が欲しいところだな、ゼノ」

 俺は小さく笑ってゼノに呟いた。


「?」


 ゼノが戸惑っている瞬間に俺はゼノの双剣に【炎属性】を付加させた。


「がっ!?」


 残念ながらゼノの双剣はAランクで他の皆より攻撃力が劣る。Sランクの剣の神器があるが、あまり使わない理由は1つ。ゼノのマイナススキル【業火】。

 炎属性の神器を扱える代わりに、使うと火傷をしていくスキルだ。


 ゼノの両腕が一気に赤くなり、火傷のダメージが容赦なくゼノを襲った。

 ゼノは神器を解除してこれ以上の火傷を防いだが、既に両腕は黒ずみ、その場に座り込んだ。




 俺は八双に構え、刀に雷属性を付加させ一気に降り下ろした。


【八双の構え】+【雷属性】


「【八双・雷の位 飛雷震】!」


 ギリギリだったが、ルキの槍を叩き落とすように斬りつけた。反動でルキは勢いよく地面に倒れこんだ。


「ぐっ……!!」


 本当に槍先が当たるギリギリだった。


「あぶね…………!?」




 【感知】のスキルはないが、俺は何かを感じて咄嗟に後ろに下がった。

 振り向くとガオウが両手を(かざ)して【重力操作】を使用していた。


「外したか!?」


 ガオウは直ぐに斧の神器【グラヴィトンバスター】を発動させ、脚に力を込めると俺の頭上まで一気に跳躍してきた。


「それは、あんまよくないな」


 俺はガオウの悪手を見て刀を振り上げると、【巨大化】させ風属性を付加させた。


【上段の構え】+【風属性】


「【上段・風の位 華美風(かみかぜ)】!!」


「があぁぁっっ!!」

 ガオウは巨大な刃を斧で受け止めようとしたが、そのまま吹き飛ばされ、壁に叩きつけられた。


「今の跳躍は余計だったな」




「なら、これはどうです?」


「!?」


 今度は視界を黒い羽が覆った。空中に漂う無数の黒羽が突如動きを止めて俺に襲いかかってきた。

 微動だにしなかった俺に羽が突き刺さるが、俺は平然としていた。


「それも効かないかな」


「……やはり幻覚系のスキルは神眼と相性が悪いですね」


 サラのスキル【黒夢】は黒羽の幻覚を見せるスキルだが、きちんと認識出来なければ本当に襲いかかってくる恐ろしいスキルだ。だが、これも特殊スキル【邪眼】や先程のゼノの技同様、神眼には意味をなさなかった。


 俺は炎属性を付加させて刀を納刀させた。


【居合の構え】+【炎属性】


「【抜刀・炎の位 魔愚魔】!!」


 刀を抜刀し黒羽を一蹴したが、眼前には巨大化させた鎌の神器【絢爛黒華】を携えているサラがいた。


「秘技 明鏡止水!」


 サラは鎌を∞を描くように振って迫ってきた。デンプシーロールみたいに右、左と。

 俺は少しだけ後ろに下がって下段に構えた。


【下段の構え】+【風属性】


「【下段・風の位 鳳仙花】!!」


 斬り上げるとサラを鎌毎吹き飛ばした。


「きゃああぁぁっっ!!」




「大丈夫か?」


 吹き飛ばされたサラを空中で受け止めたのはアトラスだった。


「す、すみません」


 サラを片腕で抱き抱えながらアトラスは銃弾をぶっ放してきた。俺は神眼で見切って刀で銃弾を弾いていく。


 着地したアトラスはサラを離すと、すかさず全神器を発動してきた。


雷銃・麒麟(キリング・ブラスト)!!」


 先程とは比べるまでもない巨大な雷弾が放たれた。雷獣を模した攻撃だが、以前破ったことのある技だ。


「当たるぞ!」


 アトラスの叫びで悟った。スキル【必中】を使ったのだと。だが、そう言われたら躱したくなるのが人の性だ。俺は横に躱すが雷弾は向きを変えて追従してくる。


「ちっ」


 仕方なく受け止めることにした。受けとめると言っても正確には刀で斬り裂く訳だが。


【脇構え】+【地属性】


「【陽金・地の位 土蜘蛛】!!」


 雷弾を逆袈裟斬りで斬り裂くと、眼前にはレイナの姿があった。




「崩龍拳!!」


水竜紅牙(ドラゴンファング)!!」


 前方からレイナの正拳突き、後方からルキの連続突き。

 俺は斬り上げた勢いのまま回転しながら、円を描くように刀を降り下ろした。


【八双の構え?】+【水属性】


「【八双・水の位 水暴走(みずぼうそう)】!」


 レイナとルキは吹き飛ばされた。レイナはそのまま地面を転がっていったが、ルキはなんとか踏みとどまっていた。

 スキル【属性<水流>】が水耐性もあるのを、ほんのちょっとだけ忘れてた。


(くそっ……ちょっとミスった……)


 付加の選択を間違ったなぁとか考えていたら、眼前にいたルキがバアルに変わった。


 てっきりバアルは後方からの火力支援かと思ったが、意外にもルキの神器【チェンジ】で、お互いの位置を変えてきた。これも油断だった。


 両腕を目一杯広げたバアルの腕からは炎が噴き出している。


炎虫双角(インセクトシザーズ)!!」


 バアルの腕から噴き出していた炎が形を変えて、まるで鍬形虫の角みたいな形状へと姿を変えた。そして自身の手前で両腕を交差させると、それに合わせて炎も俺を挟むように襲いかかってきた。


「やばっ……」


 俺は炎に包まれた。そして修練の間に爆煙が立ち込めた。




「やったか?」


 爆煙が晴れるとバアルの、皆の失望した顔が目に入ってきた。


魔名宝空(マモルモノ)か……」


 俺は魔名宝空を発動させて、身を守った。俺は魔名宝空から生み出される風の球体を維持した。


「いや今のはかなり焦った、少しでも遅れてたらアウトだったよ」


「まだです!」


 レイナは俺に向かって駆け出し、そのまま俺を守護する風の球体を殴ってきた。


「真・崩龍拳!!」


「がっ!」


 神器の能力【衝撃】により、俺はパチンコ玉の如く弾き飛ばされ、そのまま壁に激突した。ただ神器のランクが違うため、レイナの腕もボロボロになっていた。


「……これでもまだ仕留めきれないなんて……」


 レイナはボロボロになった右腕を左手で軽く押さえた。


「陛下っ、あまり無理は……」


 ガオウがレイナを心配して駆け寄っていた。


「そうだ。籠手の神器【大和】はAランクなんだ、Sランクの神器相手に無茶するな」


 ゼノも心配して駆け寄っている。どうやらルルの治癒も終わったみたいだ。


 ガオウとゼノだけではなく皆もレイナを心配して集まっていた。


「駄目です……もっと……もっと……強く……」


 レイナは皆の心配を余所に歯軋りしていた。




「ふぅ~やるなぁ~でも……」


 俺は壁から少し離れると片手を皆の方に翳した。


「!? いけませんっ!!」


 いち早く気付いたのはスキル【感知】を持ってるサラだった。


 俺は神器【森羅万象】で皆の神器にも、それぞれ属性を付加させた。ガオウには風属性、ゼノとサラには炎属性、ルキには雷属性、バアルには水属性、アトラスには地属性を。


「しまっ…!」

「がっ…!」

「ぐっ…!」

「なっ…!」

「こ、これが…!?」

「付加の力か……!?」


「全員急いで神器の解除を!!」

 レイナが叫んだ。


 レイナはサラより早く気付き神器を解除して、付加の効果を免れた。全員は神器のランクが上がり苦しそうだった。ゼノの双剣はAランクの為、上がっても問題なかったが再び火傷を負った。



 全員が一斉に神器を解除するが遅い。



 俺は居合の構えをとり、森羅万象で絶刀・天魔に【炎・地属性】を付加させた。

 そしてスキル【合魔】で2つの属性を合わせた。



【居合の構え】+【<鋼>属性】


「【抜刀・鋼の位 六宝晶(ロンズデーライト)】!!」



「がっ……は…………」

 抜刀すると能力で刃を巨大化させて、ルルを除いた皆を横薙ぎで一閃した。


「み、皆さんっ!?」

 ルル以外が刃によって吹き飛ばされ、壁に激突すると、その場に沈みこんだ。ルルは急いで全員を治癒し始めた。


 そして今の攻撃を躱した人物が1人だけいた。


 レイナだった。


「はぁ、はぁ…………初めて見る属性です……」

 レイナは息を切らしていた。


「うん、初めてやったからね」

「…………良かったです」

 レイナは小さく笑った。


「何が?」

「竜斗様の本気を少しだけ見ることが出来ました」

「まだまだあるよ」

「…………でも、」

「?」

「何故ルルを巻き込まなかったのですか?」

「…………」


「まだ手加減される存在なんですね私達は……」

 レイナは歯軋りしている。


「レイナ?」


「それに、神眼で私が躱したのも見えていた筈です。何故追撃しなかったんですか?」

 レイナの声には怒気が含まれていた。


「それは……」

 俺は口ごもった。


 正直言うと全力は出してるつもりだが、本気ではなかったかもしれない。これは修行で俺だけ真剣ではなかったかもしれない。

 今までのも、どこか皆を傷つけない攻撃で、レイナの怒りはそんな俺に対してのものだったのかもしれない。


「いえ……私達がいけないんです……竜斗様に手加減される弱い私達が…………」

「レイナ?」


 レイナの声は段々と小さくなり、最後の方は聞き取れなかった。




 レイナはポケットに手を入れると、何かを取り出して握り締めた。そして、その手が輝きだし、光が収まるとレイナは指輪を指に嵌め、神器を発動させた。



【崩龍】<籠手/次元/衝撃/SS>


 具足の神器【銀鶴】と同じで銀色に輝く神器だった。



「がっ……くっ……」

 レイナは苦しそうだった。


 まさか、あの一瞬で神器を創造するとは夢にも思わなかった。しかも発動させたのはSSランクの神器で、今のレイナでは扱うのが厳しい代物だった。

 俺の脳裏には、レイナのマイナススキル【枯渇】が(よぎ)った。


「レイナッ!!」

 俺はレイナに駆け寄ろうとした。


 するとレイナは拳を突き出し、俺を制止させ、小さく笑った。


「レイナ?」

「これで……最後です……」




やっと、6つの構えと5属性コンプしました。長かったです。最初は思いつきだった為、どの技名も統一性全くなし。疲れました。


これからはスキル合魔が活躍してくるかと。



それでは次回予告、


「絶刀と崩拳」


です。



少し更新空くかもです。申し訳ない。




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