表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
どうせなら異世界で最強目指します  作者: DAX
第八章【闘王祭】
179/318

闘王祭と剣王④



 俺は無事に役目を果たした。


 まぁ当初の予定ではミラにお願いするつもりだったが、ミロクさんに出会えた事は大きかった。

 ミロクさんならことの成り行きを把握してるしスムーズに旗を渡してくれそうだ。

 たまたまミラが外に出ていたが、本来なら全て塔で受け渡しなどをしなければならなかったし……なにより塔からギルドの紋が刻まれた旗を持って出たら一発で今まで不法侵入していた人物が特定されてしまう。


 俺の事だけどな。


 今回はたまたま塔への出入りも自由になれた。

 結果オーライ!




「お待たせレイナ(レーナ)

「あ、お疲れ様です竜斗様(リュートさん)


 闘技場内にある観覧席に到着し、すぐに皆を見つけた。


「どうでした?」

「ああ、オッケー。偶然ミロクさんに出会えたから、ミロクさんにお願いしたら直ぐに見つけて持ってきてくれるって」


「流石リュートやるな」

「リュートくん凄いね……四傑にお願いできるなんて」


 レイナの横に座るキョウとユイが褒めてくれた。

 そうか?

 俺らのギルドの旗を返して貰うんだから、正当な理由だし、出来るだろ。



「あれ? そういや、サクヤさんは?」

 キョロキョロと見回すがギルマスの姿がない。

 確かレイナがサクヤさんの傍にいるって言うから近くにいるもんだと思っていたが見当たらない。


「ああ、ギルマスなら別の所から1人で観るって……集中して観たいんだとさ」

「さっきまではいたんだけどね」


「今何試合目?」

「先程、四試合目が終わったので、次が最後です」


 早っ!?

 俺が皆と別れてから、そんなに時が経っていないのにもう?



「3試合……結構早く決着ついたんだ」

「凄かったよ~3人とも同じギルドのメンバーで、毎年【剣王の部】で活躍するギルドなんだって」


 ユイが説明してくれた。

 へ~……それでサクヤさんも気合いを入れ直すために1人になったのか。


「ギルド【剣爛舞踏(ケンランブトウ)】……王国ギルドでメンバーも100人を超えるランクC+の大手ギルドだ」


 100人超えで平均Cか……強いな。

 ん?

 剣……それって……


「気づいたかリュート、うちらみたいなギルドってことだ……ただし()のみで刀は使わないんだと」


 なるほど……それでサクヤさんの闘志に火が点いたのか。



 後で聞いた所……今回出場するギルドは全50(拳武を除いて)。

 全ての部に出るギルドもあれば、いくつかに集中して出るギルドもあるそうだ。

 2~4試合目は割りと人数も少なかったみたいで、それで早く終わったとの事だ。


 舞台を見たら既に予選の最後の組が舞台上にいた。

 実況席にいる受付のお姉ちゃんの1人、クナさんが自己紹介し始めている。

 その都度、大歓声が巻き起こる。



「ならあの中にも?」

「ああ、いるみたいだ……ただ……」


 ん?

 キョウの歯切れが悪いな。


「ただ?」

「最後の組にはとんでもないのがいるらしい……」


 おっとっと……フラグだ。


「ギルド【風林火山陰雷】……たった6人のA-のギルドだ」


 これまた俺らみたいなギルドだな。


「しかも出るのはたったの5人……」


 俺らもだな。


「なんでも1人1人に文字が与えられていて……」


 かっけーなそれ!


「【陰】の人はギルマスで出ないみたいだが……なんでもSランクの【元・守護神】らしい」


 おっとっと……ミラの先任者か……

 てか前から思っていた……この国って人数の割にSランク者少ないなと……5人目もいたんだ。



「そんな人のいるギルドなんて……ちょっとヤバイよね……」

 ユイがびびってる。


「四傑以外にもSランクの人っているんだ」

「いや、その人は例外だな。基本的に四傑は死ぬまで四傑らしいが、その人は何年か前にミランダって女の子にその座を譲ったんだと」


「ふ~ん……他にはいないの?」

「聞かないな……リュートも知ってると思うが、9年前の大きな戦争でSランク者は3国とも一時期、殆どいなくなったからな」


 知りません。

 初耳だ。

 でも納得。

 それでか……この世界で知り合った強者は基本的に皆、年が若い。



「神国は【地王ガイノス】【雷王イカルガ】【風王サクハ】、帝国は【桜花のセツナ】、王国は【英雄エンマ】【拳聖ミロク】【死神クウマ】【守護神トーマス】を除いて皆さん亡くなられたそうです」

 レイナが補足してくれた。

 知っていたのか、調べたのかは分からないけど。


「ふ~ん……」

 もっと色々聞きたいけど、知らなかったら怪しまれそうだし、後でレイナに聞こう。

 今は知ったかぶり。


「あ、帝国で1人セツナだけ生き残ったのは、その戦争が帝国が仕掛けたものだからだって……よっぽど無茶な攻めをしたんだね」


 意外にもユイが説明してくれた。

 しかも気になってた事を。


「その戦争の後、台頭してきたのが【今の六花仙・七極聖】で、その中で突出したのが【光王アーシャ】【薔薇のゼータ】です」


 へ~


「雷王イカルガさんはその後、迷宮で行方不明……風王サクハはその戦争で負った傷が原因で死亡……治癒が間に合わなかったんだと……」


 へ~


「ここ最近だと……まぁ最近でもないけど、若い世代なら【闇王プリンガ】【守護神ミランダ】かな」



 以上、Sランク講座でした!

 パチパチ

 俺は心の中で拍手した。


 なるほどね……寧ろたった数年でSランクが増える人間はやっぱ凄いんだ。

 魔族が追いやられる訳だ……



「王国にSランク者が少ないのは、その競争に負けた者が多いそうです。特に王国は大国ですから、2国からも攻められましたし……なにより【桜花】や【光王】の攻めに耐えられたのが今の四傑しかいなかったそうです」


 なるほど……Sランク者は割りと直ぐに出てくるけど、四傑と肩を並べる実力がつく前に、殺されてきたって訳か……

 国が大きいことが仇になった訳だ……〇ングダムみたいに、楚に強い武将が多い事にはならなかった訳だ。

 その代わり激強の4人がいるってことか。




 その時、実況席にいるクナさんが一際大きくマイクに向かって叫んだ。



『最後はこの人!! ギルド【風林火山陰雷】の1人!! 風を司る男!』


 ヒューイ!?


『風の剣士……カイル・ウィンダムだぁぁああ!!』


 全然違った……


『カイル選手は、かつての守護神トーマスの作ったギルドメンバーでもあり、弟子でもある実力者だ!! ギルドランクもステータスのランクもAの本物だぁぁああ!! おまけにイケメン!!』


 こらこら、クナさん……

 だがこの実況で、声援とブーイングが飛び交う。

 男女であからさまに反応が違う。

 遠目だが実際カイルはイケメン。

 黒髪をきっちり真ん中で分けた爽やか100%君だ。



『我がギルドのギルマスのかつての同志が作ったギルドメンバー……私はこのギルドに注目しています……』



 名前が出てこない……マツゲくんの解説を誰も聞いてない気がする。それほどまでに闘技場は盛り上がっている。




『それでは【剣王の部】、予選最後の第5グループ…………始めっ!!』



 クナさんは実況兼審判?

 開始の合図の直後だった。


 風の剣閃が舞った。


 一瞬だった。

 カイルが刀の神器を発動させて抜刀した瞬間に剣閃が舞台上にいた9人を一気に斬り刻んだ。

 全方位による剣閃……少しだけ俺の【終天】に似ている技だった。



 呆気ない幕切れだった。



『…………へ?』

 実況のクナさんは呆けている。


『これは……驚いたな……』

 解説のマツゲくんの頬を冷や汗がつたった。



 観戦して皆も……一部を除いて皆が呆気に取られていた。



『け……決着……決着です…………け、決着っ!! 剣王の部第5グループ勝者はっ!! ギルド【風林火山陰雷】のカイル選手だぁぁああ!!』



 クナさんの勝利者を告げる実況から遅れる事、数秒……闘技場は今日1番の歓声に包まれた。

 大歓声の中、カイルはゆっくりと舞台を降りていった。



 へ~やるなアイツ。



「強すぎだろ……」

「つ、強すぎだよ~……あんなのが後4人もいるの?」


 キョウとユイはもはや顔が若干引きつっていた。



「どうでした竜斗様?」

 ふとレイナが小声で耳打ちしてきた。


「まぁまぁかな。まだなんとも言えないけど、俺の(・・)敵じゃないね」

 俺も小声で返す。


「……ギルマスにとっては?」

「……どうかな……まだなんとも言えない……」




 決勝は荒れそうだな……




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ