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どうせなら異世界で最強目指します  作者: DAX
第七章【ギルド】
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前日とおやつ



 こっちの世界で今日は【二ノ月】の最後の日。



 あれから約1ヶ月が経ち、明日からいよいよ【闘王祭】が開催される。


 まぁ王都クラフトリアは既にお祭り状態。

 王国各地を拠点にしている、多数のギルドは既に王都に滞在している。

 勿論、その間にも魔物や迷宮は出現しているので、その討伐に指名された王国軍に属する人達はお祭りに参加出来ない。

 可哀想ではあるが、その分の報酬はかなりのものらしい。


 因みに王国ギルドを纏める【英雄】エンマ・H・クラフトも【闘王祭】には参加しないみたいだ。軍のトップに君臨しているのだから仕方ない。

 そもそも、彼はギルドに所属していないそうだ。それなのに、ギルド全体の管理を任されている……可哀想としかいいようがない。


 帝国側は【桜花】セツナ、神国側は【光王】アーシャ、なら王国側も当然最強である【英雄】という理由で抜擢されたそうだ。

 まぁ抜擢された当時は、アーシャは光王としてではなく、ギルマスとして正体を隠していたみたいだけど……まぁバレバレだったらしい。




 そんな訳で……俺も最後の依頼を終え、報告をしにギルド本部に足を運んでいる。



「アイナさん、ただいま~」


「あ、お疲れ様ですリュート様」

 アイナさんはカウンターで世話しなく書類を整理しながら、笑顔で応対してくれた。


 俺はギルド本部内を見回した。

 いつもの倍以上の人がおり、昼間から飲めや歌えやの大騒ぎである。


「凄い数の人ですね」

「ええ、闘王祭は王国三大行事の中で最も盛り上がるイベントですから」


「さっき通りましたけど、街の方も凄かったです」

 俺は街の雰囲気を思い出した。

 人々で賑い、まともに歩けなかった。

 依頼より疲れた。


「ふふ、王国各地からも観光に来られますし……何よりギルドメインのお祭りですから……相当な数でしょう?」

 アイナさんはクスッと笑った。


「ですね……あ、これ依頼完了の紙です」

 俺は依頼を終えた紙をアイナさんに渡した。


「畏まりました……はい、これが今回の報酬です」

 アイナさんは依頼書を確認すると、報酬をくれた。


「ありがとうございます」

 俺は報酬1000エンを受け取った。



「よろしかったのですか?」

 不意にアイナさんは尋ねてきた。


「何が?」

「いえ、リュート様はギルド個人ランクが既に【A】もあるのに……今更Eランクの依頼など……」


「う~ん、まぁイエロースライム(ゼウス)見つけるのも、いい訓練になるしね」

「まぁEランクの依頼を名指しで指名されるのはリュート様くらいですかね」


「……今、馬鹿にしました?」

「いえいえ、誉めてるんですよ」


 どうだか……


「そういえばリュート様は【天王の部】に出場されるんでしたよね?」

「そうだよ」


「確か……天王の部の最速記録は、四傑のお一人、死神クウマ様が出した記録で……その記録は未だ塗り替えられてません」

「へ~」



 死神か……確かアリスを殺した、アトラスが復讐したい奴だったな……

 結局、四傑に出会えたのはミロクさんとミラの2人だけ。

 しかも驚く事にミラはこの国の王妃らしい!

 王様どんだけ〇リコンなんだよって話だ。


 まぁこの1ヶ月何回かイエロースライム探しのついでにミラの所に顔を出したけど、結局何故あの【塔】にいるのかは教えてくれなかった。


 どんな事情があるんだか……



「まぁその記録は俺が塗り替える予定だから、暇だったら観に来てよ」

「いえいえ、ギルドメインのイベントなんで当然、私達受付もいますよ」


 なんだ。


「じゃあ伝説が観れるね」

「はいはい、期待してますね」


 うわ、あからさまに期待してない反応。



 そんな他愛ない話をしていたら、入り口から見知った顔が近づいてきた。



「あ、お疲れ様ですレーナ様」

「お疲れ様ですアイナさん」


 レイナとアイナさんは軽く挨拶を交わした。



「お疲れ様レイナ(レーナ)

「お疲れ様です竜斗(リュート)さん」


「大変だったね、お店の依頼、急に入ったんでしょ?」


 レイナは【土ノ曜】【日ノ曜】ではないのに、あまりの忙しさから急遽、例のガチムチのおっちゃんのお店の依頼(アルバイト)を受けていた。



「いえ、大丈夫でしたよ……まぁやはり何時もよりかは忙しかったですけど」


「レーナ様も大変でしたね……ギルド個人ランクが【A】もあるのに、Eランクをお受けになるなんて……」

 アイナさんは申し訳なさそうにしている。


「本当に大丈夫ですよアイナさん。明日は闘王祭なんで、店長もお昼で上がっていいと言ってくれたので」

「確かレーナ様は……【武王の部】でしたよね?」


「はい、そうですが?」

「…………信じられません……レーナ様みたいな綺麗な方があの、殴り合いの部門に出られるなんて……」

 アイナさんはじっと疑うような眼差しでレイナを見つめている。


「ギルド的には問題ですけどね」

 レイナはクスリと笑った。


 俺らが所属するギルドは【刀剣愛好家(ブレイド・ラヴァーズ)】。

 剣と刀をこよなく愛するギルド。

 ギルマスであるサクヤさんは、薙刀を持ってるからオッケーしてくれたが、レイナは若干それが申し訳ないみたいだ。



「まぁ、お二人の実力を疑ってはいませんが、どれほど強いのかは見たことがないので少し楽しみです」

 アイナさんも最後はフフッと小さく笑った。




 レイナもアイナさんから依頼書を手渡し報酬を受け取ると、俺とレイナはホテル【刀治場】に帰ることにした。



 さっきも通ったが、ギルドを出るとやはり外は凄かった。

 街中が飾り物で彩られている。

 学園祭とか体育祭みたいだった。


 それと、やはり人の数。

 今年は【四傑】の1人、ミロクが闘王祭に出ると公言したせいだ。

 皆、最強クラスの実力をこの目で見てみたいのだろう。

 まぁそれが出来るのも、何故か最近は【アーク帝国】が攻めてこないからだとか。


 スレイヤ神国は魔族を捕らえることを辞めたと公言した為、神国領に入るようなことはしなくなった。

 2国からの防衛がないお陰で、ミロクさんも今年は出れるみたいだ。


 代わりではないが……その分、魔物の数が異様に増えている。

 魔族討伐に追われていた為、英雄トウマの父親の事などは調べられなかった。

 お陰で、俺とレイナは【ギルド個人ランク】がサクヤさんと同じ【A】になってしまった。


 キョウとユイは【Bランク】。

 中々、昇格依頼をクリア出来ないみたいだ。



 まぁそんなこんなで、俺達のギルド【刀剣愛好家】はギルドランクが【B】へとなった、新進気鋭のギルドだ。

 そこそこ有名だ。

 レイナなんてアイドルだ。

 よく声を掛けられるみたいだけど、実際どれ程のファンがいるのか分からない。



 などと思案していたら、あっという間に宿に到着した。



「ただいま、サクヤさん」

「ただいまです、ギルマス」


「おかえりリュート、レーナ」

 サクヤさんはいつものソファに腰掛け、お茶を啜りながら出迎えてくれた。



「あれ? キョウとユイは?」

 部屋(リビング)を見回したが、2人の姿がない。


「ああ、二人ならそれぞれの部屋で瞑想している。リュートが創造した神器と自分のイメージとが中々合わないみたいだ」


 そうか?

 発動するだけだから簡単だと思うけど。


 2人には、この1ヶ月の間で手に入れた神珠を、俺が創造し渡してある。

 形状が、「変」とか言われた。

 そのせいか、発動は出来るが中々思うように扱えないみたいだ。



 まぁ、あの2人の神器も闘王祭の目玉になるんじゃないかな?

 楽しみだ。

 製作者リュート、みたいなブランド品になったりして?


 それはちょっと言い過ぎだな……




 うん、いよいよ明日だ!


 遠足前を思い出す……本当に楽しみすぎる!!

 おっと、後でおやつを買いに行かなくては……バナナはおやつには含まれないよな?

 もう子供でもないし、1000エン分のおやつ買ってもいいよな?


 うん、そうしよう。





ギルド本部、受付。


クナ「ねぇねぇ、やっぱリュートさんとレーナさんて付き合ってるのかな?」

アイナ「……クナさん、口より手を動かして下さい」


「え~……アイナだって気になるでしょ? だってあの2人いつも一緒にいるし」

「同じギルドなのだから当然では?」


「またまた~アイナだって本当は気になってるんでしょ? あの2人美形だもんね、私の予想では絶対付き合ってると思うの」

「…………」


「まぁ付き合ってない可能性もあるし、アイナにもワンチャンあるかもね、ニヒヒ」

「なっ!? 別に私はリュート様の事なんて……!」


「アイナ分かりやすすぎ……自分で言ってるし」

「…………うぅ~……」


「まぁチャンスがあったら頑張らないと駄目だよ! リュートさん超絶かっこいいから、ファンの子かなりいるからね」

「………………はい(小声)」


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