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どうせなら異世界で最強目指します  作者: DAX
第六章【聖都】
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確認と惚れ




「うるせーーっ!!」



 俺の声が響くと、みんな黙り込みこちらを見つめていた。


 俺はそのまま【王の間】へと入っていった。レイナとアーシャは冷静さを取り戻したのか、先程までの自分を恥じるように俺の後ろをついて歩いた。


 本当に五月蝿かったので、俺は【神眼<覚醒>】を発動し、皆をひと睨みした。俺からは見えないが、両の眼が金色に輝いている筈だ。


 皆はただただ黙って俺が近づくのを待っていた。



 直ぐに皆に近づくと、俺は腕を組みそのまま皆を見回した。



 うん、結構な数だ……



【アルカディア側】

 レイナ、ガオウ、ゼノ、サラ、ルキ、バアル、アトラス。

 ララ、ルル、ヒュース、リリス。


【スレイヤ神国側】

 アーシャ、地王ガイノス、炎王ヒレン、雷王ライガ、風王クリスティーナ、闇王プリンガ。

 大臣が19名。


 それと……ネムリス、レインバルトだ。



 俺を含めて39名……多いな。それに、なんといっても広い。この城の【王の間】は広くて綺麗だ。イメージ的には白くて透き通っている感じ。奥にある玉座も綺羅びやかで豪華だった。



 でも先ずは、

「良かった皆無事で……」

 ララとヒュースの傷も、ルルのお陰か殆どない。


「大丈夫ララ、ヒュース?」


「あ、はい……」

「あ、はい……」


 ん? なんか二人が余所余所しい……どうした?



「竜斗様……【王気】が発動されていますよ」

 隣のレイナが小声で教えてくれた。


「うおっ!?」

 ビビった。よく見たら無意識に発動していたみたいだ。体がうっすらと光っていた。どうやらここにいる全員を威圧していたようだ。


「…………どう?」

 俺は光を抑え込んだ。


「はい、大丈夫です」

 レイナがにこりと微笑んでくれた。


「焦った……皆を洗脳したらどうしようかと……」

 俺は額の汗を袖で拭った。


「大丈夫です、今のは<解放>程度なので、意識すればコントロール出来る筈ですよ」

 反対隣にいるアーシャが説明してくれた。


「ん、了解」

 後で検証しようと思っていたのに……締まらない自分が恥ずかしい。



「え~と……レインバルトも無事で良かった」

 俺はネムリスの隣にいるレインバルトに振り向いた。


「はっ、すみません……地下に捕らえられており先程釈放されました……」

 うん、この中ではレインバルトが1番傷だらけだな。まだ応急的にしか治癒されてない感じだ。


「いや、無事で良かったよ……皆を護ろうとしてくれたんだろ?」

「…………まだまだです、精進します……」


 レインバルトは申し訳なさそうにしている。

 だけど多分ガブリエル相手に生きていただけ奇跡だと思う。現状、SSランクのレイナとアーシャでも勝てない相手だ。

 それに、いつまでも謝られそうなので、取り敢えずこいつはもう放っておこう。



「他の皆は?」

 確か別室にいる筈だけど……


「それなら心配いりません」

 サラが答えてくれた。


「そうなの?」

「ああ、僕の結界で部屋を護っている。侵入なんかしたらたちまち状態異常のフルコースだ」


 どうやらバアルの神器で皆を護っているようだ。


「それに【千里眼】でも常に確認している」

「了解」


 でもバアルはうっかり屋さんだから心配だ。だからか傍にリリスを連れてきているのは。



「あれ? 光王がいないな?」

 アーシャは元だから、今の光王がいない。


「ああ、戦闘後から行方不明だ」

 ゼノが腕を組んだまま、深刻そうな顔をしていた。


「ゼータじゃないのか? そういやゼータもいないな」

「ゼータにはアルカディアに残ってもらった。今はローゲと部隊長と共に皆の護衛をしてもらっている」


 ルキが教えくれたのだが、ルキからゼータへの信頼感が半端ないな。まぁ宿敵だったからこそ、誰よりもゼータの強さを信頼してるんだろうな。


「ゼータも関与していないと言っていたな」

「そうか……サンキュー、ゼノ」


 貴重な情報だ。多分、いや……間違いなく嫌な予感がする。



「そういえば戦闘中に異物が紛れ込んでいると……」

 レイナがアーシャに尋ねた。


「そうなのかアーシャ?」

「ええ、知っているような知らないような何者かがいる……そんな不思議な感覚でした」


「どういうこと?」

 全く意味がわからん。


「あなた方の仕業でないのなら……恐らく【光王ハクア】は何者かに連れ拐われたのでしょう」

「…………嫌な予感しかしないな」



「あ、アーシャ様……」

 すると神国側の大臣の一人がアーシャに恐る恐る声をかけた。


「どうしました?」

「そ、その事と関係しているのかは知りませんが…………ダコバス殿もあれ以来行方が……」


 大臣の一人が行方不明らしい。ダコバスって確かララを捕らえようとした奴か。


「分かりました……ギルドのメンバーに探させるように命じておきます」



 光王ハクアと大臣ダコバスが行方不明か……誰かが連れ去った? 誰が? アルカディアでも神国でもないなら……【アーク帝国】か【ホウライ王国】になる……皇帝と六花仙、国王と四傑……或いは……天使か?



「あんま長居は出来ないな」

「そうですね」


 俺の小声にレイナが頷いてくれた。


 全く……こいつらは主力メンバー全員で神国に来るとかアホなのか?

 本当に魔族は仲間を助ける事に必死だ。

 この間に敵に攻められたらどうする気なんだ。

 まぁこれが魔族の良いところなんだろうけどさ……反省は活かさないと意味がないぞ。



 しばしの沈黙が流れた。



「……で、これからどうするの?」



 なんかいつの間にか話が始まっていて、いつの間にか終わっていた。

 こんな時は普通「会談を始めます」とか何かしら合図があるのでは?

 なんにせよ、俺的には気になることは聞けたので、もう充分なんだけど。



 叫んで威圧して気になる事だけ聞いて、あとは好きにしてくれ……そんな態度が皆に伝わったのか皆は呆れた顔をしていた。




「ごほん、では私から……」

 咳払いを1つして、口を開いたのはヒュースだった。

 流石は頼れる総隊長。堂々とした姿勢で、神国側を見つめている。



(ん?)

 ある人物が目に留まった。


(……マジ……か?……なんか……ララがヒュースを見つめる瞳が、てか顔が乙女……なんだけど……)

 赤面した顔でヒュースを見つめるララの姿を【神眼<覚醒>】が捉えた。


(ん?)

 神眼は更に微妙そうな顔で姉を見つめる妹も捉えた。


(ルルも気づいた……?)

 て、事は……ま、まさか……ら、ララはヒュースに……ほ、惚れた??




(ま、マジかあぁぁぁああああああっっ!!!!?)




(マジか!?マジか!?マジか!?マジか!?)


 あ、ヤバイ……ヒュースが神国側に何か話してるけど、全く耳に入ってこない!

 俺はニヤつきそうになる顔を、手で押さえて隠した。


(マジか!?マジか!?マジか!?マジか!?)


 いつの間に……いや、捕らえられている間にヒュースが男らしくララを助けたのなら……あながち……うん、あり得る……そうか……もし、本当にそうなら……可哀想に……



(シューティングスタぁぁぁぁああああっっ!!)



 折角、隊長の一人としてAランクへと至り、いよいよ告白だけだったのに……まさかここにきてララに好きな人が出来るとはっ!!

 間違いない……だってララ、あからさまに両手を組んで祈るようにして【カッコいい……】視線をヒュースに送っている。



(ベタ惚れだ……)


 やっべ……マジで、ヒュースと神国側との会話が耳に入ってこない。時折、神国側が怒って叫んでいるがアーシャが宥めている。逆も然り、バアルやルキが怒鳴っているがレイナが落ち着かせている。


 でも内容は全く頭に入ってこない。やべぇ、ヒュースってララの事、どう思ってんだ?

 今の俺はそれだけが気になる。




「…………で、どうでしょうか竜斗殿?」

「ん?」


 不意にヒュースから話を振られた。



「……聞いておられましたか?」

 ヒュースに睨まれた。



「ごめん、聞いてなかった……」



 うぉい、こんな時に話を振ってくんじゃねー!




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