表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
16/16

おまけストーリー 騎士道少女とサムライガール 最終話

みなさんこんばんは、そしてこんにちは。

作者の代弁者の紫乃宮綺羅々でぇ~す! 元気だったかな?


あ、毎度の事だけど、ここ前書きだから本編を読みたいひとはここを飛ばして下までいってね。


さて、今回でこのおまけストーリーも最後です。

最後までお付き合いくださいましてありがとうございま~す!


で、次回作だけど間宮冬弥さくしゃ曰くまだ未定だって!

まぁ先日、発売日が発表されたVPの魂を受け継ぎし『精神的続編のゲーム』が楽しみすぎてしょうがいないみたいだけどね!


じゃあ、この辺で本編にいっちゃうね!


では、このまま本編をお楽しみください! それではっ!

抜刀できない少女と騎士道ガール episode of side-N


●おまけストーリー

『騎士道少女とサムライガール』最終話・常識空間



お母さんは頭をなでながら『買ったばかりなのに制服、汚れちゃたね』と言った。


「そうだね、どうしようかな……やっぱり予備を出さないと」

 わたしがそう悩んでいると、お母さんは『なら、お母さんのお古の制服あげるよ!』とうれしそうに言った。



 ◆



 夜が明けて火曜日。


 空は晴天。雲がプカプカとまばらに浮いていて時折太陽を隠す。



 わたしはいつも通りの時間に前橋駅に着く。


 いつもと変わらない風景。電車を待つひとたち。わたしと同じ女子高生はスマホをいじったり、会社に行くであろうスーツ姿の男性や女性もスマホで時間をつぶしている。


 同年代の女の子や男の子は友達とおしゃべりなんかをしていた。そんなわたしは駅の最後尾にいる。


 紺のブレザーと紺のスカートの制服に赤のネクタイ。ブレザーの下に黒のセーター着てさらに下にはワイシャツを着ている。


 肩掛けカバンに剣入れのソードホルダー。普段持っているものもいつもと変わらない。学校にいくための荷物と制服。制服と荷物は変わらないけど……わたしの顔には絆創膏が張ってある。もちろん昨日の紫苑との復帰戦で受けた傷だ。


 それとこの制服。びっくりだけど……これはお母さんが高校生の時に来ていた制服。同じ高校だって聞いてたけど……これ新品と言っても差し支えないくらいまるで汚れていないんだけど……


 しかも心なしか制服自体が軽い気がする。それとなんか……すごく丈夫そうな生地を使って作ってありそうな、お母さんのお古の制服。



「う〜ん……複雑な気分」

 お母さんが着ていた制服をわたしが着ている……なんとも言えない感情がわたしの心を駆け抜けていく感じ。そしてその制服がサイズぴったりな自分に少しショックを受けてしまう……


 スマホの時計を見る。


「そろそろかな?」

 時計を見てそうつぶやく。別に電車を待っているわけではない。あ、電車は待っているけど……わたしが待っているのは。



「おはよう……那凪ちゃん」

「おはよう。紫苑」


 声を掛けてきたのはわたしの親友の紫苑。制服が真新しい。それはそうだろうな。あんなに傷だらけの制服は着れないから予備のを着てきたんだろう。でも……もうひとつだけ昨日とは違う事がある。


「持ってきたんだ」

「うん……まぁね」


 昨日の朝とは違って今日の紫苑は刀袋を持ってた。たぶん中は『双樹咲夜』だ。


「那凪ちゃん。私、決めた」

「なにを?」

「私……武士道同好会に入る」

「うん。知ってる」


 軽い返事。生返事に近い返答。わかってた。昨日抜刀した時からこうなるって。


「部活と自主練で鍛えて直して、那凪ちゃんに勝つから」

「……えっと、勝ったのは紫苑はじゃなかったけ?」

「そうだけど……もっと鍛えて楽勝で勝てるくらいに鍛え直す。だから一緒に鍛えよ」

「あのねぇ、わたしと一緒に鍛えたらわたしまで強くなるよ? わかってる?」

「うん、それでいいよ。一緒に鍛えて強くなって……私が勝つよ」


 真っ直ぐな眼。迷いを断ち切った顔。もう大丈夫だね。なら!


「いいよ、でもね! わたしの方が紫苑より強くなるから! 今度こそ勝つのはわたし!」

「負けない! 負けないよ!」

「わたしだって!」


 お互い真っ直ぐに見つめあう。紫苑の眼は凛としていて……見てて綺麗だな……


「じゃ、改めて」

 そういって紫苑はわたしに右手をさしのべる。


「なにそれ?」

「もう、これからもよろしくの握手! ほら」

「え〜〜ここでそれ? ハズいよ」

「私だって、このまま手を引っ込めたら恥ずかしいよ! だから早く早く!」

「もう、わかったよ」

 わたしは紫苑の右手を自分の右手で握り返す。


「よろしく」

 と、わたしは付け加えた。


「うん、よろしく」

 紫苑も答えてくれてわたしの右手を握り返した。


「よろしくついでにもうひとつ」

「なに?」

 手を握手したままわたしは紫苑に言う。


「今日から、わたしを呼ぶときは『ちゃん付け』禁止ね」

「えっ? でも……」

「前から思ってたんだよね。わたし達友達でしょ? ならちゃん付けなんてよそよそしいよ」

「でも……」

 紫苑はまだ決めかねている。抜刀したときはあんなに『那凪、那凪』って連呼してたのにな。


「昨日の戦いで、最後の方覚えてる?」

「最後?」

「そう、紫苑はわたしの事呼び捨ててたんだよ」

「あ……ごめん……興奮してたというか何というか……」

 うん、この反応は覚えてるな。


「そういうことだから今日から『那凪』って呼んでね」

「でも……」

「わたしも紫苑の事呼び捨ててるんだから、友達ならいいでしょ? それともイヤ? それなら友達解消だよ?」

「うっ……それはイヤだ……わかったよ。呼び捨てるよ」

「うん、ならよろしくね紫苑」

「よろしくね……な、那凪?」

「何で疑問系?」


 ふたたび握ったままの手をお互いに力強く握る。


 そして、電車が到着。


「電車きたね」

「うん、そうだね」

 あれ? 紫苑なんで手を離してくれないの?


「えっと……紫苑? そろそろ手離してもらえるかな?」

「あ、そうだね、ごめん」

 紫苑はなぜか名残惜しそうに手を離す。なんで? そういえば昨日もなんか変な時があったし……どうしたんだろう?



 ホームに到着した電車にわたしたちは乗り込み。学校へと向かうのだった。



「ありがとう。私と戦ってくれて。那凪じゃなかったら私ダメだった」



 電車の車内。紫苑が言う。その言葉にわたしは『そう』と答えるだけだった。



 そして、その日の夕方。前橋駅近くのコンビニのファミマ。


 わたしはペットボトルのお茶を買おうとレジ待ちしてたら、紫苑が泣きながら入ってきて『霧島さんのせいで、登校ポイントなくなちゃったよぉぉぉぉぉぉぉぉ〜〜!』とわたしに泣きついてきたのは別の話だ。



 おまけストーリー『騎士道少女とサムライガール』・完





 ●おまけのおまけすと〜り〜



『シスター・マリアンヌの不安事』



 ◆



「あ、あの日本の方ですか?」

「僕? はい。そうですが」

 男性はメガネをおもむろにはずし、シスターの声の答える。



 午後六時五十七分 ロンドン『クリスタ教会』



 ◆



「そうなんですか。あした日本に。なら……厚い本で申し訳ないですが、餞別にこれを贈りますよ」

「あ、ありがとうございます」

 ひとりの日本人の男性は一瞬考えた後に、シスターに一冊の厚い本を贈った。


「分厚いですね……『武器の構造のすべて』ですか?」

 英語でそう表記してあるタイトルをシスターはそのまま読んだ。


 男性とシスターはこの日初めてあった。男性は道に迷ったのでこの教会で道を尋ねるために訪れた。

 それと同時にシスターはロンドンにいられるのは今日で最後。


 時間は午後七時を指した。


 時間的にこの男性がシスターにとって最後の参礼者となった。


 シスターは男性が日本人だと知ると明日、自分が日本に発つので男性が最後の参礼者であること告げた。男性はその餞別として一冊の本を渡したのだった。


「この本を読んでおくといいよ。『近い将来、シスターがマナの祝福を施すときに必ず役立つから』特に特殊武器の項目はね」

「あ、ありがとうございます」

「本が厚くて申し訳ないです」

「そんなことないです。ありがとうございます」

「僕もつい最近まで日本にいたんですよ。日本はいい所です。きっとシスターも気に入ってくれますよ」

「はい。そうなるといいです」


 こうして、ふたりはしばらく話していたのだった。



 ◆



「ハァ……」


 修道着を着た彼女の名前はマリアンヌ・ライフゴッド。教会のシスターだ。


「ドウシテコウナッテシマッタノデショウ……」


 新人シスターのマリアンヌがロンドンからこの日本の教会に赴任してきた彼女が、なぜため息をついて悩んでいるか。それは今から1時間ほど時間を遡らないといけないだろう。



 ◆ 1時間前 ◆



「ココデスカ……」

 すがすがしい空。太陽の日差しが暖かい午後一時。


 ロングコートを着て長くなびく金髪をかきあげ女性は建物を見上げる。


 年の頃は十代後半から二十代前半。そんな彼女は初めてくる異国の地の建物をじっと見上げている。


 目の前にあるその建物は三角形の屋根に大きな十字架が建て付けられ、大きな観音扉があるいかにも、と言った『教会』だった。この教会は今日この日にマリアンヌが赴任する教会。


「フゥ……ヤット着キマシタネ……」


 おぼつかない日本語で色々なひとに地図を見せて、なんとかこの教会の場所を聞いて、やっとたどり着いた教会。


「行クデスヨ」

 大きな旅行トランクを両手で持ち上げ、マリアンヌは大きな扉を開ける。


「失礼シマス……」

 中に入るとロングチャペルチュアが並べられ、奥にはステンドグラスが見える。中は誰ひとりとしていない。


「キレイデスネ」

 マリアンヌは奥へと踏み込みステンドグラスへと歩く。


(しゅ)よ、無事に日本に辿り着きました。ご加護感謝いたします」

 マリアンヌは片膝を着き、両手を組み神に無事に到着した事を告げ、自国の言葉で祈りを捧げる。


「ん?」

「アッ……」

 マリアンヌが祈りを捧げているとき、ステンドグラスの横の扉が開き、神父服を着た三十代前半くらいの男性が出てきた。


「あ〜お祈りですか? すみませんね慌ただしくて。そのままでよろしいですよ」

「アッ……待ッテクダサイ」

 マリアンヌはそそくさと出口へと向かう神父であろう男性を引き留めた。


「はい、どうしました?」

「アノ……ワタシ今日カラコノ教会デ、オ世話ニナル、マリアンヌ・ライフゴッドデス」

「まりあんぬ? ああ! 君か! 今日赴任するロンドンから来る新しいシスターと言うのは!?」

「ハイ。ソウデス。遅クナリスミマセン」

「いやいやいいですよ。大丈夫です。しかし困ったなぁ」

 神父は困ったように後頭部をさする。


「ドウカシタノデスカ?」

「ああ、ライスコイン教区長に急に呼び出されてしまってね。行かなくてはならないんだ」

「ハァ……」

「いきなりですまないけど、留守番を頼むよ」

「エッ! エッ! ル、留守番デスカ!?」

「一時間か二時間位したら先輩のシスターがくるからそれまで頼むよ。大丈夫。この時間帯は誰も来ないから! 休憩室やその他諸々はその扉の奥にあるから。 じゃ!」

「ア、アノ!」

 颯爽と神父は教会を出ていってしまった。


「ア……アノ……」

 ひとり残されたマリアンヌは呆然と神父が出ていった扉を見つめていたのだった。



 ◆



「ハァ……不安デスゥ……」

 とりあえず、神父が出てきたドアに入り奥にあった更衣室らしきところでトランクを開け、修道着を出し着替始める。


「役立ツノデショウカ……」

 トランクの中からとりだしたのは一冊の分厚い本。


 その本をパラパラとめくり、『特殊武器項目』を開いた。


「二位一体……可変構造内蔵武器……ウ〜ン」

 流し読みをしてマリアンヌは本を閉じてトランクに戻した。そしてしばらくの後、着替え終わってステンドグラスへと戻ってきた。


「主ヨ……ワタシハドウスレバ、イイノデショウ……?」

 まったく知らない教会でいきなりひとりにされた不安を神へと報告する不安でたまらないマリアンヌ。



「ドウシテコウナッテシマッタノデショウ……」

 そして、現在に至る。


「ソウ言エバ、先輩シスターガ来ルトカ言ッテマシタネ」

 マリアンヌは教会の出入り口の観音扉を見つめた。


 しかし、その扉は開く気配はなく、ただただその場に佇んでいた。


「ハァ……不安デス」


 同じ言葉を何度も吐き、不安を隠しきれないマリアンヌ。しかしその時に開かないと思っていた観音扉が開いた。


「ア、来タノデスカ!」

 安堵と喜びで開いた扉を見た。


「あの〜すいません……」

 教会に入って来たのは日本の学校の制服を着た赤い髪のポニーテールで、背の低いかわいい女の子だった。


「アッ……ドウシマシタカ?」

 マリアンヌは安堵から再び不安に襲われそうになる気持ちを抑え笑顔で取り繕い女の子に声をかける。


「あ〜えっと……神父サン、イラッシャイマスカァ〜」

 女の子はマリアンヌが外国の人だと気づくと日本語を英語のような発音で話しかける。


「フフッ、大丈夫デスヨ。日常会話程度ノ日本語ナラワカリマスカラ」

「あ、そうなんですか。よかったぁ〜」

 女の子はひとつ息をついて安堵に浸る。


「神父ニゴ用デスカ?」

「はい。神父さんにマナの祝福をこの刀に施してもらいたくて。いらっしゃいますか?」

 女の子は持ってた刀袋をマリアンヌに見せる。


「申シ訳ゴザイマセン。神父ハ今、出テシマッテルンデス」

「あ、そうなんですか……わかりました。別の教会に行きます。ありがとうございました」

 頭をひとつ下げ、女の子は観音扉へとトボトボと歩いて行く。


「ア、アノ!」

 マリアンヌはそんなトボトボと歩く女の子を引き留め『私デヨロシケレバ、マナの祝福ヲシマショウカ?』と提案した。


「ほ、ホントですか!」

「ハイ。デモ、ワタシ、シンジンナノデ少シ時間ガカカッテシマイマス。ソレデモヨロシイデスカ?」

「はい、よろしいです! よかった〜近所にここ以外教会がないから助かります!」

「ワカリマシタ。デハ……エ〜カタナ? デスカ? 袋カラダシテ、コノテーブルニ置イテクダサイ」

「わかりました」

 女の子は言われるまま、刀袋から刀を出す。


「えっと……祝福をかける前に少し話しておきたいことが……」

(あれ……これって……)

 マリアンヌはテーブルに出された刀を見て何かを思い、考え込む。もちろん女の子の言葉なんて入っていなかった。


「ア、アノ。失礼デスガ、コノ剣ハ『二位一体の武器(デュアルウェポン)』デスカ?」

「えっ……そ、そうですぅ! よ、よくわかりましたね!?」

 女の子は驚きの表情でシスターを見た。


「ハイ。本デ読ミマシタ」

「そうなんだ。この剣って結構珍しい刀らしいから不安だったんですよ! あ、じゃあ『二本目の刀』の取り出し方わかります!?」

「ハイ? エット、コノ剣はアナタノデハナイノデスカ?」

「はい。実は友達ので……これからひと勝負するんでそれでここに」

「ヒト勝負デスカ……?」

「はい」

「ケンカハ、イケマセンヨ?」

 マリアンヌは勝負とケンカを同じ意味で捕らえているらしく女の子を諭そうとしたが女の子は『あ、ケンカじゃなくて……えっと? 復帰戦っていう試合です……非公式だけど……』と、焦り答えたが語尾はマリアンヌには届かないくらい小さい声で言った。



「フッキ……セン? デスカ」

「はい。なんでケンカじゃないです。まぁそれでマナの祝福をかけておこうかなと……でも、シスターさんがこの刀の事知っててよかった」

「ハイ……ソウデスネ」

 マリアンヌはロンドンで会った日本人男性を思いだし、『まさか、あの本がこの地(にほん)で本当に役立つとは……』と、心底思った。


 そして、男性の強烈な印象も同時に思い出す。『笑顔もなんだか作り笑顔。何おいてもつまらなそうな顔をしている』と。


「あの……シスターさん?」

「ア……シ、失礼シマシタ」

 マリアンヌは刀を手に取り、たどたどしい手つきでまさぐり始める。


(確か……本ではこうだったハズ……)

 マリアンヌは刀身にある細い棒状のものを握り、前へスライドさせ、そして思いっきり上方向へと引っ張る。


「オオゥ……」

 刀からはガシャン! と音を立てて刀身部分がスライドしてその中から『二本目の刀』が姿を現した。


「へぇ……そんな風に小夜を取り出すんだ……」

 女の子は感心したように感嘆の声を上げた。


「フゥ……」

 マリアンヌは二本の刀を机に置いて、ひとつ息を吐いた。


「デハ、マナノ祝福ヲ、コノ剣二捧ゲマス」

「よろしくお願いします」

 マリアンヌは瞳を閉じ、刀に手をかざし言葉を紡ぐ。


「……#$%& &%$#$%#&……$&……」


 マリアンヌは呪文のような言葉を詠唱。その言葉はどの国の言葉ではなく、目の前の女の子はまったく理解ができない言葉だった。


 しかし女の子は慣れているのか、じっとみている見ている。


 詠唱を理解できていないのはマリアンヌ自身も同じだった。この言葉は理解できないし何を言っているのかわからない。それでもマナの祝福を施すのに必要な呪文なのだから唱えているのだろう。


 いつの日か……この詠唱の意味を知るその日まで。



 ◆



「フゥ……」

「終わりました?」

「ア、エット……失敗シテシマイマシタ。モウ一度チャンスヲプリーズデス。オ願イデスゥ」

「お、おふぅ……」


 こーして、二回目の『マナの祝福』が始まったのだった。


 ◆



「ヤッタ……ヤリマシタ! 成功デス!」

「ふぅ……やっとですか」


 女の子は机に置かれた刀をみる。刀の根本には黄金色(こがねいろ)に輝く『マナの福印』が刻まれていた。


 そしてここまで辿り着くのに、四回ほど失敗して五回目。時間にして三十分でやっと成功したのだった。


「えっと……寄付金を払いますね」

 『マナの福印』を確認した女の子は肩掛けカバンからサイフをとりだして、中身を確認していた。


「ア、オカネハ、イラナイデスヨ」

「えっ? いいんですか?! でも……」

 サイフから目を離し、女の子はマリアンヌへと視線を向けた


「ハイ、失敗シテシマイマシタシ。ナニヨリ時間ガカカッテ、アナタニ迷惑ヲカケテシマイマシタ」

「でも……」

 女の子はそれでも払おうとする意志を見せ『でも……

やっぱり寄付金は払いますよ』と言う。


「本当ニイイデスヨ。寄付ハ気持チデスノデ。ソノ気持チダケ、イタダキマス」

「……わかりました。ありがとうございます。正直助かります」

「ハイ」

「本当にありがとうこざいました!」

 女の子は頭を一つ下げマリアンヌにお礼を述べる。


「アナタニ神ノ祝福ガアランコトヲ」

「ありがとうございます」


 女の子はもう一度、一礼して教会を出たのだった。



 ◆



紅翼天蒼(こうよくてんそう)……」

 マリアンヌは控え室で日本人の男性からもらった本を見ている。


 あのあと先輩のシスターが来て、自分が赴任する教会の事を色々と聞いて、現在。控え室で休憩をしている所だった。


「アノ剣ハ……形ガ少シ違ッテマシガタ、コノ剣ニ似テマシタネ……」

 マリアンヌは『武器の構造のすべて』の特殊武器項目にある『紅翼天蒼』という名前の武器を見ていた。



 その武器の項目はこういう一文で始まっていた。



 極東の地『日本』で見たとても不思議で複雑で特殊な機構を持つ武器。それはとても美しい武器だった。


 赤色の刀と青色の刀。その二本の刀がひとつの刀として機能して必要に応じて二本目の刀を抜くことができる。私が見てきた可変機構を持つ武器はだいたい剣から銃。槍から弓などと言った可変が特徴。『ふたつの武器をひとつにする』のがコンセプトだった。


 そして 多位一体の武器は二〜三本の武器が不格好に金具で無理矢理止めれていて、見た目にも美しくない武器。


 しかし、この武器はまったく違った。可変機構を刀を納める鞘のように使用する例はこの武器が初めてだ。少なくとも私はこの可変機構を使った剣、いや武器を見たことがない。そして日本刀特有の美しさも損なわれることもない。美しい刀だ。これは可変機構を応用した新しい形の武器になるだろう。


「ウ〜ン……美シイデスカ? デモ見タ目ハ、トテモ汚レテイマシタケド……」

 マリアンヌは今日、マナの祝福を施した剣の事を思い出していた。


「……デモ、本当ニ役立チマシタ……モシモコノ本ヲ読ンデイナカッタラ……キット」

 そして、ロンドンであった男性の言葉を思い出す。


「特殊武器ノ項目デスカ……ナゼココマデ具体的ニ、アノヒトハ指定シタノデショウカ……?」

 あの男性の言葉は勘なのか? それとも適当に言ったのか? いくら考えてもマリアンヌにはわからなかった。


 だが、実際に男性の本はこうして役に立った。


 色々と思うところがあるが、マリアンヌは今日みたいな特殊な武器に『マナの祝福』を施すことがあると踏んで本を熟読したのだった。


 しかし……


「……ア! 今日……ドコニ泊マリマショウ……」



 マリアンヌの新たなる不安が誕生した瞬間だった。



●おまけのおまけすと〜り〜



『シスター・マリアンヌの不安事』・完

こんばんは、間宮冬弥です。

まずは、小説を最後まで読んで頂きましてありがとうございます。


今回でおまけストーリーを含め、『抜刀できない少女と騎士道ガール』は

完結と終了となります。最後までお付き合いしていただいた方は本当に

ありがとうございます。


次回作はまだ未定ですが、新作を投稿したその時は

またお付き合いしていただければと思います。。


では、これで失礼します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=416052645&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ