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どうせなら異世界で最強目指します  作者: DAX
第二章【羅刹と夜叉】
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百鬼夜行と逃走中



ー迷宮【城】、階層【29】ー




「うおぉぉぉぉぉぉぁぉぉぉ!!」



 俺達は城の中をひたすら走った。

 走って走って走って走って走り抜いた。


 俺を先頭にし、ガオウ、サラ、ルキも俺について走っている……と、いうより絶賛逃走中であった。



【百鬼夜行】、スキル【増殖】、ランク【B】



 順調にみえた迷宮攻略も、この階層で滞っていた。

 突如100体もの鬼種が一斉に襲いかかってきたのだ。


 ランクBだから余裕かと思うがそうもいかなかった。


 この階層にきてイキナリ出会った【百鬼夜行】と表示されるたった1体の鬼種。

 問題なく倒そうとした矢先、鬼と目があった。

 1つ目をクリクリと輝かせていた。

 可愛い~……ってなる筈もない!


 奴は一気に増殖する。


 そんなの当然逃げるに決まっている。

 なによりこれが1度目ではなく、もう既に5回目なのだ。

 俺達は既に400体近く、鬼を退治している。

 この階層だけで……


 いい加減戦う気がなくなってきた。



「サラ! 階段はまだ見つからないのか?」

 俺は走りながらサラに、上層に続く階段を探させていた。


「……ダメです! この辺りにもありません!」

 サラの占術眼でも、まだ階段が見つかっていなかった。


「くそ!」


「おい竜斗! どうする?」

 ルキが俺に尋ねてきた。


「そんなの俺に聞くなよ!」

 逃げるのに必死で考えてる暇がない。


「お前がリーダーだろう?」

 ルキのこの発言で少しイラッときた。


「あーっ! うるせーうるせー……ってルキ!? 肩! 肩!」

 俺は振り返るとルキの肩にあるそれを指差した


「えっ!? キャーーーーーーッ!?」

 ルキの肩には小さな鬼の手が……

 ルキは勢いよくそれを払い除ける……


 今なんか可愛い声出してたな。



「では我らはどこに向かって走っておるのだ?」

 ガオウまで……


「そんなの階段に決まってるだろう!」

「今走ってる方向にあるのか?」


「だからそんなの俺に聞くなよ!」


 既にかれこれ数時間走ってるような感覚だ。

 鬼種、侮り難し!


「こいつらも倒すか?」


「いや、流石に魔力を温存したい……階段が見つかるまでは魔力を……サラ! あの部屋は!?」

 俺は前方にある、他とは少し違い隔離されてるような襖で閉じられた部屋を見つけた。


「あそこです! 占術眼が黄色く光ってます!」


「よし行くぞ!!」

 掛け声と共に勢いよく襖を開いた。



 階段の前にいる一匹の鬼。



 俺達は立ち止まった。


「…………」

「…………」


 俺と鬼は見つめあった。

 そしてゆっくりと【神眼】を発動させた。



【百鬼夜行】、スキル【増殖】、弱点【本体】、ランク【B】



 はい、百鬼夜行でした!


 そしてこちらが攻撃するよりも速く奴は増殖した。

 前門の百鬼夜行、後門の百鬼夜行……



 流石の俺も、もう限界だった……

 そして、キレた。



 神器【絶刀・天魔】【森羅万象】、発動。



 サラはスキル【感知】により逸早く俺の殺気に気づいた。

「ガオウさん、上にっ!!」


 ガオウも瞬時に自分を含めたサラとルキの3人の空間をスキル【重力操作】で軽くし、上に跳躍した。


「くっ……」

 ガオウは苦しそうにしていたが、咄嗟にしては大分、重力操作に慣れたようだ。



 俺は右足を後ろに下げ、体を半身にし、剣先を後方に下げた。

 そして森羅万象により絶刀・天魔に地属性を付加させた。



【脇構え】+【地属性】


「陽金・地の位 土蜘蛛!」



 地面を削るように、刀を(すく)い上げるようにして振り上げた。

 後方にいた百鬼夜行目掛けて、大地を纏った衝撃が百鬼夜行に襲いかかった。

 無惨に吹き飛ばされる100体の百鬼夜行……


 土煙が舞い、誰もが手で顔を被った。

 ガオウたちも前方にいた百鬼夜行も……



 俺は向きを変え、その間に最も基本的な剣道の構えをとった。


【中段の構え】


 そして【絶刀・天魔】に【風属性】を纏わせた。


【風属性】



 俺はキレていた(ヤケクソ気味)が、なぜか【神眼】は冷静に前方にいる、階段辺りに群がっていた百鬼夜行の本体を捉えていた。

 土煙が晴れると、百鬼夜行は俺が何か仕掛けてくると感じとり、一斉に襲いかかってきた。


俺は勢いよく右足を踏み込むと同時に、能力【巨大化】を発動させた。

 そして百鬼夜行の本体目掛けて突き出した。



【中段の構え】+【風属性】


「中段・風の位 孤鳥嵐(こちょうらん)!!」



雷怒死(かみなりおこし)】の時の連続突きとは違い、一点に集約された巨大な突き。

 襲いかかる百鬼夜行は切り裂かれ、本体には巨大な刀が突き刺さる。


 本体が息絶えると同時に周りの百鬼夜行も消えていった。




「つ、疲れた……」

 俺はその場に座り込んだ。


 上空に浮いていた3人がゆっくりと地面に着地した。


「す、すみません……てっきり居合斬りをすると思い、上に行くよう声をかけてしまいました……」

 サラは土煙に巻き込まれたのを自分のせいにし、2人に謝っていた。


「いやサラ殿のせいではない」

 ガオウはサラの言葉を否定した……そうだよ俺のせいだよ。


「やれやれ、服が汚れてしまったな」

 ルキは服についた埃を払うようにしている……嘘だ!

 普段服の汚れなんか気にしないくせに……!


「あっ、階段があるので上に向かいましょう」



 おい!

 誰か俺に労いの言葉はないのか?

 百鬼夜行倒したの俺だぞ!



「竜斗よ……」

 ガオウが何か言おうとしている。

 さすが年長者、年下を労る気持ちを忘れてないな。


「次はもう少し我らに考慮した攻撃を頼む」

 ガオウはそう言い残した。



 おいーーーーっ!!

 ちょっと待てっ!

 ふざけんなっ!!


 キレたとはいえ……確かにちょっと周りに配慮してない攻撃をしたかもだけど、それはないだろ……って、何こいつら俺を置いて先に行こうとしてんだ!!



 3人は普通に俺を置いて階段を上がっていった。



「…………」

 どっと疲れた。

 重い腰を上げ、ゆっくりと次の階層に向かった。



◆◆



ー迷宮【城】、階層【30】、【大広間】ー



 俺は辺りを見渡した。

 床は畳ではなく一面、木の床だった。

 少しだけ剣道場を思い出した。


 3人はど真ん中で休憩の準備をしていた。

 ガオウが袋の神器から物を取り出し、簡易テントを設置している。

 ルキは寝床をセッティングし、サラは食事を作り始めていた。


 室内みたいに感じるから、テント要るか?

 と、思ったが迷宮には変わりないし敢えて突っ込まなかった。


 3人の元に近づくと声をかけた。

「この階は大丈夫なのか?」


「はい、問題ないです」

 サラが料理しながら答えてくれた。


「竜斗よ、見張りは我がやるからお前は少し休んどけ」

 ガオウに休むよう勧められた。


「寝床の準備は出来てる、食事が出来るまで少し横になるといい」

 ルキは素早く寝床の準備を終えるとそのままサラの食事作りを手伝い始めた。



 えっ……何こいつら……

 優しくされたら、さっきの対応怒れないじゃん……

 ま、まぁいいか……


「じゃあ、お言葉に甘えて」



 俺は少し横になった。





 暫くしてルキに起こしてもらい皆で食事を摂った。


「ガオウ、そういえばここって何階層だっけ?」

 俺は食べながらガオウに尋ねた。


「30階だ」

 ガオウがモグモグ食べながら答えた。


「後、10階か……」

 俺は小さく呟いた。


「そうだな、まさかこんなに早く迷宮の30階に来るとは思わなかった」

 ルキは攻略速度に驚いていた。


「んっ、やっぱ早いのか?」


「早いなんてもんじゃない! まだ3日だぞ! たったの3日で迷宮30階とか有り得ないだろ!!」

 ルキは勢いよく立ち上がった。


「そうなのかガオウ?」

 サラは迷宮初挑戦だし、俺も一般的な迷宮攻略がどれくらいかかるのか知らない為、ガオウに聞くことにした。


「ああ、かなりな」

 ガオウは黙々と食べながら答えた。


「へ~、でも前の迷宮攻略も最初は似たようなペースだったよな?」

「あれは迷宮がSSランクになろうとしていたからな。かなり急いだ結果だ。まさか本当に1日10階のペースで行くとは思わなかったが……」


「SSランク……」

 ルキには想像出来ないレベルらしく、食べ物をゴクリと飲み込んだ。



「まぁ結局間に合わなかったけどな」


「なっ!? 間に合わなかったって……ど、どうしたのだ!?」

 ルキは食い気味に尋ねてきた。


「どうしたって……そりゃ~倒したよ、SSランクのボスモンスター……」


「なっ……」

 ルキはよろけて座り込んだ。


「凄まじかったらしいぞ。我とゼノがSランクのボスをなんとか倒したのに、こやつはたった2振りでSSランクの【尾を呑み込む蛇】(ウロボロス)を倒したそうだからな」

 ガオウは誇らしげに説明してくれた。


 本人は気絶してたけど……



 流石にこれにはサラも驚きを隠せないでいた。

「SSランクをたった2振り……最早、次元が違いすぎます」


「何言ってんの、サラもなるんだよSSランクに」


「……敢えて今まで何も言いませんでしたが、本当になれるのでしょうか?」

 サラは少しだけ戸惑っていた。


「なれる!」

 ガオウが言い切った、俺の台詞を。


「我らも限界だと感じたAランクからSランクになれた。サラ殿やルキもきっとなれる、竜斗が言うのだ間違いない!!」


 おおぉ~えらく信頼度高いな。


「分かりました、私もガオウさんの言葉を信じます」


 いや、そこ俺だから……とは敢えて言わなかった。

 なんか少しだけ2人からいい雰囲気が流れてたから、邪魔しないようにした。


「なら私もSSランクになれればゼータや、他の六花仙に遅れを取らなくてすむな」

 ルキも少しだけ笑って覚悟を決めていた。


「何言ってんの? 多分Sランクで余裕で勝てるよ」

 俺は軽く答えた。


「いやいや、流石に同ランクで余裕はないだろう……」

 ルキは俺の言葉を否定しようとした。



 俺は黙って笑ってルキを見つめた。



「ははっ……本当に?」

 ルキは苦笑いしていた。


「俺の神眼()に狂いはない!」

 俺は言い切った……すると迷宮が揺れだした。



「ふむ、これで最大階層が【39】になったな。もう少し休んだら進もうと思うが」

 ガオウは若干俺に尋ねるような感じで話した。


「了解だ。片付けは俺がするから、サラとルキは休んでくれ。Sランクの敵は強いし、そろそろ【森羅万象】の付加にも慣れて貰うから、これからしんどくなると思う。休める時に休んでくれ」

 俺は言いながら片付け始めた。


 ガオウはそのまま見張りを続けるみたいだ。



「……分かりました」

「……了解だ」


 サラとルキは若干申し訳なさそうに用意してある簡易布団で休んだ。

 こんな時、レイナやゼノ、ルルなんかは遠慮なく休みだす。

 迷宮慣れしてるからか、自分のすべきことを理解してる。



 兎にも角にもあと1日だな。




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