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どうせなら異世界で最強目指します  作者: DAX
第二章【羅刹と夜叉】
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修練と初夜



 帰還してから数日後……


 アルカディア国、城内地下1階、【修練の間】にて……



 まるで、迷宮のボスモンスター戦を想定しているかのような広い一室。

 そこには現在2人の男がいた。


 1人は片手に刀を持ち悠然と立っていた。

 もう1人は槍を地面に突き刺し(うずくま)っている。




「がはっ……はぁ、はぁ、はぁ……」

 踞っている男が咳き込む。


「う~ん、まだまだかな」

「す、すみません……」


「いや、別に謝らなくていいんだけど……」

「す、すみません……」


「…………」

 ダメだな……

 何言っても謝られそうだ……





 2人は壁にもたれながら座り込み、汗をぬぐった。



「やはりお強いです、竜斗殿」

「う~ん、まだまだかな。全然盾を使いこなせてないし……あれじゃあ、いざって時に役に立たない」



 俺は今シューティングスターと特訓の最中であった。

 新たに創造した神器【魔名宝空(マモルモノ)】を試していたのだ。



「いやいや、強者の望むレベルは凄まじいです。正直あの盾はヤバイですよ。というよりあれが盾とは未だに信じられません」

「……まぁ俺もそう思う。盾というよりかは羽をイメージして創造したからな。でもシューティングスターも中々だよ」


「そんな、自分はまだまだです」

「まぁそうだな、でも伸び代はかなりあるよ」


「…………正直自分は強さを諦めてました。ダダ家は名門と言われてますが、ただ昔から存在しているだけで決して強いわけではなかったので」



 シューティングスターの現在のランクはC。

 この国でも強い方ではなく極一般的な兵士の強さであった。

 ちなみに彼の想い人の妹はBランクはある。

 彼が想い人に想いを告げられない理由の1つでもあった。



「竜斗殿には潜在ランクを視ていただき感謝しております。まさか自分がAランクもあるとは思いませんでした。こうして修練にも付き合って頂き本当に感謝しております」

「いや、こっちこそ新しい神器の試運転に協力してもらってるし別にいいよ」




 2人で雑談をしながら、ララが持たせてくれた紅茶を飲んだ。



「……そういえば、ララには告ってるの?」



「ブーーーーー!! ガハッ、ガハッ……ハァ、ハァ……」

 シューティングスターは飲んでいた紅茶を吹き出す。


「だ、大丈夫か?」

 漫画みたいに吹き出すことってあるんだ。


「えっ!? い、いつからお気づきに……?」

「いつだったかな……あっ! あの時だ! 確か2回目にシューティングスターに会った時だよ。レイナに頼まれて袋の神器を持ってきた後、退室する時ちらっとララを見てたろ?」


「……よく気づきましたね。ゼノ殿にすら気づかれなかったのに……」

「あぁ、あいつに気づかれたらお仕舞いだな。茶化されて上手くいかない可能性があるな」


「ですよね! 細心の注意を払っています……」

「それがいい。ガオウなんて速攻だったからな、可哀想に」


 決して自分の事は棚にあげてません。


「ははっ……」

 シューティングスターは苦笑いしている。



「まぁ頑張れよ。Aランクになったら想いを伝えるつもりなんだろ?」

「……はい」


「まぁ俺が見た感じだとララもまんざらじゃないと思うけど…」

「ほ、ほんとですか!?」

 シューティングスターは食いぎみに言葉を遮ってきた。


「お、おう。多分だけ……」


 どうしよう……

 今、完全に適当な事を言ってしまった……

 今までのララからそんなのは微塵も感じられない。

 まさかここまで嬉しそうにするなんて……



 シューティングスターは本当に嬉しそうだった。



 まずいな……

 この勢いで告白して玉砕したら完全に俺の所為だぞ……

 俺は考えた。

 かつてない程、思考を巡らせた。



「でも、ルルがどう思うかな……」

 ボソッと呟いた。


 するとどうであろう……彼の嬉しそうな顔はみるみると暗い顔になり、元気一杯の笑顔は見る影もなくなっていった。



「はぁ~……」

 シューティングスターは大きく溜め息を吐いた。


 やっぱ気づいてたか……

 あの殺気にも似た鋭い視線に……てか殺気そのものだったな。


「自分何か嫌われる事しましたかね……」

「ん~、単純にお姉ちゃんが盗られると思っただけだろ」


「そう、なんですかね……」


 そうとしか考えられない。


「まぁ、だから早くAランクになって堂々とすればいいんじゃね?」

「……分かりました」



 取り敢えず今すぐシューティングスターがララに告白することはないようだ。

 なんて安心していると広い部屋の扉が開かれた。



「おぉ~竜斗ここにいたのか?」

 ガオウとゼノが入ってきた。


「2人とも修練か?」

 俺は2人に尋ねた。


「まぁそんなとこだな。新しい神器を創造したから、お互いに試すとこだ」

 ゼノとガオウも新しい神器を試すみたいだ。


「へ~、凄いの想像したのか?」

「ん~まぁまぁかな、てかそれを今から試すんだけどな。お前は?」


「かなり凄いぞ、見たら絶対ビックリするぞ」

 俺は不敵に笑ってみせた。


「そうなんですよ! 竜斗殿の神器はどれも凄いんです!」

 シューティングスターはまるで自分の事のように嬉しそうに話してくれた。



「まぁ竜斗が凄いのは知ってるけどな」

「ちっちっちっ、甘いなゼノ君。俺はもう一段階上に進化したのだよ」

 俺は人差し指を左右に振った。


「ほう、それは楽しみだな」

 ガオウも興味有りげに話に加わる。

「まぁお楽しみは後にとっておこう。どうせ明日にはドラグナー国に向かうのだ。戦闘は間違いなく起こり得るからな」


「おう。【構え】と【属性】の組み合わせに……【魔名宝空】と新スキル【神速】の合わせ技……【森羅万象】による裏奥義、どれも一級品の技だぞ! まぁ【魔名宝空】はまだ実戦だと危うい神器だけどな」

「そうなのか……それで特訓という訳か」


「まぁな。もう少し練習したいけど、そろそろ家に戻ろうかと思ってる。マナさんが夕食作ってくれてるからな」

「そうか。おぉ、そういえば姫様がお主を探しておったぞ。後で姫様の部屋を訪れるといい」


「レイナが? 分かった、行ってみるよ」

 俺は立ちあがりレイナの部屋に向かうことにした。


「あっ、私はもう少し残りお二人に訓練をつけていただきます」

 シューティングスターは残って修練するみたいだ。

 強くなってララに想いを伝えたいという気持ちが伝わってくる。



 頑張れ!


 俺は心の中で呟き【修練の間】を後にした。





 階段を上がり城の最上階にあるレイナの部屋に向かうことにした。

 レイナの部屋の前に到着すると、コンコンと軽く扉をノックした。



「レイナ、入るよ?」


「どうぞ」

 中からレイナの返事が聞こえたので、ゆっくりと扉を開いた。



「…………あれ?」

 俺は部屋の前で呆然とした。


 誰もいないのだ。

 部屋の中には大きなベッド、テーブルにイスが2つ。それと化粧棚なんかの家具が数点置いてあり、中には誰もいなかった。


 部屋の中は薄暗かった。


 俺はゆっくりと部屋の中に入り、辺りを見渡すがどこにもレイナの姿がない。

 レイナの名を呼ぶが今度は返事すらない。



 すると、突如後ろからレイナが抱きついてきた。



「レ、レイナ!?」


「…………」

 レイナは黙ったまま離れようとしない。

 俺の腰に手を回しその手は力強く握られていた。



「レイナ……さん?」

 俺は恐る恐る尋ねた。


「…………して……」

「えっ?」


「どうして会いに来てくれなかったんですか?」

 レイナは寂しそうな声で質問してきた。


「あっ…………ごめん」

 俺は思い出したかのように謝った。


「聞けばこの数日間ずっとシューティングスターと修練の間で特訓していたと聞きます」

「ごめん。明日にはドラグナー国に向かうから……少しでも【魔名宝空】を使いこなせるようにしたかったんだ」


「それでも少しくらい時間をとって、会いに来てくれたって良かったんじゃないですか?」

「ごめん……」



 暫くの間沈黙が流れた。



「……いいです。こうして会いに来てくれたし許してあげます」

 レイナは目をつむり背中にもたれ掛かるようにして、少し嬉しそうにしていた。


「ありがとう」

 俺はお腹辺りにあるレイナの手に、そっと手を添えた。

 そして手の温かみを暫く感じたら、少々強引にレイナに向き合った。


 レイナは少しビックリしていたが、頬を赤らめゆっくりと目を閉じた。


 俺はレイナの顔に、正確には頬に両手を添えて、そっと顔を近づけ口唇を重ねた。


 口唇が離れ、お互いの息が顔にかかるくらいの距離にくると、レイナが俺の首に手を回してきた。

 俺は今度はレイナの腰に手を回した。


 そしてもう1度口唇を重ねると、そのまま近くにあったベッドに倒れこんだ。



 レイナはベッドに仰向けになり顔を横に向けていた。

 恥ずかしさからか視線を合わせようとしない。

 俺はレイナの上に覆い被さるような形になっていた。


 そのままゆっくりとレイナの首にキスをした。


「んっ……」

 レイナは必死で声を抑えていた。



 レイナは肩の出ている……ごちゃごちゃしていない綺麗だけど質素なドレスを着ており、俺はレイナのドレスに手をかけゆっくりとドレスをずらしスライムを拝んだ。


 レイナは恥ずかしそうに両手でスライムを押さえた。



 俺はレイナの耳元に顔を近づけ「綺麗だよ」と呟いた。



 表面上はいい男を気取り……

 心の中では、ア〇ロ行きまーーーーす!!

 とか、アホなことを考えながら初めてを迎えた。




 マナさん、ごめんなさい……

 夕飯遅くなります……




 心の中で謝りはしたが、後でマナさんに叱られたのは言うまでもなかった。




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