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どうせなら異世界で最強目指します  作者: DAX
第十二章【神書】
295/318

全員集合と探索開始


新章です。


因みにですが、以前どこかで書いたかもしれませんが気になっていた事を思い出しました。

【ゼータと薔薇物語②】のスキル【溶解】の記述が完全におかしかった事を思い出し修正しました。


多分、これで大丈夫かな……

皆様にきちんと伝わればいいのですが……

では、どうぞ。




 ここ帝都は今、物凄い数の人で溢れていた。

 帝都だけではない。

 帝都の外にも野営を張りながら帝都に入る順番を待っている人達が大勢いた。



「番号ーーーー番からーーーー番の方は、あちらの列に並んで下さい!」

「順番ですので、きちんと並んで下さい!」

「はい、神国からですね。でしたら……」

「はい、これで記入は全て終わりました。整理区画ーー番はあちらなので、真っ直ぐ奥に向かって進んで下さい」

「アルカディア国からの方はこちらに並んで下さい」

「すみませんが、王国からの方はあちらに並んで下さい」

「ちょっと、そこ早く! 奥がつかえてるわよ」

「ご、ごめんなさい! えっと、こちらにお名前と……」



 帝都の入り口は検問みたく、お城勤めや女性の兵士さん、ギルドの嬢等が受付に追われていた。

 そう、ヒュースの提案で、王国、神国、アルカディアからと、全ての民がここ帝国に集まって来ているのだ。

 それと受付を済ませた人達が順番に帝都内の家を宛がわれ、案内されていく。


 何故家が空いてるか?

 そりゃこの前の戦争で多くの帝国の兵士が死んでしまったからだ。

 他にもメタトロンの神器発動で犠牲になった人達も少なくない。

 んで、神国も王国も天使の襲撃で大勢が亡くなってる。

 だからこうして各国から全ての人がここ帝国に集まって来れる訳だ。


 勿論ヒュースの計算でも全員が収まる訳もないが、それでも帝都の周りにはどんどん追加工事されている。

 間に合ってないのが現状だが、先日アルカディア国から一足早くあの優秀な兄弟が来てそれに取り掛かっている。

 4国全ての物流もここにきているから、資材も豊富にある。

 本当に時間の問題ではある。





 そんな中、俺は一人で帝都をキョロキョロと見回しながら歩いていた。



「すっげー数。こりゃまだ当分かかるな」


 自分の独り言が聞こえないくらいの賑わいだった。

 全員が受付を済ますにはまだ数日かかりそうだ。



「さてと、ゼータの話だとそろそろ皆も来てる筈だけど……」


 ただブラブラ歩いていた訳ではない。

 当然目的があってこんな人混みに来ているのだ。

 そんな時だった。




「お兄ちゃん!!」

「お兄ちゃん!!」


「!? ソラちゃんに、ルークくん!」


 太陽みたいに明るく、屈託のない笑顔。

 大きな口をいっぱいに開けて二人は俺に飛び込んできた。

 俺はそれを受け止めて二人まとめて抱き抱えた。



「ははっ、二人とも少し大きくなった?」

「「うん!!」」


 本当に小さい子って、ちょっと見ないだけで直ぐに大きくなるな。

 そう感じる程、二人は少し見ない間に背が伸びた。

 それに……


 小さな掌がチラッと見えた。

 ソラちゃんには小さいながらも拳ダコが出来てるし、ルークくんの掌にも沢山のマメが出来ていた。



「修行、頑張ってるんだ」

「「うん!」」


 少し複雑だけど二人が楽しそうにしてるならそれでいっか。



 そして半年ぶりくらいに俺は、アルカディアの皆と再会した。

 本当は転移の神器でいつでも戻れたのは内緒だ。




「リュートお兄ちゃん!」

「お、メイちゃん! それにイエロースライムも!」


 メイちゃんが来たって事は、王国勢もご到着したみたいだ。

 しかし、何度見てもザイルのオッサンとは似ても似つかない。

 本当に母親似で良かったと思う。



「む、あんた誰?」

「そっちこそ……お兄ちゃんに馴れ馴れしい……」


 え?

 ソラちゃんとメイちゃん、二人の口調が突然変わった……

 まだ幼さの残る喋り方だったのに、なんか急にキリッとした口調になった。



「……お兄ちゃん困ってるでしょ、降りなさいよ」

「ふーんだ、そんなのあんたに関係ないし。お兄ちゃんはソラのお兄ちゃんだし」


 え?

 そしてなぜ喧嘩?



「お兄ちゃんはメイのお兄ちゃんだし」

「はぁ? そんなの知らないし」


 え?

 まさかモテ期到来なのか?



「……お兄ちゃん」

「どしたルークくん?」


「ぼ、僕降りるね」

「あ、うん」


 ルークくんは何かを感じてか、俺の腕からスルリと離れ、地面へと降りた。

 ルキと違って感のいい子だ。

 こりゃ将来が楽しみだな。



「あーやだやだ。お兄ちゃんに甘えて抱っこされたままなんて、あんた赤ちゃんなの?」

「はぁ? なに? 喧嘩売ってんの?」


 ソラちゃんは、俺に抱っこされたままメイちゃんを冷たい眼差しで見下ろす。

 メイちゃんは、イエロースライムのゼウスを圧死させる勢いでギュッと抱き抱えたままソラちゃんを睨む。



「言っとくけど、メイのパパはギルド【拳武】の幹部なんだから」

「だからなんなのよ、そんなのあんたの強さと関係ないでしょ」


「メ、メイにはゼウスがいるもん!」


 メイちゃんはパスしそうなくらいの勢いで腕を突き出して、ゼウスをソラちゃんに向かって掲げる。



「魔物、ね……丁度、崩龍拳のサンドバッグが欲しいと思ってたのよね」

「ぅ……!」


 ソラちゃんは俺から勢いよく離れると、腕の骨をパキパキと鳴らしながらメイちゃんに近づく。

 そんなソラちゃんの強気な態度にメイちゃんは一歩怯んだ。



「お兄ちゃん止めないの?」

「いや~もう少しだけ見てよっかな」


「お兄ちゃん……」


 俺が楽しそうに二人を見つめてると、ルークくんは呆れていた。

 いくら険悪でも2人はまだ子供だぜ。

 どうせ言うだけでそんな大した事にはならないだろ。



「ゼ、ゼウスは負けないもん! ミロク様の攻撃にだって耐えたんだから!」


 お~そういやそうだったな。

 鎧王の部のデモンストレーションで確かにミロクさんに殴られてたな。

 でもメイちゃんは気づいてるかな?

 そのゼウスが1番震えてるのを。

 スライムだから震えてるのではなく、恐怖で震えてる。

 俺にはそう感じた。



「喰らえ! レイナ様直伝! ほー」


 ソラちゃんはゼウスに勢いよく迫った。

 マジでぶっ飛ばしそうな程の勢いで。


 まじか!?

 ……やれやれ。

 流石にこれは止めないとな。

 両方ただでは済まない。



「ふたりと……」

「そこまでです」


 俺が止めるよりも速く、ソラちゃんとゼウスの間に入って止める人がいた。

 てか……



「レイナ様!?」


 婚約者だった。



「ソラちゃん、お久しぶりです」

「あ、お久しぶり、です……」


 レイナはソラちゃんの腕を掴みながら、ニコリと微笑んだ。



「駄目ですよソラちゃん。崩龍拳は相手を傷つける技です、無闇に振り回していい技ではありません」

「っ……はい、ごめんなさい……」


 レイナは優しくソラちゃんを諭す。



「メイちゃんも」

「っ!?」


「スライムにはスキルに【溶解】があります。低ランクとはいえ、無闇にけしかけていい魔物ではありません」

「は、はい……ごめんなさい……」


 さっすがレイナさん。

 王様なだけあって、流石と言わざる他ない。

 周りにいた大勢の野次馬も拍手喝采だった。



「で、竜斗様?」

「はい?」


「何故あなたは見ているだけだったのでしょうか?」


 あれ?

 レイナさん、激怒?

 顔は笑ってるのに、目が笑ってない。



「い、いや~丁度止めようとはしたよ。そしたら……」

「今まで言い訳しなかったのに、こんな時だけ言い訳しないで下さい」


 はい……

 反省してます……





「ソラ!!」

「メイ!!」


「あ、ママ!!」

「あ、パパ!!」


 すると人だかりの中を掻き分けて、またもや懐かしい顔ぶれが現れた。

 ソラちゃんはママであるマナさんの元へ、メイちゃんはパパであるザイルのオッサンの元へと駆けた。



「もう心配させないで」

「心配したじゃねーか」


 二人は、ソラちゃんとメイちゃんをそれぞれ抱き抱えた。

 こんな大勢の集まる中だ、迷子になったら到底見つけられないだろう。

 いや~良かった、良かった。




「相変わらずですね」

「!?」


 いつの間に……

 俺に気づかれることなく背後を取るとは……


 俺はゆっくり振り向いた。



「お久しぶりですね」

「ルル!?」


 メイド服ではなく、巫女服で立つ女性は、その長い耳をピコピコと動かしていた。



「元気だった?」

「元気だった? ではありません。全く……本当に貴方は相変わらずですね」


「元気そうでなにより」

「そちらも……元気そうですね」


 ん?

 一瞬、笑った?



「なに、私を無視してイチャついてるんですか?」

「のあっ!? レイナ!?」


 するとレイナが神速で間に入ってきた。



「まだ話は終わってませんよ竜斗様……」

「ははっ……」


 なんて返事を返そうか困っていたら、ワラワラと見知った顔が集まってきた。



 マナさんに、ボブおじさん、ジュンちゃんや、ローゲ。

 ザイルのオッサンに、マツゲくんや、アイナさん。

 帝国の人達や神国の人達までもが。

 ただでさえゴチャゴチャしてたのに、お祭りみたいに更にゴチャゴチャしてきた。


「よー竜坊!」

「お久しぶりです、竜斗さん」

「あらん竜斗ちゃん、またいい男になって」

「おう、竜斗。久しぶりだな!」

「ふふ、お久しぶりです竜斗さん」

「竜斗さん」

「竜斗さん」

「竜斗さん」



 でも……

 何故だろう……

 こんな感じが凄く、凄く嬉しい。




「竜斗様……」

「分かってるよレイナ」


 そんな中、レイナが悲しそうな顔で俯いている。



「行こうか」

「……はい」


「ルル」

「はい?」


「ちょっと付いて来て」

「?」


 俺とレイナは、首を傾げるルルを連れて帝都の天城へと向かった。




◇◇◇




「え……」


 天城・円卓の間。

 そこに連れてこられたルルは少し後退りした。


 まぁそうなるわな。

 だってそこには、帝国の皇帝(アーサー)王国の真王(ジオ)神国の光王(アーシャ)、それとヒュースの計四人が椅子に座してルルを見つめているのだから。



「ほう、可愛いな」

「!?」


 キリッとした眼差しなのに、ルルを見つめるジオの目は興奮しているとハッキリと分かった。

 だからそんなジオに対してルルが後退るのも分かる。



「ジオ、ブッ飛ばすぞ」

「すまん」


 こんな時に何言ってんだコイツは。

 全く、なんも反省してないな。



「ど、どういう事でしょうか……?」

「えっと……」


「私から説明しましょう」


 そう言って、ヒュースが皆の代わりにルルに説明してくれた。





「神書……ですか?」

「ああ」


「それが私と何か?」

「いや、直接ルルに関係ある訳じゃないんだけど……俺達はアルキウスが森に隠した神書を探しにいく。ルルにはそれに付いてきて欲しい」


「わ、私がお役に立てるとは思いませんが……」

「そんな事はありません。戦える治癒士はルルしかいません」


「ですが姫様、それなら確か王国の四傑に……」

「ミラちゃんには既に他のメンバーと共に迷宮攻略に行ってもらってます。彼女には真っ先にSSランクになって貰わないと困るので」


「でしたら……」

「他の主要メンバーには帝都の守護をして頂いてます。他に動かせる人員はありません」


 渋るルルを、レイナは少しキツイ口調で説得する。



「頼みますルル殿。本当に何が起こるか分からないのです。少しでも戦闘に関われる治癒士が必要なのです」


 そんな中、ヒュースがルルに頭を下げる。



「えっと因みにメンバーは……?」

「ここにいる竜斗殿、レイナ殿、アーシャ殿、ルル殿、それと……」


「俺だ」

「はーい、ルルちゃん」


「!? ヒレンさんにゼータさん……?」


 大声で入ってきたのはヒレンで、気持ち悪い喋り方のがゼータ。



「この6名で森を探索し、神書を見つけてもらいます。ルル殿には常にゼータ殿に付いて貰います。治癒も大事ですが、直ぐに逃げて頂けるようにもしてあります」


「お、お言葉ですが……このメンバーで逃げる事態があるのでしょうか……?」


 逆にビビるルルだった。

 まぁ仕方ない。



「……いつ天使と出会すかもしれませんし、それに……」

「そ、それに?」


「竜斗殿曰く、最早この世界に安全な所はないかもしれないとの事です……」

「っ!?」



「だから、ルルの事は全力で護る。けど、俺達でさえどうなるか分からない……だから万が一に備えて、少しでも治癒できる人がいてくれると凄く助かるんだ」

「わ、分かりました……」



 ルルは同行に賛同してくれた。

 勿論、卑怯だって事は分かってる。

 こんな風に言われたら、断れる筈もない。

 それでも……

 本当に俺達でさえどうなるか分からない。

 だからルルの治癒は絶対に必要になる筈なんだ。


 俺は心の中でルルに謝罪した。


 でも、これで漸く準備が整った。

 皆ここに集まったし、帝都を護る結界も準備出来てる。

 守護も迎撃もいつでもいける。

 迷宮攻略も進んでるし、後は……

 俺達が【奴ら】と対峙する前に神書を手に入れるだけだ。





前後しますが、前々話【神書とアルキウス】の続きは次話にて書きます。

新章のタイトルは決めかねてます。


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