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どうせなら異世界で最強目指します  作者: DAX
第八章【闘王祭】
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闘王祭と鎧王③


3話目、短めです。





「お爺様を……知っておられるので…………あっ!?」

 レイナは最後慌てて口を押さえた。


 思わず正体を認めてしまった。

 失言だった。



「どうやって人間の姿になったかは分からんが、儂にはバレバレじゃ。ステータスは邪眼じゃな?」

 対する爺は事も無げに答えた。


「気づいとらんか? あの忌ま忌ましい糞爺そっくりじゃわい」

 爺は思い出したかのように歯軋りした。


「ほれ、あれじゃ……なんだったかのぉ~……おおっそうじゃ! 【崩狼牙】! あやつが得意とした拳法……いかん、思い出しただけで腸が……」

 爺の体がワナワナと震え出した。



「本当にお爺様を……?」

 諦めたのかレイナは認めた。


「ああ、若い頃に何度もやりあったわい……お互いまだBランクかそこそこで、鉢合せしたら即バトルじゃったわい」

 爺は感慨深そうに話した。


 忙しない爺だ。


「何度か熱いバトルを繰り広げてのぉ……まぁ向こうはどこに住んでおるか話さなかったし……儂も追求せだったから、詳しくは知らんが、アルカディアという国の魔族の王という事は知っておった」



 ちょっと待て……なら、なんで今までアルカディアはホウライ王国に攻められなかったんだ?

 それにレイナの代まで隠れて暮らしてきたって……もし爺の言うことが本当なら、レイナがバリバリ活動していたのは完全に血筋だと言う事になる。



「小僧……不粋な事を考えておるな? 漢と漢の秘密じゃわい、儂が国に進言すると?」


 すんません……ちょっと思ってました。


「息子が生まれたと嬉しそうに話したの最後に、会わなくなってのぉ……ギルドの賞金首リストに【レイナ・サタン・アルカディア】の名を見つけた時は、孫でも出来たかのように喜んだわい」


「トーマス様……」

 レイナは嬉しそうに爺を見つめている。


「同時に、まだくたばっておらんかったのか糞爺……とも思ったわい」


「トーマス様……」

 レイナは呆れたように爺を見つめている。



「で、爺は?」


「…………私が物心ついた頃に……」

 レイナは悲しそうに俯いた。


「…………くたばりおったか……あの頃を知る奴がまた一()いなくなったか……」

 爺は天井を見つめている。

 俺にはそれが涙を堪えようとしている風に見えた。




「時にレイナ嬢……お主、過去にエンマの小僧と戦い(やり)合ったな? あの英雄と戦って無事とは……」

「す、すみません……魔族を助けたくて……」


 話を聞くと、レイナ達に賞金が懸けられたのは、その時かららしい。

 観察眼所持者に視られたって訳だ。



「Sランクの神珠を取られて憤慨しておったぞ……」


 マナさんの旦那さんの形見……


「あやつが盾の神器だけAランクなのは、その時の戒めじゃ……」


 そう言えばそうだったかも……



「まぁ名前も違うし、姿も若干違うし、恐らく大丈夫じゃろうが……一応、気を付けよ……エンマは【冷酷無慈悲の剣】と呼ばれる様な一面もある」


 げ、マジかよ……

 寡黙そうだがいい人そうに見えたのに……警戒し直しとくか。




「儂はもう行くが…………最後に、レイナ嬢」

「はい?」


「【絶爪・崩狼牙】は?」

「体得しております」


「ふぉ、ふぉ、ふぉ……その年でやりおるわい。あの技には儂も苦戦させられた……闘王祭で見れるのを楽しみにしておるぞ」

「はい」


 爺は最後に高笑いしながら去っていった。

 その中に、「儂の弟子達は当然、勝つ気でおるから油断するでないぞ」とか忠告もあった。


 しませんとも。


 しかしだ……多分、いや間違いなく闘王祭を1番楽しみにしていたのは俺の筈なのに、この疎外感は一体なんなのだろうか?

 まぁ祭りの楽しみ方は人それぞれだし、いいんだけどね。



「絶対勝ちましょうね、竜斗様」

「当然」


 爺を見送りながらレイナと微笑み合った。



 おっと、忘れるところだった……そろそろキョウ達を起こすか。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 かつての守護神トーマスは、闘技場にある選手控え室前の廊下を歩きながら昔の事を思い出していた。



「魔族の牙は決して折れぬか……」

 かつてのライバルの言葉を思い出す。


「【サタン】の名を冠する娘か……ロウガ……お主、気づいておったのか?」

 歩きながら誰にも聞こえない声で呟く。


「何の目的でこの国に来たかは知らぬが…………【天魔戦争】が本当にあったのなら、あの娘の運命は過酷じゃ……」

 先程初めてあったのに、トーマスは孫娘の様にレイナを慈しんだ。



「にしても……あのリュートとかいう小僧、何者じゃ? 恐らく【邪眼】による偽名じゃろうが……エンマ……いや、クラフト王家の雰囲気に似ておるのぉ~……」

 トーマスは立ち止まり、後ろを振り返った。


「それに……あいつ、めちゃ強くね? 神速持ちとかヤバすぎじゃろ?」

 トーマスの額から僅かに汗がつたった。



「…………久方ぶりにショーマの【研究施設】に立ち寄ってみるかの……ついでに弟子達にも気合いを入れ直せと発破をかけておくか」



 トーマスは闘技場の外に向かって静かに……だが、どこか嬉しそうに歩き出した。





次話より、いよいよ【鎧王の部】。

閑話、多目で申し訳ないです。

サブタイトルも……考えるのが面倒でさぼってます(許)


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