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魔法と剣の運命  作者: 長谷部香樹
すべての出会いを「始まり」と読む
1/56

1話

初めての執筆なので感想は滑らかに頼みます

なめらかに・・・・・・(笑)

  春風が桜の花びらを撫でて空に舞わせている時、校門の前で後悔という名の底なし沼に浸かっている少年が1人。

 時折、通りかかる人が「おはよう。早いねぇ」などと声をかけている人々に対し、少年はなるべく笑顔で対応しようとしているのだが、気分が気分のせいか、顔が恐ろしく怖い。


「はぁ~~、何でこんなことしてんだろう・・・・・・」


 大きなため息をつきながら、この台詞は今日で何回言っただろうかとふと思っていた。

 現在校門は少年の目の前で堅く閉ざされていた。何故と問われれば簡単に答えられる「まだ、門が開く時間じゃないから」だ。

 校門の先にあるのは、かざさき高校という公立高校で、その手前で棒立ち状態に陥っている少年はこの学校の1年生であった。


「はぁ~~、何でこんなことになったんだろう・・・・・・?」


 最後にもう1度だけ、と自分に言い聞かせながら今回の原因について思い返す。

 それは今から20時間ほど前に遡る――――――。




          ☆




 学校内では、体育館でしきりにボールをつく音と掛け声などが交わるバレー部やバスケ部、校庭で地面を蹴り、走り続けるサッカー部や陸上部などがいた。

 そして校外では、学校を目指して自転車を漕ぐ登校部・・・――――――。


「ソレを言うなら帰宅部だろーーー!!!」

「確かに言えてるね・・・・・・」


 ――――――もとい遅刻寸前の少年2人が自動車と間違うレベルのスピードで通学路を駆け抜ける。


「玲次、今何分だ?」


 大声でツッコんでいた少年は隣にいる「玲次」という名の少年を呼び、その呼ばれた少年が携帯を覗くと、表情を曇らせる。


「今8時28分・・・・・・微妙かもしれないよ」

「いや、間に合う。ってか間に合わせないとヤバイし」


 はたから見るとなんの変哲もない会話に聞こえるが、これを40キロ~50キロの速度の中で交わされていることを忘れないでほしい。


「にしても悪いな玲次。お前まで巻き込んじまって」


 全速力で走っている中で、大声でツッコんでいた少年――――――都築和仁が左手を顔の前で立てて謝る。


「大丈夫だよ。学校に遅れるかもしれないって連絡入れたし」


 こちらも例によって全速力で走っている玲次と呼ばれた少年――――――森村玲次が笑顔でなだめる、が。


「・・・・・・ぇ・・・・・・・・・?」


 都築が小さく声を洩らしながら漕ぐのをピタッと止め、森村の方を向く。


「ん、どうし・・・・・・ぁ・・・・・・」


 森村も何かに気づいたらしく、漕ぐのをやめて都築の方を向く。

 そしてしばらくその状態が続き・・・・・・・・・




『その手がありましたーーーーーー!!!』




 本日2度目の都築と本日初めて(おそらく人生で2、3回目)の森村の叫びに近いツッコミ(?)が響き渡った。



 ――――――6分後――――――




「あぁ~~疲れた(ずがれだ)~」


 学校の教室、都築は自分の机に頭を乗せるようにして顔を伏せている。その机の前で森村ともう1人の友人が立っていた。


「ほんっとにごめん。言うの忘れちゃってて・・・・・・」


 机にえぐり込むようにして伏せている都築に森村は両手を合わせて謝る。


 結局のところ、生徒登校時間の1分前に2人は教室に到着して扉を開いた。するとそこでは担任の先生が生徒にHRを始めるように言う直前のところであったらしく、気まずい雰囲気の中、先生に軽く注意をされただけで済んだ。HR終了後、クラスメイトの男子は(森村にだけ)珍しく遅れかけたことをいじりに話しかけてきてた。


「ん~・・・・・・今の話を聞くと森村には全く非がないように思えるんだが、都築」


 一通りの話を聞き終わり、森村の隣にいた友人が感想を述べるように話す。すると都築は「ぐ・・・・・・」と声を詰まらせ、森村は「あ、えーっと・・・・・・」と苦笑いしながら頬をかく。

 ちなみに、なぜ2人がそろって遅刻寸前の身になったのかというと、


 都築の場合

 ・起床:8時17分

 ・外出:8時26分

 ・到着時間:8時29分


 一方、ただの寝坊少年と一緒にいた森村の場合

 ・起床:7時4分

 ・外出:7時53分

 ・到着時間:8時29分


 これをみると、森村はこの間に何があったのかという疑問が浮上するが、実際徒歩で10分程度で学校に着くはずの森村は今回自転車を使っていたのには訳があった。しかし、その理由をも森村の隣にいる友人が感想を述べるように話す。


「だいたいにして森村もりも・・・・・・・・・森村だ。いくら約束とはいえ、そこまで都築を待つ必要性はないのに」

「うん、あれには俺も驚いた」


 そう、実は森村は家に出てから遅刻寸前まで都築が家から出るのをずっと待っていたのだ(とはいっても都築が出るまで時間を見ていなく、確認したときには「な、んな~~!!」というわけの分らないような悲鳴をあげていた)。


 赤松鐐。学年どころか全国の同級生の中でも有能と言われる屈指の天才で、見た目を一言で言い表すと「イメージどーりの理数系イケメン」となっている。詳細を話すまでもなく、性格は冷静沈着の一言に尽き、細いフレームの眼鏡がそれを物語っているような学生だ。しかし、そんな勉強重視青年ガリベンマスターによくあるといわれる運動能力の悪さは、



 ・50m走:6秒07

 ・100m走:13秒28

 ・持久走(4キロ弱):20分11秒



 嫉妬してしまうくらいに足が速かった。


 そしてどんな巡りあわせか、都築達とウマが合ったらしく(どんなウマが合えば遅刻兄弟(ブラザーズ)と仲良くなるのかは不明だが)、学校内でよくつるむ人物の一人であった。



「ねぇ、あのさ。さっき赤松、俺のことを『りもむら』って言いそうになってなかった?」


 だが、森村にとっては自身の美談に近い話や赤松の詳細情報より「赤松に『りもむら』と呼ばれかけた」ということを気にしてる様子でいる。


「でも、一番どうしようもなく唖然としたのは最後の方でさ・・・・・・」

「さいごの方?」

「ね~、頼むからシカトはよして・・・・・・」



「ソレって一体だーれのことかな~?シドく~ん」

「え?――――――って、ぉわっ!」


 都築がようやく机から顔をあげると、1人の少女の顔がどアップで彼の視界に映される。

 いつの間に、と思って体をのけぞらし森村達の方を向くと2人とも揃って驚いた顔をしていた。どうやら彼らもこの少女が来ていたことには気づかなかったらしい。


「おぉ、いつの間に来ていらしたのですか我が3次元リアルみk―――――ぶごぁっ!」

「は~い、赤松君はそこでぐっすりとお休みくださいね♪」


 驚いたあとにすぐさま少女に話しかけようとしていた赤松を目にも留まらぬ裏拳を放ち、床に沈める。



 謎ノ少女ノニヨル攻撃

 急所ニ当タッタ(クリティカルヒット)!赤松ハ、チカラツキタ・・・・・・



「あ、亜希・・・・・・いつの間に来てたんだ・・・・・・?」


 この破天荒な行動を起こした少女――――――邑雨亜希は、森村と中学からの友人で都築とは幼馴染の関係を持つ少女。


「邑雨」という武士を連想させる名字とは裏腹に、ショートヘアーの現代いまっ娘の雰囲気を持つ天真爛漫な女子高生なのだが・・・・・・


「お・・・・・・ぉそろしや・・・・・・・・・」


 赤松を沈めた瞬殺☆裏拳にゾッとする森村を背に、亜希は悪意じみた笑みを浮かべて都築の前に立つ。


「おっはよーシド君、玲次君。さて、一体ダレが何なんでしょうか?」

「いや、あれを呆れる以外に何があんのさ」

「確かにあれは・・・・・・うん・・・・・・・・・」


 実は森村達は登校してた時に亜希に会っていたのだ。

 それは、また数分ほど前にプレイバックされる



 ――――――巻き戻し――――――




「バカヤロォーー!なぜその情報を言わなかったんだ!!」

「す、すみません。申し上げるのをわ、忘れててっ・・・・・・」


 それは、彼らがもっとも単純であろう(恐らく無断遅刻よりだいぶマシな)方法を伝え忘れたことに、まるで「軍の幹部に叱られたひ弱兵士」のような状態を再現していた光景を時速5,60キロの中で繰り広げていた


「で、どうする、今から連絡する?」


 今から連絡すれば何とか間に合う時間帯だが、都築が少し俯き気味で考えると、シュバっと顔を上げて玲次の方を向く。


「ここは頑固に強行突破だぜ☆」


 うん。男らしいセリフだけど絶対に遅刻するね、と森村は真顔で即座に考える。


 しかし、そうこうするうちに最後の曲がり角をブレーキなしで曲がり切る。

 すると人工的に作られた草木の柵が左側に見えた。どうやら学校の傍にいるのだろうと思いながら前を向くと門と人影が見えた。門の方はおそらく学校の入口だろうと判るのだが、後者が何なのか2人にはさっぱりだった。すると近づくにつれ、その姿の正体が――――――




「「んなっ!」」




 ――――――視認できたがしたくなかった。


 思わず息を吸いながら叫ぶことを抑えながら声を出す2人に見えたものは、黒い帽子に白と黒の縞模様のシャツ、黒いズボンにチェッカーフラッグを片手にさげた女子高生(←7割推測)が校門前に突っ立っている。


「なぁ玲次、あれって・・・・・・」

「うん、間違いない・・・・・・」


 何を確信したのかまたもや互いの顔を見合わせ言った。



「「亜希だ・・・・・・・・・」」



 そう、変な格好をしているが彼らの頭脳は「ありゃ明らかに亜希だよ。間違いねーぜ、あんちゃん」と、しきりに自身に向かって訴えかけてくる。実際、都築達自身も認めたいのは山々だが・・・・・・。


 想像したことがあるだろうか、親しい女子高生がサーキットの審判のような格好で校門前で立っている姿を。


 しかし最低限、それを今目撃している2名の感想は、



 ――――――シュールだ・・・・・・・・・



 シュールナ魔物(アキ)ノ全体攻撃

 都築ハ、(精神的ニ)200ノダメージ

 森村ハ、(同ジク、精神的ニ)200ノダメージ



 すると近づくにつれ彼女は自分たちが来たのを見つける――――――ちなみにサングラスも掛けていたが、かといって気づかなかったらその人の目は節穴と言われてもどうしようもないが――――――と、チェッカーフラッグを肩に背負う。


 いったい何するの、何なさるおつもりなの!?


  森村にとっては亜希が何をしでかすのか、火を見るより明らかに思えたが、あまりに衝撃的な光景をみてパニックになっている都築にとっては、まるで世界の破滅の瞬間のようにも思えた。

 そして彼らが校門を通過する直後、亜希が持っていたチェッカーフラッグをしきりに振りながら言い出した。


「勝者、玲次!」

「って判定だけかよっ」


 ほかに何かやるのかと思っていた都築は、簡抜入れずにつっこんでそのまま通過する。



 駐輪場で自転車を止めるといつの間に制服に着替えた亜希が走り寄って来た。


「ねぇねぇ、今のおもし――――――ごふっ!」


 亜希が近寄った瞬間、都築が亜希の首を絞めた。


「なぁ亜希・・・・・・あれ一体なに?」

「は、放して・・・・・・息、まずいから・・・・・・」



 勇者・都築キレてるノ攻撃

 亜希ニ100ノダメージ

 サラニ、亜希ハ13ズツノダメージ



 引きつった笑顔で亜希の首を絞める都築の姿を見て、森村は半分あきれ顔で止めるようにたしなめた。


 しょうがない、とため息をつきながら手を離すと、亜希は崩れるようにして座り込んだ。それはまるで、告白したらあっけなくフラれてショックを受けたように青ざめたような表情になっていた。


「で、亜希はなんでここにいるんだ?時間、大丈夫なのか?」

「ぜぇーぜぇー・・・・・・・・・え?ああ、あたしはボランティアであいさつ通りやってるから1,2分遅れても大丈夫なんだ。」


 雰囲気を変えるために森村が質問すると、呼吸を整えながら苦笑いで亜希が答えて続けた。


「そういえば、そういう君たちの方は時間大丈夫なの?」


 あ、そういえば、と都築があわてて時間を確認する。



  Am8:29 28



 時間を見た2人は一瞬にして硬直し、秒を数える数字が「30」となった瞬間、2人の姿が消えた。


「え?あ、あれ?2人共!?」


 あっというまに独りぼっちになった亜希が慌てて周りを見渡すと、都築と森村が校舎の入り口に駆け込んでいるのが見えた。

 い、いつの間に・・・・・・と半分あきれ顔でそんなことを思い、2人を追いかけるように彼女も昇降口に走って行った。


 森村、都築ハ逃ゲ切レタ



 ――――――ソシテ現在――――――




「で、あれのどこがおかしくないんだ?」


 そして都築たちの話を聞きいて亜希が突如現れ、赤松をKOノックアウトしたというわけであった。


「でも後の方はムダだよね」

「ああ、赤松は何も悪いことはしてないぞ?」


 確かに、赤松は何かを言おうとしてたこと(大方、彼女への愛の囁き(ラブコール)に近いことだと思われる)以外、何もやっていなかった。


 ちなみに、赤松は未だに床に倒れている。その姿をクラスの何人かはばっちり見ているのだが(気の毒だ・・・・・・)と思ってあえて無視している。人望のねぇやつだな、とあきれた様な表情で都築は同情した。


「いや、何かまずいことを言われそうで反射的に・・・・・・」

「フッ、反射的に急所へ裏拳を打てるとは・・・・・・流石は武家の子孫と言ったところだな」

「え?ああ、ありがと、あか・・・・・・・・・赤松君!?」


 いつの間に復活した赤松に心底驚いた表情の亜希を見て「絶対狙って打ったよね」と、森村は心の中で思った。そんなことも全く気付かない様子で赤松が続ける。


「フッフッフ・・・・・・・・・僕を一体誰だと思っているんだ、邑雨。吾輩は――――――」

「「「オタクである」」」


 赤松のセリフに合わせて、3人そろって割り込んだ。


「なっ・・・・・・!だ、だから僕はオタクじゃないって言ってるだろ!」


 わかりやすいくらいに動揺している赤松に「えー、だって本当じゃん」と、亜希が追い打ちをかけ、今度は都築が「じゃあ、一体なんだよ」と、質問した。

 フッ、いい質問だ、と赤松はメガネをずらしたあと、キリッと3人の方を向いて言い放った。



「プログラマーだ」

「「悪化してんじゃん!!」」



 赤松はカッコよく言ったつもりが、亜希と都築にまたもや簡抜入れずにつっこまれた


「いや本当にプログラマーだぞ!現に旧式の携帯ゲーム機にインターネットできるように改造したんだぞ!」

「いや、ソレ犯罪じゃん!自慢できるような要素じゃねぇだろ!」

「しかもそれ、プログラマーじゃなくってメカニックの分野だよね・・・・・・」


 あーだこーだと、論点を思いっきりずらして赤松VS都築・亜希・森村が言い争っていた。


「あー、頭いたい。っていうか、そろそろ話を本題に戻さない?」


 頭をかきながら森村が話を元に戻そうとした。

「へ、本題?」と亜希が首をかしげるのを見て、森村がため息をつく。


「当の本人がわからなくてどうするのさ・・・・・・だから『何しに亜希がここに来たのか』ってこと」

「それは、だから・・・・・・」


 俺たちが話してたのを聞いてこっちに来ただけ、と都築が言おうとすると、――――――それを聞いていた亜希の耳はどうなっているのだろうか?――――――何かを思い出したように「あーそうだった」と、都築の言葉をさえぎるようにしてから話しはじめた。


「実は、うちのクラスで面白い話を聞いて来たからそれを言いに来たんだけどさ」

「面白い話?」


 都築が亜希の言葉を繰り返すようにいうと、亜希は頷いて続けた。


「学校が開いた直後に図書室に行くと、奇妙な現象が起きるんだって」

「奇妙な現象って、例えば?」

「例えば自分以外の足音が聞こえたり、本の出し入れする音とかページをめくる音とかが響くんだって」


 亜希は極力低い声で怖がらせようとしたが、都築が口を開く。


「でもさ、それが起こるのって学校が開いた直後なんだろ?本当にいたって言ってる人いんのか?」

「ほんとだって!ここ最近広まった話だけど、うちのクラスメイトや先輩とか、長年ここの教員やってる先生とかも体験してるし」


 亜希は、信じてもらえるよう説得するよう強い口調で話す。だが、いくらベテランの教師が体験したとはいえ、ここ最近広まった話となると信憑性が薄かった。


 話を聞いて適当に相槌を打ってる都築たちに、亜希は頬をふくらませながら怒ってこんな提案を言い出した。


「ムッ。じゃあ、そんなに信用ならないんなら検証してみようじゃない」

「検証?」

「うん。誰か1人校門が開く前に行って、図書室で本当に起こるか調査してみる」


 その提案を聞いて都築は「えー、めんどくせぇ」といって反発するが、ほかに検証する方法もなく「じゃあ、ほんとにあるってことで」と、決められるのも彼らとしては釈然としなかったので、誰が行くかを検討し始めた。


「玲次がいいんじゃない?家から近いんだし」

「ん~、おれなんかより遅刻の原因のシドがいいと思うけど?」

「ていねいに遠慮してんのか、さりげなく俺に責任押しつけてるか分かりづらいセリフだな。なら、非現実専門の赤松がいいと思うけどどうだ?」

「変な専門作るな。だったら言い出しっぺの邑雨が行けばどうだ?」

「えー?でも疑ってるの君たちじゃん」


 それぞれ「徹底的に早起きしなくてはならない」という条件に気が引けているらしく、なかなか決まらずにいたので結局は平等にじゃんけんでいくことにした。


「いいかみんな、当然『最初はグー』だぞ。後出しとかした時点でその人が負けでいいな」


「「「りょーかい」」」


 しかし、森村は気づかなかった。今日の自分の勝負運だけ(・・・・・)最下位であることに(ちなみに総合の運勢は12星座だと9位)


「さいしょーはグー!」

『じゃーんけーん――――――』


「――――――森村、危ない!」

「え?おあっ――――――ぶふぁ」←ボール顔面直撃

『ぽんっ!』



 都築:チョキ

 亜希:チョキ

 赤松:チョキ



 森村:パー


 サラニ、森村ハ1500ノダメージ

 森村ハ、チカラツキタ・・・・・・・・・



 その結果を見た瞬間、森村は壁に右手をあて左手を鼻をさわる「無念のポーズ」を行っていた。しかしその様子ははたから見ると「笑いを必死にこらえてる人」にしか見えなかった。


 真正面から飛来したサッカーボールは、都築たちにはかすりもせずに森村の顔面へと直行し見事にヒット。万歳のポーズでビタンと倒れた彼の手は、迷いのないような「パー」を出していた。


「さ、流石に今のは仕方ないよな・・・・・・」

「だ、だよね・・・これはもう一回やり直した方が・・・・・・」


 森村の悲惨な出来事にさすがにメンバー全員は気を使うようにしてやり直しをしようとする。


「ありがとう・・・・・・でも、いいんだ。これが運命って言うなら仕方ないよ」

「いやいや、今のは運命にしては悲惨すぎるから。な、みんな、いいだろ?」

「あ、う、うん。大丈夫だよ」

「ああ。も、問題ないぞ」


 結局、3回負けた人がやるということにしたのだが、


 1回目

 都築:パー

 亜希:パー

 赤松:パー


 森村:グー


 2回目

 都築:グー

 亜希:グー

 赤松:グー


 森村:チョキ



 これを見れば3回目の結末は言うまでもないだろう。


「ここまでくると、すごいな玲次って」

「うん。別の尊敬したくなるかも」

「これこそ非現実の極地だよな」


 3人は唖然としながら再び「無念のポーズ(ちゃーんと左手付)」をする森村を見る。


「じ、じゃあそろそろ授業始まっちゃうから、あたしはこれで・・・・・・」

「じゃあ、僕も自分の席に・・・・・・」


 気まずい雰囲気の中、2人はソロソロと都築の席から離れていった。残った森村も静かに自席に戻ろうとするのを見ると、都築は「れ、玲次!」と呼びとめる。

 ロボットのようにピタッと止まる森村を見て、握り拳を森村に向け「が、頑張れよ」と、声をかける。

 その姿を見て森村は静かに近寄り、自分の拳をポンッとぶつける。




          ☆




 ――――――こうして翌朝までそのテンションを継続させ現在に至った。

 ガラガラという音に振り向くと、宿直の先生が校門を開けていた。自分が顔を上げたのに気づいたらしく、笑顔で「おっ、おはよう。いたんだね」

と言う。

 迎え入れるようにして森村を通すと先生が一言。


「君、朝早いのは感心するけど、こんな時間に学校は開かないよ」



 わかってますよセンセー!おれだってそんなにバカじゃないですよ!


 こうして森村は初の高校の門が開く前に登校する役目を果たした。

結構、回想長ッ!

次回はイキナリ2人目のヒロイン登場します

次はなるべく短くします^^;

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