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どうせなら異世界で最強目指します  作者: DAX
第十章【帝国】
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アーク帝国とホウライ王国⑧


キリが悪いので、少し短めです。




【帝国側】



「なんてフザけた奴だ……たったの一振りで……っ!!」


 桜花セツナは巻き起こる粉塵を、腕で顔を庇うようにして遮った。

 そして目を細めて、少し遠くにて立つ少年を睨み付ける。


 計り間違えた……

 内心そう呟いた。


 王国との一戦で、彼の弱点に気付いた……これでいつでも倒せると高を括っていた。

 だが……今の状況ではそれが出来ないし、仮にしたとしても警戒されれば何の意味もない。



 彼の……天原竜斗の強さを計り間違えた。





「む、来たか」


 皇帝は僅かに微笑むが、直ぐに冷静になり口角を下げる。



「いつでも撃てるか?」

「は、はい! いけるそうです!!」


 皇帝の問いにセツナは答える。

 だが、ソレは、未だ戦場には姿を現していなかった。

 ただ、遥か後方にて一瞬だけキラリと光った。

 気付いている者は未だ誰もいなかった……




◆◆



【王国側】



 竜斗が前方の魔物を一蹴したが、左右では激しい攻防が繰り広げられていた。

 戦場は混戦を極めていた。

 血と汗と涙が飛び交い、死屍累々たる有り様だった戦場は更に激化していった。


 そんな中、1人の女性が戦場を舞う。


 魔族の王、レイナ・サタン・アルカディア。

 彼女は神器を発動させずに、次々と帝国の奴隷となっている魔族を解放していく。

 首輪に腕輪、鎖の神器を乱暴に粉砕していく。

 解放された魔族は戸惑いその場に立ち尽くす。



「次っ!」


 更に範囲を広げて、どんどん壊していく。

 そんな中、1人の兵士がレイナの蹴りを槍の神器で受け止める。



「…………」

「ぐっ、なんと強烈な蹴りだ!!」


 レイナと兵士は混戦の中、対峙する。

 兵士の腕は痺れているのか、僅かに震える。



「抵抗しないで下さい、直ぐに解放して差し上げます」

「ふ、捕縛されている身だ……無茶を言う」


 兵士は苦笑する。

 かつて人間に捕獲され奴隷となり、今では自分の意思で戦うことすら出来ない身……

 苦笑する他なかった。



「竜人族、ですか……」

「まぁ見た通りだ。そっちは、珍しい魔人族の様だな……」


「もしかして、ドラグナー国の竜騎士ですか?」

「っ!? お前……何故それを……?」


 レイナの問いに兵士は驚いた。

 久しく聞かなくなった言葉だったからだ。



「ふ、お前が竜騎士という言葉を知っているだけで報われる……」

「どういう意味です?」


「最早、竜騎士も我が祖国ドラグナーも滅んだと聞いている……我の竜もかつて戦で薔薇のゼータに殺され、今ではその憎き帝国の操り人形だ……」

「…………」


「だから、我が誇り【竜騎士】という存在をお前の……いや、貴女の様な人の記憶にあるのなら……これ以上の喜びはない……」


 兵士は一筋の涙を流した。



「はぁ……」


 レイナは兵士と違い戸惑っていた。

 兵士の感傷についていけなかった。



「な、何故そのような顔をする!?」


 兵士はレイナの呆れた顔に憤慨する。

 自分の誇り高い思いが伝わらないのかと!



「あの……確かにドラグナー国は滅んだかもしれませんが、ルキもローゲも、ルークくんも無事ですよ?」

「え、な、えっ……!? ル、ルキウス様が……ローゲ様が……ルーク様が……ご無事……え?」


 兵士が困惑する中、レイナは兵士の背後に一瞬で回り込んだ。

 そして、廻し蹴りで兵士の首に発動されている首輪を粉々にした。



「なっ……!!」

「ルキは今……我が国【アルカディア国】で最強の竜騎士として、共に戦う仲間であり、私の友です」


 兵士は勢いよく振り向いた。

 レイナは兵士と目が合うとニコリと微笑んだ。



「ですから諦めないで下さい。この戦が終われば魔族は全て私の国で保護します。貴方の、竜騎士の、魔族の誇りを捨てないで」


 レイナはそう言い残すと再び、戦場を駆け巡った。



「…………俺は、俺はまた、ルキウス様の元で、戦えるの、か……?」


 兵士は久しぶりに自分の意思で握り拳を作った。

 それは戦士の決意。

 竜騎士の誇り。

 魔族の覚悟だった。



「皆、聞けーー!! 魔族はまだ終わっていない!! 王国に、いや! あの方に続けーーっ!! 帝国に、我らを長年苦しめた帝国に魔族の誇りを思い知らすのだーーっっ!!」


 兵士はレイナに向けて槍を翳した。

 それを見たレイナはニコリと微笑んだ。

 兵士は一瞬でレイナの虜になった。

 それが儚い恋とも知らずに……


(女神の為に……!)


 兵士はレイナによって解放された魔族を引き連れ、未だ帝国に囚われている仲間を助け出した。

 それは波紋のように徐々に徐々に拡がっていった。



「す、凄いレイナ様……こんなあっさり魔族の皆さんを……」


 解放されていく魔族を見てミラはまたしても息を呑んだ。



「わ、私達もレイナ様に続くのです! 魔族の皆様を帝国の呪縛より解放するのです!!」

「「おおおおっっ!!」」


 ミラの指示で王国兵も魔族の解放に尽力する。







 形勢は一気に王国へと傾き出す。


 【凶軍】は竜斗によりその数を半分に減らした。

 【魔軍】はレイナとミラにより次々と解放され、王国側へとつく。

 【破軍】は必死の抵抗を見せるも、四傑の2人に手も足も出なかった。


 戦はまだ終わりを見せなかったが、優勢なのは誰がどう見ても王国だった。

 誰もが時間の問題だと、そう感じた瞬間だった。




 戦場を貫くたった1つの巨大な光の流星……


 魔物も人間も魔族も……


 その場にいた全ての種族が一瞬にして半分となった……


 緑が茂る草原は焦土と化し……


 空は煙と灰で黒く染められ……


 そこに築かれていた骸の山は跡形も無くなり……


 2国を隔てる壁は地平の彼方まで簡単に貫かれた……




 一点集中攻撃型決戦神器、【破星】。



 アーク帝国の大戦における第四段階。

 ウロボロスによって王国兵を薙ぎ倒した後、それら諸共纏めて消し飛ばす神器であった。


 種類は【大砲】、属性は【光】、能力は【巨大化・圧縮】。


 帝国に属する者全ての魔力をかき集める多重発動のSランクの神器。

 集められた魔力の光を圧縮し、ウロボロス並みに巨大な筒から一点に向けて発射される攻撃は、世界を簡単に壊す程の威力だった。



 それは……

 決して人が犯してはならない領域だった……

 



何故でしょうね……?

シリアス展開なのに巫山戯たくなってしまいます……(頑張って抑えます!)

【破星】のイメージは……コロニー〇ーザーとビー〇マン(懐かしい!)を足して2で割った感じです。


さて、この章もあと少しです……(多分)

ただ決着後のシーンはまだ考えてません。

キャラクターは、ほぼ出尽くした感じです。

何となく作者の中で終わりに近づいていってます。

読んで下さってる方々、もう暫くお付き合い下さい。

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