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どうせなら異世界で最強目指します  作者: DAX
第一章【はじまり】
23/318

殺意と剣道



 場が静まり返った。



「……………………は?」

「な、何が……起こった?」


 先程まで糞みたいな暴言を吐いていたザイガスは、呆気なく事切れた。



「スゥゥゥゥゥ、ハァァァァァ」

 俺は目を閉じ深く深呼吸すると、ゆっくり目を見開いた。

 そして刀の柄を握る自分の拳を見つめた。



--人を殺した--



 異世界とはいえ同じ人間を殺した。

 それも呆気なく。

 気が狂うかと思ったが以外にも冷静な自分がいた。

 直接ではなく、次元属性を使ったのは俺なりの無意識での心の防衛だったのかも知れない。



「これで少し空気が綺麗になったな」

 俺は生まれて初めて喧嘩を売った。


「てめぇ~何したか知らねぇ~が、その喧嘩買ってやる!」

 ジェガンは歯軋りし俺を睨み付けてきた。


「バカかお前……喧嘩じゃなくて、ただのゴミ掃除だ」


「上等だ!」

 ジェガンは鉄爪の神器【ヴァルログ】を発動させ、両腕に装着した。



 少し冷静にはなったが、それでも俺の怒りはほぼマックスであった。

 神眼を惜しげもなく使い、レイナ達にはなるべく情報は与えないように促していた俺自身がそのことを忘れていた。


「離れてろルル」


 ルルはビクッと体を震わせ俺から離れた。

 その口調は確実にいつもと違っており、俺は人間の方を睨み付けルルとは視線を合わせずにいた。





 ルルは以前竜斗に酷いことを言った。

 人間に対する恨みを関係ない竜斗にぶちまけた。

 それでも尚、竜斗はいつも優しく自分に接していてくれた。

 だが、今目の前にいる竜斗を見てルルは恐ろしかった。


「りゅ、竜斗様……」


 もはや竜斗の耳にルルの声は届いていなかった……





 俺とジェガンが対峙していると、ジェガンの後方より声がした。


「おい、糞ガキ! てめーなんかジェガンさんが相手するほどじゃねーんだよ!」

 魔族を痛めつけていた、見るからに弱そうな二人がしゃしゃり出てきて、神器を発動させた。


 俺は【神眼】で彼らを睨みつけた。






名前

【ザジ・ダボネ】

種族

【人間】

クラス

【ギルド魔族狩り】

ランク

【B】

先天スキル

【速度上昇】【属性<風>】【風耐性】

特殊スキル

【観察眼】

神器

【ナイトメアウィップ】<鞭/?/?/B>

【??】×3



名前

【グルード・グホホ】

種族

【人間】

クラス

【ギルド魔族狩り】

ランク

【B】

先天スキル

【腕力上昇】【属性<地>】【地耐性】

後天スキル

【??】

神器

【ボルトアックス】<斧/?/?/B>

【??】×3






「雑魚だな……」

「はんっ、強がるのも大概にしとけよ糞ガキ」


「お前らは勝手に自滅してろ」

「あ~ん? 何言ってんだてめぇ……」



 俺は神器【森羅万象】を発動させた。

 そして2人の神器に属性を【付加】させた。

 まずは【炎属性】……ザジとグルードの神器がAランクになる。2人は自分達の神器が突如制御できなくなり、神器をもったままその場でうずくまった。



「がっ……なんで……?」

「ま、魔力が……?」


「……な、言った通りだろ」


 2人はあっという間に限界になり、魔力が底を尽きかけ始めた。



「ちっ! お前らぁ神器を解除しやがれ!」

 ジェガンが2人に解除を促すが時既に遅かった。


「これはおまけだ……」


 俺は更に【水属性】を2人の神器に付加させた。

 ザジとグルードの神器は【Sランク】へとなった。

 と、同時に2人の魔力は空になり、その場で倒れ2度と目覚めることのない眠りについた。



「てめぇ~……なんだその神器は?」

「さあな、答える義理はない」


「なら直接てめぇ~の体にきいてやるよ!」

 ジェガンは一気に俺との間合いを詰め、鉄爪で斬りかかってきた。


 俺も迎え撃つようにして斬りかかる。

 ジェガンの鉄爪と、俺の刀がぶつかり合った。




「竜斗様!」


 レイナは叫び俺の援護に向かおうとするが、オークスが腕輪の神器を発動し、俺以外の4人の動きを封じ込めようとした。



【グラブル】<腕輪/無/重力/A>



「くっ!?」

「がっ!!」

「な、なんだ……これ……?」


 レイナは勢いよく地面に叩きつけられ、他の3人も座り込んで動けないでいた。



「お前たちは大人しくしていろ。ここにいる魔族同様、3国に奴隷として高く売りさばいてやる」





名前

【オークス・ホーク】

種族

【人間】

クラス

【ギルド魔族狩り・幹部】

ランク

【A】

先天スキル

【腕力上昇】【属性<地>】【地耐性】【肉体強化】

後天スキル

【統率力】

神器

【グラブル】<腕輪/?/?/A>

【バトルナックル】<籠手/?/?/A>

【1346】<袋/?/?/D>

【ゲート】<門/?/?/B>

【??】



名前

【ジェガン・メサイア】

種族

【人間】

クラス

【ギルド魔族狩り・幹部】

ランク

【A】

先天スキル

【属性<雷>】【雷耐性】【敏捷上昇】

後天スキル

【捕縛】【??】

神器

【ヴァルログ】<鉄爪/?/?/A>

【ロックベルト】<首輪/?/?/A>

【ナイトメアウィップ】<鞭/?/?/A>

【??】×2





 俺は2人のステータスも神眼で視た。

 ランクAか……


「!?」

 すると突如膝が曲がり、俺はバランスを崩した。

 足が思うように動かない。



「はっ、どうやら魔力が無くなってきたみたいだな。迷宮攻略後は速やかに撤収が基本だ」


 スキル【敏捷上昇】の効果で動きを速くし、ジェガンは何度も斬りつけてきた。

 反対に俺の攻撃は中々当たらない。

 迷宮から属性に頼った戦いをしていたのも大きく、怒りに我を忘れて俺は自分の剣道を見失っていた。


「くそっ、なんで当たらない!」

 俺は闇雲に剣を振るった。


「はっは~、さっきまでの威勢はどうした~小僧?」

 ジェガンは俺の剣を難なく躱し、獲物をいたぶるように斬りつけてくる。


「くそっ!」

 俺の体は徐々に赤く染まり、身体には幾つもの切傷ができた。



「どうやら勝負がつきそうだな」

 オークスは何事もなかったかのように淡々と述べる。


「りゅ、竜斗……様……」

 レイナはオークスの重力操作で地面に伏しているなか、必死で声を出した。


「け、剣道……です……竜斗様の……剣道を……」

 レイナは必死で何かを伝えようとするが、俺の所までは声が届かない。



 レイナは最後の力を振り絞るかのように叫んだ。


「竜斗様の剣道を思い出して!!!!」




 俺の耳がピクッと動いた。

 レイナの声がハッキリと聞こえた。




 そっか……そうだよな……

 俺は……なんてバカなんだ……

 俺の剣道は人を殺すためにあるんじゃない……

 レイナを……みんなを……守るためのものだ!!




 俺の眼に怒りの色はなかった。

 その眼は綺麗な……何処までも澄んだ金色に輝いていた。


 俺は構え直した。

 右足を後ろに下げ、体を右斜めに向け、刀を右脇に取り、剣先を下げるようにして構えた。


【脇構え】


 そして最後の魔力を振り絞り神器【絶刀・天魔】に【雷属性】を纏わせた。


【雷属性】


 神眼の力でジェガンに【雷耐性】があるのは分かっている。

 だけどジェガンの動きは速く今の俺には捉えきれない。

 バジリスク、ウロボロス、そして人間3人とジェガン……連戦により体も魔力も限界だ。

 雷属性を纏わせたのは、少しでもジェガンより速く斬るため。



【脇構え】+【雷属性】




「バカかぁ~今更なにやってもおせぇ~んだよ!」

 ジェガンは一気に間合いを詰めるように鉄爪【ヴァルログ】で斬りかかってきた。



 ったく、ス〇Ⅱかよ!

 どうやら俺の思考も通常運転に戻ってきたようだ。



「陽金・雷の位 十六夜(いざよい)!!」


 月を描くような軌跡で、逆袈裟斬りを放つ。



 ジェガンは咄嗟に回避しようとするが間に合わず、両腕を切断された。

 ジェガンはそのまま地面に転がりこんだ。


「ぐわぁあああっっ!! いてぇ! いてぇ! いてぇ! いてぇよ!!」



 オークスが神器を解除し、ジェガンの元に駆け寄り、抱き抱える。


「撤収するぞ」

「いてぇ……」


 オークスは門の神器【ゲート】を発動させ転移しようとした。

みんなは動けず、俺もその場に座り込んでいた。



「ま、待て……」

「悪いな、ジェガンにはまだやるべきことがあるんだ。ここで死んでもらうわけにはいかんのでな」


「てめぇ……確か、竜斗……だったな。覚えてろ……絶対にこの借り(・・・・)は返すからな……」


 いかにも敵が言い残しそうな台詞トップ3を言い放ち、2人は消えいった。




 4人が俺の元に駆け寄ってきた。


「竜斗様!」

「竜斗!」


「ははっ、ごめん……あいつら逃がしちゃったよ」

「いいのです、竜斗様が無事なら」


「……ありがとう、レイナ」

「えっ?」


「……あの時レイナが叫んでくれなかったら、多分俺あいつに殺されてた。自分がなんでこの世界で戦うのかも、思い……出せたよ……」



 俺はその場で眠るように倒れた。





文章の中に「陽金」とありましたが、造語です。


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