表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
どうせなら異世界で最強目指します  作者: DAX
第十章【帝国】
265/318

アーク帝国とホウライ王国④


キリが悪かったので短めです。




 神世歴300年……ある1人の偉大な冒険家がいた。


 彼の名は、【神眼のアルキウス】。


 天魔戦争が終結してから、人間の中で初めて英雄として讃えられた人物であった。


 彼は一冊の本を後世に残した。



 それは……【魔物大全】。



 今の世に出回ってる魔物を綴った本と、何ら遜色のない本であった。

 そこにはEランク~SSランクの魔物の殆どが記されていた。


 彼は人類史上最初にSランクへと至った人物であった。

 彼にはスキル【神眼】と【空間把握】があり、能力【脱出】の神器を所持していた。


 彼は世界に現れては消える迷宮を探索し続けた。


 勿論、SSランクの魔物とまともに戦った訳ではない。

 愚直なまでに臆病で、迷宮50階層【ボスモンスターの間】に入ると、即座に撤退し続けた。



 当時の人々は彼を蔑み罵った……



【嘘だ!】



 と。


 仕方なかった……

 当時の世界に生きる人でSランクは彼1人……

 Sランクの迷宮を進める猛者など他にいなかったからだ。

 誰も彼の本を証明出来る者がいなかった……


 だが、それでも、彼ほど偉大な人物はいない。



 後の世に何人も現れる事となるSランク者……

 強さを追い求め最後にSSランクの魔物に挑んだ彼ら……

 彼らは知ることとなる……

 アルキウスが残した本に書かれていた事は事実だったと……



 それで命を救われた者も何人かいた……


 そしてアルキウスは本当の意味で英雄となる……


 彼が残した魔物の【特性】や、図解は本当だったと……



 そして、その【魔物大全】の最後にはこう書かれていた……




【SSランクの魔物とは絶対に戦ってはならない……】

【あれは、迷宮に巣まう悪魔だ……】

【人が侵してはならない領域の生き物だ……】

【人よ……】

【何人も踏み入れるべからず……】


【アルキウス・H・クラフト】




◆◆




 突如、戦場の空に黒雲が立ち籠めた。

 そこから舞い降りるように、1体の巨大な蛇が降臨する。


 【尾を呑み込む蛇(ウロボロス)


 アルキウスが残した【魔物大全】にも記されている神話の化け物。

 人々は空を見上げる。

 そして絶望する。

 足は(すく)み、体は震え、手から握り締めていた神器を力なく地面へと落とす。


 戦場は静寂に包まれる……

 涙する者、嗚咽する者、股を濡らす者、そして……神に祈る者。

 だが誰も言葉を発さない……

 ただただ空を見上げる……



 そして……ウロボロスが大きく口を開き、自身の尾を呑み込み、1つの大きな輪になった瞬間だった。




◆◆




【王国側】



 真っ先に我に返ったのは英雄エンマだった。



「っ!? 全員、伏せ……っ!?」


 エンマが戦場にいる全員に聞こえるよう叫ぼうとしたが、既に遅かった。



 見えない衝撃が人々を襲う。

 地面に巨大な亀裂が走り、視界を完全に覆う程の巨大な土煙が壁となって噴き上がる。

 それを理解できた者は誰1人いない。


 かつてそれを直に喰らった獅子族がいた。

 彼はその一撃で瀕死の重傷となった。

 彼に隠れた才があったからこそだが、普通なら絶命していた。



 ウロボロスの属性は【次元】。

 巨大な体から繰り出される、見えない尾による一撃。

 その一撃で沢山の命が一瞬にして事切れる……

 戦場は一瞬にして混沌と化した。


 王国兵は悲鳴を挙げ逃げ惑う。

 ウロボロスが何かしたのは分かってる……だが何をしたのかは分からない。

 だから本能に従いその場から逃げ出した。




「くっ、まさか……魔物大全にも記されているウロボロス、なのか?」


 エンマはその場から逃げる事はせず、冷静を保とうとしながら、ウロボロスを見上げる。



「エンマ、無事か!?」


 ミロクがエンマの傍に駆け寄る。



「ああ、なんとかな。だが……っ」

「分かってる。帝国め、よもやSSランクの魔物を迷宮から解き放つとはっ!!」


 エンマとミロクは歯軋りする。

 この戦況を変えるにはどうすればいいか考える。

 だが結論は1つしかなかった。



「「……アイツを倒さなければっ!!」」


 エンマとミロクの声がハモる。

 二人は互いの顔を見合わせると、ほんの僅か苦笑した。



「ミロクは先ず兵達を後退……させ……」


 エンマがミロクに指示を出しながら辺りを見回した時だった。



「……囲まれて、いるのか?」

「ああ、先程トーマス様が仰っていた(さけんでいた)。どうやら我々に逃げ場はないようだ。皇帝め、私達をいたぶるつもりらしい」


 王国兵は囲まれていた。

 後ろは壁。左右は破軍と魔軍。前は凶軍。

 そして上空には神話の化け物。

 逃げ道はなかった。



「ならやはりアレを倒すしかないようだな」

「ああ、先程の魔物同様アレは私達にしか倒せん」


 2人は頷くと駆け出した。

 エンマは剣に、ミロクは拳に、ありったけの魔力を込める。

 最早出し惜しむ気はない。


 2人にとって過去最高難度の対魔物の試練が始まった。



◆◆



【帝国側】



「アルキウスの遺した魔物大全……まさしく神話の化け物だな」


 皇帝はウロボロスを後方から見つめる。



「いかがいたしますか? アレらの準備も万事整っております」


 セツナは尋ねる。

 帝国側の作戦は幾つかの段階に分かれていた。


 第一段階が、魔物を先頭にした侵攻。

 第二段階が、十凶を疎らに転移させ戦場を撹乱。

 第三段階が、王国軍の包囲とウロボロスの転移。

 そして第四段階が……



「まぁ待て。王国の四傑は人類最強の存在……奴らがどこまで抗えるか見届けても遅くはない」


 皇帝は少しだけ楽しそうだった……セツナにはそう感じた。


「御心のままに……」


 セツナは小さく呟いた。



 だが……結果は変わらない。




◆◆



【王国側】



 ウロボロスが戦場に舞い降りてから数十分後……


 ついに……


 王国軍の心は折れた……




「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……くそっ……!!」


 エンマは地に伏しながら必死に立ち上がろうとした。



「かはっ……つ、強すぎる……!!」


 ミロクは【万里長壁】の壁に叩き付けられていた。

 壊れた壁の残骸に手を乗せ力を込めると、ミロクも必死に起き上がろうとしていた。



 2人は満身創痍だった……

 纏う鎧も服もボロボロで、体の至るところから出血していた……

 それでも……

 自分達がやらなければと、心を奮い立たせ、起き上がる……

 だが……



 もはや王国軍に、ウロボロスへ抗う術は無かった……




ウロボロス戦の詳細は次話にて執筆?中です。

省いた訳ではないのでご安心を。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ