ゼータと薔薇物語②
今、私はスレイヤ神国にある迷宮に1人で来ている。
迷宮は地下を進んでいくタイプ。
正直、じめじめしていて余り好きではないわ。
ランクはA。
このランクを1人で攻略するのは、いくらSランクの私でも正直キツい。
でも今の私は1人ではない!
「そっちに行ったわ、アメちゃん!」
私は仲間に向かって叫ぶ。
迷宮内の少し広い場所にて今私は大切な仲間と共に戦ってる。
対する魔物は、【スライム種】が1匹。
「サファちゃんは反対からよ!」
もう1匹の仲間にも挟み込むように指示する。
Cランクの魔物、【ストーンスライム】。
岩みたいな質感で、スライムの長所スキル【軟体】が無い、何の為に存在しているのか分からないスライム。
対する私の仲間は、
【パープルスライム】のアメジストちゃん。
【ノーマルスライム】のサファイアちゃん。
【レッドスライム】のルビーちゃん。
【イエロースライム】のシトリンちゃん。
【ホワイトスライム】のセレナイトちゃん。
Eランクのスライム種が5匹。
Eランクと侮るなかれ。
これが中々強い。
私のスキル【服従】により、意思疎通が可能となった。
それによると彼女達の先天スキル【溶解】は、相手を殺すために溶かすのと、捕食するのとは違う事が解った。
食べると襲うが同じではないの。
正確には溶解し、殺してから、捕食するってのが順番だったけど凄く非効率。
なんて勿体無かったのかしら!
私は指示した。
敵を溶かしながら喰らいなさいと!
そして私の華麗な指示の下、美しいフォーメーションで敵を囲い、一気に溶解・捕食する。
完璧だわ!
今も目の前のストーンスライムは一瞬にしてグロ……見るも無惨な姿へとなっている。
「ふっふっふっ……美しいわ……」
私は悦に浸る。
後は【グリーンスライム】と【ブラウンスライム】の2匹。
名前はもう決めているの……
エメラルドちゃんとトルマリンちゃんよ。
ここまできたらなんとしても全種コンプしたいわ!
「ん? また敵?」
スライムちゃん達が魔物の気配を教えてくれる。
この子達って本当に凄いわ!
【溶解】と【軟体】それに【属性耐性】だけかと思ったけど……今はそれ以上のスキルを覚えているんじゃないかしら?
1度、アルカディア国に帰って【魔眼】所持者に視て貰わないと。
「……と、敵は………………来たっ!?」
まさかの【グリーンスライム】と【ブラウンスライム】。
「私ってばツイてるわ!! 行くわよ皆!! あの2匹も貴女達の仲間になるのだから、なるべく手加減してあげるのよ!!」
私は鞭の神器を発動させた。
スライムちゃん達からも了解の合図が送られる。
いえ……そんなのはないのだけれど、私には分かるの。
何故って?
私が美しいからよ!!
◇
暫くして私のパーティーはカラフルで美しいスライムちゃん達で彩られた。
ついに7匹コンプリートしたわ。
「なんて完璧なのかしら……竜斗ちゃんにも見せてあげたいわ!」
なんて高笑いしていたら、スライムちゃん達の様子がおかしくなった。
普段からぷるぷると震えているけど、今回の震え方は何かおかしい。
「あ、貴女達……ど、どうしたの?」
反応がない。
一体どうしたって言うの!?
すると7匹のスライムちゃん達は眩い光に包まれた。
「きゃっ!? スライムちゃん!?」
私は光を遮ろうとした。
なんて美しく強い光を放つのかしら!
って、違う!
眩しすぎて目を開けていられない!
「…………っ!?」
光が収まると私はゆっくりと目を開いた。
「こ、これは……う、嘘でしょ…………ま、まさか……あ、あの伝説の……」
私の体はワナワナと震えた。
今見ているものが信じられない……
今、私の目の前にはカラフルな7匹のスライムはいなくなり……代わりに、どこまでも透き通るような……宝石の頂点に君臨するかの如く、1匹のスライムが体をぷるぷると動かしていた。
「レインボースライムっ!!」
な、なんてこと…………伝説級の魔物をこの目で見ることになるなんて……
その昔、英雄トウマがどうのこうの……
「い、いえ……それよりも……な、なんて美しいのかしら……」
レインボースライムの体は、休むことなくその体を、様々な色へと変化させ続けている。
「きた……」
「きたわ……」
「きたわ、これ……」
「私の時代きたーーーーっ!!」
私の声は迷宮内に響き渡りそうな勢いだった。
【レインボースライム】
種族
【稀少スライム種】
ランク
【A】
属性
【炎水風雷地光闇】
先天スキル
【軟体】【溶解】【全属性耐性】
後天スキル
【合体】【分裂】
弱点
【状態異常】