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どうせなら異世界で最強目指します  作者: DAX
第八章【闘王祭】
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闘王祭と武王④


ぼちぼち学生の子達は夏休みかな?

羨ましいです……





ーー魔神牙(極弱)ーー




 気づくとレイナの腕は体の前で交差し、爪は牙みたいに鋭く、地面に突き刺さっていた。

 舞台はレイナを中心にヒビが入り、そこにはレイナ以外誰も立っていなかった。


 レイナはゆっくりと顔を上げ、上空を見上げた。





 俺がエルガーをぶっ飛ばした時以上の高さと数の人が舞った。

 観覧席から観客達を見渡すと、誰もが唖然とし、口が開いたままだった。

 驚きすぎて顎が外れるのでは?


 次に俺は未だ宙を舞う選手達を見つめた。

 神眼のお陰か、まるで静止画をコマ送りするみたいにゆっくりと眺めた。

 時が止まった様な感覚に陥った……流石は俺の婚約者だ。


 にしても……また一段と技が凄くなってないか?


 あの一瞬で、襲い掛かる選手達を纏めて上空へと吹き飛ばしたのだ。

 両腕を振り上げてから、地面に突き刺さるほど一気に振り落とす……手加減してるのに、あの威力だ。



ーウズー



 やば……またレイナと戦ってみたくなった。

 その時だった……スキル【聴力】もないのに、僅かに嫌な音が聞こえた気がした。



ーピキッー



 まるで、何かにヒビが入った様な音だった。

 舞台からではない……確かにひび割れて僅かに砕けているが、もっと高い音……まるで金属にヒビが入った様な音だった。



 結局、いくら耳を研ぎ澄ましても、音の出所は分からなかった。



 そして、吹き飛ばされた選手達が、地面に落下する。

 レイナは神器を解除すると、自身の服をパンパンとはたく仕草をした。


 いやいや、絶対汚れてないから。

 あの一瞬で吹き飛ばしたのに埃が付く訳がない。



 誰もが呆然と眺める中、最初に口を開いたのはクナさんだった。



『い、一撃……た、たったの一撃です!! レーナ選手、目にも止まらぬ速さで、舞台上にいた他の選手達を一瞬にして吹き飛ばしてしまいました!! これがSランク!! これが拳姫!! これが、レーナ選手の実力だーーーっ!!』


『ふががーーーー!!』



 闘技場が湧いた。


 歓声と拍手が飛び交う。

 レイナを称賛する声があちこちから。



 レイナは頬を僅かに赤らめて一礼すると、舞台を降り、控え室に繋がる通路へと向かった。




『これで武王の部の予選は全て終了いたしました! 明日、いよいよ、武王が! 闘王の部へ出場するギルドが決まります!!』


 興奮冷めやらぬ中、クナさんは実況し続ける。


『ふがぐふごふご……ふががご!!』

『成る程、本当に楽しみですね。トーマス様率いるギルド【風林火山陰雷】か、はたまた新進気鋭のギルド【刀剣愛好家】か……本当に楽しみです!』







【観覧席】



「あ、有り得ない……」

「う、うん……」


 ザナードくんとカルラくんは未だ呆気に取られていた。

 ちらほら観覧席を後にする者がいる中、未だに呆然と舞台を眺めていた。



「あ、あれが拳姫……レーナさんの実力……?」

「…………す、凄いですわ」


 ルナちゃんとファナちゃんも、2人の横で余韻に浸っていた。


「ほ、本当に……母上と互角に戦えるかも……」

「バカな!? 強いと言っても流石に【四傑】に匹敵する……なんて事は……」


 ザナードくんは言葉を濁した。

 それほどまでにレイナは強く、自分ではその力を計れないと判断したからだ。


「……どうやったらあんなに強くなれるのかしら?」

「同じ女性として憧れずにはいられませんわね」


 ルナちゃんは唾を飲み込み、畏怖すら覚えた。

 ファナちゃんは僅かに頬を赤らめ、ウットリとした。



「……迷宮」

 ザナードくんは小さく呟いた。


「「!?」」


「俺達が強くなるには……迷宮しかない」


「で、でも……流石に僕達に迷宮は……」

「そ、そうよ! 無謀もいいとこだわ!」

「ですわね。大体、王院生の私達に迷宮攻略が許可されるとは思いませんわ!」


「なら、どうする……俺達はいつになったら強くなれる?」

「「そ、それは……」」


 ザナードくんの言葉に、3人は言葉をつまらせた。




(……あの御方に報告しなくては。もしかしたら……上手くいくかもしれん)


 ザナードくん達の少し離れた後ろの席で、怪しい笑みを浮かべる影があった。


(それにしても……まさかこの王都に来ていようとは! 狙いはなんだ!? くそっ、どちらにせよ今は手が出せんか……)


 影は静かに立ち上がると、人混みに紛れるようにして、その場を後にした。





【ギルド用観覧席】



「ふぉ、ふぉ、ふぉ、流石はレーナ嬢……凄まじい【牙】であった! あの年で糞爺を超えるとはのぉ」


 かつての【守護神】トーマスは、顎髭を擦りながら高笑いした。



「笑い事か糞爺……どうすんだあの強さ? レイブンさんが負けるとは思えねぇが、苦戦は必須だぜ?」


 トーマスの孫、エルガーは顔に包帯を巻いて、面白くなさそうな顔をしていた。



「まだまだじゃのぉ馬鹿孫よ、儂は言うたぞ。恐らく儂らは負けると」

「ちっ」


「で、ですがこれはバトルロイヤル……何が起こるか分かりませんよ?」

「いやいや、あの強さ……他の選手達でどうにか出来る強さではないぞ」

「た、確かに……流石はサクヤ殿のギルド……」


 フィラ、ガルデア、カイルも、レイナの強さを目の当たりにし、考察するがいい案は出てこなかった。



「ちっ、カイル……てめぇそればっかだな? あのオバサンに惚れたのか?」

「なっ!? い、いえ私は……決して……その様な……」


 明白だった。

 カイルは否定するが、顔を真っ赤にさせていた。



「カイルお主……」

「最低……」


 ガルデアとフィラは、冷ややかな眼差しでカイルを見つめた。



「わ、私の事はいいじゃないですか!! ど、どうされるおつもりですか……レイブンさん!?」



 カイルが勢いよく振り返ると、後ろの席には、レイブンと呼ばれる男が座っていた。

 【火】の称号を与えられた男……レイブン。

 長い髪を逆立たせ、前髪はオールバック……筋肉もゴツく、一見すると獅子族みたいな男だった。

 だが、れっきとした人間である。



「…………さあな。戦ってみんことには分からん。が、強い! 相手にとって不足なし!」

 レイブンはスッと立ち上がると、その場を後にした。



「ちょっ!?」

 エルガーは引き留めようとしたが、既にレイブンは立ち去っていた。



「ふぉ、ふぉ、ふぉ、どいつもこいつも負けず嫌いじゃのぉ。明日が楽しみじゃわい」





【貴賓席】


 基本的には貴族専用の観覧席……そこでも、レイナについて話し合う者達がいた。



「くくっ、どうだミラ? レーナは強いだろ?」

「ミロクさん……笑みが怖いですわ……」


 ミロクは嬉しそうに笑う。

 ミラはそれを見て、一瞬だけあきれた。


「でも確かに……それにあれが実力とは思えませんわ」

「その通りだ。魔物を倒した時もそうだが、彼女の本当の力は拳にある! ああ……本当に楽しみだ!!」


「まだ彼女が勝つとは決まってませんよ。それに……」

「それに?」


「いえ……確信は有りませんが、何か嫌な音が聞こえた気が……」

「ふふ、流石はミラだ。スキル【聴力】もないのに、あの音が聞こえたか」


「ミロクさんも聞こえたので?」

「ハッキリと聞こえた訳ではない。だが……拳法家として何となく察しはついてる」


 ミロクは笑みを止め、真面目な顔で舞台を見つめた。


「レーナが気づいてるかは知らないが……ミラの言う通り、もしかしたら一波乱あるかもな」


 ミロクは立ち上り、ゆっくりとその場を後にした。

 ミラも後を追う様に立ち上がると、少しだけ舞台へ振り返り、そのままミロクに付いていった。




◆◆




【控え室】



「お疲れ様レイナ」

「はい、お疲れ様です竜斗様」


 俺達は微笑みあった。

 俺はレイナにタオルを渡すと、汗は掻いていないがレイナは顔を拭いた。



「皆さんは?」

「ああ、先に宿に帰ったよ。あんな一瞬で終わったら疲れてないだろうから、俺だけ迎えに来た。祝杯は宿でしようって」


「そうですか、なら……帰りましょうか」


 レイナさんは本当に疲れてないご様子だ。

 既に身支度に取りかかり、荷物を纏めだした。

 帰る気満々。



「明日は決勝だね?」

「はい」


「まぁなんの心配もしてないから、適当に頑張って」

「はい」


「明日勝ったら、いよいよミロクさんとだな」

「はい」


「…………」

「…………」



 話すことがなくなった。

 レーナは荷物を纏めている……

 俺はレイナの背中を見てる……



「レイ……!?」

「竜……!?」


 同時だった。

 俺がレイナの肩に手を伸ばそうとしたのと、レイナが振り返り俺に近づこうとしたタイミングが。

 ぶつかりそうになったが、そのまま優しく抱き締めた。



「…………」

「…………」


 互いに、優しく小さく微笑みあった。



「…………あ、汗臭くないですか?」

「レイナはいつもいい匂いだよ」


 レイナは焦った様に尋ねてきた。

 俺は鼻をクンクンさせたが、汗臭くない……寧ろ花の様な甘い香りがした。



「も、もう……竜斗様ったら……」

 レイナは顔を赤らめた。


 どうやらかなり恥ずかしかったみたいだ。



「ねぇレイナ?」

「はい、なんでしょう?」


「いい加減さ……竜斗様っての止めない?」

「何故です?」


「え~と、何か恥ずかしいし……それに俺ら婚約者だろ? 様って呼ばれるのは……」

「なら、何とお呼びしましょう?」


「う~ん……」

 提案したのはいいが、いい呼び方が思い付かない……


 レイナは少しだけ俺から離した。



「竜斗様がいた世界では、何と呼ばれてましたか?」

「え……そうだな……学校の奴等からは【天原】って呼び捨てかな? 後は【天原くん】とか【天原先輩】とか? 翔兄と智姉からは【竜】って呼ばれてた」


「で、では……私も……お兄様方と同じでも良いですか?」

「竜って事?」


「は、はい……」

 レイナは少しだけ恥ずかしそうにした。


「いいよ」

 全然問題ない。




「…………りゅ、竜……」

「うん、レイナ」




 俺は恥ずかしそうにしているレイナを抱き寄せた。

 暫く抱き締めた後、俺はゆっくりと見下ろした。

 レイナはこっちを見上げると、少しだけつま先立ちをした。


 そして、そのまま顔を近づけていった……



 控え室の廊下では未だに他の選手達の声や音が賑やかに聞こえる。

 だが、俺達のいる控え室だけは静かな、穏やかな時が流れていた。







「リュートさん、レーナさん、いますか!?」

「さっきの……!?」

「きゃっ!?」

「っ!?」


 突然、控え室のドアが開かれた。

 入ってきたのは、将来の王国を担う若者4人組。


 4人は控え室の入り口で立ち止まった。

 見てはいけないものを見てしまった……そんな感じで。



 反対に俺とレイナはえらく落ち着いていた。

 見られても全然問題なかった。



「ノックするのがマナーですよ?」

 レイナはゆっくり俺から顔を離すと、優しく4人に注意した。



「えっ……お二人って……あれ?」

「うそ……」

「まさか……」

「で、でも……え……」


 4人は、スライムが豆鉄砲喰らったみたいな顔をしている。



「言ってなかったっけ?」


「えっと……」

「な、何を……?」

「ですか?」



「俺とレイナ(レーナ)、婚約者だよ」



 し~ん…………



 俺は確かに感じた。

 時が止まったのを。




「「ええええええっっっ!?」」




 4人の大きな声がハモった。

 それはもう綺麗なまでに……





夏休みの宿題……今なら速攻で終わらせられる自信があります!

まぁ、高校の時は読書感想文しかなかったですが(笑)→友人は【〇太郎】で書いてました(笑)自分は【〇ンダム】で書きました(笑)

読書感想文……なろうの作品を書いたら面白いかも。


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