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どうせなら異世界で最強目指します  作者: DAX
第五章【神国】
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獅子と地王②


二話




 ガオウとガイノスの攻防は更に苛烈を極めていった。



「タイタンブレイカー!!」

「壱の段・傾!!」

 ガオウが斧を振り下ろすと、ガイノスはハルバートを斜めに逆袈裟懸けで放つ。互いの神器がぶつかりあい弾きあう。


「タイタンアクセル!!」

「弐の段・動!!」

 今度はお互いに旋回して勢いをつけて横薙ぎに神器を振るう。同じようにぶつかり合った神器は弾きあった。


「タイタンストライク!!」

「惨の段・地!!」

 弾きあった神器の反動を利用して、両者は突きを繰り出す。ぶつかり合いながら神器は交錯するが、相手を捉える前に再度弾きあった。


「ぬおおっ! タイタンストリーム!!」

「ぬらぁっ! 肆の段・塊!!」

 最後は互いに地面を(えぐ)りながら神器を振るった。互いが繰り出す攻撃は衝撃波を生み、大地は相手目掛けて裂けるようにぶつかり合った。


「はぁ、はぁ、はぁ……さ、流石だ……」

「き、貴公こそ……や、やりおるわい……」

 ガオウもガイノスも肩で息をし始めた。



「す……」

「す?」

「凄いな……ガイノス様と互角なんて……」

「おいっ!?お前それはっ……!?」

「わ、分かってる! でも……凄いと思ってしまったんだ……」

「相手は魔族だぞ!!」

「ならお前はっ!ガイノス様の【傾動地塊】を防げるのか!」

「そ、それは……無理だけど……」

「俺は……いくら相手が穢らわしい魔族でも、あのガイノス様と互角な魔族を凄いと思う!!」

「…………お前……」

「……俺もそう思う!」

「ああ、俺もだ!」

「俺もだ!」


 ガオウとガイノスの戦いを観戦していた騎士達の中から、若干だがガオウを讃える者が出始めた。



「……変な感覚だな。人間からあの様に言ってもらえるとは」

 当然スキル【聴力】が無くても、ガサツで無駄に声のデカイ騎士達の声は、ガオウの耳にも届いた。


「ふむ、当然だな。極聖隊ですら儂の四字連撃に耐えられる者など居りはせんからのぉ。お主は強い!」

 ガイノスもガオウを讃えた。


「竜斗の……」

 ガオウは、竜斗のお陰かもと言いかけた。


「それは違う!!」

 ガイノスは若干憤慨し、ハルバートの柄先を地面に突き立てた。

「今、儂の目の前に立つのは誰だ!ガオウ、お主であろう!竜斗とかいう者ではない!儂も騎士達もお主だから認めたのだ!先程お主が言ったであろう、人間も魔族も関係ないと!強者だから儂らはお主を認めたのだ、戦うに相応しい敵として!!」


 ガイノスの声は戦場によく響いた。その言葉は周りの騎士達だけではなく、ガオウにも響いた。ガオウは少しだけ俯き、よく分からない嬉しさに体を震わせた。



「勿論!最後に勝つのは儂だ!ガーハッハッハッ!!」

 ガイノスは高笑いした。


「……笑止!ならば我の最高の一撃を貴公にぶつけるまで!!」

 ガオウは途切れた集中力を再度研ぎ染まさせた。片手を突き出し、斧を握る手を後方に向け構えた。


「来るがよい!四字連撃の秘技を見せてやるわい!」

 ガイノスも構え直した。ハルバートをくるくる手で回すと最後に脇と背中で挟むように構えた。



 大勢の騎士達が固唾を飲んで見守った、手に汗を握りながら。



 何かの音がし、それが合図となり両者は駆けた。決して速い動きではなかった。だがその一歩一歩は力強く大地を踏みしめながらであった。



「【零の段・震天動地】!!」

「グラビティインパクト!!」


 ガイノスは四連撃の威力を一撃に込め空を裂くような横薙ぎを放った。

 ガオウは自身のスキル【重力操作】と、神器の能力【重力】を最大限に解放し神器に込めると、大地を粉砕する程の一撃で斧を振り下ろした。



ーー大地が裂けたーー



 あまりの衝撃に騎士達の誰もが目を閉じ、必死にその場で堪えようとした。が、取り囲む騎士達の前列は皆が吹き飛んだ。


 そして騎士達はゆっくりと目を開けた。



「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…………わ、我の……勝ちだ……な……」

「………………み、見事じゃ……」


 立っていた両者であったが、突如ガイノスのハルバートは真っ二つに割け、鎧も斜めに斬り裂かれ血が吹き出すとガイノスは前のめりに倒れた。


 僅かに遅れてガオウも両膝を地面に着けると、神器も強制的に解除された。




 互いの全力の一撃は観るものを震わせた。騎士達にとって最早、勝者とか敗者とか関係なかった。

 凄い!とか、ヤバイ!とか、憧れる!とか、これが漢だ!!とか、そんな訳の分からない事しか思ってなかった。



 そして大歓声が巻き起こった!



 その場にゼータとルルが転移で到着した時、凄まじいほどの歓声が鳴り響いていた。


「ちょ、ちょっと……何なのよこれ!?」

「う、うるさいです……!」


 ゼータとルルは耳を塞ぎながら、ガオウの元へと歩み寄った。




「約束だ、貴公を竜斗に会わせるぞ」

「…………ふん、勝手にせい」


 二人の会話は未だ鳴り止まない歓声に掻き消されていた。





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