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どうせなら異世界で最強目指します  作者: DAX
第一章【はじまり】
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草原と地下



 俺達は(ゲート)を渡り、アーク帝国領内に入った。


 ほんとに普通に神社の鳥居をくぐる程度の感覚で(ゲート)を渡った。



--景色が一変した--



 先程までは森の中にいた。空は黒雲が立ち込め常に雷が鳴っていた。

 だが今はどうだ。

 空は青く澄み渡り、太陽は輝き、草原は風に(なび)いていた。


 俺は大きく息を吸ってはいた。



「スゥーーーーハァーーーー」



 空気が気持ちいい。

 自分がいた世界では、割りと田舎の方に住んでて空気が綺麗な方だと思ったが、空気の鮮度が違うのが分かる。



(ああ、俺は異世界にいるんだ)



 ふとそんな風に感じた。

 アルカディア国もファンタジー感が強かったが、ここも違った意味で異世界だった。



 改めて景色を一望する。

 草、草、草、草、草、草、草、草、草、草、草。



「草原だな……」


 俺が呟くと、レイナが後ろから指で軽く俺の肩を叩く。

 振り返ると俺の眼前に突如、山が出現した。



「!?」


 荘厳で言葉にならなかった。

 あれが霊峰……山は白銀に輝き、太陽の光が反射していた。


「凄いな……」

「あれが、神々が住むと言われる霊峰【アルカ】です」


 いても不思議ではなかった。

 だがこれでまた1つ確信が持てた。



「神々が住むなら、尚更スレイヤ神国はあの山に侵攻しそうにないな。神を崇める国が霊峰に土足で踏み入るのは、神に対する冒涜だしな」

「ですね」


 レイナとそんな話をしながら、俺達は迷宮がある方に向かって歩いていた。




--突如、目の前に巨大な蛇が2匹現れた!ーー



 俺はすかさず【神眼】を発動した。



【巨大蛇】(ジャイアントスネーク)×2、属性【地】、弱点【風】、ランク【D】



 ガオウとゼノが神器を発動させる。


斧の神器【レギオンバスター】、属性【地】、ランク【A】


双剣の神器【光闇双剣】、属性【光闇】、ランク【A】




 2人と魔物を見比べて俺は心の中で呟いた。

 イジメだな……


 ガオウは大きく振りかぶり、蛇を一刀両断する。

 ゼノは蛇の攻撃を華麗にかわして、蛇を細切れにする。


 戦闘終了。


 ムゴいな……



 魔物を倒しても俺以外の4人は浮かない顔をしていた。



「…………」

 4人は黙っていた。


「どうかしたの?」


「まずいですね……」

 レイナは焦っていた。


「えっ!?」


「姫さん急がないと不味いことになるぞ」

 ゼノも焦ってる。


「……え~と、何が?」


「分かっています。ガオウ将軍、ルル急ぎますよ」


「「了解です姫様」」



 無視か……



「竜斗様急ぎましょう」


 やっと相手してくれた……



「え~と……どういうこと?」

「迷宮です……迷宮がランク【SS】になろうとしているのです」


 !?

 なんだと……!


「以前説明したと思うのですが、迷宮はランク【SS】になると周辺地域に魔物が多数出現するようになるのです」


「今の感じだとまだもう暫くは大丈夫だと思うが、うかうかしてたら、数日で迷宮が【SS】になっちまう」


「急ぎましょう」





 俺達は草原を走った。


 途中何度か魔物と遭遇したが、ガオウとゼノが一蹴し、俺達は迷宮があるであろう場所に辿り着いた。

 だが辺りを見渡しても迷宮らしきものは見当たらず、一面草原だけだった。


「迷宮は?」


「ガオウ将軍お願いします」


「了解」

 ガオウは特殊スキル【魔眼<地>】を発動させた。


「……前方100メートルです」


 ガオウの特殊スキル【魔眼<地>】は迷宮の種類、場所、階層、ランクが分かるシロモノだ。



迷宮【地下】、フロア【44】、ランク【S】



「後、5日ですか……1日10階層……ギリギリですね」

 レイナは1日に何階層進めるか計算していた。


「なら、10階毎に休憩を入れて、5日目に9階層だな、姫さん」

「ええ」



 あっ、そうか!

 迷宮は1日毎に増えるんだっけ……

 6日目で迷宮は50階……つまり【SS】ランクになるのか。



「竜斗様」

「どうした?」


「はっきり言って厳しい迷宮攻略になると思います。【A】ランクの魔物でさえ私達より格上です。それなのに【S】ランクの魔物が出たら、私達では対処出来ないかもです」



 そういえば、同じランクなら魔物の方が強いんだっけ……


(例) 迷宮攻略者ランクA≒魔物ランクB……らしい。


 詳しく聞くと、あくまで1人で戦う場合の目安で一概には言えないらしい。

 しかしこっちにはAランクが3人もいる。

 治癒師もいる。



「大丈夫だと思うけどな」

 俺は軽く答えた。


「なぜそう思うのです?」

「う~ん、なんとなく。てか【SS】の迷宮でもこのパーティーなら行けそうな気がするんだよね」


「おいおい竜斗、それはいくらなんでも言い過ぎだろ?」

「私もそう思います。確かに皆様、私と違って【A】ランク以上ですが、【SS】ランクをなめすぎだと思います」


「まぁとりあえず、入って戦ったらわかるんじゃない?」


「「…………」」

 俺が堂々としてた為か、ゼノとルルはそれ以上言っては来なかった。



「姫様、どうやら先客がいるようです」

 ガオウが魔眼を使い、迷宮の情報を教えてくれた。


 草原の中に、巨大なマンホールみたいな蓋があった。

 蓋の中央には【迷宮信号】が黄色に光っていた。


「くそっ、誰か入っているのか!?」

「どうしましょうか……」


「…………なら1日だけ待ってみよう。それでも誰も出てこないなら今回は諦めよう」

「しかし、仮に1日経って迷宮が開いたとして、4日で49層を攻略するのは……」


「でも仕方なくない? 別に他の迷宮でいいならそこにすればいいし」


「いえ、現在我々が把握している迷宮はどれも10層未満です。【S】ランクの迷宮はここだけです。ここ以外になると、手探りで1つ1つ探さなければなりません」


「それは……面倒だな」


 俺とレイナが話の進まない会話をしていたら、ガオウが口を開いた。



「それなら問題ないようです」

「どういうこと?」


「今、中央の珠が青色になりました」

「つまり?」


「中にいた迷宮攻略者が全滅したのだ。これで何の問題もないな」


 先程までの会話は何だったのか……



 何はともあれ、これで心置きなく迷宮に入れる。

 パーティーは5人。

 ならAランクが蓋を開けば5人は入れる。

 後から誰も入ってこれないようにガオウが蓋に手を添えた。

 蓋がゆっくり消えるとガオウが落ちるように迷宮へと入っていった。

 続いてゼノ、ルルと入っていった。



「行きましょう」

「ああ」



 俺とレイナは、ほぼ同時に入った。

 入りながら空中に浮かんでいた迷宮信号が赤色に輝いていたのを確認した。





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