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どうせなら異世界で最強目指します  作者: DAX
第四章【七大悪魔王】
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一礼と切れ者



「ありがとうございました!」×2

 ソラちゃんとルークは修練を終えると、一礼してから【修練の間】を後にした。2人は貰った木刀とグローブを大事そうに握りしめていた。


 将来もしアルカディア国に何かあっても、あの2人がきっと護ってくれる。俺はそう強く確信した。まぁそうならない様に今の内に俺達の世代がなんとかする訳だけど。



 俺達も一頻り修練を終えると【修練の間】にて休憩をとっていた。皆汗を拭ったり座り込んだり話したりと、各々で過ごしている。



「お疲れ様です竜斗様」

 不意にレイナが声をかけてきた。


「お疲れレイナ……と言っても2人に合わせてたから、そんなに疲れてないかな」

 俺は小さく笑いながら答えた。


「そうですね……2人もまだ元気そうだったので、次はもう少し厳しくても大丈夫そうですね」

 レイナからとんでも発言が飛び出した。


「えっ……」

 正直、俺的に小さい2人にはかなりハードに感じたのだけどレイナにとっては緩かった様だ。レイナ恐ろしい娘!

「レイナって意外と容赦ないんだね……」


「そ、そんなことはないですよっ!……あ、あの2人の才能が凄かっただけで……け、決して私が2人ぐらいの頃はもっと厳しかったとか……そんな訳ではありません!」

 レイナの必死の言い訳が堪らなく可愛かった。


「冗談だよ……でも2人には楽しく修行して欲しいな。相手を殺すんじゃなくて誰かを守る……そんな風に修行して貰いたいな」

「……そうですね。」



 俺とレイナがそんな事を話していたら不意に【修練の間】の扉が開かれた。入ってきたのは6人の魔族だった。



 第1小隊隊長・牙狼族のシューティングスター。

 第2小隊隊長・竜人族のテトラ(愛称)

 第3小隊隊長・八咫族のイヨ。

 第4小隊隊長・堕天族のアザゼル。

 そして新たに第5小隊隊長になった魔人族のナスカと、五隊を纏める総隊長・機人族のヒュースだ。



 全員がBランクで、潜在ランクがAでもあるアルカディア国の優秀な戦士だ。因にだが既にAランクである機人族のヒュースには総隊長になってもらった。


 ガオウとルキは完全に軍隊とは別枠にした。アトラスの推薦もありヒュースは、そこそこ切れ者らしいので隊を任せる事にした。



 王【レイナ】

 大臣【ローゲ】

 鑑定士【ララ】

 治癒士【ルル】

 総隊長【ヒュース】

 第1~第5小隊隊長【シューティングスター、テトラ、イヨ、アザゼル、ナスカ】

 建築士【ラス、カル】


 リーダー【俺】

 七大悪魔王【レイナ、ガオウ、ゼノ、サラ、ルキ、バアル、アトラス】

 転移係【ゼータ】

 諜報係【レインバルト】



 国としてはこんな感じになったが……凄く混乱しそうだ。どちらが上でどちらが下かも分からない。未だにガオウを将軍呼びしてる奴もいるし正直仕方ないと思う。


 まぁレイナがトップであるなら下は何の問題もないのだが、そこに俺が加わることで訳がわからなくなるのだ。つまり原因は俺の訳だから大変申し訳なく思っている。

 



「お疲れ様です皆様、お食事をお持ちしましたのでどうぞ召し上がってください」

 最初に言葉を発したのは八咫族のイヨだった。彼女はいつもの軍服ではなくサラと同じ着物を纏っていた。


「すまない有り難く戴こう」

 そうして袋一杯の飯を受け取ったのはアトラスだ。



 その後は各々で飯を食べながら雑談をしている。




「…………もぐもぐ」

 俺は飯を頬張りながら皆を見渡していた。


「どうかされました竜斗様?」

 隣で食べていたレイナが箸を止め尋ねてきた。


「結構、大所帯になってきたな……と。」

「そうですね」


「……まだ各地から魔族は集まってきてる?」

「いえ、アトラス達がいた機械国以降は来てませんね。サラの知っている魔族の集落もほぼ集まり終えました。」


「そうなんだ……アルカディア国には今魔族はどれぐらいいるの?」

「そうですね……1000には満たないかと。その中で兵士は200人くらいですね。志願する者がまだまだいますが。」


「ふ~ん……じゃあこの世界の魔族は全員アルカディア国に集まったの?」

「それはなんとも……まだひっそりと暮らしてる魔族が居るかもしれませんし、それに……」


「それに?」

「ホウライ王国とアーク帝国にはまだ多くの奴隷達がいます」


「ああ……そうだったね。ごめん。」

 俺はレイナにそう言わせた自分に腹が立ってしまい謝った。

「りゅ、竜斗様が謝ることでは!?」


「…………うん。決めた!」

 俺は頬張ってた飯を呑み込み意を決した。

「? 何をです?」

 レイナはキョトンとしている。



 俺はその場で勢いよく立ち上がった。



 当然皆は何事かと俺に注目した。



「スレイヤ神国との戦が終わったら、奴隷達を解放しよう!!」

「「!?」」


 全員が驚いた様子を示していた。ただ七大悪魔王の7人は直ぐに冷静さを取り戻していた様にも見えた。



「竜斗様……それは……」

 シューティングスターは訳が分からないと言った感じであった。


「言葉の通り、帝国と王国の奴隷達を解放する!」



「……それは少し気が早いと思うぞ」

 嗜めようとしてきたのはガオウだ。


「そうか?」


「スレイヤ神国との戦を舐めてるんじゃないのか?」

 バアルも少しムッとした様子だった。いや、バアルだけではなかった。


「……じゃあ逆に聞くけど、もしスレイヤ神国との戦が無事に終わったら、アルカディア国はどうなると思う?」

 俺は皆に尋ねた。


「そ、それは……平和になって魔族が安心して暮らせる様になるのでは?」

 テトラ(俺がつけた愛称)が安直な答えを口にした。



「いや……寧ろ逆だな。」

 普段のおちゃらけた感じではなくゼノが真面目に答えた。


「だろうな。恐らく今回の戦は歴史的に見てもかなりの大戦だ。」

 ゼノに同意したのはアトラスだ。


「そうなのか?」

 この世界の歴史をまだそんなに詳しくない俺が尋ねた。


「恐らく。アーシャ・スレイヤルは言いました、「姉王の攻めは苛烈を極める」と……間違いなく七極聖が出てくるでしょう。それも下手をしたら全員が……」

 答えてくれたのはレイナだった。


「歴史的に七極聖全員の戦などない筈だ。まぁ全員と言っても【水王レインバルト】と【光王】はいない訳だが……それでもだ」

 ルキが静かに言葉を発している。



「まぁ結局俺が何を言いたいのかというと……多分この戦でアルカディア国の存在は間違いなく帝国と王国にバレるって事。下手したらもう既にバレてるかも……」


「つまり?」

 サラが目を閉じたまま冷静に尋ねてくる。


「つまり、下手したらアルカディア国は2国から攻められるって事。まぁ聞けば帝国は2国に喧嘩売ってるし、王国もあっちからは手を出さないみたいだから同盟はないと思うけど……なくはないしね」

 フラグになるといけないからずっと黙っていたが、ついに口にしてしまった。



「なるほど……流石です竜斗様。」

 口を開いたのはヒュースだった。


「ヒュース?」


「実はローゲ殿とも話していました。スレイヤ神国との戦の落とし所を……」

「落とし所?」


「はい。スレイヤ神国との戦ですが……撃退してそれで終わりではないでしょう。レインバルト殿に聞きましたが極聖隊は一隊で1000人近くいるそうです。つまり7000人近くが。それに極聖隊以外の本隊を合わせても万を超す軍勢です。」



 マジか……全然人数を聞いてもピンとこない……



「仮に七極聖を全員倒したとしても人間達は賢く数も多い。対策を練られ、何度も攻められればどうなるか分かりません。それこそ竜斗様の仰った様に……下手したら三国同盟もありえます。ですのでこの一戦目で全て片をつけたいと思います。」


「だがこれは防衛戦だ。どうするのだ?」

「はい、アトラス様。まだ大まかですが……最初の防衛戦を凌いだら今度はこちらから打って出ようかと思っております」


「神国を攻めるのか!?それこそ無謀だ!」

 ガオウが大声を張った。


「いえ、ガオウ様無謀ではありません。寧ろ神国が王国や帝国と手を結び、【英雄】や【桜花】が出てくる方が危険です。今なら神国女王は誰の手も借りないでしょう。叩くなら今しかないのです。」


「つまり極聖を撃退して、神国が助け船を出す前に体勢を整えて、聖都スレイヤを攻め落とすと?」

「そうですサラ様。ただ落とし所はそこではありません。」


「?」

「この戦の落とし所は……女王ディアネイラ・スレイヤルの首です!」


「「なっ!?」」

 これには流石の俺も、いや全員が驚いた。


「そ、そんな事が……」

 シューティングスターやアザゼルが唖然としている。


「しかし、もし仮に女王の首を取っても戦争はなくならないのでは?寧ろ人間達は余計に魔族を目の敵にするだろう。それこそ神国を根絶やしにしなければ戦は終わらなくなる。」

 ルキが考え事をしながらヒュースに尋ねている。


「そうだね。聞けばヒュースは短期決戦を望んでいるのに、これだと長期戦になるよ。下手したら今までの歴史と何も変わらない」

 バアルも淡々と答える。


「そうですね。ですから、これはまだ案なのですが私は、女王ディアネイラの首を取り、女王の思想に同調してる者を粛清したら……新・女王にネムリス殿に就いていただこうかと。」


「お嬢様が!?む、無茶です!お嬢様は体も弱く……」

「分かっています。ですからこれはまだ案なのです。」

 ナスカが否定しようとしたがヒュースは直ぐに口をはさんだ。




 その場に静けさが流れた。誰も言葉を発さず何かを考え込んでいた。




「ですが流石です竜斗様」

「へ?」

 ヒュースの言葉と俺の間抜け声が【修練の間】に響いた。


「確かに、その時その時の戦いは大事です。先の事ばかり考えて、その時の戦を疎かにしては勝てる戦も勝てなくなります。しかし次に何が起こるか見据える事もまた、私には大事に思います。」

「お、おう……」

 ヒュースが急に話を振ってきたので、適当に相槌を打っておく。



「私の考えも竜斗様と同じで、目の前の戦に囚われすぎるのも良くないのです。この戦(スレイヤ神国との戦)が終われば間違いなくアルカディア国は帝国と王国に目をつけられます。存在も場所も明らかになるでしょう。」

 ヒュースは言いながらレイナに視線を向けた。


「七極聖を撃退して終わりで、神国女王を放置すれば必ず災いになります。しかしそこにネムリス殿のスレイヤ神国が味方してくれれば2国もおいそれとは手を出してこない筈。ですので皆様にも頭の片隅に置いておいて下さい。神国戦後、アルカディア国がどうなるのかを」



 またしても【修練の間】を静寂が包んだ。



 ヒュースって凄いな。正直俺もそれを思っていたけど、そこまでは考えてなかった。ただ神国戦後は結局奴隷達を助ける事になるから2国と争うことになるかなと。単純に攻められる前に攻めようと思っていたのだが……確かにスレイヤ神国が味方になればそこまで急ぐことにはならないのかも。




 まぁなんにせよ、これで皆の揺るんだ気合いも入り直ったかな。うん、俺の気合いも入ってきた。




いやはや、約3ヶ月ぶりの投稿です。実習1ヵ月、出張2ヶ月……つらく長い道のりでした(正確には現在進行形で出張中です)。しかし今月一杯でやっと地元(田舎)に帰れます。


神国編の考えを纏めたいのに、毎日押し寄せる仕事による体力的疲れや、都会の人混みの多さによる精神的疲れ、他にもポケ……go……(何でもありません!)……兎に角中々話を書けませんでした。


そんなこんなで次話を投稿する事が出来ました。今もブクマしてくれている皆様には感謝です。話を忘れた方はお手数ですが読み直してくれたら幸いです。次は3ヶ月も空かないと思います(笑)


帰ったらイラストも描くぞー!



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