第48話 山田と伝統的な勇者の金策
「なんで大輔はちょっと暗い感じなんだ?」
俺は浮かない顔をした大輔に尋ねた。
「山田、そんなの決まってるだろ。お前を両親に会わせたくないだけだ」
うわっ、酷い。まあ確かに自分の息子が俺みたいな中二病患者と付き合ってるって聞いたら、ちょっと不安にもなるかな。それを言ったら、お前みたいなドスケベと付き合うのも問題だろうが。
これでロリ画像3万枚を目指すとか言い出したらどうするんだよ?
「赤やん、そんなんと違うで。むしろ、うちの両親なら面白がりそうやし」
へえ、じゃあ両親のことじゃないのか。
「じゃあ、なんで?」
「姉ちゃんと会わせたくないだけや……」
つまり、こいつはロリコンで年上好きなうえに、さらにシスコンまで抱えていたのか……
「業が深いな」
「大輔、それが認められるのは二次元だけだからな」
ロリコンで年上好きで、さらにシスコン……
赤崎の頭の中には、義理の姉で見た目が幼いロリ姉なんかが想像されているのだろう。
こいつはひょっとしてエロゲーにまで手を出してるんじゃないか?
「うわあ、なんか誤解されとる。ちゃうで、そういうのとはちゃうで」
あらあら大輔さんったら、そんなに慌てなくても。
大輔がどんなやつでも俺たちは友達でいてやるからな。
俺たちは大輔に生暖かい視線を送る。
「ちゃうんや。僕が姉ちゃんたちにいびられてる姿を君らに見せるのが嫌なだけやったんや。絶対ネタにされるし。僕は君らに弄られるのはある意味美味しいとは思ってるけど、それでも身内に弄られてる姿を見られるのは嫌なんや……」
「なあ、山田……」
「赤崎、ここはぜひともお泊りさせてもらうべきだろうな」
「うん、僕も塾などはないし、ぜひ大輔宅でたこ焼きの特訓をさせてもらおう」
「ちょっと君ら、ここは丁重にお断りするところやろ」
馬鹿だな、せっかく面白いものが見れるかも知れないのに断るはずないだろ。
本当に嫌だったら、実際には誘わず、親には用事があるって断られたって伝えるべきだ。
これは、あれだ。「押すなよ、絶対に押すなよ」ってやつだ。大輔は見られたがってる、姉に自分が弄られてるところを。
なんという羞恥プレイ……まさかM属性まであるというのか。
ヒャッハ―本当に大輔の歩む道は地獄だぜ。
その後、男子だけで特訓するという話を聞いた麻耶が男子だけでずるいって顔をしていたが、さすがに女の子を泊まりで招くわけには大輔もいかないし、細田さんが機転を利かせて、夏祭りの衣装なんかの相談を含めて女子の方は女子の方でお泊り会をするという話になった。
女子のお泊り会……智子がちょっと羨ましい。
湯上りの麻耶や細田さんときゃっきゃうふふ。
これが智子でなければ、俺はこの命を投げ捨ててでも食い止めたところだ。
土曜日の午後三時ごろ、俺たちは最寄りの駅から大輔に案内されて、大輔の家の前まで到着した。
「へえ、これが大輔の家か」
「三階建てとはなかなか立派だな」
「まあ、まだローン支払い中なんやけどな。ほらっ、僕って5人姉弟やからどうしても部屋数が必要やったんや。それに女だけならともかく5人目にして長男が生まれたから、男女に分けんといかん。でも、末っ子に一人部屋与えると上の姉が不満に思う。それで三階建てにしたらしいわ」
まあ、確かに末っ子を特別扱いしたら、姉たちが不満に思うからな。
子どものことをよく考えた良いご両親だ。
「1番目と2番目の姉ちゃんはすでに社会人で家から出てるけど、部屋は残ってるから急にふらっと帰ってくんねん。3番目と4番目の姉ちゃんは大学生やけど、自宅から通っとる。土曜日は講義もないし、今日はずっと家にいるはずや。普段は友達と遊びに行ったりして、帰ってくるのが遅かったり、そのまま泊まったりしとんのに……」
そりゃあ、俺たちが見ている前で大輔弄りをするためじゃないでしょうか。
いや、いい性格したお姉さんを持ってますね。
「「お邪魔します」」
俺たちが大輔にドアを開けられ、家の中に入ると大輔のご両親がやってきた。
「邪魔するなら帰ってや、なんてな」
「あなた、呼んでおいて返すなんて酷いわ。大輔の父と母です。今日はゆっくりしていってね」
父親の方は170㎝半ばで少し髪が薄くなり始めた50くらいの細身の男性。
母親の方は160㎝くらいで少しふっくらとした女性だ。ふくよかなせいで、50近いはずなのに少し若く見える。
どちらも優しそうな人たちだな。
「せっかく泊まりに来てもらっておいて悪いけど、たこ焼き特訓ってことで今日の晩と明日の昼はたこ焼きやで。17時くらいになったらキッチンに降りてきてや」
「本当はちゃんと御馳走してあげれたら良かったんだけど、特訓なら数をこなさなきゃならないから、たこ焼きだけになっちゃうわね。今日はお米も炊かないつもりよ」
ああ、関西の人ってたこ焼きをおかずにするってのはマジだったんだな。
そりゃあソースで味がしっかりしてるから、食べられなくはないだろうけど
「おかん、こっちの人らはたこ焼きはおかずじゃないから。お米出されても困るで」
何回か大輔の家に泊まれば、お好み焼きをご飯と食べる機会くらいはありそうだよな。
ちょっと未知との遭遇になるかも。
大輔の部屋はすでに冷房が効いていて涼しい。あんまりごちゃごちゃものを置いておらず小ざっぱりとした感じの部屋だ。
サッカー関連の雑誌や俺は名前がわからないけど、ヨーロッパのクラブチームの選手らしきポスターが貼られてる。
良かった、さすがに大輔も部屋の壁に堂々と子どもの写真を貼りつけたりはしないようだ。
棚にはノートパソコンが置かれてある。
大輔はデスクトップ型じゃなく、ノート型なんだな。
「じゃあ、僕はこれから姉ちゃん二人を説得してくる。友達二人を部屋に連れてきてるんやからあんまり関わらんといて、部屋に来んといてって。後でお茶は入れるけど、おとんの指示で腹減らしてけって言われてるからおやつはなしや」
「了解、俺たちは外も暑かったし、ここでくつろがせてもらうよ」
「うん、上手く説得できるといいな」
大輔が部屋から出ていくと、俺と赤崎はにやりと笑った。
「赤崎、わかってるよな」
「わかっている。こういうのはお約束だ」
そう、男友達の部屋に来た時の日本の伝統文化。そう、エロ本探しだ。
大輔の部屋の中を漁る。なかなかエロ本が見つからない。
本棚を漁っても、ちょっと可愛い子どもが主人公のマンガがあったり、胸の大きな女性の水着姿が載ってる雑誌などは見つけたが、肝心のエロ本がない。まさか、これだけってことはないよな。
ひょっとしてPC内でエロ関係は全部保管してるのかも。
それならパスワードはわからないし、残念だが手詰まりだ。
「山田!!これは!?」
大輔の机周辺やベッドの下を探していた赤崎が声をあげた。
赤崎の手には何か握られている。
これは黒のスケスケのおパンツ……
うわあ、エッチ。女性の中にはああいうのを履く人もいるのか。
って違う。これが女性の部屋ならなかなか色っぽい下着を持ってるな、勝負下着かなって話になるところだけど、ここは大輔の部屋だ。
まさか、大輔のやつ、智子に影響されて女装するようになったのか?
……それも違うな。
衣装に女性ものはなかったはずだ。
じゃあ、女性の下着を盗んだとか?
年上好きアピールしてたし、綺麗なお姉さんが下着干してるのを見つけて盗んじゃったとか?
でも、人のものを盗むような奴ではないだろうし。
「赤崎、それはどこで見つけた?」
「ベッドの下だ」
赤崎は女性ものの下着を握りしめたまま答えた。
うわあ、ちょっと変態的だ。さっさと手から離せよ。
赤崎も女性ものの下着を手に持ってる割には興奮してないな。
俺のように大輔の着たところでも想像しちゃったのかも。
でも、やっぱり何かおかしい。
俺が友達を部屋に招くなら、そういったものを人目に付く可能性のあるところに放置したりはしない。
ちゃんと鍵のついた机の中にでも入れるか、本当に人の目がつきにくいように気を付ける。
「姉ちゃん!今日は友達が来てるから、ちょっと部屋に入ろうとするのはやめてや!」
「うるさい!大輔の癖にお姉ちゃんに口答えするな。私の私物がなくなったのよ。部屋の中くらい見せなさい!」
大輔の声が聞こえてきた。
女性と言い争う声だ。
俺たちは慌てて、女性ものの黒のスケスケおパンツを見つけたベッドの下に放り込んだ。




