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どうせなら異世界で最強目指します  作者: DAX
第七章【ギルド】
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エレベーターと買取り




 俺とレイナは宿に向かう道すがら、ある事について話し合った。



「竜斗様、気づきましたか?」

「ん、何を?」


「年号についてです」

「神世暦?」


「はい、今年は神世暦1000年ですよね?」

「受付のアイナさんがそう言ってたな」


「そうです。ただ依頼先の店長さんに聞いたところ……神世暦0年は、神がこの世界を創造した日だと言われているそうです」

「え、0年って……逆算したら天魔戦争が終結した日だろ?」


「はい。ですが私達もガブリエルから聞かされなければ、天魔戦争が終結したのは数百年前だと、ずっと思っていました」

「う~ん、どういうこと?」


「つまり……どこかで、誤った歴史を伝えた者がいるのでは?」

「なんで?」


「さあ、そこまでは……」



 千年前に起こった天魔戦争を、数百年前に起こった事だと伝えて何の意味があるんだ?


 てか、レイナからその名を聞いて気づいた。


 ならガブリエルは何故それを【訂正】しなかったのだろうか?

 少なくともディアネイラに取り憑いて10年くらいにはなる。

 それにスキル【天啓】を上手いこと使えば、簡単に誤った知識を訂正出来たはずだ。


 変えられない理由があったのだろうか?



【神様が世界を作る(年代は不明)➡天魔戦争終結(神世暦0年)➡今(神世暦1000年)】

 が、正しい歴史だけど、


【神様が世界を作る(神世暦0年)➡天魔戦争が数百年前に終結➡今(神世暦1000年)】

 人はこの認識で覚えてる。



 こうして考えたら違和感ありまくりだな。

 英雄トウマの父親が天魔戦争や、迷宮について調べ出したのも、この違和感に気づいたから?

 う~ん……


「まぁ考えてもしょーがないから保留って事で」

「竜斗様がそう仰るなら……」



 そんな事を話してたらあっという間に目的地の宿に到着した。




 宿屋の名前は【刀治湯】。

 外観は趣がある古い感じだが、内観は驚くほど綺麗だった。

 そして宿の名前でサクヤさんが選んだのだと直ぐに分かった。



「いらっしゃいませ、何名様でしょうか?」

 奥から、着物を着た仲居さんが現れた。


「あ、え~と、ギルド【刀剣愛好家】の者です」

「お待ちしておりました、リュート様とレーナ様ですね?」


「「はい」」



 俺とレイナは【ギルドカード】を仲居さんに見せると、1番奥の間に案内された。


「あの……ここは?」


 入ると二畳くらいしかない部屋で、別の仲居さんが立っていた。

「こちらから各階に転移する事になっております」



 なるほど……つまりエレベーターって訳ね。

 で、中にいた仲居さんがエレベーターガールか。

 中々に面白い。


 転移した場所も同じ様な二畳の部屋だったが、廊下に出ると先程とは打って変わっていくつか部屋があった。

 本当にホテルみたいだった。


「こちらです」


 仲居さんに案内された部屋は廊下を歩いた1番奥にあった。

 他の部屋は廊下の左右に等間隔で設置されていたが、俺達が案内された部屋は廊下の突き当たりだった。

 しかもその壁自体が扉になっていた。



「失礼いたします」

 仲居さんはノックをし、ゆっくりと扉を開けた。



「「広っ!?」」

 俺とレイナの声はハモった。


 別世界かと思った。

 なんだこれ?


 家具も豪華で、キラキラと輝いて見える。クリスタルで出来てるのではないかと勘違いする程だ。

 金持ちが泊まるホテルの部屋かと思った。



「遅かったなリュート、レーナ」


 ど真ん中にはこれまた豪華なテーブルが置かれており、その奥のソファにサクヤさんが座していた。

 俺達を案内した仲居さんは音もなく静かに部屋の扉を閉めて立ち去った。



「ちょ、ギルマスなんすかこの部屋!?」

「何って……ここが気に入ったから買い取ったのだ」


 は?

 この人はなんて?

 ホテルを買い取った?


「つまり我々はこの部屋を拠点にギルドとしての活動を行っていく。その為にもこの部屋を買い取ったのだ」


 は?


「いや、正確にはこのフロアだったな」


 は?


「このフロアには部屋が全部で10あっただろう。で、今我々がいる部屋は5人部屋なのだ」


 は?


「つまり、我がギルドは最大で15人までならここに住むことが出来るのだ!!」


 …………は?


「おっと、これは内緒のギルド特典だ、入った奴にしか言うなよ。だが後10人は安心してここで生活出来るのだ!! ハーハッハッハッハッハッ!!」


 あんた、無茶苦茶だ……



「驚いたかリュート……」

「キョウ?」


 気づいたら隣の部屋からキョウとユイが現れた。


「うちのギルマスはああいう豪快な人だ……直に慣れる……」

「でも、今回は私達もビックリだよ……」


「え~と……何から突っ込めば……」

「あの……金銭面は大丈夫なのですか?」


「心配するなレーナ!! 衣・食・住はギルマスの私に全て任せておけ!!」


「心配するなと言われましても……」

「安心してレーナ……」


「?」

「ギルマス……サクヤさんは超がつく金持ちだから……」


「…………いや、ダメだろ!」

 思わず突っ込んでしまった。



「な~に流石の私も馬鹿ではない……これがメンバーの為にならないことは分かっている。だから【ギルド個人ランク】がBになった者には出ていってもらうつもりだ」


 うわ、それもどうかと……


「つまりルーキー特典というやつだな。最初は報酬も少ないし、装備や道具、食料費などバカにならない。そこで最初のうちは我がギルドがそれら全ての責任を持つと言うわけだ!」


 あれだ……うん……気づいた……この人……


 バカなんだ……




 その時ちょうど料理が運ばれてきた。

 サクヤさん達も丁度飯を食べる気だったらしく、一先ず俺達は晩飯を食べることにした。

 テーブルを囲うように置いてある椅子に腰掛けると、フワフワだった。


 なんだこのソファ……


 ソファの為、多少食べづらかったが、運ばれてきた料理はどれも美味しくて、腹一杯になるまで食べた。

 確かに俺の今の報酬ではこれほどの料理は食べられないだろう……


 しかし……



 こんな生活してたら人間だめになるな……




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