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どうせなら異世界で最強目指します  作者: DAX
第八章【闘王祭】
201/318

闘王祭と輝王⑥


気付いたら200話でした。

今回は短めです。




 輝王の部の予選が終わり、俺達のギルドの控え室に戻ると、ユイが椅子に座りながらグッタリとしていた。



「お疲れ」

「あ、リュートくん。お疲れ~」


 ユイは笑っていたが、本当に疲れているようだ。

 汗をかいているし、笑顔も苦笑いだった。



「大丈夫ですか?」

 レイナが心配そうに駆け寄る。

 近くにあったタオルで、額の汗を拭いてあげている。


「ははっ、連続で攻撃したからね……色を瞬時に変えるだけなのに凄く疲れちゃった……」


「次の準決勝出れそうか?」

「うん、大丈夫……やるだけ、やってみるよ……」


 キョウも心配している。

 誰の目から見ても疲労は明らかだった。

 緊張やらで、予想以上に魔力を消費したのだろう。



「無理すんなよ」

「もうリュートくんまで……大丈夫だっ……て……」


 大丈夫そうに振る舞いながらユイは立ち上がろうとしたが、立ち上がった瞬間によろけた。

 それをいち早く抱き止めたのはサクヤさんだった。


「無理をするな。どう見ても疲労困憊だ。準決勝は棄権しろ」

「そんな!? 私、大丈夫です! まだ、やれまっ……!」


 自分で立てるとアピールしようとしてか、ユイはサクヤさんから離れようとしたが、すぐにまたよろけた。

 今度はそれをレイナが抱き止めた。



「ダメですよ、下手をしたら死んでしまいます」

「で、でも……!」


 朝とは打って変わってユイはヤル気満々だ。

 だがヤル気とは裏腹に、体は限界みたいだ。


「ユイの気持ちは分かってる。ユイの目標は【楽しいギルドを作る】事だろ? そこにはユイも含まれるんだ、今無理して何かあったらどうするんだ」

「で、でも……」


 ユイは悔しそうに俯いた。


「後は任せろ。余裕のぶっちぎりで勝つから。ついでにあのいけ好かない奴も、ユイの代わりに完膚なきまでにしてやる」

「そ、それはそれで、私の立つ瀬がないんだけど……」


「大丈夫です。ユイさんの頑張りは皆分かっています。だからゆっくり休んで下さい」

「…………ホント、ごめん……役に立たなくて……後、お願い……やっぱ、ちょっと、限界……みた……い……」


 ユイはそのまま気を失った。



「大丈夫か?」

「……大丈夫です、眠っているだけです。余程気を張っていたのでしょう」


 キョウはレイナと替わるようにユイを抱き抱えると、ベッドに運んでいった。


 一段落すると、俺達もそれぞれ休憩をとった。





「さてと……私はギルド本部に棄権すると伝えてくる」


 サクヤさんは一息ついた後、控え室を後にした。



「……わりぃなリュート、レーナ……不甲斐ない古株で……」

 いきなしキョウが謝ってきた。


「いいよ。闘王祭に出たいって言いだしたのは俺だし、二人にこそ無理させたから謝らないと」

「いや、それはギルドの総意だから謝らなくていい。結局、お前らに頼ることになるから……それが申し訳無くてな……」



「大丈夫です。お二人とも見違えるように強くなられました。それに……」

「それに?」


「私の方こそ感謝の気持ちで一杯です」

「レーナ……?」


「皆さんに……ギルド【刀剣愛好家】に出会えて私は幸せです。王国にも来られましたし、闘王祭にも出られましたし、何より戦いたいと思える程の人に出会えました。おまけにお爺様の事も知れましたし」


 レイナはそんな風に感じていたのか……


「キョウさんとユイさんがいたから闘王祭に出られる事が出来ました。それは決して数合わせではなく、お二人だったからこそ皆楽しめたのです」

「そう言って貰えると助かるな……」


 キョウは照れ臭そうに鼻を掻いた。


「事実、楽しかったですよ。皆で相談して、闘王祭に向けて修練したり、準備したり、依頼をこなしたりと」


 確かに。

 ディアネイラの死から気落ちしてたのに、いつの間にかそれが忘れられるくらい楽しかった。

 きっとそれはキョウとユイとサクヤさんに出会えたからだ。

 王国に来られたから、四傑に出会えたから、カルラくん達に出逢えたから、皆に出会えたからだ。



「うん、だな。俺も楽しい。きっと皆に出会えたからだ」

「おいおい、どうした二人とも? そんな改まって……」


 キョウの方が逆に赤面していた。

 我ながらちょっとくさかったか?



「だから見てて下さい! お二人が支えてきたギルドを汚さない戦いをしてみせます!」

「俺もだ! 刀剣愛好家を最強のギルドにしてみせる!!」


「お前ら……」

 キョウは嬉しそうに、恥ずかしさからか俯いた。


 俺とレイナはそれを見て、微笑みあった。



 控え室の外でサクヤさんが聞いていた。

 布団の中でうずくまってユイが聞いていた。


 俺はそれに気付かなかった。


 でも俺はこのギルドが好きだ。

 皆が好きだ。


 だから二人の為にも絶対に負けられない!





ぼちぼち、主人公・ヒロインがメインです。

別にダルかったから【輝王の部】終わらせた訳ではありませんよ!

最初からこの展開を考えてました……ええ、考えてましたとも。

闘王祭もいよいよ、後半です。ちょっと楽しくなってきました。


そして毎度の事ですが、敢えて言わさせて下さい……夜勤、万歳!!


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