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どうせなら異世界で最強目指します  作者: DAX
第四章【七大悪魔王】
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極聖と女王


更新空いて申し訳ないです。





 ギルド【魔族狩り】に属していたオークス、ジェガンがアルカディア国を襲撃した日から数日……スレイヤ神国・聖都スレイヤでは(かつ)てない程の異様な緊張感が流れていた。



 町行く人々の中、足を止めて話す若者が2人いた。彼等は革鎧を身に纏い指には幾つかの神器が嵌められていた。この国にあるギルドの1つ【刀剣愛好家(ブレイド・ラヴァーズ)】に属する者達だった。



「おい、聞いたか?」

「何が?」


「今、城では魔族の国を攻めるための会議が行われてるみたいだ」

「へぇ~、それってドラグナー国か?それとも機械国か?」


「いや、どうやら新たに魔族の国が見つかったそうだ」

「おぉ~なら女王陛下はさぞお喜びになられてることだな」


「ああ、あの御方の掲げる【清浄なる世界の為】の理想に近づける訳ってもんだ」

「でもアーク帝国と戦争中なのに大丈夫なのか?」


「それがな、聞いたところによるとアーク帝国の六花仙の何人かが何者かにヤられたそうだ」

「はぁああっ!?」


「馬鹿!声がでけぇって」

「わ、悪ぃ……」


「俺の知り合いが軍に所属してるんだが、まず間違いないそうだ」

「すげぇ~流石は七極聖だな~」



 話を振った男は一呼吸開けると再び話し出した。



「それがな……どうやらそれをやったのは極聖じゃないらしいんだ……」

「ま、マジかよ……で、でも確か六花仙って七極聖と同じSランクなんだろ?そんな化け物、誰が倒したんだよ?まさか【英雄の血脈】か?」


「さあな、流石にそこまでは分からんそうだ。ただ……」

「ただ?」


「なんでも情報元はギルド【魔族狩り】のギルドマスターらしいぞ」

「ああ、成る程。あそこのギルマスに知らないことはないって噂だからな」


「だから、六花仙が誰かにヤられたって情報も間違いないらしい……」

「…………でもそれならSランクの化物を倒した奴は、それこそ悪魔か何かかもな……」


「…………ゴクリ」

「……うわっ!俺、鳥肌たってきたよ!!」



 2人は街から見える城を遠くから見上げた。それはこの国で最も美しく清らかで真っ白な城であった。


純白の神城(ホワイト・パレス)



「……一体、城ではどんな会議がされてるんだろうな?」

「さあな……俺みたいな庶民出の一冒険者には想像も出来ねぇよ……」


「願わくば……」

「?」


「【微笑みの聖母】様が【断罪の魔女】様にならない事を祈るばかりだ……」

「いや……魔族の国を攻めるなら……それは絶対に有り得ないだろ」


「…………だな」

「……まぁ俺も聖母様の微笑みだけで充分だ……あの御方の……魔族を見る眼で睨まれたら……俺は1発で小便チビる自信がある」


「おいおい……それはいくらなんでも言い過ぎ…………悪ぃ……俺もだ……」

「……マジで会議をしてる大臣や七極聖に同情するぜ……」


「…………」

「…………」



 再び彼等は街から城を見上げる。2人はこれから起こることに些かの不安を抱いた。



「……迷宮に行くか?」

「……だな」



 2人はその場を後にした。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





 【純白の神城】最上階、【神王の間】では、この国の重鎮達18名が冷や汗を滴ながら、その場に佇んでいた。

 スレイヤ神国の大臣達は韓○時代劇に出てくる内官の様な真っ赤な服に身を包んでいた。だがその顔は数人の大臣を除く殆どが青ざめていた。


 彼等の前に立つ5人の騎士も横一列で並び、ただひたすら黙していた。

 5人の騎士と18名の前には赤い衣を纏った嘗て人間だった、ただの塊が2つ転がっていた。


 外観は純白、内観は水晶の様に透き通ったこの城には似つかわしくない汚い塊。塊からは(おびただ)しい血が滲み出ていた。




「清々したわ……(わらわ)に楯突いた身の程知らずの膿が消えて、この国も更に美しく光輝くでしょう…………ねぇ妾の(つるぎ)達?」


 騎士と塊を挟むようにして玉座に座す一人の女性、名を【ディアネイラ・スレイヤル】。この国の女王であった。


 彼女の髪は、透き通る程綺麗に光輝く金に近い茶色と、何処までも深い黒色の入り交じった髪色をしており、見る者を虜にした。


 そして身に纏うドレスは、今から結婚でもするのでないかと言わんばかりの純白のドレスであった。手には色とりどりの宝石が散りばめられた扇子が持たれ、口元を隠すように当てられていた。


 そしてその眼は冷たく鋭く、見るものを恐怖に陥れた。




「はっ、左様で……」

 答えたのは緑の鎧を身に纏い、鎧と同じ緑の髪色をした短髪の女性騎士であった。マントは白く神国の紋様が刺繍されていた。



「……儂は知らんぞ陛下?この2人が何をしたのか」

 そう言ったのは茶色の髪に白髪が交じった筋骨粒々で、老齢の男性騎士だった。彼の鎧は銅色に輝き、彼のマントもまた白く、国の紋様が刻まれていた。



「ガイノス様は知りませんでしたね……この者達は陛下のアルカ大森林遠征を最後まで反対されていた愚か者だったモノです」

 緑の鎧を纏う騎士は淡々と答えた。



「ガーハッハッハッ、クリスよ前から言っておるであろう。今は同じ極聖、様付けは止めよと……そうか、陛下に意見した勇気ある者達だったか……ガーハッハッハッ」

 ガイノスは笑って答えた。



「……煩い……」

 その隣にいた紫の髪をツインテールにした背の低い女の子が耳を塞いでいた。彼女もまた髪色と同じ鎧を纏いマントを羽織っていた。



「……ちっ、相変わらず声がでけぇって爺!見ろ!プリンガも耳閉じてんだろーが!!」

 怒鳴ったのは真っ赤に燃える短髪を逆立たせたヤンキー……ではなく男性騎士だった。



「そういうお主は目上の者に対する礼儀がなっとらんの~ヒレン……また儂の拳骨を喰らいたいのか?んん?」

 ガイノスは握り拳を作ると視線を1番右にいた赤鎧の騎士ヒレンに向けた。



「ちっ……化物爺が……さっさとくたばれ……」

 ヒレンは小さく舌打ちをした。



「……やれやれ、帰国早々賑やかな奴等だ……」

 金の髪を(なび)かせる長髪の男性は小さく溜め息をついた。



「あぁん?喧嘩売ってんのか根暗(ねくら)イガ!相変わらず冷静キャラ振りやがって」

 ヒレンが怒鳴ると黄色の鎧を纏った騎士の眉がピクリと動いた。



「根暗ではない、ライガだ……殺すぞ汗かきヒレン……」

 ライガは小さく呟いた。



「……上等だぁぁ……()って()るぜ、根暗イガぁぁああ!!」

 ヒレンの眉は吊り上がり、今にも襲い出そうとしていた。それはライガもであった。



「止めなさいあなた達!陛下の御前ですよ」

 (いさ)めたのはクリスであった。



 2人はハッとなり直ぐに自分を諌め、姿勢を正した。

「「申し訳ありません、女王陛下……」」



「ふふっ、相変わらず妾の剣達は強く勇ましい……頼もしい限りです」

 女王ディアネイラは微笑み、5人の騎士を見つめた。



【炎王】ヒレン・シュティンガー

【風王】クリスティーナ

【雷王】ライガ・ヴァーミリオン

【地王】ガイノス・シュティンガー

【闇王】プリンガ・ノーズ・ヒュバイン



「これで全員揃いましたね」



「? お言葉ですが陛下……」

 首を傾げたのはヒレンだった。


「どうしましたヒレン?」


「レイン……いない……」

 プリンガは小さく呟いた。



「あぁ……貴方達3人はまだ知らなかったわね……」

 ディアネイラはクリスティーナに視線を送った。


「……水王レインバルト様は殉死なされた」

 ディアネイラに代わって答えたのはクリスティーナだった。


「なっ!?」

 ヒレン、ガイノス、プリンガは驚いた。


「あなた方3人はずっとアーク帝国と戦っていたから知らないでしょう……陛下の密命で動いたレインバルト様は何者かに殺されました……水王隊も……作戦に赴いた騎士は誰一人帰ってきませんでした」



「バカな!?有り得ないだろ!!レインのオッサンは極聖でいったらアーシャ様に次ぐ……爺と同等の実力者だ!!それを……!?」

 ヒレンはわめき散らした。


「レイン……死んだ……?……嘘……信じない……」

 プリンガはワナワナと震えた。


「ふむ……殺ったのは六花仙【桔梗】か?それとも四傑【拳聖】かのう?」

 ガイノスは自身の顎髭を擦りながら冷静に分析しようとしていた。



「いえ、まだなんとも言えませんが【桔梗】はないでしょう……アーク帝国は今……」

「それだっ!アーク帝国に何があった!?いきなし【薔薇】【竜胆】【百合】がいなくなったぜ!」

 ヒレンはクリスの言葉を遮った。


「プリンガ……戸惑った……アルカ大平原……沈黙……」


「うむ、正直困惑したのう。いきなし撤退したもんじゃから儂らも罠かと思い迂闊に動けんでおった。」



「しかも新たに名乗り出てきた【竜胆】と【百合】なんてカスだったぜ。ありゃどうみてもAランクかそこそこだぜ」


「プリンガ……心外……あんなの……敵じゃない……」


「話を聞く限りだと新たな【薔薇】が出てこなかったって事はゼータはまだいるんだな……」

 口を開いたのはライガだった。



「ドラグナー国はどうでした?」

 クリスが3人に尋ねると、女王ディアネイラの体がピクリと動いた。


「結果から言って、もぬけの殻じゃったわい」

 ガイノスが答えた。


「新・六花仙2人……斬殺……プリンガ達……ドラグナー国……侵略?……誰もいない……」


「既に帝国の奴隷と化したか、どこかに逃亡したか……」

 ライガは小さく呟く。


「そのまま帝国まで攻めようとしたんだが……ある奴が現れてな……」

 ヒレンは口ごもった。


「? どうしたのです?」


「…………【桜花】だ」


「!?」

 クリスとライガは驚愕した。


「セツナ……強い……プリンガ達……敗走……」


「ガーハッハッハッ、正直あれには勝てる気がせんのう……逃げるのがやっとじゃったわい」


「まさか皇帝の右腕が動くとは……」

 クリスの頬を汗がつたった。


「ちっ、だが次は勝つ……アルカ大森林遠征の帰還命令がなかったら今頃は……」

「ヒレンや、強がりはよせ。あれはどうみても儂らの遥か上をいく存在じゃ。それこそアーシャ様でなければ……」

 ガイノスはそこで口を閉じた。




 誰もがディアネイラの顔色を伺った。水王レインバルトは死に、3人の七極聖が敗北、そして頼みの綱であった【光王】は行方不明……


 だがディアネイラは黙ったままであった。ただ静かにその場にいた全員を見つめていた。


 それを見た大臣達は静かに恐怖を感じた。きっと【断罪の魔女】は誰かの首を撥ねると……また、ここが血の海になると……ただただ恐怖を感じた……


 七極聖でさえ黙りこんだ……




「まるで通夜みたいに静かですね?」

 突如背後より女性の声がし、女王を除いた全員が一斉に振り返った。


「「誰だ!?」」

 七極聖の何人かが叫んだ。



 そこには白を基調とした綺羅びやかなローブで身を包み、フードで顔を隠した一人の人物が立っていた。




新キャラ続々登場。


名前は出てきませんでしたが前半の冒険者2人は今後出す予定です。特徴もその時書きます。今はフワッとした感じで読んで頂けたら幸いです。


お気に入りはプリンガちゃん。七極聖もいつかキャラデザしたいですね(笑)




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