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どうせなら異世界で最強目指します  作者: DAX
第一章【はじまり】
21/318

追加と奥義



 見事バジリスクを撃退したガオウとゼノだったが、やはりダメージとSランクの神器を発動させた負荷は思った以上に大きくその場で倒れこんだ。



「はぁ、はぁ、はぁ……」

「ハァ、ハァ……しんど……」


 息を切らしながら2人は仰向けになっていた。



 俺とルルは2人の元に駆け寄った。

 レイナも【巴】を解除してからゆっくりと歩いてきた。



「大丈夫レイナ?」

「ええ、なんとか。でもやはり適性のない属性を扱うのは負担が大きいみたいです」


「そうだった!」

 レイナはSランクになったとはいえ、属性に対する適性はなかった事を今更思い出した。


「ごめんよ、スッカリ忘れてた……」

「いえ、いいのです。合図を送ったのは私ですから」



 ルルはなんの事か分からない様子で首を傾げた。

「いつそのような合図を?」


「バジリスクの毒の塊を斬る前に、レイナが走ってた時だよ」

 俺はルルに説明した。


「……あの一瞬でそのようなやり取りを」



「ルル、2人の回復をお願いします」


「あっ、そうでした!」

 ルルは急いで神器【オリオン】を発動させて2人の回復を行った。



「忘れられてるのかと思ったぜ……」

「うむ……」


 2人は愚痴ってきた。

 そして2人が期待するかのように俺の方を見ていた。



 俺は神眼を発動させた。



「ど、どうだ?」

 ゼノは恐る恐る尋ねてきた。



 俺は少し黙ってから、ゆっくりと握り拳を2人に突き出し、親指を立てた。



-2人ともSランクになっていた-



「ははっ……やった……やったぜ!」


 ゼノは手で顔を覆った。

 ゼノは悲願だったSランクを遂に成し遂げた。

 よほど嬉しかったのだろう、指の隙間から流れる大粒の涙が止まらなかった。



 それにしても……急にどっと疲れた。

 数日の事だがもっと長かったように感じた。

 ベッドで寝たい……



 回復も終わり5人とも、他愛もない会話をしながらその場に座り込んでいた。




 ふと俺は気づいた。


「ねぇ、迷宮ってどうやって出るの? まさか歩いて入り口まで戻るの?」

「いえ。迷宮は攻略されると自然に消え、中にいた者も外に転移されま……!?」


 俺を除く4人がハッとした。



「そういえば!? なぜ迷宮が消えない!!」

「し、神珠も出てきてないです!」



 皆が顔を見合わせる。


「ま、まさか……」×5



 ゴゴゴゴッという震動と共に一気に床が崩れ始めた。



「そんな!? まさか迷宮がSSランクに!?」

「バカな!? 攻略の方が早かったはず!!」


「……いや、恐らく同時ぐらいだったのだ!」

「どうでもいいけど、俺ら絶賛落下中なんだけど……!」



 レイナとゼノは力を振り絞り、自身の羽根を拡げた。

 レイナは俺を、ゼノはガオウとルルを抱えて飛翔した。



 こんな時に不謹慎であったが、空を飛ぶのは凄かった。

 なんとかして空を飛ぶ神器を手に入れたいと思った。



 ゆっくりと地面に着地すると、レイナとゼノは座り込んだ。

 割りと楽にバジリスクを倒したと思ったが、森羅万象の負荷の方が大きいみたいで、満身創痍であった。



 地下49階と50階が繋がり天井がより高くなった。



「高いな……」

「油断するなよ竜斗……SSランクのボスがいる筈だ!」


 辺りを見渡すが、ボスモンスターの姿はどこにも見当たらなかった。


「一体どこに……」


 俺が呟くと、突如ガオウが壁に吹き飛ばされた。


「がはっ……!?」

 ガオウは血だらけになり、そのまま気を失った。


「ガオウ!? ルル、急いで回復を!!」


「は、はいっ!」

 ルルはガオウに駆け寄り、回復を始める。

「ひ、ひどい傷です……」



「敵はどこだ!?」

 俺が叫ぶと、レイナが空中を指差した。

「あそこです!!」



 空中を見上げると、突如空間が裂け、中から今までの魔物とは比較にならない程巨大な蛇の頭が現れた。


「あいつが……?」

「で、でけぇ……」


 巨大な蛇は空間から出ると、そのまま弧を描くように丸まり、自分の尾を呑み込み、ドーナツみたいな綺麗な円形となった。



「な、なんだあれ……」

「ま、まさか【尾を呑み込む蛇(ウロボロス)】……」


「ウロボロス?」

「は、はい……ドラゴンに匹敵する程の伝説級の魔物です」



尾を呑み込む蛇(ウロボロス)

属性【次元】

スキル【猛毒】【高速再生】

ランク【SS】

弱点【尾】



「…………」

 俺は神眼を発動させた。


 そして改めて神眼とは、どれだけ凄い特殊スキルなのか実感した。

 レイナの持つ【魔眼<王>】は基本的には何でも視れたが、視れないものが2つだけあった。

 それが【潜在ランク】と【弱点】であった。



「ねぇ?」

 俺は皆に問いかけた。


「ど、どうしました?」

 レイナが聞き返してくれたが、ウロボロスから目は離していなかった。


「早く帰ってベッドでゆっくり休みたくない?」


「!? 竜斗こんな時に何言ってんだ!!」

 ゼノが怒って叫んだ。


 レイナとゼノは満身創痍。

 ガオウは気絶。

 ルルは治療。

 なら俺がやるしかない。


「いや、あいつさっさと倒して、帰ってゆっくりしたいなぁ~と思って」


「!?」

 俺があっさり答えるとみな、驚いた。



「……た、倒せるのですか?」

「うん、多分ほぼ一瞬で」


「なっ!? お前それは、いくらなんでも……」

 ゼノはそれ以上言葉が出なかった。


 当然だ。

 俺のランクは【ZERO】、ウロボロスより上。

 そんな俺が自信満々で言うのだから。



 俺は神器【絶刀・天魔】だけを発動させた。

 右手だけで持ち、軽く素振りする。

 ウロボロスには悪いが相手が悪かったとしかいいようがない。

 俺は神器に魔力を込め、ダランと神器を下ろすように構える。

 いや、もはや構えですらなかった。


 そしてそのまま無造作に空を斬った。



-ボトリとウロボロスの首が落ちた-



 本来ならウロボロスはスキル【高速再生】で斬れた首を再生させるのだろうが、そんなことはさせなかった。



【無構え】+【次元属性】


「極みの位 終」



-俺は更にウロボロスの【尾】を斬った-



 俺は今までやってきた空間を斬る剣技(?)に技名をつけた。

 しかし技を発動させた瞬間に残念な気持ちになった……やはり技は少しずつ強くしていきたかった。

 そして最後に奥義が完成するのが理想だった。



 だが奥義が完成してしまった……

 本当に残念だ……



 そしてウロボロスは空中に浮かんだまま消えていった。

 呆気なく、本当に呆気なく……



「本当に一瞬で……」

「ははっ、すげぇな……」


「いや、やっぱ神眼が凄いんだ。弱点が尾ってわかるんだから」

「竜斗様それは違います。仮に他の者が尻尾が弱点だと分かっていても、恐らく倒せないでしょう」


「なんで?」

「まず、SSランクのウロボロスに傷がつけられません。もしつけれても、すぐに再生してしまいます。その隙に尾を攻撃など出来る筈がないのです」



 しかし俺はそれをやってのけてしまった。

 しかもあっさりと……



「ねぇ、ひとつ聞きたいんだけど……誰も倒せないのになんでウロボロスのこと知ってるの? 迷宮を攻略出来ないなら、ウロボロスの事を知ってるの変じゃない?」

「ああ、それは迷宮を脱出出来る神器があるのです」



 なんと!

 そんな便利な神器があるとは……



「へぇ~なら無理して攻略しなくても、ヤバくなったらその神器使って脱出すればいいね」

「いえ、それはかなり珍しい神器で人間たちの中でも限られた者しか扱えないそうです。ウロボロス等といった伝説級の魔物については、そうした者たちが記した書物から知識を得たのです」



「ふ~ん……ちなみに魔族のなかには?」

「その神器はSランクらしいので、魔族の中には……」


 いないって訳か……

 なら魔族は人間と比べて、情報に関しても遅れをとってる訳か……

 【魔族の国を安定】……想像してたよりかなり大変そうだな



「ぐっ……ボ、ボス……モンスター……は?」

 ずっと治療を受けていたガオウが目を覚ました。


「大丈夫です、竜斗様が倒されました」

 ルルが治療しながらガオウに説明していた。


「そうか……また竜斗に助けられたな……」

「気にするなよ、こんな時の為の俺だろ。それに3人がSランクになる目的は達成したし、俺も……不本意ながら奥義が完成しちゃったし……」


「いや、不本意なのかよ!」

 ゼノが突っ込んでくれた。


「だって、やっぱ色々試行錯誤しながら完成させたかったのに、あれ以上の奥義思いつかないよ。まぁまだ試したい複合技や、考えてることはあるけどさ……」


「まぁさっきの奥義? あれは最強だな。防げる自信は正直ないな。確かにあれ以上はないのかもな……」



 俺は項垂れ、みんなが笑って話していた。



 すると、突如頭上が光だした。

 光の中から神珠が現れ、ゆっくりと俺たちの元に落ちてきた。


 神珠の数は3つであった。


 やはりAランクまでなら手に入る神珠は1つで、それ以降1個ずつ増えていくみたいだ。

 どんな神珠か視てみたいが、神眼は神珠を視れない……

 レイナの魔眼<王>は、出来そうになかった……レイナは疲れきってる。


 帰ってララに視てもらうしかないようだ。



 そして迷宮が消え始めた。



「やっと攻略だな」

「ええ想像以上に大変でした」

「だが来たかいはあった」

「だな」

「皆さん無事で良かったです」


 俺達は各々感想を述べるとそのまま地上に転移した。





 日差しが眩しかった。

 若干、目が痛かったので俺は左手で太陽の光を遮った。




「おいおい、一体どこのどいつ誰だぁ? Sランクの迷宮を攻略したのは?」


 不意に気持ちの悪い不快な声が耳に刺さった。




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