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どうせなら異世界で最強目指します  作者: DAX
第四章【七大悪魔王】
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漢と男?



 オッス。


 突然ですが、俺の名前は天原竜斗。

 つい最近まで学生してたピチピチの18才だ。

 剣道にアニメに漫画、彼女はいなかったけど充実した高校生活を送ってたぜ。


 そんな俺だけどある日、愛しい婚約者レイナに異世界【アルカ】に召喚された。

 ちなみにアルカは古い呼び方らしい。


 まぁなんやかんやあって魔族の仲間も増えて、最後の1人を仲間にしに行くところだ。

 最後の1人は【機械王ベルフェゴール】。

 機人族で、他種族に排他的な中々難しそうな奴だ。

 ベルフェゴールはアルカディア国の北西、アーク帝国とホウライ王国の間にある、草原と海に挟まれた国に住んでるらしい。



 少し話は変わるけど、この前アルカディア国はギルド【魔族狩り】に襲撃されて、ボロボロだ。

 しかも愛しいレイナが、そのギルドのマスター【アーシャ・スレイヤル】と接触したらしい。

 話を聞くと、いよいよスレイヤ神国がアルカ大森林に向けて進軍してくるみたいだ。


 早くて1ヶ月。


 そんな訳で俺達はレイナの即位式の後、すぐに準備を整えて、ベルフェゴールを仲間にしに向かっている訳だ。

 だが問題が1つだけある。



 それはかつてない程の、苛酷な試煉だった……



◇◇


 

 俺達はアルカ大森林から転移の神器を使って、アーク帝国領に入った。

 後ろを振り返ると壮大な山脈【霊峰アルカ】が(そび)えたっていた。

 そして……



「…………あ、あり得んだろ」


 俺はついに我慢が出来ず嘆いてしまった。

 そんな俺を嘲笑うかのようにパーティーの面々が俺を追い越して歩いていく。



「そりゃ俺も同じだっての」

 ゼノだ。


「ふむ、我は国の復興組の方に参加したかったのだが……」

 ガオウだ。


「僕なんかアルカディア国に来たばっかりなんだよ」

 バアルだ。


「我が主、竜斗が行くなら我は当然ついていくだけだ」

 レインバルトだ。


 以上だ。




 頭のいい方なら、もうお気づきだろう。


 そう!


 男5人によるむさ苦しいパーティーなのだ。

 こんな、誰得パーティーあり得るのか?

 いや、断じてありえん!

 俺はトレードを希望する!


 パーティーは俺、レイナ、サラ、ルキ、ルルだ。

 完璧なパーティーだ。

 これなら誰もが納得する。

 ただ口に出したら、一部の女性(特にルル辺り)等には顰蹙(ひんしゅく)を買うだろうけど……


 もしこれがアニメだったら、視聴率はダダ下がりだろう。

 画に華がない。

 チャンネルをそのままにしている奴は、余程の物好きだろう。


 まぁ文句を言っても仕方無い……

 こんな事もあるって事だ……




「はぁ~レイナに会いたい……」

 出発して数時間、既にホームシックだ。


「おい、竜斗!」

 すると、バアルが前方を指差した。


「ん?」

「魔物だ」



 前方から接近してくるのは、スライム7体。

 赤、青、黄、緑、茶、紫、白。

 新しく始まる時の戦隊物より多い。


 そういえばスライムに【神眼】使うの初めてか?


 俺は神眼を発動させた。



【スライム】


先天スキル

【軟体】【溶解】

後天スキル

【炎耐性】【水耐性】【雷耐性】

【風耐性】【地耐性】【光耐性】

【闇耐性】はそれぞれ。

ランク

【E】



「……魔物ってランクとスキルの数比例しないの?」


「ああ、知らなかったのか?」

 バアルが答えてくれた。


「ランク【E】のくせに、どのスライムもスキル3つも持ってんのか」

 スライムって想像以上に厄介そうだな。


「スライムは初めてなのか?」

「いや、初めての迷宮の時に戦ったかな」


「苦戦したのか?」

「確か2体同時に出てきて少し苦戦したかな」


「それを聞いて安心した」

 バアルは小さく笑った。


「どうして?」

「竜斗も人の子だってことだな。最初から瞬殺するような規格外じゃなかったって事だ」



 すると、ガオウも話に加わってきた。


「だが、此奴は2戦目でスライム2体を瞬殺したがな」


「…………」

 バアルはそれ以上何も言わなかった。



「さてと誰がいく?」

 ゼノが軽口がたたく。


「我が行こうか?」

 レインバルトが答える。


「なら、ジャンケンで決めようぜ」


「ジャンケン?」×俺以外


 俺は皆にジャンケンを説明した。

 レインバルトは似たような遊びがあるとは言っていたが、他の皆は知らないみたいだった。


「へ~面白そうだな」

「ふむ、たかが遊びとはいえ負けるわけにはいかぬ」

「なら勝った奴が戦うのはどうだ」

「……それは変な感じになるな」

「普通に負けた奴にしようぜ」

「じゃあ、いくぜ」

「最初はグー! ジャン! ケン! ポン!!」


 皆グーだ。

 俺だけチョキ……


「ま、負けた……しかも1発で……」


「弱いな竜斗」

「情けない」

「残念だったね」

「…………竜斗」


 パーティーは男だらけ。

 ジャンケンにも負ける。

 もう出だしから最悪だな。


 俺は刀の神器【絶刀・天魔】を発動させた。

 刀に膨大な魔力を注ぎ込む。

 すると、皆も気づいたようだ。



「おまっ!?」

「スライム相手に……」

「憂さ晴らしだろ」

「大人げない」



(うるせーー!!)

【無の構え】+【次元属性】


「【極みの位 終】!!」



 無造作に刀を振るう。

 スライム達は綺麗に横一線に斬れた。

 斬られたスライム達は音もなく消えていく。

 俺はカッコよく刀を鞘に納めて、神器を解除した。

 そんな俺を皆は軽蔑するように追い越して前を歩き始めた。



「スライム相手に……」

「お前ランク【ZERO】だろ?」

「あ~あ、見損なった」

「奥の手をスライムに使われるとは……」


 暴言の数々……

 やばっ、泣きそうだ……



「…………レイナに会いたいなぁ」

 俺は澄み渡る青空を見上げて、必死に涙を堪えた。

 それでも俺は頑張って前へと歩み始めた。





「スライムがいるってことは、近くに迷宮があるんだな」


「みたいだな、視てみよう」

 ガオウが魔眼<地>を発動させた。


「ふむ、真っ直ぐ西に行ったところにあるな」



【迷宮】


種類【塔】

階層【20】

魔物【スライム】

ランク【B】



「どうする竜斗?」

「う~ん、Bランクなら無視していいんじゃないか?」


「だな」


「ベルフェゴール仲間にしたら、帰りに寄るってことで……」

 なんて歩きながら言っていると迷宮が見えてきた。



 ついでなんで、皆で迷宮の前を通ることにした。


「迷宮信号は何色?」

 俺は尋ねた。


「迷宮……何だって?」

 ゼノが困惑している。


「何って、入り口にある珠だよ…………ああ、ごめん。迷宮信号は俺が勝手に名付けたんだった」


「……やはり異世界の人間だな。我らの知らない言葉を使う」

 ガオウは若干呆れたようでもある。


「まぁいいじゃん、で何色?」


「…………黄色だな、誰か入っているようだ」

 ガオウが確認してくれた。


「ふ~ん」

 俺達は迷宮を見上げた。


「……先、行くか?」

「そだな」


 俺達は迷宮を無視して先を進もうとした。

 すると、



「あっ!!」

 突如、バアルが大きな声を出した。


「どした?」


「しまった……忘れてた……」

 バアルはワナワナと震え出した。


「……何を?」

「実はリリスが見つかった時や、この前の襲撃の後に寄生していた分身を全部解除したんだけど……」


「だけど?」

「1体だけ忘れてた……」


「それが何かまずいの?」

「…………その1体は、今エルフの女の子に寄生していて、人間の奴隷なんだ……」


「何!?」

「どうする? 助けにいくか?」


「いや、それは多分大丈夫……奴隷と言っても割と扱いは良いみたいだし……何より一緒にいる人間が…………」

 バアルの歯切れが悪い。



「一緒にいる人間が?」


 俺がバアルに尋ねると、突如、迷宮が消え出した。

 俺達が振り返ると、そこからエルフの女の子と竜人族の女の子が現れた。



「2人で攻略したのか……?」

 ガオウは、そう言うが絶対に無理だ。

 俺は神眼で確認したけど2人のランクは低い。


「いや、あの2人だけじゃない」

 バアルが答えた。


「まさか寄生しているエルフの女の子って……」


「ああ目の前にいる、あのエルフだ。そして……」

 バアルは息を呑んだ。



 2人の女の子の間を割るように、1人の人間が姿を現した。


「あら~~ん、誰かと思ったら……」



「お前っ!?」

 俺の神眼が意外な人物を捉えた。


 そいつは以前、ルキのいた国【ドラグナー国】を長年、蹂躙し続けた男。

 この世界で最強クラス、アーク帝国【六花仙】が1人……

 薔薇の……



「ゼータッ!!」

「竜斗ちゃん!」




 ……………………竜斗ちゃん?




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