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どうせなら異世界で最強目指します  作者: DAX
第八章【闘王祭】
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闘王祭と武王⑤


更新空いてしまい申し訳ありません。

今日は活動報告を書いてます。

小ニュースです!





 昨日はあれから大変だった。

 カルラくん達4人の質問が、俺とレイナの2人の関係についてになり、ずっと質問攻めにあった。


 しかも話の流れで……俺達の泊まる、宿兼ギルドへ来ることになり、皆でレイナの祝杯をあげることになった。

 まだ1日あるし、闘王祭が終わった訳ではないのだが……レイナの余りに華麗な戦いぶりを観て、サクヤさんが企画したのだ。



 皆で楽しく飲み食いするのは楽しかったのだが……悔しい思いもした……

 それは、お酒だ!

 皆はいい、だって二十歳以上だし。

 だが、ザナードくん達が飲めるなんてズルい!

 貴族様だからか、お酒には慣れているそうだ……

 ふざけてる……


 で、俺が何に悔しがっているのかというと……コップ一杯のお酒でダウンしたことだ……

 だって、飲んだ事ないし!

 未成年は飲んじゃ駄目だし!


 だから俺はお酒を一杯飲んでから、その後の記憶がない……

 そして頭が痛い……

 吐きそうだ……

 リィンゴのジュースにしておけば良かった……






「頭いてぇ……」

 俺は頭を抑えたまま項垂れていた。


「いや~、リュートにも弱点があって良かったぜ」

 キョウが俺の隣で嬉々としている。


「うるせー……」

 ダメだ……声にも力が入らない。


「よしよし、大丈夫リュートくん?」

 反対隣のユイが背中を擦ってくれる。


「ん、ありがと……」

 俺は弱々しく微笑む。


「……なんか今のキュンときた」

 ユイは惚けているが、今の俺につっこむ元気はない。


「お、そろそろ始まるぞ」

 ユイの隣に座るサクヤさんが舞台上を指差す。




 ここは闘技場、観覧席。

 既に日も昇り、絶好の闘王祭日和となっていた。


 周りにいる観客達も大盛り上がりだ。

 だが、今の俺は頭が痛くて、騒音にしか聞こえない。




『さあさあ皆様! 本日はいよいよ闘王祭、武王の部・決勝戦です! 実況は私……彼の家で高級紅茶スレヌティーヌを飲んできたと自慢気に話す同僚を、どうやって不幸にしてやろうか考え中のクナでお送りします!!』


 はは……

 クナさんは楽しそうだな……


『解説は昨日と同じ、ギルド【剣爛舞踏】のギルドマスター・セルトスさんです。セルトスさん、よろしくお願いします』

『ほごごぐ』


 爺……セルトスさんは、今日は最初から入れ歯をしてないご様子だった。

 そもそも、入れ歯をしてないだけで何故あんなに滑舌が悪くなるのだ?


『いよいよです! いよいよ今日、今年の闘王の部に出場するギルドが決まります!』

『ふごっぐ』


『ふむふむ、なるほど……それは本当に楽しみです』


 よく分かるな……

 てか、なんて言ったんだろ?


『セルトスさんの言った通りにして、今度2人の邪魔をしてみますね』



 …………

 …………そっち!?

 同僚の邪魔をする話だったのかよ!!


 うっ……!

 頭いてぇ……

 つっこみさせんなよ……



『では皆様も待ちきれないご様子なので、武王の部・決勝戦に出場する選手を登場と共にご紹介させて頂きます!』

『ふがふが』


『先ずは第1グループ代表、ギルド……!!』


 クナさんは順々に選手達を紹介していった。

 その度に観客達は拍手と歓声を送った。



 そして……



『最後に登場するのは勿論この御方! ギルド【刀剣愛好家】、【拳姫】レーナ選手だーー!!』



 観覧席の至るところで、いかつい男共が、野太い声で応援している。

 中には、女性でレイナを応援している人達もいる…………よく見たら王院の子達だ。制服を着ていたからよく分かる。


 にしても……レイナ凄い人気だな。

 多分、全部門全選手の中で1番声援を受けている様に思う。

 俺の場合は男からの声援が少なく感じたが、レイナは老若男女問わず応援してもらっている。




『さあさあ、これで各グループ代表、全10選手が出揃いました!』

『ふがが』


『なるほど……確かに皆さん、舞台上では(まば)らに散っていますね。ギルド【一意専心】の選手が多数おられますが、連携はされないご様子です』

『ふがっく』


『まぁこれは毎年の事ですね。ギルド【一意専心】の皆さんは自分が最強だと自負しておられますから、誰もが【武王】の座を狙っています』

『ふがが……』


『そうですね。今年は何と言っても、【風林火山陰雷】のレイヴン選手と、【刀剣愛好家】のレーナ選手がいますからね……お二人とも予選を楽々通過しておりますので、私はこの2人のどちらかだと予想しております!』

『ふが』


『なるほど……セルトスさんは、あのお方が勝つと?』

『ふが』


『本当に楽しみです!』



 誰だよ!?

 そこ言わないのかよ!!

 今、絶対ここにいる皆そう思った筈だ。

 いい加減、入れ歯しろよ……


 はぁ……今日はなんか既に疲れた……

 でも時間が経過し、頭痛の方は少し楽になってきた。


 うん……

 唐突だが、何故か今日は無性にレイナとイチャイチャしたくなった。

 何故かは分からん。

 うん、夜が待ち遠しいぜ。




 そんなレイナは……舞台上で目を閉じ集中し、動く気配はない。

 他の選手は、ストレッチしたり、魔力を一瞬だけ放出したり、体を動かしたりと、各々で集中力を高めてる。

 レイヴンっておっさん?は、レイナと同じで静かに精神統一していた。


 これで【武王】と【闘王の部への出場ギルド】が決まる。

 皆の集中力は半端ない……

 舞台上の熱気が、観覧席にまできている。


 大盛り上がりだった観客達も、徐々に固唾を飲んで見守りだした。

 闘技場が静寂に包まれた。

 誰も声を発さない。

 小さな音すらしなくなった。


 観客の唾を飲み込む音だけが僅かに聞こえた気がした。



『…………異様な空気が流れております。過去、この闘王祭【武王の部】がこれほど静まり返った事はありません……』

『ふがが……』


『セルトスさんも記憶にないそうです……』


 クナさんとセルトスさんの声も、心なしか小声だった。

 勿論、マイクの神器を使っているので闘技場全体にまで聞こえてはいるが、慎重に喋っている……そんな感じだった。




『で、では……これより、武王の部・決勝戦を始めたいと思います。皆さん、用意はよろしいでしょうか?』


 クナさんの声を合図に、舞台上にいる全選手の目が開き、誰もが相対する他の選手達を睨み付けている。



『それでは……武王の部・決勝戦…………始め!!』



 全選手が同時に神器を発動させた。

 籠手や具足の神器を。

 予選とは違い、レイナも籠手の神器【大和】を瞬時に発動させた。ただレイナに動く気配はない。

 先程と変わらず、舞台の端に立ち、じっと他の選手を見ていた。


 炎を纏った籠手の神器。

 地属性の巨大な籠手。

 雷を纏わせた具足の神器。

 風属性や水属性の綺麗な神器……等々。


 皆が近くにいる相手と殴り合いを始めた。



 そんな中で、真っ先にぶっ飛ばされた選手がいた。

 どこのギルドの奴かは知らないが、1番前の観覧席の壁にまで飛ばされ、気を失った。


 殴り飛ばしたのは、レイヴンっておっさんだ。

 その手には、炎属性の籠手の神器が発動されていた。


 てか、改めて見てもレイヴンって人は、ガオウみたいな風貌だった。獅子族と見間違いそうだ。



『レイヴン選手、ゆっくりと前へ進みながら相手を吹き飛ばしました!!』



 観客達が沸く中、レイヴンはゆっくりと前へ進んでいる。

 真っ直ぐに……

 レイナに向かって……


 レイナとレイヴンは互いに相手を見つめている。

 敵は【こいつだけ】だ……と、言わんばかりの雰囲気だった。

 他の選手達も気づいたのか、面白くなさそうな顔をすると、二手に分かれてレイナとレイヴンへと襲いかかった。



 だが……



「火の章……烈火豪拳!!」


「魔神掌(弱)!」



 レイヴンの豪拳が……

 レイナの掌底が……

 簡単に他の選手達を場外へと吹き飛ばした。


 そして誰一人、立ち上がる様子はない。



『な、な、な、な、何てことでしょうか!? 勇敢にもレイヴン選手とレーナ選手に襲いかかった他の選手達は、一撃で戦闘不能になってしまいました!!』


 クナさんの実況にも熱が入った。

 それを聞いた観客達も更に盛り上がった。



『こ、これで舞台上に残った選手は……レイヴン選手とレーナ選手、それとギルド【一意専心】のアラン選手だけとなりました!!』



 アランは角刈りの頭をしており、上半身は裸で、巨大な籠手の神器をしている奴だった。

 図体はデカイ。

 レイナより大きく、レイヴンと同じくらいの体格だった。

 だが……


 レイナと、歩を進めるレイヴンとの丁度中間くらいに位置し、体を震わせている。

 キョロキョロと、レイナとレイヴンを見回している。


 なんか、可哀想になってきた……



『予選と同じく全くその場から動かないレーナ選手! 対するレイヴン選手は真っ直ぐとレーナ選手に向かっていきます! アラン選手は……どうやら戸惑っている様子です!』


 クナさんの実況に、観客の中から何人か微笑していた。

 可哀想なアランさん……



「く、くそったれーー!!」


 アランは空に向かって叫ぶと、レイナに向かって駆け出した。

 あーあ、それはしちゃダメだろ……

 御愁傷様です……



『アラン選手、レーナ選手に向かって駆け出したーー!! 正直どうなるか、一目瞭然です!!』



 …………ちょっとうけた。


 でも仕方ない。

 キョウもユイも、サクヤさんでさえ、アランのとった行動に呆れている。

 多分誰もが吹き飛ばされると思っているだろう。



 そして……



「絶爪・崩狼牙!」



 レイナの鋭い一撃がアランを襲った。

 五本の引っ掻いた様な爪痕がアランの体に刻まれ、アランも他選手同様、場外へと吹き飛ばされた。


 これで残るは2人……

 凄く分かりやすい展開になった。

 レイナとレイヴン……勝った方が武王で、勝った方のギルドが闘王の部に出場だ。



 実況も解説も、観客もギルド員も、貴族も誰もが興奮した。

 一体どっちが勝つのか……

 一体どのような攻撃を繰り出すのか……

 誰もが熱い展開に胸を踊らせた。



 そして、レイナとレイヴンは駆け出した。

 互いに向かって真っ直ぐに……



 だが……次の瞬間、レイナの神器【大和】が粉々に砕け散った。




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