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どうせなら異世界で最強目指します  作者: DAX
第八章【闘王祭】
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闘王祭と鎧王①




「ん……こ、ここは…………?」

「あっ! サクヤさん、やっと目を覚ました!」


「……ユイ……か?」

「みんなー! サクヤさん気がついたよ!」



 談話していた俺達は、ユイに呼ばれてベッドに横たわるサクヤさんに駆け寄った。



「ギルマス大丈夫ですか?」

 レイナがユイの横に並ぶ。


「心配しましたよ……ギルマス右腕斬られるし……」

 キョウは、ほっと胸を撫で下ろした。


「みんな……私は……? うっ!?」

 サクヤさんは体を起こそうとしたが、右腕が痛み、苦しそうにした。


「まだ安静にしてて下さい。先程、王国の治癒士の方が来られて、斬られた右腕は復元したばかりですので……」

 レイナが丁寧に説明する。



「そう……か……ここは?」

 サクヤさんは体を起こすのを辞め、ゆっくりと横になった。


「ここは控え室。宿に戻ろうかと思ったけど……サクヤさん、動かせる状態じゃなかったし……」

「心配かけたなユイ……いや、みんな……」


 サクヤさんは優しく微笑んだ。


「何はともかく……サクヤさんおめでとう」

「ありがとう竜斗(リュート)。なんとかギルマスとしての役目は果たした……後は……頼んだ……」


 そう言うとサクヤさんは喋り疲れたのか再び眠りについた。



 サクヤさんが寝息をたて、休んだのを確認してから俺達は、控え室にある椅子に再度腰掛けた。



「それにしても凄かったねサクヤさん」

 ユイが嬉々として話す。


「ああ……最後、駄目かと思ったけど……流石俺らのギルマスだ」

「だね」


「明日は【鎧王の部】だっけ?」

 俺は明日の予定を確認する。


「そうですよ竜斗様(リュートさん)……頑張って下さいキョウさん」

「おう、任せとけ!」



「鎧王の部のルールは?」

「それも聞いてなかったのかよリュート……」


 キョウは呆れている。

 【それも】とか失礼な……全部聞いてません!



「鎧王の部は毎年少しルールが変わるそうだが、基本的には同じらしい」


「へ~」

 なら今年は去年とは違うわけか。


「まぁ、ぶっちゃけると……殴られるのを黙って耐えろ! それが鎧王の部だ」


 なんだそれ……


「ちなみにだが……」

 キョウはゴクリと唾を飲み込む。

「今年は……四傑のミロクさんの攻撃を耐えないといけないらしい……」


 は?


「殴る人……鎧王の部では【試拳官(クラッシャー)】と呼ばれるんだが……そのクラッシャーがミロクさんと発表されてから、辞退したギルドが殆どだ……」

 キョウは説明しながら、項垂れている。


 そりゃまぁ……Sランクのそれも最強と名高い四傑の攻撃なんて誰も喰らいたくないよな……



「でもそれならキョウにも勝つチャンスが増えるんじゃ……」

「甘いぞリュート! ルールを聞いてない間抜けなお前は、人が減ってラッキーとか思ってんだろうが、甘々だぞ!!」


 ミロクさんの前に俺が殴るぞ!

 誰が間抜けだ!

 お茶目と言え!


「鎧王の部は、クラッシャーの攻撃を耐えて、初めてポイントが貰える! つまりだ!」

「つまり……耐えれなかったらポイントが貰えない……?」

「そう言うことだ!」


「もし全員耐えれなかったら?」

「その年の鎧王は無しってことだ」


「その年って……まさか……?」

「その通り……鎧王がいなかった年は過去に何度もある」


 マジか……

 だったら俺が鎧王に出るべきだった……



 鎧王の部の細かいルールをキョウから聞くことにした。

 今度はしっかりと聞いた。



 鎧王の部で使用していい種類の神器は3つ。

 【鎧】、【盾】、【胸当】の中から2つまで。


 で、それらを使って【試拳官】……クラッシャーと呼ばれる人の攻撃を耐えるだけ。

 ちなみに今年はミロクさん……


 挑戦できる回数は……予選が3回、決勝が2回。

 クラッシャーは、主催側が用意したE~Aまでの神器で、挑戦者を思いきり攻撃する。

 ちなみに今年はSもあるらしい……


 Eが1ポイントで、Aが5ポイント。

 ちなみにSは10ポイントだそうだ……


 ランクは毎回指定出来、獲得ポイントが高い上位5名が決勝に進み、決勝は有無を言わさずA以上の攻撃を耐えなければならない。

 ちなみに今年は決勝でAかSを指定出来るらしい……



 どんだけドMな部門なんだ……自分で殴られる強さを指定するとか……



「キョウ……大丈夫か?」

 キョウの心配をする。


 キョウのランクはB。超めっちゃ頑張ってもAの攻撃しか耐えれない。普通に考えたらBだな。

 しかし今年はミロクさんがクラッシャー……ランクBの攻撃も生半可な威力ではない筈だ……

 そりゃみんな辞退する筈だ……死にたくないもん。


 基準が今一分からんが……つまり順当なら予選で12ポイント、決勝8ポイントの、計20ポイントがキョウが取れるポイントだ。



「ちなみに……この部門の歴代最()ポイントを叩き出したのは……デモンストレーションで行ったミランダ・H・クラフトの……予選30ポイント、決勝20ポイントの計50ポイントだ……」


 は?


「つまり……Sランクの攻撃を全て耐えたらしい……」


 すげーな……ミラ……


「当時10歳の少女が、守護神トーマスに引退を決意させた記録だ……」


 マジかよ……10歳って……俺、漫画読んで遊んでたし……



「正直言うと怖い……今までのも全てやせ我慢だ……」

 キョウはぶっちゃけ始めた。

 無理もない……


「でも……ギルマスがあんだけ頑張ったし、リュートやレーナもいる……俺はこのギルドで自分の限界を確かめたい……」

 キョウは意を決したように話した。


「キョウ……」

 ユイが心配そうにキョウを見つめている。


「無理すんなよ」

「無理しないで下さい」


 レイナと声が被った。

 キョウはふっと小さく笑みをこぼした。


「まぁ、ほどほどに頑張るさ」

 キョウはあっけらかんと答えるが、さっきのを聞いた限り無理しそうだ。



 突如、俺らのいる控え室のドアをノックする音が聞こえた。



「はい?」

「失礼するぞ」


 ドアを開けて入ってきたのは、小さな白髪の老人だった。

 顎髭も白く長くて、老人は撫でるように擦っている。


 神眼発動。

 ギルド【風林火山陰雷】のギルマス……元・四傑の一人、守護神トーマスだった。



「ふぉ、ふぉ、ふぉ……神器発動、【眠くな~る】!」



 爺がいきなし、ぶちかましてきやがった!



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