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どうせなら異世界で最強目指します  作者: DAX
第三章【襲撃】
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祈りとレアスキル



 アルカディア国襲撃から翌朝、城の地下【修練の間】では大勢の魔族が身を寄せ合うようにして夜を明かした。



「ママ……」

 タオルに(くる)まれながら母親に身を寄せるエルフの少女は小さく呟いた。

 その声には普段の明るい元気な様子はなく、不安と恐怖に彩られたものだった。


「大丈夫よソラ……少し寝てなさい」

 母親であるエルフの女性は、娘であるソラを優しく抱き、眠るように促した。


 少女は首を横に振りギュッと母親を抱き締めた。

 しかし、疲労からか徐々に少女の瞼は重くなり、静かに寝息をたて始めた。



「眠ったかしら?」

 近くで休んでいた蛙人族の男性?女性?はエルフの女性に声をかけた。


「はい、疲れたのでしょう」


「無理もないわ……マナさんも少し休んだら?」

「私は大丈夫です、ジュンちゃんも休んで下さい」


「私はさっき休んだわ」

「ルーク君はどうしてます?」


「さっき見てきたけど、ボブとローゲ様の所で眠ってたわ」

「それなら良かったです」



 すると獅子族のボブが静かに歩み寄ってきて2人の目の前に座り込んだ。



「ルーク君は?」


「今はローゲ様の膝の上で眠ってる」

 ボブも普段の豪快な声とは違い、周りで眠り出している何人かの魔族を起こさないよう小さな声で答えた。


「貴方が見守ってなくて良かったの? ローゲ様は大臣でしょ?」

「まぁな。だがルー坊はローゲ様から離れようとしなかったからな。それに今は、サラ様も傍にいるし大丈夫だろう」



 マナ、ジュンちゃん、ボブの3人はふと周りを見渡した。

 周りにいる魔族の人達もその殆どが元気がなく、もうダメかもしれないという不安に刈られていた。



 現在、【修練の間】を守護しているのは、サラ・アスモデウスとイヨ・セイレン率いる第3小隊数十名であった。

 頼もしい人達であったが、マナはどこか不安を感じた。

 それに気づいたジュンちゃんとボブはそっとマナを励ました。



「大丈夫だ、皆さん頼りになる人達だ」

「それに、直に竜斗ちゃんが来てくれるわ」

「そうだ竜坊が来てくれたら、襲ってきた奴らなんか一瞬だ」


「ふふっ……そうですね、ありがとうございます」



 【竜斗】の名前を聞いてか、周りにいた魔族の人達にも徐々に活力がみなぎってきた。


 そうだ!

 まだあの人達がいる!

 と。




 そんな様子を見ていたサラ、ララ、イヨ、ローゲの4人は小さく笑った。


「ふふっ、やはり私達では駄目みたいですね」


「何をおっしゃられるのですかサラ様」

「そうです。ガオウ将軍にサラさん、ルキさんがいてくれたから私達はまだ捕まってないんですよ」


「分かっています。それでも竜斗さんがいかに皆さんの希望なのかということが良く分かりました」

「……そうですね。あの人なら、きっとなんとかしてくれる。私もそう思います」



「私達も出来ることをしましょう」


「はい」

「はい」

「ゲーロ」




◆◆




 地下より上の城内では、慌ただしく兵士達が城内を駆け廻っていた。


 【王の間】にて、指揮を執るのはガオウ・レヴィアタン。

 この国の将軍であった。

 指示を受け、更に部下達に命令を下すのは第1小隊・隊長、牙狼族の男シューティングスター・ダダ。



「そうか……やはりルキは捕らえられていたか……」

 ガオウは部下から報告を受け悔しさを滲み出した。


「はい……上空でハクラと警備にあたっていたルキウス様は、突如降下し敵と戦闘を開始したそうです」


「それで?」


「はっ、敵の中にスキル【捕縛】の所有者がおり敢えなく……城に戻ったハクラが暴れておりましたが、今は竜人族の者達が(なだ)めて落ち着いております」



「そうか、レアスキルか……厄介だな……」

 ガオウは小さく呟いた。


「……あの1つよろしいですか?」

 近くにいたシューティングスターはガオウに尋ねた。


「どうした?」


「ルキウス殿はSランクです。Sランクのルキウス殿が【捕縛】されるということは相手もSランクなのでしょうか?」


「……それは分からん。だが敵の装備を見た限り、スレイヤ神国などの3国の物ではなさそうだ。恐らくどこかのギルドの連中だろう……となればSランク者はいない筈だ」


「なら敵はAランク以下でルキウス様を【捕縛】したことになります。そんな事が可能で?」


「なんとも言えんが恐らく可能だ。属性等の相性、敵の神器やスキル、能力等、戦闘時の状況も考えれば不可能ではない筈だ」


「そ、そんな……」


「シューティングスター1つ覚えておくといい」


「な、何をですか?」


「だからレアスキルなのだ」


「っ…………」

 シューティングスターはゴクリと唾を飲み込んだ。



「【捕縛】や【復元】はレアスキルの中でも驚異だからな」


「こ、こんな時に不謹慎ですが聞いても?」


「構わん、何だ?」


「レアスキルは他にも?」


「そうだな、我も全てを把握している訳ではないが……姫様の【魔皇】【魔眼<王>】、それに……【追跡】なんてのもあるな。後は竜斗の【魔曲】【五光】【神速】だな」



 いつの間にかガオウとシューティングスターの周りには他の部下達も集まって興味深そうに聞いていた。



「超レアスキルなら各国の王3人と竜斗の計4人しか所有していない【王気】だな」


「おぉ~」

「……ゴクリ」

「流石、竜斗様……」


「更にその上の超絶レアスキルなら竜斗の持つ【神眼】だな。なんせ神の瞳だ」


「おぉ~」

「おぉ~」

「おぉ~って、竜斗様どんだけレアスキル持ってんすか!?」


「ホントだ!?」

「ズルい!」

「竜斗様だけズルい!」

「ズルいぞ!」

「ズルいぞ、ズルいぞ!!」


「ま、まぁな……」



 そんな談笑の中、ついに事態は最悪な展開へと向かっていった。



「ガ、ガオウ将軍っ!」

 1人の兵士が駆けつけてきた。


「どうした!?」


「敵が……敵が攻めてきました! 城門が奴らに破られました!」


「そうか……我々も出るぞ!」


「「「はっ!!」」」


 ガオウとシューティングスター、残った第1小隊のメンバーも打って出ようとした。



「お、お待ち下さい!!」

 先程駆けつけてきた兵士はガオウ達を呼び止めた。


「何だ? どうしたのだ?」


「そ、それが……奴ら人質を盾に……っ」


「くっ! 人間め!」

「何て汚いんだ!」

「ガオウ将軍、どうします?」



「……戦うぞ。我々は兵士だ。人質になっている者も覚悟は出来ている筈だ……っ!」

 ガオウは少しだけ考え、意を決した。



 ガオウの言葉に、兵士達も若干の戸惑いはあったものの覚悟を決めた。



「行くぞ!!」


 ガオウは斧の神器【グラヴィトンバスター】を発動させ高々と振り上げた。



「「「おおぉぉーー!!!!」」」



 兵士達も各々神器を発動させ城門に向い突撃を開始した。




いよいよクライマックスです。

予定では後、2~3話です。

注:最終回ではありません。


シリーズでいうとこの、【襲撃編】のクライマックスですかね(笑)


因みにですが、これが終わればいよいよ【神国編】です。

1番書きたいと思ってる話です。


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