空砲と更衣
新章突入です。
更新出来ず申し訳ないです。
お熱が39.5℃出ました。
死ぬかと思ったです(大袈裟)。
ボチボチ頑張っていきます。
ーパンッ、パンッ、パパンッー
音だけの花火…【雷】。
翔兄知識で知った情報だが……それによく似たのが、王都クラフトリアの空に響いた。
風属性の神器で能力は【破裂】……このような時だけに使用される神器らしい。
馬鹿なのか?
まぁ少しでも気分が味わえるのなら、なんでもいいけど……
でもどうせするなら、ドンッ、ドンッ、ドドンッ……て、感じのド派手な音の方が良かった。
俺は音がする少し前、朝早くに目が覚めた。
宿にある、充てがわれた自分の部屋で着替える。
神国との戦の前にマナさんに頼んで作って貰った服。
今まで汚したくなかったから、結局着る機会がなかったけど、こんな時は着てもいい筈だ。
でも、なんて言えばいいのか……
〇ター・ウォーズのコスプレ? 〇ェダイの騎士みたいな、道着みたいだけど動きやすい服。
あ、でも全身黒なので、エピソード1の〇ース・〇ール卿の方が近い。
それにして、暗黒卿か……マナさんは俺にどんなイメージを持っているのだろうか?
まぁマナさんが知るはずもないのだが……
うん、ちょっと恥ずかしいな……かっこいいけども……
粗方着替え終わると、丁度、空にパンパンと空砲の音が響いた。
「よし」
帯をきつく締め、自分の部屋を出ることにした。
「あ、おはようリュート君」
「おはようユイ」
少し離れた向かいの部屋からユイも出てきて挨拶を交わす。
「へ~やる気満々だね」
ユイはニヤニヤしながらこっちを見ている。
「お~馬子にもってやつだ……」
ユイの隣の部屋からキョウも出てくる。
「……うるせー」
やっぱ気合入れすぎかな?
「おはようございます、皆さん」
「おはよう~レーナ」
俺の隣の部屋からレイナも起きてきた。
レイナは神国戦の時と同じ服装をしている。
前も思ったが寒くないのだろうか?
「レーナ寒くないの?」
「あ、大丈夫です。動けば体が温まるので問題ないです」
そう言うとレイナは暖かそうな上着を羽織りだした。
まぁ流石に始まるまでは寒いよな……
「なんだ皆もう起きたのか?」
不意に声がした。
よく見たら既にリビングでサクヤさんがソファに腰掛けていた。
「ギルマスもでしょ? あんなパンパン音がしたら目が覚めますって」
「キョウの言う通りだな」
サクヤさんはフフッと小さく笑みをこぼした。
「あ、今お茶を淹れますね」
「あ、レーナ私も手伝う~」
2人はお茶を準備し始めた。
「ふむ、リュートはかなり気合いが入っているようだな」
サクヤさんは、何故か物珍しそうに俺を見ている。
「似合ってませんかね?」
「いや似合っているぞ、かなり強そうに見える……まぁ実際強いのだが……それよりも普段が軽装過ぎて心配してたくらいだ」
まぁ普段は上下黒のロンティーに、七分くらいのパンツだから、誰でも心配するよな。
「知り合いが作ってくれていたんですが、中々着る機会がなくて」
「フフッ、作った人も喜ぶだろう……服は来てなんぼだからな」
「ですね」
俺達はまったりとした時間を過ごした。
お茶を飲み、軽く朝飯を摂り、少し休憩した。
レイナとユイは談笑している。
キョウとサクヤさんは、ソファでくつろいでいる。
ふと、全員がおもむろに立ち上がった。
「よし、行くか」
サクヤさんが号令する。
「「はい!」」
俺達は宿を後にした。
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王都クラフトリア、【闘技場】。
闘技場の外に到着すると、既に、多くのギルドに属する人達が集まってきていた。
皆、表情が怖い。
気合入りまくりだ。
円陣を組むところもある。
ん~なんかいいな……この体育会系的ノリ。
体が熱くなってくる。
まぁ暑苦しいのはごめんだけど。
「よぉ久々だなリュート」
「誰?」
いきなし、誰だか分からんおっちゃんに声をかけられた。
おっちゃんの後ろには大勢の人達が連れ添われてる。
「おいっ! 俺だよ俺、ザイルだ!」
〇リオじゃなくて?
おっちゃんは必死に自分を指差している。
「おい、あれって……」
「拳武の連中だ……」
「【鉄拳】のザイルだ……」
「後ろにも有名な奴等がいるぞ……」
等とヒソヒソ話が聞こえる。
ふ~ん、やっぱミロクさんのところか……
何故ミロクさんはこんなおっちゃんを?
「おい、また失礼な事考えてただろ!?」
「バレた?」
おっちゃんは大きなタメ息を漏らした。
「お前には娘が世話になってるからな……あんま強く言えねぇんだよな……」
娘?
「?」
俺は首を傾げた。
「……イエロースライムのゼウスって言ったら分かるか?」
「あーーっ!!」
俺はおっちゃんを指差した。
「あの飼い主が俺の娘だ」
「マジか……似てねぇ……いや、お母さん似で良かったな」
「おいっ!! ふざけんな! 目元なんか俺そっくりだろうが!?」
「いや、全く……どう見てもお母さん似だ」
「テメェ……」
おっちゃんは体をワナワナと震わせている。
今にも拳が飛んできそうな勢いだ。
「ちょっとザイルさん、僕にも紹介して下さいよ」
ふと、おっちゃんの後ろから爽やかロン毛野郎が出てきた。
青いロン毛で、白い鎧が光っている。
一目で分かった……こいつはナルシストだと。
そして、まつ毛が長い……
「ああ、こいつはリュート……ギルド【刀剣愛好家】の一員で、ギルマスがほんのちょっと気にしてる奴だ」
おぉ~俺ってミロクさんに気にしてもらえてたのか……でもほんのちょっとって……
「へ~……ギルマスが、ほんのちょっとでも気にしてるんですか……凄いですね、彼強いんですか?」
「さあな……でも1ヶ月でEからAにギルド個人ランクを上げてるのは間違いない」
「!?」
まつ毛くんが驚いてる。
「なら君が噂の……てことは隣にいる彼女がレーナちゃんかな?」
「そうですが……」
レイナは嫌そうな目で、まつ毛くんを見ている。
「ああ、ギルマスの本命は彼女だ。彼女と戦いたくて今回出場するようなもんだ」
おっちゃんは言いながら俺を見てきた。
おっちゃんの、してやったり顔が妙に腹立たしかった。
レイナのおまけか……
「なら君達は、決勝まで勝ち上がる義務があるよ……ギルマスの期待を裏切ってもらっては困るからね」
まつ毛くんが、前髪をファサっとした。
まつ毛くんがウザイ。
「ザイルさん、そろそろ……」
更に下っ端ぽい奴が、おっちゃんに耳打ちしてる。
「そうか……ギルマスを待たせるわけにはいかないからな……じゃあなリュート決勝まで上がってこれたら相手にしてやるよ」
おっちゃんはどこかに向かって歩き出した。
まつ毛くんや他の連中もおっちゃんの後に着いて歩いていった。
「あ、お構いなく~」
俺はおっちゃんが見えなくなったのを確認してから、丁重にお断りをいれる。
「おいっ!!」
遠くでおっちゃんは突っ込む。
すげーな、スキル【聴力】もないくせに。
「あいつ誰だ?」
「なんでザイルとあんな親しそうに……」
「ばーか、知らないのかよ」
「?」
「あいつ、リュートだ」
「最速でAまで上がったあの!?」
「じゃあ……隣にいるめっちゃ可愛いのがレーナ……?」
「ランクBの……ギルド【刀剣愛好家】だ……」
野次馬?達が騒ぎ出す。
俺らも有名になったな。
「おっと……そろそろ開会式の時間だな……」
周りにいた誰かがそう呟くと、皆一斉に闘技場の中へと向かっていった。
「我々も行くぞ」
サクヤさんの号令で俺達も中へと入っていった。
「「はいっ!!」」
皆に続くように俺達も闘技場内へと入っていった。
開会式かぁ……
長いお話は勘弁だな……
短めでお願いします。