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どうせなら異世界で最強目指します  作者: DAX
第八章【闘王祭】
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闘王祭と武王②



「なんで……これが……」


「ん? お前さん知ってんのか?」


「あ、いや……」



 しまった……思わず呟いてしまった。

 でも仕方ないだろ……

 だってガブリエルが使ってた、今はネムリスが持ってる筈のこの神器がここにあるんだから……



「私と竜斗様(リュートさん)は神国(側)から来ました。この神器は1度、神国でお見かけしたことがあります」


「レーナちゃん、この神器知ってんのか!?」


「はい、今は亡き女王ディアネイラが持っていたものです」


「なっ!?」



 レイナは知ってる事を、店長のおっちゃんに話始めた。

 勿論、天使の事や……俺達がランクSS以上の事は黙ったままで。

 嘘は言ってないが、本当の事も隠した。




「そうか……なら女王ディアネイラはランクZEROだったのか?」


「いえ、それはないです……ディアネイラはランクAです」


「ならなんで、女王はこの神器を……」


「私達も詳しいことは……」



 するとモブリンさんとアイナさんも、いつの間にか話に加わってきた。



「そういや……オラ達はネムリス陛下に頼まれて、物資を王国に届けただ。中には王様への献上の品もいぐつかあっだと……」


「魔物に襲われたとお聞きしました……もしかしたら、その時に紛れ込んだのかもしれませんね」


「んだ」



 あれ?

 そう話す2人の距離がやけに近い。

 この短時間でかなり仲が良くなったようだ。

 早くね?

 俺の気のせいか……?




「うむ……そう言うことか……」

 おっちゃんは頭を悩ませてる様子だった。


「どしたの?」


「リュート、この神器買う気はないか?」


「「は!?」」


「いやな……本当なら貴族さんに高値で売るか、家宝にでもしようか考えたんだけど……国王陛下の献上品かもしれないんだろ? なんかお偉いさんに知られて打首とかになりたくないから、お前さんに譲ろうかと……」


 おい!

 俺が打首になってもいいのか!!



「レーナちゃんに迷惑はかけたくないし、お前さんなら……いいかなと」


 ふざけんな!


「そんな物騒な神器いらねぇよ!! それに俺は刀派だ!! 大体Sランクの俺には発動すらできねぇよ!!」


 すんません……最後は嘘つきました。

 発動出来ます。

 でも、これで俺がランクZEROだということは誤魔化せたかな。



「馬鹿野郎! 善良な一般市民の俺が死んでもいいのか!!」


「どの口が言ってやがる!! 自分の体を見てみろ!!」



 おっちゃんの肉体は鍛え上げられ、ムキムキだ。

 しかもテカッてる。

 ボディービルダーだ。



「ごほん……まぁそれに理由はそれだけじゃねぇ」

 おっちゃんは、わざとらしく咳き込む。


「?」


「お前さんなら、いつかこの神器を使いこなすんじゃないか……そう思ったから提案したんだ」


「…………」



 何なんだ……

 何故この世界の人達は、こうも勘が鋭いのだろう……



「でもな……」


 俺は思わず照れてしまった。

 まさか、おっちゃんの俺への評価がこれほど高いなんて……



「籠手や具足だったらレーナちゃんに薦めてる。お前さんは剣士なんだろ? お前さんが持っとけよ、強いんだし」



 なるほど……

 ただの相性か……

 つまり俺は、おっちゃんにとってレイナのバーターって事ね……



 俺は頭を掻いて諦めた。



「分かったよ……いくら?」


「お、買う気になったか! まいどあり!!」


 おっちゃんは……強かだ。

 一気に商売人の顔になり、ヘラヘラと笑ってる。


 そして……かなりのお金を徴収された。

 ぐっ……お金袋がスカスカだ。

 涙が溢れそうになった。

 だって……表立って使えない神器を高値で買わされたんだからな……




「丁度いい、レーナちゃんも買っていくか?」

 おっちゃんは俺が項垂れているのを無視して、レイナに振り向いた。


「何かあるのですか? 正直、このお店で働かせてもらっていましたが、良い神器は無かったかと……」


「ぐっ……手厳しいなレーナちゃん……だが、今ならある!」

 おっちゃんは自信満々に答えた。


 おっちゃんは、厚い胸板から神器を取り出した。


「これだ!!」

 おっちゃんはレイナに手を差し出す。


「……………………はぁ」

 レイナはめっちゃ受け取りにくそうに、神器を受け取り指にはめた。



【銀華】<兜/無/守護/S>



 レイナは神器を発動させた。

 その神器は、兜とは名ばかりの髪飾りだった。

 一輪の大きな華と、リボンを合わせた銀色に輝く神器だ。

 レイナの左耳の上辺りに装着され、レイナの美しさを更に際立たせた。


 いい……


「ど、どうです竜斗様(リュートさん)?」

 レイナはクルリとその場で回って見せた。

 可憐だった。


「いい」

 俺は、おっちゃんにグッジョブをした。

 おっちゃんも、ニヤリと笑うとグッジョブし返してきた。


「では、これ買います」

「まいどあり!」



「今のSランクだろ? どうしたの?」

「ああ……昔の【美麗杯】に出てた骨董品だ。知り合いの金持ちが持ってたけど、要らないから譲ってくれたんだ」


「へぇ……」

「何でも英祖ショーマのパーティーにいた奴のとか何とか……本当か知らないけどな」


 俺はレイナの方に振り向いた。

 店に置いてあった鏡を見て、レイナは嬉しそうに確認している。

 余程、気に入ったようだ。





 そういえば、俺とレイナがスキル【邪眼】の力でステータスを変えていた事は、サクヤさん達にもバレてしまった。

 当然、デモンストレーションや天王の部で活躍してしまった俺だ……Aランクで通すのは限界だ。


 というわけで、この際Sランク仕様に変えてみようと思う。


 レイナに耳打ちして変えてもらった。




【リュート・テンゲン】(18)

種族

【人間】

クラス

【天剣】

ランク

【S】

先天スキル

【剣神】

後天スキル

【五光】【魔曲】【神速】【合魔】

特殊スキル

【観察眼】

神器

【御神木】<刀/無/不壊/E>

【森羅万象】<籠手/炎水風雷地/付加/S>

【1783】<袋/次元/収納/D>

【魔名宝空マモルモノ】<盾/風/守護/S>

【神鳴カミナリ】<刀/雷/放電/S>

【帰巣本能マクロ・ス】<門/次元/転移/S>

※【絶刀・天魔】<刀/次元/巨大化/ZERO>

※【天の剣】<剣/水/伸縮/ZERO>



【レーナ・サタルディア】(21)

種族

【人間】

クラス

【拳姫】

ランク

【S】

先天スキル

【魔皇】【枯渇】【身体強化】

後天スキル

【崩拳】【??】

特殊スキル

【魔眼<王>】

神器

【銀鶴】<具足/無/衝撃/S>

【大和】<籠手/無/衝撃/A>

【巴】<薙刀/無/属性無効/A>

【銀華】<兜/無/守護/S>

【??】

【??】

※【崩龍】<籠手/次元/衝撃/SS>




 ふむ……大分、元のステータスに近づいた。


 俺が変えたのは……クラスとランク、それと【森羅万象】のランクくらいだ。

 後天スキルの【王気】と【変化】は隠したままだ。


 レイナも……クラスとランク。後はそのまま……あれ?



「レイナ……歳が……21?」


「あ、はい……そうですよ。【三ノ月】の【三ノ日】が生まれた日です」

 レイナは当然のようにシレッと答えた。


 て、数日前じゃん!!

 鎧王の部の予選じゃん!!

 キョウが敗けた日じゃん!!



「何で言ってくれなかったの!?」

 俺は焦りまくって声を荒げた。


「何でと申されましても……別に、1つ年を取っただけですよ?」

 レイナはシレッと答えた。


 つまりあれか……

 魔族には、誕生日を祝う習慣がないのか……

 または、アルカディア国にはないか……

 はたまた、レイナが気にしてないか……



 レイナは2つ上ではなく、3つ上だった。

 衝撃の事実だった……




「はぁ……」

「?」


 俺が深いため息を溢してもレイナはキョトンとしている。




 くっ、俺は……

 婚約者失格だ……

 婚約者の誕生日を知らなかったなんて、男として最低だ……

 でも仕方ないじゃないか……

 今まで彼女とかいたことないし……

 言い訳?

 するよ!

 させてよ!

 じゃないと、罪悪感で押し潰されそうだ……




「今度何かプレゼントしなくちゃ……」


 俺は小声で呟いた。



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