圧倒的と三属性
「敵ではない……? フフフふふふ、愚かですよ天原竜斗……強がりを」
ガブリエルは失笑していた。
「なら証明してやる」
俺はニヤリと笑い、空中で中段に構えた。
「…………神眼を覚醒させた程度でっ」
ガブリエルは少し面白くなそうな顔をしている。
ガブリエルの左手にはランクZEROの剣、右側にはランクSSの盾が発動されている。
これだけで、こいつが今まででは1番強いのが分かる。
でも何故だろう……ガブリエルの言った通り、神眼を覚醒させただけなのに、敗ける気がしない。
初めて修練の間で会った時の得たいの知れない者への恐怖感がなくなった。
神器の属性も能力も全部視えるようになった。まぁスキルに関して言えば、ゼノが言う説明文は視れない。
超絶レアスキルらしいけど万能ではないってことだ。
(はぁ……)
俺は心の中でため息を吐いた。
不謹慎だけど、ラファエルやレイナの時みたく楽しめるんじゃないかと心のどこかで思っていた自分がいた。
けど、今はあんまない。
何て言えばいいのだろうか……ガブリエルはめっちゃ強いけど純粋な戦士ではない気がする。
ガブリエルはスキル【天剣】もあるし、神様の兵隊なんだろうけど……ゲームで言う魔法職とか、策士とかの方がピンとくるかもしれない。
「まぁいいか……」
「愚かっ!」
俺が呟いていると、油断していると思ったのか、ガブリエルは突撃し、横薙ぎに剣を振るってきた。
俺は刀でそれを受け止めた。
「おやおや、何もさせないのでは……ふふふフフフ」
ガブリエルは何故か勝ち誇っていた。
「…………ん?」
俺はふとあることを思い付いた。
「なあ?」
「なんです? 今更命乞いをしても無駄ですよ」
「いや違くて、俺とゲームしようぜ」
「は?」
ガブリエルは意外そうな顔をし、俺から離れた。
「…………どういうつもりですか?」
ガブリエルは察したのか怪訝そうな顔をしている。
「いや、言葉の通り。あんたの【天啓】を使ってゲームをしようって言ったんだ」
「…………愚か」
「そうか?」
「……で、賭けは?」
「あんたが勝ったら、俺をあんたの好きにしていい。ただし、俺が勝ったらアンタはディアネイラの体から出ていけ」
「ふ……」
「ふ?」
「ふ、ふふフフフふふふ、ハハハはははハハハっ!!」
ガブリエルは突如、高笑いし出した。
「面白い! 面白いですよ、天原竜斗!! どうしようか考えていましたが、まさかそちらから提案してくるとは!!」
「で、どうする? やる? やらない?」
「面白い、そのゲーム受けてたちましょう!」
「なら、ゲーム開始だ」
「スキル【天啓】!」
ガブリエルが叫ぶと辺りが一瞬、光に包まれた。
「ふふふフフフ、これでもう逃げれませんよ」
「だろうな」
「ふふふフフフ、これでもう貴方は私のモノです」
ガブリエルはもう勝った気でいる。
「悪いけど俺はレイナのモノなんで、お断りします」
俺は丁重にお断りした。
「ふふふフフフ、随分余裕そうですが、今から本気で貴方を倒しにいきます。先程までの私ではないですよ」
うわ……雑魚キャラとかのセリフだ……まぁいいか……今から驚愕、いや戦慄するような攻撃をしてやる。
俺は【森羅万象】の能力【付加】を使い、刀の神器【絶刀・天魔】にある属性を付加させた。
「どのような属性かは知りませんが視るまでもない!」
ガブリエルは斬りかかってきた。
「…………」
俺は黙ったままガブリエルと斬り結んだ。
「ほらほら、どうしました! 戦闘狂のラファエルさんを倒したのでしょう! 貴方の実力はその程度ですか!」
ガブリエルは笑いながら容赦なく俺に打ち込んでくる。
【八双の構え】+【?属性】
「八双・?の位 アマノイワト!!」
俺は打ち合いの中で、かつてない程の速さで刀を振るった。
ガブリエルは空中を蹴るように後方へと跳んで躱した。が、
「…………やりますね」
ガブリエルの頬には紅い線が出来、血が頬をつたった。
「悪いな、俺の勝ちだ」
俺はそれを視て勝利を確信した。
「ふふふ、剣で勝った程度で私に勝ったつもりですか? 愚かですよ、私には神より授かりし天のスキル……が……あ……る……」
どうやらガブリエルは、ようやく異変に気づいたみたいだ。
「い、一体……な、何を……」
ガブリエルの体がガクガクと震えだした。
「……へ~まさかこんな結果になるとはな……初めてだったからどうなるかと思ったけど……まさかこうなるとはな…………フムフム」
俺は神眼を使ってガブリエルを注視した。
ガブリエルのステータスを視たら、かなり予想外の結果となった。
「だから、一体何をっ!?」
ガブリエルは顔を抑えながら、自分のステータスを視ていた。
「こ、これは……馬鹿な……有り得ない……わ、私のスキルが……き、消えた…………?」
ガブリエルは更にワナワナと体を震わせた。
ん? 消えた? いや、消えてはない筈だけど……
「あ~……天眼じゃ視えないのか……」
俺は少しだけほくそ笑んだ。
「あ、天原竜斗……一体、な…!?」
俺はさっきのとは違う属性を付加させて、ガブリエルに斬りかかった。
【脇構え】+【?属性】
「ぐっ!」
ガブリエルの反応が遅い。体を上手く動かせない感じだった。
「陽金・?の位 トリカブト!!」
俺は逆袈裟斬りを放った。
「くっ……」
これもガブリエルの体をかすめた。
「な……が……」
ガブリエルは更に苦しそうにし、ついに地面へと降り立った。
「苦しそうだな」
俺はゆっくりと地面に降り立った。
「あ、天原……竜……斗……」
ガブリエルは恨めしそうに俺を睨んできた。
「アンタには視えないんだな」
「な、何の事だ……?」
「多分、アンタのスキルもう一個消えたんじゃないのか?」
「!? な、あ、有り得ないっ!!」
どうやら本当に消えたようだ。まぁ俺にはどうなっているか、くっきりと視えているんだけど。神眼は万能ではないけど、天眼も万能ではないようだ。
「教えてもいいよ」
俺は言いながら再度ガブリエルに斬りかかった。
「ひっ…!」
先程の余裕はどこへいったのか……ガブリエルは一瞬悲鳴を上げた。
俺はそこから何度もガブリエルの体を斬りつけた。何度か盾で防がれたけど、最初のも合わせて計6回ガブリエルを斬った。勿論、付加させた属性は全て違う。
どれも致命傷にはならないが、致命的なのは間違いなかった。
大した外傷でもないけど、ガブリエルの膝は折れ、その場に倒れ込んだ。
「がはっ……はっ……はっ……はっ……はひゅ…………」
ガブリエルの呼吸は荒く、今にも息絶えそうであった。
だが、6つの切傷以外に目立った症状はない。
呆気なく勝負は決した。
「さ、【サタン】に……破れたとはいえ……か、かつては【マモン】を……こ、殺し……ランク1へと……至った……こ、この……わ、私が……」
それでも喋れるガブリエルを素直に称賛したい。
「今のアンタがどうなってるか教えてやろうか?」
「……………………」
ガブリエルからは小さな吐息しか聴こえなかった。
「アンタもう【天眼】も使えないだろ?」
「………………っ!?」
俺はガブリエルに、今自分のステータスがどうなっているのか教えたった。
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【ガブリエル】
種族
【天使】
クラス
【七大天使】
ランク
【ZERO】
先天スキル
【石化】【麻痺】【毒化】【鈍重】
後天スキル
【天啓】【衰弱】
特殊スキル
【暗闇】
神器
【天の剣】<剣/水/伸縮/ZERO>
【天の盾】<盾/水/巨大化・守護/SS>
【天の裁き】<腕輪/無/破壊/S>
【天の扉】<扉/次元/転移/S>
【天の糸】<籠手/無/操作・透明/SS>
【天の慈悲】<腕輪/水/治癒/A>
×【聖母の微笑み】<杖/水/復元/A>
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「ば、馬鹿……な……」
ガブリエルの顔は青ざめていた。
「まぁ、俺も想像してなかった結果だけどね……つまり俺の技で今のアンタは、【天啓】を除く6つのスキルが全てマイナススキルになってる訳」
「あ、有り得ない……」
ガブリエルの声が小さすぎて、マジで聞き取りづらくなってきた。
「俺もビビったよ、ただの属性攻撃のつもりだったのに、まさかスキルを上書き?するなんて」
「………………い、一体……なんの……属性……を……」
「いや、【痺】とか【暗】とかだよ……最初のが【石】属性で2回目のが【毒】属性……」
「…………ま、まさか……2属性に……その様な……」
「いや、これは2属性じゃない」
「!?」
「どうやら視えなかったみたいだし教えてやる」
「な、何を……?」
「これは3属性だ」
はい、出オチならぬタイトルオチでした。
安心して下さい、履いて…………ではなく、本文には書かなかったですが、ちゃんと三属性の10パターン考えてます。
これに関しては組み合わせは適当です。ただ今後はきちんと【<炎・水・風>属性】って具合で記載します。
三属性に期待していた皆様には申し訳なく思っております。紙の管理には気をつけます。
次は、よ…………なんでもないです。
補足、普通の状態異常と違い、竜斗の三属性では外見的には何も変化ありません。ただ、スキルはもれなくマイナススキルへと変わります。各属性の効果はこれから。