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どうせなら異世界で最強目指します  作者: DAX
第七章【ギルド】
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登録とテンプレ




 長かった……そうとしか言えない。



 ホウライ王国。


 この世界の半分を占領していると言っても過言ではない程、広大な国……ホウライ王国。

 その中心よりやや北、そこに王都クラフトリアはあった。

 あの検問場所からただひたすらに真っ直ぐ北へ。

 道中は2つほど村に立ち寄り、あとはひたすら野宿。


 前にアザゼルとリリスが逃亡したのを、帝国側の国境にある森を抜けた先で助けたけど、よく2人だけで逃げれたとマジで尊敬する。



 そして俺達も長い時を経てようやく辿り着いた。

 体感でそれくらいって意味だけど。




 王都クラフトリア。



 外見は城塞に近く、重厚感がエゲツない。

 だが1歩入るとそこは……ヤバイほど賑やかで華やかな街だった。

 皆、感動している。

 俺もそうだが、レイナなんて特にだ。

 立ち寄った村は、言ったらごく普通の村だった。

 だがここには、今までとは比べ物にならない程の活気があった。



 それに……なんといっても魔族もいる。



 首輪や鎖はされていたりするが、着ている服は普通だし、痩せ細っていたり痛めつれられている様子もない。

 制限はされているが、最低限の生活は送れている感じだ。

 店で物を売る……売り子をしていたりもしているし、そこから普通に買う人間の姿もあった。

 無視する様子もない。

 会話もしている。

 2人で並んで歩く姿、遊ぶ姿もある。


 ただ、首輪や鎖だけは絶対にされていたけど。


 ん~判断しづらいな……

 首輪や鎖を受け入れてはいるけど、悲観している感じでもない。

 なら、なんでアザゼルとリリスは逃げ出したのだろう?

 あ~あの2人から、王国のどこから逃げ出したのか聞くの忘れてたな。



 いつまでも立ち止まるわけにはいかないので、俺達も人混みに溶け込むように、王国ギルド本部を目指した。



 大通りも……大通りだからこその賑わいだった。

 露店、鍛冶屋、図書館らしき建物、食べ物屋、服屋、なんでもござれな感じだった。

 この王都を全部見て回るだけで、どれぐらいの日数がかかるか検討もつかない。

 それ程までに王都クラフトリアは広く、賑やかな街だった。



 中央辺りまできたのだろうか、大広場があった。


 そこから道が三方向に別れていた。


 俺達はどこにギルド本部があるかも分からないので、その中央に立て掛けられている、案内図を見ることにした。



「ってなんだこれ、広すぎだろ!!」

「だよね……正直びっくり……」

「やれやれ、リュートもユイも田舎者かよ……これぐらいで……」

「強がらなくていいぞキョウ……私も正直驚いている」

「ギルマスもなら相当なのですね……この王都は……」


 

 俺達は案内図を覗き込む。



 中心が……ここ、【大広場】。


 東側が……俺達が目指す【ギルド本部】。酒場やら宿屋、ギルドの連中がたむろする場所。

 西側が……【居住区】。勿論それだけではないが、街の人達が住む場所だ。

 南側が……【お店関係】。さっき通ってきた大通りをメインに各店がズラリと並んでいる。

 北側が……【貴族の居住区】。南から北に通る一本の道以外は、基本的に通ることがなさそうだ。


 で、その貴族の居住区を抜けた先は更に三方向に別れている。


 真ん中が王の住まう城……【真王城(キング・キャッスル)】。

 右側に隣接されている建物が【闘技場】。

 左側はよく分からないけど1本の【塔】があるらしい。


 色々な建物があちこちに建てられているから一概には言えないが大まかに言うとそんな感じ。




 と、いう訳で俺達は東側を目指した。


 先ずは王国ギルドに登録しないと始まらない。



 東に東に進んでいくと、人混みが閑散とし始め、路地もなんだか薄暗く感じる。

 そして鎧を纏っていたり、武骨そうな男達もちらほら現れてきた。見た目なら歴戦の勇士って感じだがランクはそれほど高くもない。


 流れに沿うように歩いて行くと、真正面に一際大きな建物が目に入ってきた。



【王国ギルド本部】



「でけ~……」


 木造で出来た巨大な建物。

 入り口前の道も、ここだけ広くなっており、ギルドの人達が何人もいた。

 待ち合わせをしている者、装備を確認している者など……大広場にはあまりいなかった人種だ。

 一般人でも、騎士でもない……思い出したくないが、オークスやジェガンに近い人種の群れだ。



「よし、行くぞ」


 サクヤさんの後に続いた。

 先程まで俺やレイナと一緒で、地に足がついていない感じだった3人は、こんな雰囲気に慣れているのか堂々とし始めた。


 やっぱギルドなんだな。



 俺達は、巨大な扉を開け、中へと入っていった。



「おぉ~」

 俺は小声で驚いた。


 中は人だらけだった。

 それも入り口近くは酒場みたいになっており、飲食をする冒険者?みたいな奴らがたむろしていた。

 みたいじゃなくて冒険者なのだろう。


 で、その奥に横に広いカウンターが端から端まで設置されていた。

 そこに、等間隔で座す、5人のお姉様がた。


 あの有名なギルドの受付嬢だ。


 みんな整った顔立ちをしている。

 まぁレイナには及ばないけど。

 んで、更に端と端とにはそれぞれ階段が設置されており、2階へと続いていた。



 サクヤさんは、脇目も振らず、1番左の受付嬢のいるカウンターへと向かっていった。

 俺達も続いていった。


 歩くなか、結構な奴らがこっちを見ていた。


「見たことない奴らだ」

「新人か?」

「ガキもいるぜ」

「ヒュー、3人も女がいるぜ」

「お気楽な奴らだ」


 等々……あまり好評価ではない。

 まぁ当然だけど。



 だが、それがいい!


 まさしく、テンプレの予感がする。

 神国ではサクヤさんが直ぐに酒場を後にしたから、絡まれる事は無かったがここでなら、輩が絡んでくるに違いない。

 どうするかは決めてないけど、是非とも体感したいから絡んできて欲しい。


 なんて考えていたら、あっという間に受け付けに到着してしまった。

 割りと各テーブルの間を通ったのに、足を引っかけてくる奴すら現れなかった。


 ま、まぁこれからさ……



「すまないが、ギルド登録をしたい」

 サクヤさんは受付嬢のお姉さんに話しかけていた。


「新規なら先ず、こちらの用紙に……」

「いや、独立ギルド【刀剣愛好家】だ……このままで王国ギルドに登録し直したい」


「失礼致しました……では、失礼ですが【観察眼】でメンバー名が一致しているか確認させて頂きます」

「頼む」


 受付のお姉さんは立ち上がると、別のお姉さんと交代し、何やら後ろの棚にある膨大な書類を眺め始めた。



「失礼致します、鑑定士のアイナと申します」


 代わりに席に座ったお姉さんは鑑定士さんだそうだ。

 だが俺は、先程までのお姉さんが書類を探す姿が気になった。


「……彼女は今、貴女方のギルドを探しておられます」

「へ?」


 俺の視線が気になったのかアイナさんは声をかけてくれた。



「ギルドは3国共通、唯一の中立組織です。ですので【全て】のギルドの情報は、各国のギルド本部にて全て保管されております」

「へ~」


 アイナさんは俺が無知だと気づいたからか、色々説明し始めた。



「勿論、その地にて活動したければその国のギルドに属する方が良いとされています」

「なんで?」


「ないとは言い切れませんが、独立ギルドが他国へのスパイ活動を行う場合がございますので、やはり独立ギルドへの依頼はあまりよろしくないとされています……」

「なるほどね」


 サクヤさんに聞いてた通り、中々斡旋してもらえないのか。



「例外と致しまして……今は解散したギルド【魔族狩り】の皆様への信頼はかなり高かったですが、やはり他のギルドさんが独立のままなのはおすすめできませんね」


 げ~あいつら評価高いのかよ……



「お待たせ致しました」

 書類を探していたお姉さんが、1枚の紙を持ってきて、アイナさんの横に並び立った。


「では、【観察】させて頂きます……ギルドマスターはサクヤ・レイナルド様ですね?」

「ああ」


「順に……キョウ・シグレ様」

「おう」


「……ユイ・カナタ様」

「はい」


「次いで……リュート・テンゲン様とレーナ・サタルディア様ですね?」

「あ、最後の2人はギルド名簿に載っていません」


「そうだったな……すまないが彼ら2人を新規でメンバー登録しておいてくれ」

「畏まりました……では後程、お2人には隣のカウンターでメンバー登録して頂きます」


「分かりました」

「了解」


「では登録し直しますので、少々お待ちを……」

「あの、アイナさん……?」

「どうしましたクナさん?」


 最初の受付嬢はクナさんと言うらしい。


「名簿にユダ・ヨーデスさんとカーラさんという方の名前がありますが……」



 アイナさんは俺達の方を少しだけ怪しむように見つめた。


「お二人はどちらに?」

「うっ……一人は道中、死に……もう一人はいなくなった……」



「……………………怪しい」



 アイナさんとクナさんは、小声で呟いた。

 登録し直すのにメンバーが2人いなくなっているのだから、そりゃ怪しむか。


「あ! しかもこの方達、独立ギルドの前は神国ギルドです!!」

「!?」



 周りもざわつき始めた。

 クナさんが大声を出すものだから、俺達はギルド内にいる全ての人達の視線を集めた。

 中には立ち上り、ゆっくりとこっちに迫ってきている。



「ち、違うぞ! 断じてスパイなどでは……!」

 サクヤさんが焦ったように取り繕う。


「益々怪しい……」

「益々怪しい……」


「ち、違……」



 やれやれ……

 揉め事は嫌いなんだが……


 テンプレだー!!


 いや、正確にはテンプレ一歩手前。

 皆に怪しまれ、絡まれる一歩手前。



 いや~いいね~、流石ギルド、こうでなくちゃ。



 ここで俺はサクヤさんに助け船を出す。

 全く……仕方ないギルマスだぜ……


 多分俺の顔は緩みきってるだろうな。



「ギルマス……紹介状、紹介状」

「はっ! そうだった!!」


 本気で忘れてたなこの人……


 サクヤさんは懐から紹介状を取り出し受付のお姉様方に手渡した。



「こ、これは……」

「嘘……」


 周りの人達も何事だと聞き耳をたてている。

 出るぞ~

 ご隠居様の印籠的なのが……



「拳聖……ミロク様の紹介状……」


「「っ!!!?」」



 はい、出ました!!


 全員が驚いている。

 ハトが豆鉄砲くらったみたいに。


 いや~痛快だ。

 だから先の副将軍様は人気だったのだろう。

 まぁ今の状況とは違うけど、似たようなものだし……いいか。



 うむ、余は満足である!




 ざわめきは収まらなかったが……取り敢えず、俺達のギルド【刀剣愛好家】は無事に王国ギルドに登録出来ることとなった。





 テンプレってなんだろう?

 まぁいいか。

 取り敢えず、怪しまれる状況が書きたかっただけです。


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