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どうせなら異世界で最強目指します  作者: DAX
第十二章【神書】
296/318

怠惰とベルフェゴール


はい、恒例の予告詐欺です。

今回の話は、時系列的に前章に当たります。

なので、次話は間違いなく【神書とアルキウス】の続きを描きます。

ご容赦下さい……


アトラス視点です。




 ここ……は?


 見覚えのない場所……

 確か、アーク帝国領の三大景観の1つ【アークの花園】に足を運んでいた筈。

 暖かな風が吹き、それを肌で感じながら、ゆっくりと目を閉じた瞬間だった。


 俺は見覚えのない場所に転移?していた。

 辺りを見回すが一面、白銀の世界。

 天使共の罠とも思い警戒したが、何故かそうではないと感じてもいた。



 俺は白銀の世界をゆっくりと歩き出した。



 何故か立ち尽くすのは間違いだと感じた。

 彼方まで続く白銀の野……

 進む方向に何かあると感じ勝手に足が進む。


 ?

 先程から何故かとか、感じているとか、随分曖昧だなと自分で自分を笑ってしまう。




「正解だ、よく進むと決心した」



 !?

 無感情な声。

 何故かは分からないが、俺はこの白銀の世界を気に入っていた。そんな場所に似つかわしくない、少し無気力な声。

 警戒度が高まる。



「誰だ? ここはどこだ?」

「んん? まだここが何処か分からないのか?」


 ?

 無感情な声は、どこか俺を馬鹿にするような声へと変わった。



「お前は……」

「判ったか? アトラスはベルフェゴール、ベルフェゴールはアトラス。つまり俺はお前で、お前は俺だ」


 そう言われて妙にスッキリとした気持ちになった。

 その瞬間、声の主が俺の眼前にゆっくりと姿を現した。

 いや、まるで最初からそこに居たかの様だった。



「今代のベルフェゴールも勘がいい様だ。まぁアリス程ではないがな」


 !?

 目の前に座るソイツからその名が出るとは思わなかった。



「もう分かっただろ? ここは、俺達の世界だ」


 納得だ。

 つまり夢か或いは精神の世界とコイツは言いたいのだろう。

 だが……



「で、お前は何だ?」


 コイツが言うには、コイツは俺らしいが未だ少し違和感があるのも事実だ。



「んん? 言っただろ、お前は俺……」

「正確には違うのだろう。本当の事を言え」


「…………」

「何故黙る?」


「くくっ、失礼。だが本当にお前は俺で、俺はお前なんだ。まぁそうだな……強いて言うなら、俺は【怠惰】だと言えば分かるか?」


 !?

 そういう事か……



「どうやら納得して貰えたようだな。つまり、怠惰(おれ)ベルフェゴール(おまえ)で、ベルフェゴール(おまえ)アトラス(おれ)で、アトラス(おれ)怠惰(おまえ)だと言うことだ」


 っ……

 頭の痛くなる言い方をする……

 だが理解できてしまう自分がいる。



「もう少し、分かりやすくしろ……っ」

「ふむ……そうだな……ならここでは、【お前をアトラス】、【俺はベルフェゴール】と分けるか」


 俺はコクリを頷いた。



「よく怠惰(おれ)を目覚めさせたな。流石はベルフェゴール(アトラス)だ」


 こいつ……

 人の話を聞いていたのか?

 嫌味ったらしく、分かりにくい言い方を……っ。



「まぁ俺も説明するのはまだ二度目なんだ、悪く思うな」

「二度目……?」


 ベルフェゴールは頷いた。



「天魔戦争が終わり、俺達は魔族へと転生した。だが七大罪のスキル【怠惰】を目覚めさせる程の器を持ったのはお前が2人目と言うことだ」

「まさか……一人目は……アリス?」


 ベルフェゴールは頷いた。



「まぁアレはイレギュラーだ。本来なら怠惰も機械王の名もお前のものだったのだが、アリスが生まれた瞬間、何故か力が半分以上あの娘に流れていったのだ」

「それは……アリスが転生者だったからか?」


「ん、気付いていたか」

「竜斗が教えてくれた」


「………………天原竜斗、か」

「?」


 ベルフェゴールは長い沈黙の後、ボソリと呟いた。




「……話を戻すが、そのお陰でウリエルの眼からお前を隠す事が出来た。あの娘には感謝しなければな」

「!! それは……アリスが犠牲になって良かった、そう言いたいのか?」


 カチンときた。

 俺にはベルフェゴールがそう言ってる様に感じた。



「例え力が流れようと、本質はお前が俺だ。あの娘が犠牲にならなければ、当時ウリエルに消されていたのはお前になっていただろう」

「撤回しろ!!」


「……何故怒る? その感情はサタンのものだ」

「黙れ!! やはり竜斗の言う事は正しい! アリスが犠牲になって良かったのなら、やはりこの世界は根幹が間違っているのだ!」


「世界か……そうだな、この世界は間違っている」

「…………」


 ベルフェゴールは納得した。



「だが、お前がウリエルに殺されていたら、本当に取り返しのつかない事になっていた。それこそ世界が終わっていたのだ」

「どういう事だ?」


「怠惰とは【すべき事をしない事】を意味する。あの娘は動きすぎた。世界を変えていく程の力が動けば、天使に悟られるのも無理からぬ事。あの娘はしなくていい事をしすぎた」

「だからクウマ……いやウリエルに殺されて当然だとでも……?」


「……お前の囮となってくれたのだ」

「っ!!」


 まさかアリスは知っていたのか?

 俺が動いて天使に気づかれない様にするために……

 だから俺を動かさずに、自分が動いていたのか……?



あの娘(アリス)が【箱】を持っていた筈だ」

「!?」


「あれにお前の力の半分が入っている」

「なっ……!?」


 その言葉に驚愕した。

 箱を知っている事にでも、俺の力が入っている事にでもない。

 半分という事実に俺は驚いた。

 俺はSSランクへと至っている。

 なのに、それがまだ半分なのか?



「……あの娘は聡い娘だった。どうやってか【怠惰】をあの箱に封印してくれたお陰で、お前は本来の力を取り戻せる。もしそのままウリエルに殺されていたら……」


 ベルフェゴールは言葉を詰まらせた。



「何故アリスはその力を俺に渡さなかった……そうすれば或いは……」


 助かっていたかもしれない。

 いや、絶対に助かっていた。

 そもそもウリエルの標的にされる事もなかった。

 どうして俺なんかを庇った……っ!!



「もしSランクで、いきなり目覚めている半分の【怠惰】を得てみろ。器の出来上がっていないお前は、自分のスキルで崩壊していただろう。だからあの娘は【怠惰】を封印していたのだ」

「…………っ」


 ん?

 ちょっと待て!



「何故あの娘はSランクで【怠惰】が目覚めた? ベルフェゴール(おまえ)の話が本当なら、目覚めた瞬間アリスは崩壊していたのでは?」


 ベルフェゴールは黙った。

 長い沈黙が続いた。



「……………………俺には分かる。あの娘はきっとアルカ様の加護を受けていた筈だ」

「アルカ様、だと……それに、加護……?」


「…………加護、即ち【神託】だ」

「!?」


 馬鹿な!?



「神託とは、天使の言うあの神託の事か!?」

「…………そうだ」


 ど、どういう事だ?

 天使には魔族を殺させる様に神託しておいて、何故アリスにも?

 いや……

 まさか……



「まさか、竜斗の言った通り……聖神アルカとは別に、敵がいるのか?」

「…………そ……は、……し……う。……は、…………カ様に…………って、……から……」


 っ!?

 急にベルフェゴールの声が聞き取れなくなった。



「俺にはこれ以上言えぬ……世界の真実はお前達で探せ」

「…………」


「それと……」

「?」


「最後に1つ。スキル【怠惰】は大事な人達が目の前から消える……いや、大事な人達を置き去りにするスキルだ。目覚めれば、お前は人とは異なる時間を歩むことになる」

「…………っ」


 身震いした。



「悪魔であった俺だから操れたスキルだが、魔族には……無理だろうな」

「じ、時間を操るのか?」


「……少し違うな、時を操るのは神々の領域だ。だから……使うのなら覚悟して使え。俺に言えるのはそれだけだ」




 すると目の前にずっと座っていたベルフェゴールは(おもむろ)に立ち上がって、俺に近づいてきた。

 少しボンヤリしていた姿が、ハッキリと分かる。

 白銀に輝く人形……ベルフェゴールの印象はそれだった。



「アリスは……いい娘だった」

「っ! ああ、そうだな……」



 ベルフェゴールが謝罪の意味を込めて言ってくれたのが分かった。

 だが俺には自分で自分を慰めてる様にも聞こえた。

 それが可笑しくて少しだけ口角が上がった。




◆◇◆◇




「…………目覚めた、のか?」


 気づくと一面の花々に囲まれながら横たわっていた。



「…………」


 暖かな風が通り抜けていく。

 その風を肌で感じながら、今のは俺の妄想が造り出した幻覚だったのではと感じる。




ー兄さんー




「!?」


 不意にどこからかそう呼ばれた気がした。



 そうだ。

 例えベルフェゴールが言った事が本当だったにしろ、俺はもう迷わん。

 竜斗や皆と共に歩むだけだ。

 アリスが生きているのなら、今度は俺がアリスを助ける番だ。


 七大罪の1つ、怠惰……


 我ながら自分にピッタリだと思ってしまった。

 だが、

 もう俺の時は動き出した。


 今まで怠けていた分、俺は進む。

 例え皆と違う時間を生きる事になったとしても、後悔はない。


 その力で皆を救えるのなら!



 気づくと手の中に金色の鍵が握られていた。



「アリス……」



 俺は微笑んだ。

 きっと、さっきの(アリス)が運んできてくれたのだと、俺はそう感じる事にした。




◇◆◇◆




【アトラス・ベルフェゴール】(40)


種族

【機人族】

クラス

【白金機王】

ランク

【SS】

先天スキル

【属性<轟雷>】【射撃】【必中】【機体】

後天スキル

【暴走】【銀線】【怠惰】

神器

【黄帝】<銃/雷/弾丸・拡散/SS>

【黄龍】<銃/雷/弾丸・圧縮/SS>

【応龍】<籠手/雷/付加/S>

【麒麟】<具足/雷/噴射/S>

【鳳凰】<胸当/雷/守護/S>

【霊亀】<盾/雷/守護/S>

【貘】<袋/次元/収納/D>





【ギルド編】【闘王祭編】【王国編】の間の約4ヶ月間に、七大悪魔王(6人)は計8つのSSランクの迷宮を攻略してます。

約、半月に一回攻略ペース……

ま、まぁ竜斗くんとレイナさんはたった2人で、数日で攻略するので多目に見てください。


予告。

これからレイナとアトラス以外も目覚めていきます。所持神器が変わっているかと思いますが悪しからず……


攻略数8×手に入る神珠3=24。

内訳はガオウ3、ゼノ3、サラ5、ルキ4、バアル3、アトラス6と、計算上は合ってるかな。

合ってますよね……?


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