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どうせなら異世界で最強目指します  作者: DAX
第八章【闘王祭】
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闘王祭と剣王②




 サクヤさんの試合が始まってから数十分が経過した。




『………………けっちゃーーく!! 決着、決着しましたっ!! 剣王の部・予選第1グループの勝者は……サクヤ・レイナルド選手だーーっ!!』


 実況のクナさんの声が、闘技場全体に響いた。


 闘技場の舞台、中央では俺らのギルマス・サクヤさんが肩で息をしていた。

 立っているのはサクヤさん唯一人。

 残りの9人は全員舞台上で倒れていた。



『いや~見事でしたね。どこか見たことあるような剣技でしたが、それでも僅かな時間で9人全員を1人で倒すとは思いませんでした』

 ガイス・ナイ……いや、マツゲくんから惜しみない称賛が送られた。


 サクヤさんは呼吸を整えると、刀を高々と突き上げた。

 それを観た観客から更なる歓声が沸き起こる。



「やったーサクヤさん勝ったよ!!」

「流石ギルマスだぜ!」

 キョウとユイは抱き合いながら、サクヤさんの勝利を喜んでる。



「あれは……」


「気づきましたか竜斗様」

 俺が呟くと、レイナが小声で耳打ちしてきた。


「雷王の太刀と風王の剣舞です」

「へ~あれが……サクヤさんってもしかして元・風王?」


「いえ、恐らく違うかと……ただ無関係ではないかもしれませんね」

「ふ~ん……」


「ど、どうしたのリュートくん? 笑顔が怖いよ?」

 ユイが俺の顔を見て怖がってる。

 失礼な……


「いや、サクヤさんとは是非1度手合わせしたいなと……」


「すげ~なリュート……サクヤさんのあの剣技を見て戦いたがってる奴、初めて見たぜ」

 キョウは驚いてる。

 いやどう考えても戦いたくなるだろ、あの強さは。



「あ、ギルマスを出迎えに行きましょう」

 レイナの声かけで俺達は立ちあがり、サクヤさんを出迎えに向かった。



 そんな中、クナさんの進行の下、次の第2グループの選手が紹介され始めた。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 闘技場内の控え室前の廊下。

 俺達は、サクヤさんを出迎えた。



「お疲れっす、ギルマス!」

「凄かったです~サクヤさん!」

 ユイは勢いよくサクヤさんに抱きついた。


「おいおい、これでも疲れてるん……だが……」

 サクヤさんは抱きつかれて困惑していたが、どこか嬉しそうだった。

 ユイもそれに気づいてか離れようとしなかった。



「お疲れ様ですギルマス」

「お疲れっすサクヤさん」


「ありがとう二人とも」


 ?

 俺とレイナは一緒に首を傾げた。

 何故お礼?


「2人のお陰だ……いや、2人だけではない……皆がいてくれたから私は私らしく戦えた。私は……まだまだ強くなれる」


 よく分からんがサクヤさんは憑き物が落ちたみたいな晴れやかな顔をしている。

 まぁ実際この人の潜在ランクはSだから、まだまだ強くなれる。




「それで……これからどうします?」

「そうだな……私は控え室で少し休んだら、残りの試合を観てみようと思う。明日の対戦相手達だからな……」


「なら俺は今から2試合目を観てくる……そろそろ始まるからな」

「じゃあ私も」

 ユイはサクヤさんから離れると、キョウと一緒に再度観覧席へと戻っていった。



「2人はどうする?」

「えっと……ギルド紋ですか? それが描かれた旗を作りにいきたいなと」


 俺は自分達のギルドの旗を作りたいと願い出た。

 他のギルドみたいに、自分達のギルドを高々と宣言したい。いや……宣伝したい。



「そうか、その手もあったか……そういえば我がギルドの旗は……あの2人が持っていたか…………」

 サクヤさんは、ユダとカーラに持たせていたことを思い出し残念そうにしている。


「なんとか返して貰えませんかね?」


「どうだろうな……カーラは王国軍の人間……あれから行方も分からんしな……」

 サクヤさんは改めて残念がる。


 ん~伝なら二人ほど心当たりが……

 ミロクさんか、ミラにお願いすれば何とかなる気がする。

 だって二人とも【四傑】だし……ミラなんてこの国の王妃でもあるもんな。


 なら塔に行ってみるか……



「1人何とかしてくれそうな人がいるんで聞いてきます」

 ミラに会いに塔に行くとは言わなかった。


「そうか……なら我がギルドの旗はリュートに頼むとしよう。レーナはどうする?」

「そうですね……なら私はギルマスのお共をします。その後で一緒に観覧席に行きましょう」


 レイナは俺ではなくサクヤさんに付いてるみたいだ。

 まぁ1人の方が行動はしやすいけど。



「ならリュートだけ別行動だな」

「…………」


 なんかそう言われたら嫌だな……

 まぁいいか……ミラにお願いするだけだし直ぐに終わるか。



 闘技場から真っ直ぐ西に行けば塔だよな……

 今は兵士が止めることもないから、塔の近くまでなら行けそうだな……走っていくか。


 俺は皆と別れて別行動することにした。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 ホウライ王国・王都クラフトリア……その都市を南門から入り、北へと進んでいくと、中央に大広場がある。

 そこから更に北へ行くと、普段は中々入りづらい貴族様の居住区がある。

 そして更にその奥には、この国の王が住まう城、【真王城(キング・キャッスル)】が(そび)え立つ。


 真王城と、貴族の居住区の間には少し広めの綺麗な道が敷かれており、3方向へと枝分かれしている。


 真っ直ぐ進めば、【真王城】。

 右に向かえば、現在開催されている闘王祭の会場【闘技場】。

 左には、王妃が住まう?【塔】がある。



 そして今まさに、3方向より5人の人物が鉢合わせした。



「あっ、ミロクさんお久しぶりです」

 塔から来た1人の女の子はフードを被り、自分の身分を隠すような出立ちだった。


「ミラか!? 久しいな……塔から出られたのか?」

 闘技場より歩いて来ていた幼……女性は道着を来ており、挨拶をしてきた女の子を見て驚いた。


「はい、一時的ですが……エンマさんが尽力してくれたお陰です」

 ミラは隣に立つ、神器で出来た鎧を纏う男性をチラリと見上げた。


「なに、少々口添えした程度だ……大したことではない」

 エンマは意にも介していないように淡々と答えた。



「ところでクウマさんはどちらにいかれるので?」

 ミラは真王城から来た、黒いフードを被る男性に尋ねた。


「お久しぶりですねミラ王妃……少々用事があり出掛けるところです」

 クウマはミラに一礼した。


「もしや……デートですか?」

 ミラは恐る恐る尋ねた。

 視線はクウマの隣に立つ女性に向けられた。


「……初めましてミランダ王妃、ハクア・ホークと申します。クウマ殿とはそのような関係ではありません。古い知人です」

 クウマの隣に立つハクアは、2人以上に淡々と……まるでロボットみたいな口調で答えた。



 今ここに、【四傑】とハクア(メタトロン)が出会った。



「クウマ殿は闘王祭には参加しないので?」

 ミロクが微笑しながら尋ねた。


「用事が済めば顔は出す予定です」


「勿体無い……クウマさんの【天王の部】の記録は未だに打ち破られていないと聞いてます」

 ミラは本当に残念がった。


「……そもそも今は、ギルドに属しておりませんので……悪しからず……」

 クウマはミラに謝るように一礼した。



「ところで……ミラは塔より出てどこに?」

 不意にミロクは尋ねた。


「はい、闘王祭です。今年は是非とも観たかったもので……」

「ふむ、注目しているギルドでも?」


「はい、【刀剣愛好家(ブレイド・ラヴァーズ)】と呼ばれるギルドです」


「なんと!? ははっ、流石はミラだ! あのギルドに注目するとは!」

 ミロクは思いがけないギルドの名を聞いて、思わず高笑いした。


「知ってらっしゃるのですか?」

「ああ、私も一目置いている。是非とも決勝に……【闘王の部】にて戦いたいと思っている」


「ほう、ミロクにそこまで言わせるとは大したギルドだな」

 エンマは珍しいものが見れたのか、少しだけ機嫌を良くした。


「ああ、あそこは強いぞ。特に……」

「クウマ殿、そろそろ……」


 ハクア……いや、メタトロンは会話を遮るようにクウマに耳打ちした。


「おっと、では私達はこれで……数日中には戻ると思うので……闘王祭で会いましょう」



 クウマとメタトロンは3人に一礼してから、その場から立ち去っていった。




「ハクア……ホーク……聞かない名だな?」

 ミロクは首を傾げた。


「いや、どこかで耳にした……後で調べておこう」

 エンマは当たり前のように答えた。


「お二人とも……そこまで怪しまなくとも……」

 ミラは2人の会話に少しだけ呆れて困惑した。

 ミラは良くも悪くも幼かった。

 疑うと言うより……ただ男女の関係としてしか怪しんでいなかった。


「ミラは……若いな……」

「同意」

 ミロクとエンマは微笑した。


「?」

 ミラは首を傾げた。



 そんなやり取りの後、闘技場より駆けてくる男の子がいた。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




「あの3人……相当強いな」

 3人と別れた後、メタトロンは小さく呟いた。


「ええ……このクウマもそうでしたが、この国のSランク者……【四傑】は強いです」

「理由でも?」


「間違いなく神器です」

 クウマ(ウリエル)はハッキリと即答した。


「神器だと?」

「ええ、先刻話した、英雄の祖ショーマ……我々4人は彼の創造した神器を持っています」


「それほど強力なのか?」

「はい、人間の想像力がここまでとは思いませんでした……それほどです」



「ふむ……」

 メタトロンは思案するように黙った。


「メタトロン様?」

「……あの3人を我らの同胞……ガブリエル、ラファエルの肉体にどうだ?」


 メタトロンはウリエルに提案した。



「私もそれは考えましたが……あまり相性はよくないかと……」

「そうか? 少なくとも、あのミロクという女……彼女はラファエルの肉体に最適だと思うぞ」


「確かに……ですが、それならもっと打ってつけの肉体を知っています」

「ほう」


「ガブリエルさんの方も、既にどの肉体がいいか決めてあります」

「我が休息している間に色々調べていたか……成長したなウリエル」


 メタトロンはまるで我が子の成長を見る親のような気持ちで微笑んだ。


「あ、ありがとうございます……」

 ウリエルはガチで照れた。



「まぁ今後の事は後で聞くとしよう」

「はっ」



 王都の人目につかない場所。

 そこでウリエルは転移の神器を発動させた。

 メタトロンとウリエルは立ち止まると……一瞬にして転移した。


 アーク帝国に向かって……




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