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どうせなら異世界で最強目指します  作者: DAX
第四章【七大悪魔王】
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残酷と無慈悲③



1ヶ月も更新空いてしまい申し訳ないです。





【ヒュース・アレルヤ視点】


 あの方の戦いをまともに見るのはこれが初めてだ。


 あの方……竜斗殿達とは、つい先日に戦った。我が主を仲間にする為、竜斗殿達は我が祖国・機械国に足を踏み入れた。その際、私はゼノ殿と戦っていた為、まともに竜斗殿の戦いぶりを見ることが出来なかった。



 …………ただただ強い。



 今は亡き私の真の主であったアリス・ベルフェゴール様……あの御方も強かった……私のスキル【邪眼】により表向きはAランクであったが、実際には兄であるアトラス様より先にSランクへと至った強者だ。


 【英雄】【桜花】【光王】……三国のSランク者。しかし、その強さは他のSランク者を圧倒し、SSランクなのではとの噂だ。


 アリス様は強かった。


 衣服を作る才能も凄まじかったが、戦闘の才能も秀でていた。もし存命であったのならばアリス様はSSランクへと至っていただろう。そうでなければ実力主義でもある、あの【皇帝】が惚れるわけがない。

 それほどまでにアリス様は強く美しかった。だが……目の前にいる竜斗殿は、アリス様を遥かに凌ぐ強さだ。




 傷ついたサラ殿に向けて刃を振り上げる竜斗殿。



「させるかあぁぁぁああああっっ!!!!」

 ガオウ殿が吠えた。その咆哮は大気が震えるようだった。ガオウ殿は鉄球の神器【グランドハンマー】を発動させると、その場で勢いよく回転しグランドハンマーを竜斗殿目掛けて放り投げた。


「タイタンノヴァ!!」

 ガオウ殿が吠えるとグランドハンマーは、とんでもない速さで竜斗殿に直撃した。


「くっ!」

 この修練が始まって初めて竜斗殿の表情に焦燥の色が見られた。竜斗殿は刀で鉄球を受け止めていたが、鉄球の勢いを殺せず、刀の峰にもう片方の手を添え必死に抑えていた。


「アトラス殿!!」

 ガオウ殿が我が主の名を叫ぶ。


「任せろ」

 アトラス様は銃の神器【麒麟】を発動させると、雷弾を竜斗殿に放ちながら駆けていた。その脚には具足の神器【白虎】も発動されていた。


「ちっ!」

 竜斗殿は刀で鉄球を受け流すと、雷弾を躱すように後方へと跳躍した。しかし、それが竜斗殿が、この修練が始まって初めて油断した瞬間だった。



 竜斗殿の脇腹を背後から何かが貫いた。



「ぐはっ……!?」

 竜斗殿はよろめき脇腹を抑えた。



「ゆ、油断したな竜斗……」

 竜斗殿の背後より声をかけたのは、傷だらけのまま槍の神器を携えていたルキウス殿だった。


「ルキ……か……」

 竜斗殿はゆっくりと後ろを振り返った。

「……よく立ち上がれたな……」

 竜斗殿は苦笑いを浮かべていた。


「……スキル【吸収】だ……まさか、仲間の血で傷を癒すことになるとはな……」



 確かに先程よりルキウス殿の傷が癒えている様に見える。恐らくゼノ殿や周りに飛び散った皆様の血で回復したのだろう。だが、それでも満身創痍なのに変わりはない。

 竜斗殿は即座に槍を引き抜くとルキウス殿に向き直り刀を構えた。



【脇構え】+【炎・雷属性】

「陽金・嵐の位…「ルキウス!」…ガストネード!」



 竜斗殿の逆袈裟斬りの最中、アトラス様が叫んだ。

 ルキウス殿はハッとし、即座に別の神器を発動させた。それは自身と対象との場所を入れ替える神器【チェンジ】だった。



 竜斗殿の渾身の剣技をその身に受けたのはアトラス様だった。苦痛の表情を浮かべながらアトラス様は斜めに引き裂かれた。



「くっ……ス、スキル【機体】……」

 アトラス様は必死に自身のスキル名を声に出した。瞬間、カチカチと音をたてるようにアトラス様の体が修復されていく。



 今まで何度も見てきたスキルだが改めて見ても珍妙なスキルだ。文字として見たら機人族には相応しいようなスキルだが、アトラス様以外で所持している者を見たことがない。

 【復元】と【治癒】の中間に位置するような自己修復スキルだ。


 だがこのスキルは傷の大きさに比例して消費する魔力も大きくなる。傷は癒えても、戦う力は殆ど残らない。もしかしたらアトラス様が攻撃に参加しなかったのは、この時の為に?


 だとしたら不謹慎かもしれないが【チェンジ】の神器はルキウス殿よりかはアトラス様が所持する方が有効な気がする。

 それなら皆様が傷つくのをアトラス様が盾になることが出来る…………まぁ、主の傷つく姿を見たくない気持ちはあるが……。




 自ずと皆様の課題が見えてきたな。



 ゼノ殿は攻撃力……Aランクの双剣と、その身を焼くSランクの剣。正直皆様の中ではゼノ殿の攻撃力が1番低い。それでも一緒に戦えているのはスキル【剣才】と属性【光闇】のお陰だろう。


 アトラス様は防御力……この修練をみるかぎりでは、アトラス様は今後盾の役目を担う気でいる。なら、強力な防御系の神器が必要だ。スキル【機体】は使い勝手が悪すぎる。竜斗殿の【魔名宝空】なみの強力な神器が欲しいところだ。


 サラ殿は……特に問題ないように思う、可もなく不可もない。ご自分の役目をよく理解しておられる。Sランクの攻撃力に、スキル【舞踊】による独特的な戦い方、【風属性】による範囲攻撃、胸当の治癒能力やスキル【飛翔】など、戦士としてバランスが良い御方だ。ただ竜斗殿の方が強かった……それだけだ。


 バアル殿は……このような戦いには不向きだな。本来、炎による遠距離砲台がこの方の役目だ。それこそ戦術で言えば相手の攻撃範囲外からの圧倒的火力をぶち込めれば戦に勝てない道理はない……筈。ルル殿を心配する気持ちは解るが敵?である竜斗殿に不用意に近づいたのが敗因だな。



 ガオウ殿とルキウス殿は、恐らくこの中では1番SSランクに近い……と思う。

 七大悪魔王……Sランク……この方達レベルの強さは最早、次元が違いすぎて正直私ごときでは判断しかねる。七人の中では少し劣ると感じるゼノ殿にさえ私は完敗したばかりなのだから。

 だが竜斗殿の反応を見る限りでいえば、ガオウ殿は竜斗殿の攻撃を防いでみせたし、ルキウス殿は竜斗殿の体を貫いた。



 協力しての攻防だが、この中で誰が強いかと言われれば……ガオウ殿≧サラ殿>ルキウス殿≧アトラス様≧バアル殿>ゼノ殿……このような感じに思う。




 一瞬の間に私があれこれと思考していると、いつの間にか場が静まり返っていた。辺りを見渡すと、ガオウ殿以外は皆様傷つき倒れている。アトラス様とルキウス殿は辛うじて立ち上がろうとされていた。


 そして竜斗殿だが、刀の神器【絶刀・天魔】以外の神器を解除し、ただその場に佇んでおられる。皆様を見つめながら脇腹を抑えていた手を離された。右眼の神眼が一瞬輝くと、膨大すぎる魔力が地下修練の間を包んだ。



 い、息苦しい……い、一体何をする気だ……




【無の構え】+【次元属性】


「極みの位 終天(ついてん)




 竜斗殿は一閃、刀を振るった。その剣撃はあまりの速さで実際には振るった事すら分からなかった。

 私が気付いたときには、ガオウ殿、ルキウス殿、アトラス様は同時に無数の剣閃に斬り刻まれた。


 世界が終わったかの様な光景だった。


 実際には、御三方だけではなく修練の間の壁、床までもが剣閃に斬り刻まれていた。つまり竜斗殿の周辺全てに剣閃が走っている感じであった。


 時が止まったかの様な感覚に見舞われた。


 辺りはどこかしかに剣閃が刻みこまれ、アトラス様達からは血が噴き出し、ゆっくりと膝から崩れ落ち、最後には倒れられた。その光景がゆっくりと流れていく感覚だった。



 沈黙が重苦しい。観戦していた私達を除き、皆様が倒れられ、立ち上がれる様子もなく、その場には竜斗殿だけが立っていた。



 少しすると竜斗殿はゆっくりと息を吐かれた。

「…………ふぅ」




 私はゴクリと唾をのみこんだ。これからまだ何か起こるのではと不安にかられた。




「ルル!…………後、ヨロシク!」

 竜斗殿が叫ぶ。



 バッと皆が視線を送ると、そこにはいつの間にか腕が復元されたルル殿が立っており、小さく「任せてください」と呟くと、何事もなかったかのように皆様の治療に取りかかり始めた。



 えっ?は?



 訳がわからず竜斗殿に視線を戻すと、竜斗殿は脇腹を抑えながら穏やかな表情をされていた。


「……まぁこんなもんか…………ちょっとやり過ぎたか?」

 そう呟くと竜斗殿は険しい表情をされた。


「…………と……流石……に……疲れ……た……」

 体がフラフラと揺れると竜斗殿は倒れられた。



 助けにっ……………………とっ……どうやらその必要はないようだ。



 いつの間にか、この国の女王がこの国の至高を優しく抱き抱えていた。

 私は辺りを見渡した。観戦していた皆が各々倒れられている皆様の元に駆けつけていた。ゆっくりと抱き抱えルル殿の元へと運んでいく。




 なんにせよ……ランクZEROがここまで凄まじいとはな……







 部署異動やら、身内に色々あったりと大変な1ヶ月でした。少しずつ書き進めてたのがやっとまとまったので投稿に至りました。

 読んでくださっている皆様ありがとうございます。









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