表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
どうせなら異世界で最強目指します  作者: DAX
第三章【襲撃】
67/318

ツルツルと分身体

短めです





 アルカ大森林に、30名程度の者達が集まっていた。

 正確にはアルカディア国の城壁の少し離れた森の中にて、屈強そうな猛者達が息を潜めて待機していた。


 全員がギルド【魔族狩り】の【ナーガ組】のメンバーであった。

 格好は皆バラバラで統一性はなく、鎧を身に纏う者もいれば、上半身裸の山賊や盗賊を思わせる風貌の者もいた。


 性別は全員が男で、むさいオッサンばかりであった。

 1つ言えることは当然この中に魔族はおらず、人間だけで構成されたメンバーであった。


 指揮をとるのは、彼らの副リーダーであるオークス・ホークだった。



「よし、全員集まったな」


 オークスは野郎共を見ると全員がいることを確認した。

 横には彼をサポートするジェガン・メサイアと、白いローブに身を包むバアル・ゼブルの姿あった。


 オークス、ジェガン、バアルはAランクで、残りの野郎達も全員がBランクという驚異のメンバーであった。


 その指には全員が持てるだけの神器がはめられており、ランクも全てB以上の物であった。



「オークスさん……」

 すると1人の男がオークスに声をかけた。


「どうした?」


「魔族に動きがあります」


 彼にはスキル【千里眼】があり、アルカディア国内を常に監視していた。

 そしてサラ達が動き始めたことも全て視ていた。



「気付かれたか……」


「いえ、まだ漠然とした対応で、我々がいることも、なんとなくの様子です」


「……ナーガさんがいればスキル【聴力】で、あの城の中の声も聞こえたんだがな……」


 オークスはつい愚痴を溢した。

 メンバーの中にはスキル【聴力】を持つ者もいるが、ナーガ程ではなく城の中の声までは聴くことが出来なかったからだ。


 もし、この場にナーガがいれば、オークスの作戦実行のタイミングは更に完璧となっていただろう。



「ど~すんだ~オークスの旦那ぁ~、止めるのか~?」

 ジェガンはニヤニヤとしながらオークスに尋ねた。


「愚問だなジェガン、この程度問題はない」

 オークスのツルツル頭がキラリと光った。


「なら行くか」


「そうなるな」

 オークスも不敵に笑い、再度メンバーを見渡した。

 そして、どこぞの艦長みたく右手を前に翳した。



「これより作戦を実行に移す! 無抵抗な魔族は生かしたまま捕らえよ! 賞金首の三匹が出てきたら決して1人で戦うな! 必ず4~5人で囲むようにして戦え! いいな!!」


「歯向かう魔族は?」

 厳つい野郎の1人がオークスに尋ねた。


「……当然、殺せ!」


 オークスのこの言葉にメンバーから歓喜の声が上がった。

 さながら世紀末のザコキャラの如く。

 同時にメンバー達は一斉にアルカディア国の防壁目掛けて突撃し始めた。




 メンバー達が突撃してから数分後、ジェガンはゆっくりと歩を進めた。


「お前も、出るのか?」

 オークスは腕を組んだままジェガンに声をかけた。


「あぁん、ダメか?」


「いや、作戦実行になんら支障はない」


「ならギルド名らしく、俺様も魔族狩りに参加するぜ」


「……魔力は温存しろよ、お前の狙いは…」

「分かってる、あの小僧と戦うまでは遊び程度だ」


「ならいい、直に俺とバアルも出る」


「了解だぁ~」


 ジェガンはその場を後にした。

 するとオークスはバアルの様子がおかしいことに気づいた。



「どうしたバアル? さっきから黙ったままだぞ?」


「あっ、いえ……何でもないです……」

 バアルはハッとなり、冷静に何でもないように振る舞おうとした。


「ならいいが……」

 オークスもそれ以上は言及しなかった。



(そんな……まさか……こんな時にリリスが見つかるなんて……)


 バアルは心の中で動揺した。

 本体がジェガンの狙いでもある天原竜斗に負けたこと、そして妹のリリスも見つかった事を、たった今、念話にて連絡を受けたからだ。


(どうする……この場から立ち去るか? いや、僕はアルカディア国の民になった……ならギリギリまでこいつらを欺いて、いざという時に皆の盾になればいい……)



「おい、バアル俺達も行くぞ」

 不意にバアルはオークスに声をかけられた。


「は、はい」


(そうだ……こいつの作戦では捕らえた魔族はすぐに転移させずに、天原竜斗が来るまではその場で捕らえたままにするみたいだし、本体達が到着するまではなんとか僕が……)



 バアルは意を決した。


(僕が皆を守るんだ! 1人でも多くの魔族を!!)



 そして、バアルの分身体は覚悟を決めオークスの後に続いた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ