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どうせなら異世界で最強目指します  作者: DAX
第十二章【神書】
299/318

白と黒



 そして現在……



「それで今回の任務な訳ですね」


 茂みを少し掻き分けながらルルが納得してくれた。



「そう言うわけです」


 ルルの前を歩くアーシャが今までの経緯を丁寧に説明してくれた。



 俺達は色々あって、漸くアルカ大森林探索を開始した。

 先頭からヒレン、レイナ、アーシャ、ルル、ゼータ、俺。

 こういう一列の場合、どういう順番がいいのか分からないが、敢えて先頭は回避した。

 何故なら……



「わぷっ!?」


 草木まみれのヒレンさんを見れば一目瞭然だろう。

 草木を掻き分けるのに、四苦八苦してる。

 ありがとう炎王。

 流石は七極聖だぜ。



「今までの話の中で幾つか気になることが……」


 そんなヒレンさんの苦労など気にもせずルルは再度アーシャに質問する。



「なんでしょうか?」

「話の中で、途中竜斗様と別れて何人かの方が天城に呼ばれてましたよね?」


「ええ、ミランダさん達は帝都守護に関して……」

「いえ、魔物である羅刹と夜叉の事です。修練の後から話に出てきてませんが……」


 おお、流石はルル……ナイス質問だな。



「あの2体は……この度、【六花仙】に選ばれました」

「魔物が!?」


 ルルの驚きようは半端なかった。



「そうよルルちゃん、私も六花仙に復帰したわ」

「ゼータさんも!?」


「今の六花仙は……私が薔薇、羅刹ちゃんが竜胆、夜叉ちゃんが百合で、ゼロマルちゃんが牡丹、リリーメルちゃんが桔梗よ」

「そうなんですね……ん? 桜花は……?」


 当然の疑問。


「皇帝陛下には何かお考えがあるらしくって、桜花は今のところ空席よん。実質私が今の帝国のナンバー2ね、んふ」

「確か……前の竜胆と百合も見つかってるのですよね?」


「んん……オロスちゃんとイルミナちゃんね。あの二人はギルドで楽しくやるみたいよ。何か目的もあるみたいだし、皇帝陛下に謁見してわだかまりもなくなったみたいだしね」

「えっと……霊峰アルカ探索組でしたね?」



「ええ、天使との遭遇はあの組が1番高いです。なのでギルドへの報酬も破格です。相当やる気みたいなので安心してます」

「お金で釣ったのですか?」


 アーシャが当然の様に答えると、ルルは少し面白くなさそうな顔をした。

 いや、見えないけどね……

 でも口調でなんとなく分かる。



「世界の危機とはいえ、人は目の前にぶら下がる欲に勝てないものです」

「……そうですか」


 暫しの間、沈黙が続く。

 それでも俺達の歩みは止まらない。

 てか、こんな草むらの中で休めるか!





「それで……」

「?」


 アーシャは再度ルルの方へ振り返った。



「結局、今の私達のトップは誰なんですか?」

「いい質問ですね」


 ルルの問いにアーシャは小さく笑った。



「アルカディアの時と同じ感じ」

「?」


 この質問には俺が答えた。



「一応全体のトップはレイナと皇帝とジオ王、その補佐にヒュース。で、その下に七極聖と六花仙、四傑と七大悪魔王がそれぞれいるって感じかな」

「一応って事は……」


「ん、戦う際は俺がトップ。補佐にレイナとアーシャ。その下に七大悪魔王の皆ってところかな」

「…………またややこしい事になってますね」


 否定はしません。



「ヒュース様の言った通り、竜斗様が新たな王になれば全て解決しそうですけどね……」

「まぁ悪いけど今のところ問題はないし……てか、俺は王になる気全くないから」


 この話はもういい加減お仕舞いにしたいな。





 談笑しながら暫く歩くと、



「おっ、着いたぜ」


 先頭を歩いてたヒレンが立ち止まった。

 そこはアルカ大森林内にて、いくつかある拓けた場所だった。

 アルカディア国や転移神器の設置場所は開拓した場所だが、ここは唯一自然にそうなっている場所だ。

 後は、ラファエルがいた……いや俺が初めて攻略した迷宮跡のみ。

 つまりここだけが、何もない筈なのに拓けてるのだ……それもずっと。



「私が初めてアーシャと出会った場所ですね」

「私が初めてレイナと出会った場所ですね」


 レイナとアーシャの声がハモる。

 前にジェガン達がアルカディア国を襲撃してきた際、あいつらのリーダー格だったオークスが逃げてレイナが最後に追い詰めた場所らしい。

 オークスって奴の死体は大分前にアーシャが回収してるそうなので、仏様を見ることはなくて安心してる。



「てか本当にここなのかよ?」


 ヒレンが辺りの草を蹴りながらぶつくさと文句を言う。

 まぁそれはごもっともである。



「どうだろうな、でも密集してる森の中でここだけ拓けてるのはおかしくないか?」


 ゼノは昔言った。

 アルカ大森林を隈無く調べたって。

 それも約二百年前……アルカディアが村から国に変わってからずっと。

 そして、二百年経ってもここはずっと拓けてるらしいのだ。



「何故?」


 思わず呟いてしまった。

 特に他と変わった様子もない。

 なんの影響も感じない。

 感じないが……試したいことはある。



「では、手筈通りお願いします」


 アーシャに言われてコクリと頷く。

 そう、神眼で辺りを視てみる……それが俺達の出した答えだ。



「神眼……」


 言わなくてもいいが、何故か呟いてしまった。

 そして拓けた場所を神眼で見渡す。





「ん?」


 なんか中央の……空間?

 空間がグニャリとしていた。

 少し気持ち悪くなった。


 俺は皆から離れる様に歩き、それに近づいた。

 そして、それに手を伸ばした。



「何かあんのか?」

「さあ?」

「私には……視えませんね」

「私もです」


 俺の後ろの方で皆がなんか言ってるが、よく聞こえなかった。

 何故か、集中を切らしたらそれが見えなくなる気がしたからだ。



 そして、グニャリとした空間に手が触れた瞬間だった。

 空気を掴む感じで手を伸ばしたからか、急に手が重たくなって俺はそれを掴み損ねて地面へと落とした。




「あった……」


 間違いない。

 神書だ。

 トーマスの爺さんが持ってた赤色の神書とは違い白色だった。

 だが、模様からも同一に近いものだと判断できた。


 俺は白い神書を拾って表紙を視つめる。



【神書 世界編】



 そう金色の文字で綴られていた。



「っと……」


 中身が気になるが、今は即時帰還が優先だな。

 俺は皆に成果を見せながら、皆の居るところへ引き返した。

 皆の顔も、成果があったからか綻んでいる。


 だが……







 ソイツはいきなし現れた。



 俺が瞬きした瞬間だった。



 瞼を開いた瞬間、俺と皆との間にソイツはいた。



 黒



 一言で現すならソイツは黒いナニカだった。



 細長く棒人間みたいな形状。



 体長は2メートル、いや……膝は弧を描く様に曲がってるし、猫背みたいにグニャリと背中?は曲がっていたから、真っ直ぐな姿勢になれば4メートル近くにはなりそうだった。

 


 辺りの空気も、俺の背筋も凍りついた。



 ヤバい!ヤバい!ヤバい!ヤバい!ヤバい!ヤバい!ヤバい!ヤバい!ヤバい!ヤバい!ヤバい!ヤバい!ヤバい!ヤバい!ヤバい!ヤバい!ヤバい!ヤバい!ヤバい!





「皆逃げ……っ!!!!」



 絶刀・天魔を一瞬にして発動させる。

 だがそれでも既に遅かった。

 皆は既に斬り刻まれ、血飛沫が空に舞い、地面へと倒れ込む。

 その光景が物凄くスローモーションに見えた。


 いつの間に攻撃したのか全く視えなかった。




「個体名【サタン】確認」

「スキル【憤怒】の所持確認」

「プログラム【神滅】・レベル【1】・スキル【黒撃】により負傷」

「危険度【高】→【低】へと変更」


「個体種別【人間】3、個体種別【魔族】1の存在も確認」

「スキル【黒撃】により同じく重傷」

「危険度【低】維持」

「問題なし」


「捕捉対象、個体名【天原竜斗】確認」

「【神書・白】の存在を確認」

「捕捉した【神書・赤】の存在は未確認」

「危険度【極】」

「プログラム【神滅】・レベル【1】→レベル【5】へと変更」



「これより……」


「対象へのプログラム【神滅】……」



「……開始!」




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