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どうせなら異世界で最強目指します  作者: DAX
第八章【闘王祭】
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闘王祭と剣王⑥



 次の日も、朝早くに空砲が鳴る。



 【剣王の部】決勝……これで【王の座】が1つ決まる。

 キョウとユイに期待していない訳ではないが、勢いの為にもサクヤさんには是非とも勝って欲しい。



「おはようレイナ……あれ? 皆は?」

 扉を開けたが、そこにはレイナしかいなかった。


「おはようございます竜斗様……ギルマスは先に行かれたみたいで、キョウさんとユイさんも先程行かれましたよ」

 レイナは朝食の皿を並べてくれている。


「なら食べたら急ぐか」

 ご飯はきちんと食べます。


「ふふっ、よく噛んで下さいね」

 レイナは微笑している。


 朝御飯はトーストみたいなのと、コーンスープみたいなのと、蜜柑みたいなフルーツだった。


 朝食を済ませると、俺とレイナも闘技場へと向かった。

 服装は昨日と同じ。

 洗濯? きちんと洗いましたとも。




「今日も多いな」

 町行く人々は相変わらず多い。

 それも全員が闘技場に向かっている。


「ですね……ギルド専用の入り口があって助かりますね」

 一般の人達とは違い、ギルドに所属する人間には別の入り口が用意されている。



「キョウ達、控え室かな?」

「行ってみますか」


 取り敢えず、俺らのギルドの控え室へと向かった。

 向かったのはいいが……そこには人だかりが出来ていた。



「なんだこれ……?」

「お、多いですね……」

 あまりの人の多さに俺とレイナは控え室に入れないでいた。


「おお、来たか」

 その人だかりの中心から声がした。


「!?」


 その声の主は、人だかりを掻き分けながらこっちに近づいてきた。


「ミロクさん!?」

 四傑だった。


「悪いな遅くなって……例の物だが、無事に見つけることが出来た」

 そう言ってミロクさんは丸められたデカイ旗を取り出した。


 なるほど四傑がいるのだから、人だかり出来て当然であった。

 それにしても……僅か1日足らずで旗を用意してくれるとは……



「すみません、ありがとうございます」


「なに、気にするな……」

 俺はミロクさんから旗を受けとるが、ミロクさんはレイナの方を向いていた。

「久しいなレーナ……」


「お久しぶりですミロクさん」

 レイナは軽く一礼した。


 その様子を見ていた周りはどよめいている。


「どうやら剣王の部の決勝には出れたみたいだな」

「ギルマスが、ですけど」


「トーマス様が作ったギルド【風林火山陰雷】は手強いぞ」

「存じております」


「仲間を信じているのだな?」

「当然です……それに……」


「それに?」

「貴女を倒すのは私です」


 周りが更にどよめいている。



「ふふふっ、本当に楽しみだ……贔屓する訳ではないが、是非お前と戦いたい」

「私もです」


 女性同士の火花がぶつかり合う。

 こえぇ……

 にしても俺ってアウト・オブ・眼中……まぁ良いけどね。



「では楽しみに待っているぞ」

 ミロクさんは手をヒラヒラさせながら、その場から去っていった。


 釣られるように人だかりも解散していった。

 レイナは四傑に喧嘩を売った……だが思いの外、周りからはブーイング等は起こらなかった。



「竜斗様、行きましょう」

 気づくとレイナは観覧席に向かおうとしていた。


「あれ? 控え室は?」

「誰もいませんでしたよ」


 いつの間に確認したんだ……

 そんな訳で俺とレイナは観覧席へと向かった。

 ギルド紋の入った旗……思いきり振って応援してやる。




ーーーーーーーーーーーー




 観覧席を見渡すと、2人を発見した。

 隣には2つほど席が確保されていた。


「やっと来たか……って旗返して貰えたんだな」

 キョウが旗に気づいた。



 キョウとユイに先程の出来事を説明した。

 ビックリしていたが、段々2人も慣れてきたのか、驚いたのは最初だけだった。



「それにしても凄い人だな……」

 昨日もほぼ満員だったが、今日は一段と多い。


「仮にも剣王の決勝だからな……当然だな」

 初めてのくせにキョウが知ったかぶる。



『さあさあ皆様!! いよいよ剣王の部、決勝戦!! 闘王祭の今後を左右する大事な一戦が間もなく始まります!!』

 今日も元気にクナさんが実況する。


『解説は昨日と同じ、ガイス・ナイさんに来ていただいております!!』

『どうも』


 マツゲくん……そんな名前だったのか……



『ガイスさん、どうですかね【剣王の部】決勝戦……』

『そうですね……妥当なところでカイル選手、サクヤ選手ではないでしょうかね』


 マツゲくんは今日も長い前髪をファサっと手を使わず風に靡かせる。

 朝からうざいな……



『以上、実況席から至極つまらない解説でしたー!』

『…………』


 やるなクナさん……


『おっと……いよいよです! 各ギルドより選ばれし5人が入場します!!』


 クナさんが実況すると、順々に5人が闘技場へと入ってきた。

 それと連動するかのように地面から音をたてて、昨日と同じ舞台が現れてきた。



『先ずは1グループ代表……ギルド【刀剣愛好家】のサクヤ・レイナルド選手ーーっ!!』

 クナさんの実況と共に、サクヤさんは片手を挙げながら舞台へと上がっていった。



『2グループ代表……ギルド【剣爛豪華】のヤサカ選手ーーっ!!』

 肌が色黒で、金髪をショートにした、男が上がる。


『3グループ代表……同じく【剣爛豪華】のオルガ選手ーーっ!!』

 次いで筋肉ムキムキの大男。

 両手で豪快に手を振っている。


『4グループ代表……これまた同じく【剣爛豪華】のヨーダ選手ーーっ!!』

 更に小柄で細身の男。

 この人は控えめに小さく手を振っている。


 俺らから少し離れた観覧席から大声援が飛び交う。

 大所帯の剣爛豪華のメンバー達だった。

 声援だが、若干サクヤさんに対して野次も飛んでいる。



『最後が5グループ代表……ギルド【風林火山陰雷】のカイル選手ーーっ!!』

 カイルは無表情で舞台へと上がる。

 皆に手を振るような愛嬌もしない。



『皆さん神器発動はまだですよ……最後は開始の合図と共に発動して頂きます!』

『各選手がどのような作戦を立てているのか大変楽しみです』



 剣爛豪華3人は、構えだした。

 神器は発動していない……だがいつでも発動・突撃出来ます、みたいな状態だ。


 サクヤさんとカイルは反対に微動だにしない。

 サクヤさんは腰に手をあて、カイルは腕を組んでいる。




『それでは……剣王の部…………』



 クナさんは溜めながら実況する。

 闘技場全体が静寂に包まれる。


 旗を持つ手に力が入る。

 キョウとユイも固唾を飲んで見守っている。



『決勝戦…………』



 頑張れサクヤさん。



『……始めっ!!』



 闘王祭、剣王の部、決勝戦の幕が切って落とされた。

 俺は、ギルドの紋章が刻まれた大きな旗を、力一杯振った。




 次話、剣王の部ラストです(多分……多くても二話)。


 おまけ……最後の方の文章に【幕が切って落とされた】って書きました。最初は、火蓋が~って書いていたのですが、間違った日本語なんですね。勉強になりました。


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